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G20財務大臣会合: 租税回避対策で一定の前進も、格差問題には背を向ける

オーストラリア・ケアンズで行われたG20財務相会議の結果について、国際NGOオックスファムは、以下のように評価しています。




1)「税源侵食と利益移転」対策行動計画
● G20財務相たちは、経済協力開発機構(OECD)が主導する「税源浸食と利益移転(BEPS)」対策の行動計画を、2015年まで完成させることを約束しました。BEPSとは、多国籍企業が各国の税法や税制の違いを利用して、低税率国で多くの利益を得たように報告し、逆に高税率国では損失を出したように報告することで、会社単位での納税額を最小限に抑えようとする行為を指します。
● 多国籍企業による租税回避行為で最も大きな被害を受けているのは途上国で、その税喪失額は年間1000億ドルとも言われています。議長国オーストラリアのジョー・ホッキー財相もこの点を認め、今回発表された会議の声明においても、BEPS行動計画への途上国の関与を深めるために、国連や世界銀行、IMF(国際通貨基金)など、G20よりも途上国の声を代表しやすい国際機関に対し、途上国のBEPS対策への支援や、途上国がBEPSプロセスに直接インプットできるプロセスを組むことなどを求めました。

評価:
● このように途上国の利害に対する配慮が強められたことは歓迎すべきことですが、これらが具体的にどのように実行されるのかが明らかにされていません。現行ルールに多くの抜け穴があることが問題である以上、BEPSプロセスにおいて途上国もG20諸国と同等の発言権を与えられてしかるべきです。

2)法人所有者に関する情報開示:
● G20財相は、法人の実質的所有者に関する情報開示の改善について、引き続きコミットメントを表明しました。

評価:
● 法人所有者の情報を開示することで、個人や企業による、タックスヘイブンへの資金隠しを通じた税逃れを規制することが可能になるため、このコミットメントを歓迎します。
● 他方、この情報を税務当局だけでなく、一般納税者である市民に対しても公開する必要があります。

3)租税情報に関する国際情報交換制度
● 租税情報に関する国際的な情報交換制度に途上国を参加させる方法について、OECDが提案をしました。これによると、ある国の納税者が海外に持つ金融口座に関する情報を国家間で交換する際に、途上国については非互恵的な条件(途上国側は相手国にそのような情報提供の義務を負わない形)での参加を暫定的に認めること、その間に将来、途上国が互恵的に参加できるよう、情報交換制度への賛歌に必要な能力強化の支援を行うことなどが提案されています。

評価:
● この提案が実施されれば、途上国が租税回避による資金流出を自力で阻止できるようになるための重要な一歩になります。

4)多国籍企業の国別会計報告の義務化
● オックスファムは多国籍企業に対し、法的に登記されている国ごとの納税額の報告を義務付けることで、マネーロンダリング(資金洗浄)や租税回避を取り締まるよう、求めています。

5)格差・不平等について
● 今回の財相会議では、経済格差の問題については議論されませんでした。経済格差が経済の成長率と持続性に与える悪影響については、OECD、世界銀行、IMFなども危機感を示しています。『強く持続可能でバランスの取れた経済成長』を目指すG20の財務相会議としては経済成長の包摂性、衡平性、持続可能性をいかに改善するのかについて、見解を出す必要があります。最近メルボルンで開催されたG20労働相会議では、「包摂的な経済成長」の必要性が謳われています。
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