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松本幸四郎が初の刑事役に挑み、過去と対峙する男を熱演! 「自分の周りにある見えない檻から抜け出せたとき、新しい人生が始まるんです」




 直木賞作家・連城三紀彦の小説をドラマ化。7月19日(日)放送のWOWOWのオリジナルドラマ「人間動物園」(http://www.wowow.co.jp/dramaw/ningen/)は、次期首相候補の幼い孫娘が誘拐され、所轄のベテラン刑事・発田(はつた)が捜査現場の指揮をとりながら、謎めいた犯人を追うというストーリーだ。主役の発田を演じるのは松本幸四郎。これが初めての刑事役だという日本を代表する俳優に、話を聞いた。
「これまで現代もののドラマでは学校の先生やレストランのギャルソンを演じ、映画『HERO』では弁護士役でしたが、とうとう刑事を演じることになった。私にとっては、究極の役だなと感じましたね。私は舞台役者ですから、どんな役でもそんなに驚かないんだけど、ドラマの場合はテレビで放送されるという特殊性から、たとえ時代劇でも現代劇のように感じられるリアリティーが必要。画面の中に“人間”が映し出されてなければいけないし、そこに視聴者の皆さんの共感なり共鳴が生まれてこなきゃいけない。役を演じるんじゃなくて、その人間の人生を生きるということですよね。だから、うまく演じるとかセリフを正確に言うことに捉われず、発田が生きてその時間を過ごして、そのときどきに感じた思いを発するという気持ちでやりました」

幸四郎の言葉どおり、発田刑事にも作品全体にも、まるでドキュメンタリーのようなリアリティーが息づいている。誘拐された少女の自宅には多数の盗聴器が仕掛けられ、その中に母親が閉じ込められる。発田は隣家を拠点にして、音を立てたら警察の存在を犯人に気づかれてしまうという緊張状態の中、狂言誘拐である可能性も含めて、次々と登場する怪しい人物を洗っていく。やがて、発田の秘められた過去が明らかになり、現在進行形の誘拐事件とリンクしていくのだ。
「人間というものは、負の面を誰しも持っている。その部分が強調された作品は多々あるけれど、『人間動物園』の場合は、発田という人間がごく普通に生きているんですよね。一見、過去に大きな過ちを犯してないように見える。でも、彼の心の中、奥深いところでは一生消えない傷として残っている。私が今まで演じてきた役は、忠臣蔵の大石内蔵助のような英雄が多かったけれど、発田にはヒーロー的なかっこよさはなくて、どこにでもいるありきたりの仕事人なんです。逆に、大上段に振りかぶった正義感の塊みたいな刑事、スーパーヒーローみたいものは、もう現代では視聴者の方が受け付けないんじゃないかな。日本のテレビドラマはそういうところまで進化してきていると思いますね」

 心の傷を抱えた発田が犯人と対面し、自分の過去とも向き合うクライマックスシーンは必見だ。「そのとき発田が取った行動の裏には、相当葛藤があっただろうと思う。もし、自分が発田のような状況に置かれたらという一点だけを考えていました」と幸四郎も語る。極限状態に陥る発田とその周辺でうごめく容疑者たち。「人間動物園」は切羽詰まった心理状態でもがく人間たちの苦しみを浮き彫りにしていく。
「この作品は純粋なサスペンスではなく、ヒューマンドラマの要素も強い。見てくださる方にとって、生きるヒントになってくれればいいなと思いますね。『人間動物園』というタイトルの意味は、ドラマの中ではっきりとは明かされないけれど、あなたの生活にもあなたの人生にも、ひょっとしたら見えない檻があるかもしれない。目には見えないけれど、2メートル先、1メートル先、あるいは30センチ目の前に檻の柵があるんですよ。ある程度、人生経験を積んだ人なら、男性でも女性でも、自分の周りに見えない檻を感じることがあると思う。私なんかもそれを時々感じています。でも、そのときに、その檻から抜け出せるかどうか。そこから、また次の人生が始まるような気がしますね」

ドラマW「人間動物園」は7月19日(日)夜 10:00〜WOWOWで放送!

▼ドラマW「人間動物園」スペシャルサイトはこちら!
http://www.wowow.co.jp/dramaw/ningen/
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