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BIBF 1120、転移性大腸がん患者において、重篤な有害事象の発現を抑えつつ、ベバシズマブと同等の効果を示す

第1/2相試験の結果が、2011年欧州合同癌学会(European Multidisciplinary Cancer Congress: EMCC)のプレジデンシャルセッションで発表される

この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月27日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。

2011年9月27日、スウェーデン/ストックホルム

転移性大腸がん(mCRC)患者を対象に、ファーストライン治療としてBIBF 1120*とmFOLFOX6を併用投与された群において、無増悪生存期間の中央値が10.6ヵ月であり、ベバシズマブとmFOLFOX6を併用投与された群と同等の効果があることが、126人の患者が登録されたランダム化2群比較第2相試験で示されました。重篤な有害事象発現率は、BIBF  1120*投与群で34.1%、ベバシズマブ投与群で53.7%でした。

試験結果の詳細:

・ 腫瘍縮小効果の指標である奏効率(ORR)は、 BIBF 1120*投与群で61.2%、ベバシズマブ投与群で53.7%でした

・ 9ヵ月時点での無増悪生存(PFS)率は、BIBF 1120*投与群で63%、ベバシズマブ投与群で69%でした

・ 消化器系の重篤な有害事象発現率は、BIBF 1120*投与群で11.8%、ベバシズマブ投与群で29.3%でした。

本試験は現在進行中で、全生存期間(OS)データを収集しています。またこれらのポジティブな結果を受け、転移性大腸がん(mCRC)に対するBIBF 1120*の有用性をさらに検討するために、より大規模な患者集団を対象とした第3相試験の実施が検討されています。

BIBF 1120は、1つの受容体のみを標的とする他のアンジオキナーゼ阻害薬と異なり、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR 1-3)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR αおよびβ)、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR 1-3)という3つの受容体を同時に阻害する新規トリプルアンジオキナーゼ阻害薬です1。これら3つの受容体はすべて、新しい血管の形成および維持(血管新生)に重要な役割を果たしています。これらの受容体を阻害することによって血管新生を阻害し、最終的に腫瘍の増殖および転移を止められると考えられています2,3。

本試験の主任治験責任医師であるルーバン大学(ベルギー)内科学教授のエリック・ヴァン・カッセン医師は次のように述べています。「これらの新たな試験結果は、今後予定されている進行性大腸がん患者を対象としたBIBF 1120*の試験についても希望を与えるものです。治療による重篤な有害事象の発現率が少ない治療オプションを患者さんに提供することは極めて重要です。なぜならば、これらの患者さんはすでに進行疾患を有しているからです。今後の試験結果から、この患者集団におけるBIBF 1120* の有用性を検討することが非常に楽しみです」。

参考資料:

発表演題について

演題名(Late Breaking Abstract):転移性大腸がん患者を対象にBIBF 1120*とmFOLFOX6併用投与群とベバシズマブとmFOLFOX6併用投与群を比較する第1/2相、非盲検、ランダム化試験

抄録番号:14LBA
演者:ヴァン・カッセン、E (B)
セッション名:プレジデンシャルセッション(IV:Best and Late Breaking Abstracts)
会場:Hall A1
日程:2011年9月27日
時間:09:00-11:00

臨床試験Nr. NCT 00904839について

この第1/2相試験の主要目的は、転移性大腸がん患者を対象にファーストライン治療として、BIBF 1120*とmFOLFOX6の併用投与された群とベバシズマブとmFOLFOX6を併用投与された群の9ヵ月時点での無増悪生存(PFS)率を評価することでした。無増悪生存(PFS)率は、投与開始から9ヵ月間、疾患進行が認められなかった患者の割合と定義されました。

大腸がんについて

大腸がんは、欧州では男女ともに全てのがん種の中で2番目に多い死因となっており4、世界全体でみると3番目に多くみられるがん種で、年間100万人以上が新たに大腸がんと診断されています5。

ベーリンガーインゲルハイムの腫瘍領域

ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器系疾患、心血管系疾患、代謝系疾患、中枢神経系疾患、ウイルス性疾患、免疫系疾患の分野での卓越した科学的専門知識を基盤に、革新的な抗がん剤を研究開発するため大規模な研究プログラムに着手しました。国際的な科学団体や世界的に権威ある多数のがん研究所と密接に連携を取りながら、ベーリンガーインゲルハイムは新規抗がん剤の研究開発に取り組んでいます。科学の進歩に支えられ、各種の固形がんや血液がんなど、医療ニーズの高い領域における幅広い標的治療薬の研究開発に取り組んでいます。

世界各国に400人以上の社員が新たな抗がん剤の創薬並びに研究開発に取り組んでいます。オーストリアのウィーンにあるベーリンガーインゲルハイムの最先端がん研究センターには意欲的で高度な専門技能を有する科学者が200人いるほか、世界各国に200人以上の科学者ががんの研究開発に携わっています。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界各国の治験責任医師および患者が参加する広範かつ多様な国際共同試験プログラムを通じて、先駆的ながん治療の臨床開発に取り組んでいます。ベーリンガーインゲルハイムは、患者とその家族の人生により良い変化を提供する治療薬を開発するため、多額の財政支援をおこなっています。

ベーリンガーインゲルハイムの抗がん剤パイプラインは徐々に開発が進んでおり、これは抗がん剤に対するベーリンガーインゲルハイムの継続的なコミットメントを示すものです。

ベーリンガーインゲルハイムについて

ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と42,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

2010年度は126億ユーロの売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約24%相当額を研究開発に投資しました。

日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約3,000人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。

日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。詳細は下記をご参照ください。

www.boehringer-ingelheim.co.jp

References:

1. Hilberg F et al. BIBF1120: Triple angiokinase inhibitor with sustained receptor blockade and good anti-tumor efficacy. Cancer Research 2008;68(12): 4774-4782.
2. Folkman N. Clinical Applications of Research on Angiogenesis. New England Journal of Medicine 1995;333: 1757-1763.
3. Ellis, L.M. and Hicklin, D.J. VEGF-targeted therapy: mechanisms of anti-tumour activity. Nature Reviews Cancer 2008;8: 579-591.
4. Ferlay J et al. Estimates of cancer incidence and mortality in Europe in 2008. Int J Cancer 2010;46: 765-781.
5. Ferlay J et al. Estimates of worldwide burden of cancer in 2008: GLOBOCAN 2008. Int J Cancer 2010; EPub Ahead of print
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