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京都大学とフォルシア、ダイナミックプライシングに関する共同研究を始動

 国立大学法人京都大学(所在地:京都府京都市左京区、総長:山極 壽一、以下:京都大学)とフォルシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:屋代 浩子、以下:フォルシア)はこのほど、需給状況に応じた最適価格設定(ダイナミックプライシング)の研究に関する共同研究契約を締結し、2018年10月1日より共同研究を開始することをお知らせします。




 ダイナミックプライシングとは、需要と供給の状況に応じて価格を変動させて、売上向上と潜在需要の創出を実現し需給をコントロールする仕組みです。すでに宿泊予約、航空券といった旅行分野では一般的になっていますが、ECがさらに普及していく中で、今後様々なモノやサービスの価格は流動的になり、現在は価格が硬直的な商材、例えば教育サービス、医療、レジャー、理美容、リラクゼーションといった領域においてもダイナミックプライシングの導入が進んでいくと考えています。

 本共同研究では、時間と空間を伴って提供されるサービスにおける「利用頻度」と「空き状況」の関係に着眼し、価格変動が利用頻度に与える影響について「ポアソン過程*1」「エルゴード性*2」などを用いた数理モデルから分析することによって、様々な商材に応用できる最適価格算出の汎用的な理論創出を目指します。

 京都大学大学院情報学研究科梅野健教授は、株価や為替変動といった金融市場の価格変動分布、地震が起こる間隔などの確率統計分布、インターネットのトラフィックといった複雑系のデータを対象とする新しい統計法則の研究を推進する、数理工学研究の第一人者です。

 フォルシアが提供する検索プラットフォーム「Spook(R)」は、国内の航空・大手旅行会社が運営する旅行予約サイトの約8割に導入されています。航空・旅行会社が手掛ける旅行予約サイトでは、繁忙期には航空券や宿泊施設の価格が上がり、客足が落ち着く時期には価格が下がる、というように、すでにダイナミックプライシングが取り入れられています。

 この両者の知見を活かして需要側と供給側、そして社会全体を含めた三方にとって最適な価格設定について研究を進め、様々な商材において発生する需給バランスの不整合がもたらす社会課題(機会損失、在庫ロス)の解消を目指します。

*1 ランダムに発生する事象を、確率変数を用いて記述したもの
*2 「時間平均=集合平均」が成り立つという性質


■本共同研究におけるダイナミックプライシングの考え方
 ・世の中の需要と供給の偏在を価格調整によって最適化する
 ・「利用頻度」と「空き状況」の関係に着眼し、価格とタイミングを人ごとにコントロールする
 ・時間と空間を伴って提供される様々なサービスに適用可能な汎用モデルを創出する

[本研究におけるダイナミックプライシングの適用イメージ]
[画像: https://prtimes.jp/i/2005/53/resize/d2005-53-491917-0.png ]


■京都大学 梅野教授のコメント
 「本共同研究についてはフォルシア側から話がありました。今回研究対象とするダイナミックプライシングというテーマは、モデリング(理論)がほとんどなく、実装された時の経済社会的なインパクトも大きいと考えています。将来的には、実装実験の結果をフォルシアと共に共同提案していき、国内だけでなく世界に成果を発信することを目指します。」

■フォルシア代表取締役社長 屋代浩子のコメント
 「創業以前、金融機関においてデリバティブ商品の開発に携わっておりました。金融工学の知識を使って、金融商品の値段がいくらであるべきか、ということを来る日も来る日も考えることが仕事でした。このたび、長年取り組みたかった、金融商品以外のサービスの値段はいくらであるべきか、というテーマに向き合えるチャンスが到来し、大変喜ばしく思っています。本共同研究を足がかりに、新たな事業領域の創造にチャレンジしていきます。」
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