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　現在、松任谷由実はニュー・アルバム『そしてもう一度夢見るだろう』を携えた全国ツアー「YUMI MATSUTOYA CONCERT TOUR 2009 TRANSIT」を展開中なのだが、これがすごい。約半年という長期にわたって行われるということに加え、その数、34箇所68公演というのだから驚きである。なんともタフな人である。これは、大都市の大会場だけで行うのではなく、全国各地に歌を届けるという音楽家としての基本スタンスをユーミンは決して崩さず、また、その都度のコンセプトにあわせた会場選びをした上で自身を表現する柔軟性が彼女にあるからこそのことで、しかし、ベテランと呼ばれるアーティストがこの本数をこなすのは異例といっていいだろう。つまり、ユーミンは攻めることを忘れていないのである。
　そしてこのツアー中の7月17日、「WOWOWスペシャル -Countdown to Oct.10- 松任谷由実 コンサートツアー2009 TRANSIT」なるライブが昭和女子大学人見記念講堂で行われた。「シャングリラ」シリーズをはじめ、これまでユーミンのライブを幾度となくオンエアしてきたWOWOWとのコラボレーションによるスペシャル・イベントがこれで、ステージ・セットなど、ベースとなる部分は現在のツアーと同じだが、それとは異なるセットリストが用意された。WOWOW加入者から募ったリクエストで上位にランクインした「あの日にかえりたい」などが披露され、他にも、ニュー・アルバム収録の「黄色いロールスロイス」ではレコーディングに参加した加藤和彦が飛び入り出演するなど、この日だけのスペシャルな演出は観客をさらにヒートアップさせるには十分過ぎるものだった。
　そのユーミンとコラボレートしたWOWOWは来たる10月10日(土)、国立代々木競技場第一体育館・第二体育館、SHIBUYA-AX、およびその周辺一帯で、映画、音楽、スポーツなど、多彩なWOWOWの魅力を体感できるイベント「WOW FES!」を開催する。先のユーミンのスペシャルライブはそのキックオフでもあり、そしてこの模様はイベント当日、WOWOWにてハイビジョンで無料放送される他、会場ではこのライブを３Ｄ体験ゾーンにて立体映像で楽しむ事が出来る。
　これを見れば、活動スタイルだけでなく、創造面においても攻めることを忘れないユーミンの最新パフォーマンスに驚き、そして「なにか」を感じることになるだろう。なぜなら、その姿はアーティストとしてはもちろんだが、松任谷由実という一人の人間の生命力でもあるからだ。