看護師の手荒れケアを目的としたハンドクリームを3者共同開発
[14/08/29]
提供元:PRTIMES
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〜保湿力とべたつきにくさを両立、リラックスする香りを配合〜
静岡県立静岡がんセンター(静岡県駿東郡長泉町、総長:山口建、以下静岡がんセンター)、公益財団法人静岡県産業振興財団ファルマバレーセンター(同 長泉町、所長:植田勝智、以下ファルマバレーセンター)、サンスター株式会社(本社:大阪府高槻市、代表取締役社長:吉岡貴司、以下サンスター)は、看護師の手荒れケアを目的としたハンドクリームを共同開発しました。
仕事柄、手洗いの頻度が高い(1日、20〜30回)看護師は、およそ4人に3人が手荒れを感じています。
(注1)。手荒れは手指の皮膚常在細菌叢(注2)を変化させ、病原菌感染を蔓延・助長するリスクがあります。手荒れケアを行うことは、看護師のQOL(Quality of Life 生活の質)を向上させるだけでなく、院内感染コントロールの観点からも重要です。また、手荒れケアにより皮膚の状態を良好に保つことは、経皮感作(注3)によるアレルギーの予防にもつながります。
そこで、2009年より静岡がんセンター研究所とファルマバレーセンターが中心となり、医療現場での使用に適し、手荒れケアを目的としたハンドクリームの開発に取り組みました。
開発にあたり看護師約300名の意見をもとに、高い保湿力があること、べたつかず、直後の作業に影響しにくいこと、ほどよい香りで気分が和らぐこと、という要望を重視しました。そして、べたつきにくいハンドクリームの基本処方を設計し、看護の医療現場で看護師を対象に使用感評価を実施し好評を得ました。この基本処方を元に、2012年よりサンスターで製品化に向けた最終処方を設計し、手荒れを有する一般の被験者の方を対象とした連用試験(注4)による有用性評価、看護師を対象とした使用感評価において良好な結果を得ました。
なお、今回開発したハンドクリームには、静岡がんセンターの病院としてのこだわりである「癒し」をイメージした香りを配合しました。静岡がんセンターの敷地内には、約300品種、1300本を越えるバラが植えられ、池や緑あふれる庭園を備えています。この庭園の数多くのバラの香りの中から、院内の評判がよかった白色のハマナス(バラ科)の花の香りを抽出し、再現した香料を配合することで、多忙な看護師の気分を和らげるようにしました。強い香りにより気分を害される患者さんへの配慮も必要なことから、看護師からの意見をもとに改良を繰り返し、香りをほどよく抑え、長く残らない調合を施しました。
今回の共同開発は、ファルマバレーセンターがハンドクリームのコンセプト開発と共同開発のコーディネートを担当、静岡がんセンター研究所・地域資源研究部が看護師の要望抽出を担当、静岡がんセンター皮膚科が看護師を対象とした開発品の使用試験および、開発品の有用性を検証するための一般の手荒れ被験者を対象とした連用試験の監修を担当、サンスターが看護師の要望を実現する処方設計と量産技術開発、安全性評価を担当しました。
共同開発成果のうち、一般の手荒れ被験者を対象とした連用試験による有用性評価の詳細については、第30回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会(2014年4月26日、27日)、第23回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会(2014年5月17日)、第113回日本皮膚科学会総会(2014年5月30、31日)で発表、学会誌「日本臨床皮膚医会雑誌」への掲載を予定しています。また、看護師への使用評価試験については、第77回日本皮膚科学会東京支部学術大会(2014年2月15日)で発表しました。(いずれも静岡県立静岡がんセンター皮膚科部長 清原祥夫 医師が発表)以下はそれら研究成果の抜粋です。
【注1】看護師のおよそ4人に3人は手荒れを感じている:
出典「医学と薬学Vol56, No.2(2006)」手荒れに困っている38%、やや困っている35%
【注2】皮膚常在細菌叢: 皮膚に常在する多種の細菌の集まり
【注3】経皮感作: 皮膚を通してアレルギー抗原物質を取り込み、抗体が体内にできること
【注4】連用試験: 同じものを継続して使用する試験形態
●手荒れ被験者による4週間の連用試験による有用性評価
試験方法
解析対象者:手荒れ症状を有す一般被験者30例。(皮膚科専門医の視診により被験者選定)
試験条件 : 手(手首より末端側)には、各被験者の手荒れ症状にあわせて数回、適量を塗布。前腕内側には、
朝晩の1日2回、同側の手と同じ試験品を塗布した。試験期間は4週間とした。
評価方法 :手への有用性は、総合皮膚改善度(皮膚科専門医による視診判定)、安全性(副作用の観察)、被験者 アンケートを総合的に判断し、4段階で評価。前腕内側については、角層水分量を測定した。
4週間の有用性判定では90%(30人中27人)で有用性が認められた。被験者の角層水分量の群内比較では、2週、4週の測定値は、試験開始前と比較して有意に増加が認められた。
●看護師へのハンドクリーム開発品の使用試験結果(最終処方)
試験方法
実施時期 :2012年11月~12月
被験者 :看護師137名 年齢20〜40歳代
使用回数 :最低朝昼晩の1日3回 両手に使用
試験デザイン:無作為化単盲検試験
調査方法 :アンケートなどによる官能スコア 5段階評価
匂いを除く全ての項目で「良い」+「非常に良い」が50%を上回った。「クリームの匂い」は、好き嫌いが分かれやすい項目だが「非常に良い」+「良い」+「普通」が80%を越え、高い受容性が認められた。
●開発のきっかけとなったがん患者向け口腔ケア製品の共同開発(2009年)
2009年、静岡がんセンター、静岡県歯科医師会、サンスターは共同で、がん患者の治療に伴う口内炎や口腔乾燥などの口腔トラブル時にも使用でき、口腔衛生環境を清潔に保つ口腔ケア製品(口腔保湿液、希釈タイプの保湿洗口液、低刺激の薬用ハミガキ、やわらかハブラシ、口腔粘膜ケア用スポンジブラシ)を共同開発しました。がん患者などへの周術期における歯科医師の包括的な口腔機能管理は2012年4月から歯科の診療報酬に加わりましたが、その先鞭をつける共同開発事例となりました。
サンスターは2006年より静岡県立静岡がんセンター研究所内に、サンスター静岡研究所を開設し、研究員が常駐しています。今回のハンドクリーム開発は、こうした口腔ケア製品の共同開発を背景に、皮膚領域においても製品化に至ったものです。
【プロファイル】
● 静岡県立静岡がんセンター:
2002 年 9 月に開院、陽子線治療、手術支援ロボット・ダヴィンチなどの高度な先進医療を提供するがんの専門医療機関。特定機能病院および都道府県がん診療連携拠点病院。現在、2つの緩和ケア病棟50床含め病床数は589床。最先端の治療から心のケアまで全人的な治療を実施し、患者さんに寄り添った医療を目指しています。また、がん診療レベル向上のため、医療現場で必要とされるケア用品や医療器具のアイデアを募集し、ファルマバレーセンターを通じて企業と研究開発したものを製品化する取り組みを行っています。
● ファルマバレーセンター:
静岡県東部を中心に医療・健康産業の振興と集積を図るファルマバレープロジェクトを推進するため2003年4月に設置された支援機関。1.ものづくり、2.ひとづくり、3.まちづくり、4.世界展開の推進の視点で各プロジェクトを推進していま す。ものづくりの分野では、地域企業の医療健康産業への参入支援はもとより、関連分野の新機種開発、橋渡し研究そして医療者や患者がベッドサイドで必要とする臨床現場発のアイデアを積極的に 取り入れたものを製品化する支援をしています。
● サンスター株式会社:
サンスターグループの中核会社で、「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する」の社是の下、オーラルケア、ヘアケア、スキンケア、健康食品などの事業を展開。また、歯周病予防、歯と口の健康が全身の健康に及ぼす影響(癌や糖尿病との関係)について内外の研究機関と共同研究・商品開発を進めています。
静岡県立静岡がんセンター(静岡県駿東郡長泉町、総長:山口建、以下静岡がんセンター)、公益財団法人静岡県産業振興財団ファルマバレーセンター(同 長泉町、所長:植田勝智、以下ファルマバレーセンター)、サンスター株式会社(本社:大阪府高槻市、代表取締役社長:吉岡貴司、以下サンスター)は、看護師の手荒れケアを目的としたハンドクリームを共同開発しました。
仕事柄、手洗いの頻度が高い(1日、20〜30回)看護師は、およそ4人に3人が手荒れを感じています。
(注1)。手荒れは手指の皮膚常在細菌叢(注2)を変化させ、病原菌感染を蔓延・助長するリスクがあります。手荒れケアを行うことは、看護師のQOL(Quality of Life 生活の質)を向上させるだけでなく、院内感染コントロールの観点からも重要です。また、手荒れケアにより皮膚の状態を良好に保つことは、経皮感作(注3)によるアレルギーの予防にもつながります。
そこで、2009年より静岡がんセンター研究所とファルマバレーセンターが中心となり、医療現場での使用に適し、手荒れケアを目的としたハンドクリームの開発に取り組みました。
開発にあたり看護師約300名の意見をもとに、高い保湿力があること、べたつかず、直後の作業に影響しにくいこと、ほどよい香りで気分が和らぐこと、という要望を重視しました。そして、べたつきにくいハンドクリームの基本処方を設計し、看護の医療現場で看護師を対象に使用感評価を実施し好評を得ました。この基本処方を元に、2012年よりサンスターで製品化に向けた最終処方を設計し、手荒れを有する一般の被験者の方を対象とした連用試験(注4)による有用性評価、看護師を対象とした使用感評価において良好な結果を得ました。
なお、今回開発したハンドクリームには、静岡がんセンターの病院としてのこだわりである「癒し」をイメージした香りを配合しました。静岡がんセンターの敷地内には、約300品種、1300本を越えるバラが植えられ、池や緑あふれる庭園を備えています。この庭園の数多くのバラの香りの中から、院内の評判がよかった白色のハマナス(バラ科)の花の香りを抽出し、再現した香料を配合することで、多忙な看護師の気分を和らげるようにしました。強い香りにより気分を害される患者さんへの配慮も必要なことから、看護師からの意見をもとに改良を繰り返し、香りをほどよく抑え、長く残らない調合を施しました。
今回の共同開発は、ファルマバレーセンターがハンドクリームのコンセプト開発と共同開発のコーディネートを担当、静岡がんセンター研究所・地域資源研究部が看護師の要望抽出を担当、静岡がんセンター皮膚科が看護師を対象とした開発品の使用試験および、開発品の有用性を検証するための一般の手荒れ被験者を対象とした連用試験の監修を担当、サンスターが看護師の要望を実現する処方設計と量産技術開発、安全性評価を担当しました。
共同開発成果のうち、一般の手荒れ被験者を対象とした連用試験による有用性評価の詳細については、第30回日本臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会(2014年4月26日、27日)、第23回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会(2014年5月17日)、第113回日本皮膚科学会総会(2014年5月30、31日)で発表、学会誌「日本臨床皮膚医会雑誌」への掲載を予定しています。また、看護師への使用評価試験については、第77回日本皮膚科学会東京支部学術大会(2014年2月15日)で発表しました。(いずれも静岡県立静岡がんセンター皮膚科部長 清原祥夫 医師が発表)以下はそれら研究成果の抜粋です。
【注1】看護師のおよそ4人に3人は手荒れを感じている:
出典「医学と薬学Vol56, No.2(2006)」手荒れに困っている38%、やや困っている35%
【注2】皮膚常在細菌叢: 皮膚に常在する多種の細菌の集まり
【注3】経皮感作: 皮膚を通してアレルギー抗原物質を取り込み、抗体が体内にできること
【注4】連用試験: 同じものを継続して使用する試験形態
●手荒れ被験者による4週間の連用試験による有用性評価
試験方法
解析対象者:手荒れ症状を有す一般被験者30例。(皮膚科専門医の視診により被験者選定)
試験条件 : 手(手首より末端側)には、各被験者の手荒れ症状にあわせて数回、適量を塗布。前腕内側には、
朝晩の1日2回、同側の手と同じ試験品を塗布した。試験期間は4週間とした。
評価方法 :手への有用性は、総合皮膚改善度(皮膚科専門医による視診判定)、安全性(副作用の観察)、被験者 アンケートを総合的に判断し、4段階で評価。前腕内側については、角層水分量を測定した。
4週間の有用性判定では90%(30人中27人)で有用性が認められた。被験者の角層水分量の群内比較では、2週、4週の測定値は、試験開始前と比較して有意に増加が認められた。
●看護師へのハンドクリーム開発品の使用試験結果(最終処方)
試験方法
実施時期 :2012年11月~12月
被験者 :看護師137名 年齢20〜40歳代
使用回数 :最低朝昼晩の1日3回 両手に使用
試験デザイン:無作為化単盲検試験
調査方法 :アンケートなどによる官能スコア 5段階評価
匂いを除く全ての項目で「良い」+「非常に良い」が50%を上回った。「クリームの匂い」は、好き嫌いが分かれやすい項目だが「非常に良い」+「良い」+「普通」が80%を越え、高い受容性が認められた。
●開発のきっかけとなったがん患者向け口腔ケア製品の共同開発(2009年)
2009年、静岡がんセンター、静岡県歯科医師会、サンスターは共同で、がん患者の治療に伴う口内炎や口腔乾燥などの口腔トラブル時にも使用でき、口腔衛生環境を清潔に保つ口腔ケア製品(口腔保湿液、希釈タイプの保湿洗口液、低刺激の薬用ハミガキ、やわらかハブラシ、口腔粘膜ケア用スポンジブラシ)を共同開発しました。がん患者などへの周術期における歯科医師の包括的な口腔機能管理は2012年4月から歯科の診療報酬に加わりましたが、その先鞭をつける共同開発事例となりました。
サンスターは2006年より静岡県立静岡がんセンター研究所内に、サンスター静岡研究所を開設し、研究員が常駐しています。今回のハンドクリーム開発は、こうした口腔ケア製品の共同開発を背景に、皮膚領域においても製品化に至ったものです。
【プロファイル】
● 静岡県立静岡がんセンター:
2002 年 9 月に開院、陽子線治療、手術支援ロボット・ダヴィンチなどの高度な先進医療を提供するがんの専門医療機関。特定機能病院および都道府県がん診療連携拠点病院。現在、2つの緩和ケア病棟50床含め病床数は589床。最先端の治療から心のケアまで全人的な治療を実施し、患者さんに寄り添った医療を目指しています。また、がん診療レベル向上のため、医療現場で必要とされるケア用品や医療器具のアイデアを募集し、ファルマバレーセンターを通じて企業と研究開発したものを製品化する取り組みを行っています。
● ファルマバレーセンター:
静岡県東部を中心に医療・健康産業の振興と集積を図るファルマバレープロジェクトを推進するため2003年4月に設置された支援機関。1.ものづくり、2.ひとづくり、3.まちづくり、4.世界展開の推進の視点で各プロジェクトを推進していま す。ものづくりの分野では、地域企業の医療健康産業への参入支援はもとより、関連分野の新機種開発、橋渡し研究そして医療者や患者がベッドサイドで必要とする臨床現場発のアイデアを積極的に 取り入れたものを製品化する支援をしています。
● サンスター株式会社:
サンスターグループの中核会社で、「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する」の社是の下、オーラルケア、ヘアケア、スキンケア、健康食品などの事業を展開。また、歯周病予防、歯と口の健康が全身の健康に及ぼす影響(癌や糖尿病との関係)について内外の研究機関と共同研究・商品開発を進めています。