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国連安保理の機能不全が何百万人という難民を生んでいる

紛争難民の受け入れにしり込みする先進諸国

紛争真っ最中のシリア、南スーダン、中央アフリカ、イラクに対して、国連安全保障理事会、時には国連事務局は実効性のある対策を打ち出せないでいる。対応が後手に回っているせいで、各地が焦土と化している。そのために発生している大量の難民の保護に対しても、同様だ。6月20日は世界難民の日である。この日に、アムネスティは今一度、国連安保理に対し、国際平和と安全保持という本来の役割をきちんと果たし、紛争国からの難民を保護し、これ以上故郷から追われる人びとが出ないよう、断固とした行動をとるよう、強く求める。




シリアの危機に対する有効な手だてを阻んでいるロシアと中国は、世界の難民問題にもほとんど対応していない。昨年、両国の難民再定住者数はゼロである。

国連が各国に求めるシリア向け支援金総額は、国連史上最大規模だが、ロシアも中国も拠出したのは微々たるものだった。ロシアは、昨年は全体の0.3%、今年は0.1%、中国はそれぞれ0.1%と0.4%だった。

一方、経済力が劣るにも関わらずこの危機に正面から立ち向かう発展途上国がある。イラン、ヨルダン、レバノン、トルコ、パキスタンは、難民受け入れで上位5カ国に入っている。このうちヨルダン、レバノン、トルコの3カ国は昨年、シリア1国から合計152万4979名の難民を受け入れた。

対照的に、米国は昨年、再定住したシリア難民はわずか36名だった。シリア以外の国々からは数千名の難民を受け入れてはいるが。

EU28カ国は、3万498名のシリア人受け入れを約束したが、そのうち2万5500名はドイツである。昨年、少なくとも43万5000名がEUに難民申請したが、受け入れられたのは13万6000名だった。

先進国では、受け入れ人数が少ないにもかかわらず、難民や庇護希望者はしばしば人権侵害にさらされている。ヨーロッパに保護と安全と希望を求めて国境にたどりついた難民や移住希望者に対して、ギリシャはしばしば暴力と脅しで対応してきた。

アムネスティは、トルコ経由でヨーロッパを目指そうとする人びとが裸にされ、持ち物を奪われ、銃を突きつけられ、トルコに戻された複数のケースを確認している。

人口密度が世界で最も低いオーストラリアもまた違法行為を犯している。同国は、ナウル共和国とパプアニューギニアのマヌス島に手続き事務所を置き、そこで難民と庇護希望者に重大な人権侵害を犯している。そして、それらの事実を隠ぺいしてきた。

虐待に何の言い訳も通用しない。何より、自国の人びとには決してやらないような処遇を、難民や庇護希望者に行っているのは、恐ろしい限りである。

先進国政府は、「私たち」と「あの人たち」の観点から物事を考えるのを止める時である。難民や庇護希望者はしばしば恐ろしい苦難を耐えてきている。保護され人間的で尊厳を持った処遇こそが、必要なのに。


▽アムネスティでは、シリア難民を積極的に受け入れるように日本政府に求めるオンライン署名活動を行っています。
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/syria_201406.html
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