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グローバル官民パートナーシップがエボラワクチン第I相試験におけるポジティブな結果をJAMA誌で発表

当社のプライムブーストエボラワクチンの投与を受けた健康被験者全員に免疫応答がもたらされ、8ヶ月間効果が持続することを示す臨床データが初めて公開。
現在も続くエボラ出血熱感染への対応や将来的な再流行を防ぐため、依然としてエボラワクチンは緊急に必要。
エボラワクチン開発の臨床プログラムには、ジョンソン・エンド・ジョンソングループのヤンセンファーマシューティカルとともに、ロンドン大学衛生・熱帯医学部門、オックスフォード大学、フランス国立保健医学研究所(Inserm)、Bavarian Nordic社および欧州の革新的医薬品イニシアティブ等が参加。

*当資料は、2016年4月19日(現地時間)に米ジョンソン・エンド・ジョンソンが発表した英文プレスリリースを日本語に抄訳したものを、参考資料として発表させていただくものです。従いまして、必ずしも日本の状況を反映したものではないことをご了承ください。また、正式言語が英語であるため、内容につきましては英文リリースが優先されます。
英文サイト:
http://www.jnj.com/news/all/Global-Public-Private-Partnership-Announces-Publication-of-Positive-Phase-1-Data-for-Ebola-Vaccine-Regimen-in-JAMA

世界有数の保健機関による官民パートナーシップは、エボラ出血熱予防ワクチンの第I相試験から得られたデータが米国医師会雑誌(JAMA)に掲載されたことを発表しました。プライムブースト法を用いた当社のワクチンは、健康被験者に良好な忍容性と免疫原性(免疫応答)をもたらすことを示しました。ワクチンの投与は、被験者全員にエボラウイルスに対する一次免疫応答をもたらし、その効果は投与後8ヶ月間にわたり持続しました。今回の試験は、オックスフォード大学小児科のオックスフォードワクチングループが主体となり英国で実施されたものです。

エボラワクチンの開発は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下、J&J)のヤンセンファーマシューティカル(以下、ヤンセン)がBavarian Nordic社と連携して進めています。プライムブースト法に基づく本ワクチンは、米国国立衛生研究所(NIH)との共同研究プログラムにおいて最初に開発されました。そして、ロンドン大学衛生・熱帯医学部門、オックスフォード大学およびフランス国立保健医学研究所(Inserm)など、ヤンセンと協働する世界有数の研究機関によるコンソーシアムとともに、欧州の革新的医薬品イニシアティブ(IMI)助成金提供を受け、臨床試験が行われました。

J&Jチーフサイエンティフィックオフィサーであるポール・ストッフェルス博士は「西アフリカでのエボラ出血熱の流行により、膨大な数の人々が犠牲となりました。エボラ出血熱の再燃が続いている状況で、次の大流行に備えたより良い体制を整える必要があります。今回の臨床試験結果により、規制当局の承認を取得した後、ヤンセンのプライムブーストワクチンが、エボラ出血熱の流行を防ぐための重要なグローバル対策手段となり得ることを示唆されました。」と述べています。

第I相試験は、ヤンセンのグループ会社であるCrucell Holland B.V.社のAdVac(R)技術およびBavarian Nordic社のMVA-BN(R)技術に基づく2種類のワクチンを用いたレジメンの検討を行いました。健康被験者に対し、1回目のワクチンを免疫システムのプライム(初回免疫)として投与し、その後にもう一つワクチンを免疫反応のブースト(追加免疫)として投与し、免疫持続期間の評価を行うことを目的としています。このプライムブースト投与法は、他の複数の感染症予防のために確立された手法です。

今回の試験の筆頭著者であるオックスフォードワクチングループのマシュー・スネイプ博士は「エボラウイルスが体液中に残存し、エボラ出血熱の生存者から性行為感染が起きる可能性が最近明らかとなっており、強力で持続性の高いワクチン開発の重要性が高まりました。今回の結果は、AdVac(R)による一次免疫応答がMVA-BN(R)による追加免疫により増強されること、持続する免疫応答がエボラ出血熱への感染リスクの高い人々を長期間予防できる可能性があることを示しています。」と述べています。

今回の試験では、大部分の被験者に対しワクチンまたはプラセボを盲検下、無作為に投与しました。数名の被験者に対しては、非盲検下にてワクチンを投与しました。無作為化試験の被験者の97%において、AdVac(R)によるプライムから4週間後にエボラウイルス特異的抗体の産生が確認されました。また、AdVac(R)の投与を受けた被験者の半数以上において、細胞性免疫の主要なマーカーであるエボラ特異的T細胞が産生されました。被験者全員において、ブースター投与から21日後にエボラウイルス特異的抗体の産生が認められ、79%から100%の被験者において投与間隔に応じたT細胞反応が認められました。これは、AdVac(R)による免疫反応がMVA-BN(R)によるブーストにより強化されていることを示しており、プライムブースト投与法のコンセプトが実証されました。

プライムの投与から8ヶ月を経過した時点においても被験者全員にエボラウイルス特異的抗体が存続したこと、AdVac(R)/ MVA-BN(R)の投与を受けた被験者の77%から80%においてワクチンにより誘導されたT細胞の応答が持続したことは注目すべきことです。

安全性に関して、最も多く報告された有害事象は注射部位の疼痛でした。この事象は一過性であり、重症度は概して軽度から中等度のものでした。無作為化された被験者のうち、AdVac(R)の投与を受けた被験者の5%において発熱が報告されたのに対し、プラセボの投与を受けた被験者における発熱の割合は4.2%でした。非盲検試験では、被験者群の27%において発熱が報告されました。いずれの事例においても、発熱症状は24時間から48時間以内に消失しました。本ワクチンに関連する重篤な有害事象は観察されませんでした。

ロンドン大学衛生・熱帯医学部門のピーター・ピオット学長は「エボラウイルスが発見されてから40年が経過した今も、承認されたエボラワクチンが世界中で必要とされています。エボラ出血熱が流行しやすい国々の一般市民を率先的に保護する取り組みにおいて、持続性の高いプライムブーストワクチンは極めて重要な戦略となります。また、エボラウイルスに関する絶えることのない戦いを考えると、医療従事者やエボラ出血熱の生存者の家族などの感染リスクの高い集団に対しては、持続性の高さを実現することが極めて重要な目標となります。」と述べています。

フランス国立保健医学研究所(Inserm)のイヴ・レヴィCEOは「最も重要なことは、今回の試験によりエボラ出血熱に対するプライムブーストワクチンのコンセプトが実証されたということです。また、本レジメンが抗体による液性免疫と細胞性免疫という2種類の免疫応答を誘導できることを示しており、この2種類の免疫の組み合わせにより長期的な予防効果を得られる可能性を示唆しています。今回の試験結果は、Insermが当初より取り組んできたエボラ出血熱との闘いにおける大変重要な成果となりました。」と述べています。

欧州委員会保健総局の局長であり、IMI理事会のメンバーを務めるルクサンドラ・ドラギア=アクリ氏は「エボラ+プログラムから支援を受けている当コンソーシアムが、このように前向きな成果を挙げたことを嬉しく思います。欧州委員会およびIMIの支援を受けて実施されている当試験やエボラ関連のその他の多くの研究により、今日の切迫した世界的脅威に対する革新的ソリューションを開発するために、共同研究や官民パートナーシップを迅速に形成することが可能であることを示しています。国際的なコミュニティが力を合わせることによってのみ、私たちは感染症の世界的流行を予防、抑制、そして終息させることができるのです。」と述べています。

このオックスフォード研究により、米国、欧州およびアフリカにて同時並行で実施されている合計10件の臨床試験に基づく本レジメンの有用性を裏付ける最初のデータが提供されました。最近のエボラ出血熱の流行で被害を受けた西アフリカにおける最初の試験は、2015年10月にシエラレオネで開始されました。

西アフリカでエボラ出血熱が流行し始めたのは2014年3月のことであり、これを受けてシエラレオネ、リベリアおよびギニアの医療体制に非常に大きな負担がかかりました。これらの3ヶ国において28,600人以上がエボラウイルスに感染し、500人以上の医療従事者を含む11,300人以上の人々が命を落としました[1]。残念ながら、同地域やごく最近ではギニアとリベリアにおいても、エボラ出血熱の生存者の体内に残存するエボラウイルスが原因で今もエボラ出血熱の再燃が続いています[2]。医療従事者や感染流行の最前線で働く人々はエボラ出血熱の流行によるリスクに最も晒されやすく、持続性の高いワクチンは彼らにとって大変に有用です[3]。

第I相試験について
第I相ヒト初回投与試験は、単施設無作為化プラセボ対照観察者盲検試験により、健康な成人におけるエボラプライムブーストワクチンの安全性と免疫原性を評価するために実施されたものです。2014年12月以降、18歳から50歳までの合計87名の被験者が英国にて今回の試験に参加しています。うち72名を18名により構成される4つのグループに無作為に分類し、プライムワクチンとしてAd26.ZEBOV (AdVac(R))またはMVA-BN-Filo(MVA-BN(R))を投与しました。その28日から56日後に、被験者にはブースターとして別のワクチンを投与しました。各グループにおいて、5:1の割合にて被験者を無作為化し、15名に治験ワクチンを、3名にプラセボを投与しました。非盲検試験においてAdVac(R)の投与を受けた15名の被験者には、14日後にブースターとしてMVA-BN(R)を投与しました。試験後8ヵ月後における被験者の追跡調査は2015年10月に完了し、試験後12ヶ月後における追加分析は現在実施中です。当試験の詳細については、clinicaltrials.govに掲載しています。

エボラワクチンについて
ヤンセンの臨床試験用エボラワクチンは、米国国立衛生研究所(NIH)との共同研究により見いだされたものです。このプログラムは、NIHの一部門である米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)から直接助成および前臨床サービスを受けています(契約番号HHSN272200800056C、HHSN272201000006I、HHSN272201200003I)。第I相試験で使用されているMVA-BN-Filoは、NIAIDとFisher BioServicesとの契約下で製造されたものです(契約番号FBS-004-009およびNIH契約番号HHSN272200800044C)。

2015年1月、欧州の革新的医薬品イニシアティブ(IMI)のエボラ+プログラムから、ヤンセンと協働している世界有数の研究機関や非政府機関から成るコンソーシアムに対し、ワクチンの開発、生産および展開を支援する目的で、総額1億ユーロ以上の助成金が提供されました。

JAMA誌に掲載された第I相試験の結果データは、IMI2の共同事業であるEBOVAC1の助成契約(助成番号115854)に基づき作成されたものです。このIMI2の共同事業は、EUの研究開発・イノベーション促進プログラム「ホライズン2020」および欧州製薬団体連合会(EFPIA)の支援を得ています。また、NIHRオックスフォードバイオメディカル研究センターは、第I相試験を実施したオックスフォードワクチングループを支援しています。

2015年9月、ヤンセンのグループ会社であるCrucell Holland B.V.社は、プライムブーストワクチン開発を加速させるため、米国保健社会福祉省(HHS)の一部門である生物医学先端研究開発局(BARDA)から2,850万ドルの提供を受けました。

ヤンセンは、Bavarian Nordic社とともにワクチンの製造体制を速やかに拡大しました。現在では約200万レジメン分のワクチンを備えており、また必要であれば数百万レジメン分を製造する能力を有しています。

J&Jについて
「世界中の人々をケアすること」―これが私たちJ&Jファミリーカンパニーの原点です。私たちは研究と科学を活用し、人々の健康増進とより幸せな生活を実現する革新的なアイデアや製品、サービスを提供します。250社余りのJ&J傘下企業で働く約12万7100人の社員が、ヘルスケア分野のパートナーと協力し、世界で毎日10億人余りの命に触れています。

世界のグローバルパブリックヘルスに対する当社のコミットメント
130年間に渡り、J&Jは社会的弱者を含む世界中の人々、家族、そして地域社会の健康増進に取り組んでいます。現在、活気と意志力に溢れる当社の献身的な社員が、事業的洞察力と協力の精神を結集し、最も複雑を極めるグローバルヘルスの問題の解決に貢献すべく取り組んでいます。当社が擁する共同体の幅広さや規模を生かし、また社員の情熱と決意のもと、当社は医療の推進、そして全ての人々の暮らしに良い影響をもたらすことに努めています。

Crucell社について
Crucell Holland B.V.社はJ&Jの医薬品部門であるヤンセンの一つで、感染症の予防や治療に使われるワクチンの研究開発、製造を中心としています。Crucell社には幅広い開発パイプラインがあり、製品候補は独自のAdVac(R)やPER.C6(R)生産技術を基本としているものがあります。

ヤンセンについて
ジョンソン・エンド・ジョンソングループの医薬品部門であるヤンセンは、病気のない世界を実現するために日々努力しています。今までにない、より良い方法で疾患を予防・撲滅・治療・治癒し、人々の命に貢献することが私たちの望みです。そして、常に患者さんのことを考え、最も有望なサイエンスを追及しています。私たちヤンセンは、人々の希望と命を明日につなぐため、世界中とコラボレーションしています。さらに詳しい情報はwww.janssen.com/japanをご覧ください。

オックスフォードワクチングループについて
オックスフォードワクチングループは、オックスフォード大学臨床ワクチン学熱帯医学センターを拠点として学際的臨床試験および疫学研究を担う独立組織です。当グループは、成人と子供の感染症予防のための新規および改良ワクチンの開発を目標に取り組んでいます。現在は、水痘、チフス菌、インフルエンザ、RSウイルスおよびエボラをはじめとした疾病に対するワクチンの研究を行っています。www.ovg.ox.ac.uk

ロンドン大学衛生・熱帯医学部門について
ロンドン大学衛生・熱帯医学部門は、100ヶ国以上において4,000名以上の学生と1,000名の職員を擁する世界有数の研究センターであり大学院教育の拠点です。当機関は、英国で最も評価の高い研究機関の一つであり、また公衆衛生およびグローバルヘルスの分野において世界有数の教育機関の一つとされています。当機関は、英国および世界中の人々の健康を増進し、健康格差を縮めることを目標に、公衆衛生およびグローバルヘルスの研究、教育ならびに政策や実践面へ知識の還元において優れた成果を得るためにパートナーシップを結び、取り組みを実施しています。www.lshtm.ac.uk

フランス国立保健医学研究所(Inserm)について
1964年に創設されたフランス国立保健医学研究所(Inserm)は、フランス国民教育・高等教育・研究省および社会問題・保健・女性の権利省の共同監督下にある国立の科学技術機関です。欧州連合における生物医学研究の一流学術研究機関として、Insermはフランス全体で300以上の研究所を支援しており、合計で約13,000名の研究者、エンジニア、研究技師および事務職員から成るチームを擁しています。当研究所の科学者は、最も一般的な疾病から最も希少な疾病に至るまで、生物学、医学、公衆衛生の研究における取り組みを通じてあらゆる疾病を研究することを目標に掲げています。

欧州委員会とエボラ研究について
エボラ出血熱との闘いにおける産業界との連携:欧州委員会と欧州の製薬産業との間におけるパートナーシップである革新的医薬品イニシアティブ(IMI)により、エボラおよび関連ウイルスに関して2億1,500万ユーロの研究資金が集められました。そのうち1億1,400万ユーロが「ホライズン2020」から、また1億100万ユーロが当プロジェクトに携わる製薬会社から寄せられたものです。エボラ出血熱の新規ワクチンの臨床開発、ワクチンの製造および迅速な診断検査の開発を含め、当プロジェクトの取り組みは2015年1月より開始されています。IMI2のエボラ+プログラムにおいては引き続き、エボラ出血熱に関する研究体制をさらに強化しています。また、欧州委員会はエボラ出血熱に関するその他多くの重要な研究活動に着手しています。
# # #
[1] WHO Ebola Situation Reports. Accessed March 31, 2016. http://apps.who.int/ebola/ebola-situation-reports
[2] WHO Update from the Field. Liberia and Guinea step up coordination to stem new cases of Ebola. April 7, 2016. Accessed April 11, 2016.http://who.int/csr/disease/ebola/liberia-guinea-flareups-update/en/
[3] Wellcome Trust. Plotting the Course of Ebola Vaccines: Challenges and Unanswered Questions. March 2016.
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