オーストラリア当局が現金を払って難民を送り返す
[15/10/30]
提供元:PRTIMES
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船員・乗員の証言で明らかになる犯罪行為
今年5月、難民65人を乗せた船を追い返すためにオーストラリアの海上国境警備が現金を支払っていたという疑惑が、一部のニュースで報道された。アムネスティは問題の船の乗務員や乗船していた難民、船が舞い戻ったインドネシア警察に話を聞き、この疑念を裏付ける複数の証言を得た。調査結果からは、オーストラリアが船員に金銭を渡して人の密輸を指示したという越境犯罪を犯していたことが浮き彫りになった。アムネスティは調査の報告書を、10月28日に発表した。
[画像: http://prtimes.jp/i/5141/91/resize/d5141-91-942796-1.jpg ]
船はインドネシァから5月5日に出航した。乗っていたのは船員6名、乗員65名で、スリランカ、バングラデシュ、ビルマ(ミャンマー)の出身者だった。その中には、妊婦1人と7歳の子ども2人、1歳の子どもがいた。保護を求めてニュージーランドに渡ろうとしていたそうだ。
ところが船は途中でオーストラリアの海軍と海上警備隊に止められ、インドネシアに送り返された。船員によればその際、32,000米ドルを渡されて、難民をインドネシアに連れて行くように指示された。上陸場所を示す地図まで渡されたという。
オーストラリアはこの数カ月間、難民を拒否するために金銭を支払ったことを繰り返し否定し、遭難している船を救助しただけだと主張している。
しかし、アムネスティが庇護希望者や船員、インドネシア警察への聞き取りから得た証言は、政府の言い分とはまったく異なる。
アムネスティは8月、当時の船員6人と成人乗員62人全員に聞き取りをした。船員は人の密輸容疑でインドネシア警察に拘束されていた。庇護希望者は入管で収容されていた。アムネスティの知る限り、2グループの接触は別れてから一度もない。しかし双方とも同じ主旨の証言をしている。船員は船には何の問題もなく救難信号も出していないと言い、庇護希望者の話も同様だった。船員はオーストラリアの役人から金をもらったと言い、庇護希望者も受け渡しを目撃したそうだ。船員を逮捕したインドネシア警察も、証言と一致する額の現金を所持していたと話す。100米ドルのピン札だったという。
ほとんどの庇護希望者は、入浴できると言われて海上警備の船に乗り移った。そしてそこで1週間ほど小部屋に閉じ込められた。自分の持っていた薬を飲ませてもらえなかった人もいた。当局はその後、乗員を2隻の小さな船に乗せ、船員にインドネシアのロテ島に行くよう指示した。ところが1隻の船が途中で燃料切れになり、庇護希望者たちは海上でもう1隻の船に乗り移るという、危険を冒す羽目に陥った。過剰に人が乗った船を、船員はなんとかロテ島近くの島まで航行させた。船はそこで座礁し、地元の人たちに救助された。
当局が介入して難民の行き先を変えさせ、燃料不足の船に乗せて難民の命を危険にさらしたのだ。それだけではない。当局の行為は、いわゆる難民の送り返し、押し戻しに相当する。
また、7月に追い返された船の船員にも金銭を渡していた疑いが浮上している。
人の密輸は通常、国ではなく個人が関わる行為である。しかし今回は、オーストラリア当局が関与しただけでなく、具体的な指示まで与えていた。
これらのケースでは、海上警備隊と海軍が、大勢の難民に装備が不十分な船で危険な移動を強要した。庇護希望者への対応に関して、オーストラリアは無法国と化しつつあると言えよう。
今年5月、難民65人を乗せた船を追い返すためにオーストラリアの海上国境警備が現金を支払っていたという疑惑が、一部のニュースで報道された。アムネスティは問題の船の乗務員や乗船していた難民、船が舞い戻ったインドネシア警察に話を聞き、この疑念を裏付ける複数の証言を得た。調査結果からは、オーストラリアが船員に金銭を渡して人の密輸を指示したという越境犯罪を犯していたことが浮き彫りになった。アムネスティは調査の報告書を、10月28日に発表した。
[画像: http://prtimes.jp/i/5141/91/resize/d5141-91-942796-1.jpg ]
船はインドネシァから5月5日に出航した。乗っていたのは船員6名、乗員65名で、スリランカ、バングラデシュ、ビルマ(ミャンマー)の出身者だった。その中には、妊婦1人と7歳の子ども2人、1歳の子どもがいた。保護を求めてニュージーランドに渡ろうとしていたそうだ。
ところが船は途中でオーストラリアの海軍と海上警備隊に止められ、インドネシアに送り返された。船員によればその際、32,000米ドルを渡されて、難民をインドネシアに連れて行くように指示された。上陸場所を示す地図まで渡されたという。
オーストラリアはこの数カ月間、難民を拒否するために金銭を支払ったことを繰り返し否定し、遭難している船を救助しただけだと主張している。
しかし、アムネスティが庇護希望者や船員、インドネシア警察への聞き取りから得た証言は、政府の言い分とはまったく異なる。
アムネスティは8月、当時の船員6人と成人乗員62人全員に聞き取りをした。船員は人の密輸容疑でインドネシア警察に拘束されていた。庇護希望者は入管で収容されていた。アムネスティの知る限り、2グループの接触は別れてから一度もない。しかし双方とも同じ主旨の証言をしている。船員は船には何の問題もなく救難信号も出していないと言い、庇護希望者の話も同様だった。船員はオーストラリアの役人から金をもらったと言い、庇護希望者も受け渡しを目撃したそうだ。船員を逮捕したインドネシア警察も、証言と一致する額の現金を所持していたと話す。100米ドルのピン札だったという。
ほとんどの庇護希望者は、入浴できると言われて海上警備の船に乗り移った。そしてそこで1週間ほど小部屋に閉じ込められた。自分の持っていた薬を飲ませてもらえなかった人もいた。当局はその後、乗員を2隻の小さな船に乗せ、船員にインドネシアのロテ島に行くよう指示した。ところが1隻の船が途中で燃料切れになり、庇護希望者たちは海上でもう1隻の船に乗り移るという、危険を冒す羽目に陥った。過剰に人が乗った船を、船員はなんとかロテ島近くの島まで航行させた。船はそこで座礁し、地元の人たちに救助された。
当局が介入して難民の行き先を変えさせ、燃料不足の船に乗せて難民の命を危険にさらしたのだ。それだけではない。当局の行為は、いわゆる難民の送り返し、押し戻しに相当する。
また、7月に追い返された船の船員にも金銭を渡していた疑いが浮上している。
人の密輸は通常、国ではなく個人が関わる行為である。しかし今回は、オーストラリア当局が関与しただけでなく、具体的な指示まで与えていた。
これらのケースでは、海上警備隊と海軍が、大勢の難民に装備が不十分な船で危険な移動を強要した。庇護希望者への対応に関して、オーストラリアは無法国と化しつつあると言えよう。