世界ワクチン首脳会議:関係者は団結して新ワクチン価格の引き下げを
[13/04/23]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
「世界予防接種週間(4月20〜28日、主宰:世界保健機関)」にあわせ、「世界ワクチン首脳会議(The Global Vaccine Summit、主催:潘基文・国連事務総長、ビル・ゲイツ氏、ムハンマド・アラブ首長国連邦アブダビ首長国皇太子)」がアブダビで24日から開催される。国境なき医師団(MSF)は、新ワクチンの高い価格が、開発途上国による自国の子どもたちへの予防接種を困難にすると警鐘を鳴らし、GAVIアライアンス(ワクチン予防接種世界同盟)と製薬企業にワクチン価格の値下げ拡大を呼び掛けている。
________________________________________________________________________________
<高価すぎる新ワクチン>
「子ども1人あたりの予防接種費用は、この10年で2700%も値上がりしているのです。MSFが医療援助活動している国々は、いずれワクチン購入のための資金援助を打ち切られ、どの病気から子どもの命を守るかという選択的な判断を余儀なくされるでしょう」。MSFで必須医薬品キャンペーンのエグゼクティブ・ディレクターを務めるマニカ・バラセガラム医師はそう話す。
今後10年間の予防接種を見据えた世界的な運動「ワクチンの10年」計画には、570億米ドル(約5兆6900億円)が投じられ、その50%以上はワクチン購入の費用に充てられると試算されている。2001年時点では、6つの病気を対象とした子ども1人当たりの予防接種費用は1.37米ドル(約137円)だったのに対し、現在の予防接種パッケージには11種類のワクチンが含まれ、その費用は38.80米ドル(約3870円)にまで上昇している。これは主に、肺炎球菌とロタウイルスに対する2種の高価な新しいワクチンが加えられたことによるもので、費用総額の75%を占めている。そして、これらのワクチンは、ファイザー社、グラクソ・スミスクライン社、メルク社によってのみ製造されている。新ワクチンは、旧来のワクチンよりも非常に高価で、はしかワクチンは子ども1人あたり0.25米ドル(約25円)なのに対し、肺炎球菌ワクチンは最低でも21米ドル(約2100円)である。
<価格の低下、健全な市場競争で>
MSFは毎年、途上国で何百万人もの人びとに予防接種を行い、新ワクチンも積極的に導入している。しかしこれまでのところ、製薬企業と、資金拠出国の公的資金を主な財源とするGAVIアライアンスとの交渉は、子どもの利益につながる新ワクチン価格の値下げ拡大に結び付いてない。ワクチンの製造コストに関する透明性の欠如と、低所得国が長期的に負担できる価格設定よりも企業利益を優先させる姿勢が、問題の根幹にある。
GAVIアライアンスは先ごろ、「5価ワクチン」の価格引き下げに関する新たな取り決めを発表した。これはGAVIアライアンスの役割を示す好例であり、複数のワクチンメーカーが市場で健全な競争を行っている場合は特に効果を発揮する。今後は、前述の最も高価な2種の新ワクチンを巡る交渉を進めることがGAVIアライアンスの急務であり、製薬企業はその交渉の座に着き、価格面でよりよい取り決めを提案することが求められる。
MSF必須医薬品キャンペーン予防接種計画顧問、ケイト・エルダーは、「先進国で設定された法外な価格を基準にすれば、90%の値下げをしたとしても、依然として高価なため貧しい国は長期にわたる購入ができません。目標とするのは、公的資金でより多くの子どもに予防接種を受けさせることですが、そのためにはワクチン価格と製造コストの差を大幅に縮める必要があります。GAVIアライアンスは、より安価なメーカーの市場参加を促し、本格的な市場競争によってワクチン価格の低下を目指す必要があります。これは、むやみに高価な新ワクチンの場合、特に重要となっています」と訴える。
<人道援助に「GAVI価格」の適用を>
MSFは、NGOや人道援助団体が、GAVIアライアンスの交渉によって引き下げされた価格でワクチンを購入できる権利を与えられていないことについても憂慮している。MSFは、難民やHIV陽性の子どもたち、また、標準的な予防接種の対象から漏れ、適齢期を過ぎてしまった子どもたちなどを対象に接種を行うことが多い。しかし、これまでのところ、GAVIアライアンスの交渉で設定された最安値の利用を認められたことはなく、肺炎球菌ワクチンの入手についても、グラクソ・スミスクライン社およびファイザー社との4年にわたる長い交渉を経るほかなかった。両社はMSFに寄付を申し出たものの、これも、MSFにとっては持続的かつ長期的な解決策とはいえない。MSFの活動は現地のニーズに迅速に応じる必要があり、接種対象となる人びとや地域も増やしていきたい考えがあるからだ。
バラセガラム医師は、「MSFは、引き下げられた価格設定の利用を人道援助団体にも開放するようGAVIアライアンスに求めます。危機的状況に置かれた人びとへのワクチン接種には、人道援助団体が適任であることが少なくないのです」と述べている。
________________________________________________________________________________
<高価すぎる新ワクチン>
「子ども1人あたりの予防接種費用は、この10年で2700%も値上がりしているのです。MSFが医療援助活動している国々は、いずれワクチン購入のための資金援助を打ち切られ、どの病気から子どもの命を守るかという選択的な判断を余儀なくされるでしょう」。MSFで必須医薬品キャンペーンのエグゼクティブ・ディレクターを務めるマニカ・バラセガラム医師はそう話す。
今後10年間の予防接種を見据えた世界的な運動「ワクチンの10年」計画には、570億米ドル(約5兆6900億円)が投じられ、その50%以上はワクチン購入の費用に充てられると試算されている。2001年時点では、6つの病気を対象とした子ども1人当たりの予防接種費用は1.37米ドル(約137円)だったのに対し、現在の予防接種パッケージには11種類のワクチンが含まれ、その費用は38.80米ドル(約3870円)にまで上昇している。これは主に、肺炎球菌とロタウイルスに対する2種の高価な新しいワクチンが加えられたことによるもので、費用総額の75%を占めている。そして、これらのワクチンは、ファイザー社、グラクソ・スミスクライン社、メルク社によってのみ製造されている。新ワクチンは、旧来のワクチンよりも非常に高価で、はしかワクチンは子ども1人あたり0.25米ドル(約25円)なのに対し、肺炎球菌ワクチンは最低でも21米ドル(約2100円)である。
<価格の低下、健全な市場競争で>
MSFは毎年、途上国で何百万人もの人びとに予防接種を行い、新ワクチンも積極的に導入している。しかしこれまでのところ、製薬企業と、資金拠出国の公的資金を主な財源とするGAVIアライアンスとの交渉は、子どもの利益につながる新ワクチン価格の値下げ拡大に結び付いてない。ワクチンの製造コストに関する透明性の欠如と、低所得国が長期的に負担できる価格設定よりも企業利益を優先させる姿勢が、問題の根幹にある。
GAVIアライアンスは先ごろ、「5価ワクチン」の価格引き下げに関する新たな取り決めを発表した。これはGAVIアライアンスの役割を示す好例であり、複数のワクチンメーカーが市場で健全な競争を行っている場合は特に効果を発揮する。今後は、前述の最も高価な2種の新ワクチンを巡る交渉を進めることがGAVIアライアンスの急務であり、製薬企業はその交渉の座に着き、価格面でよりよい取り決めを提案することが求められる。
MSF必須医薬品キャンペーン予防接種計画顧問、ケイト・エルダーは、「先進国で設定された法外な価格を基準にすれば、90%の値下げをしたとしても、依然として高価なため貧しい国は長期にわたる購入ができません。目標とするのは、公的資金でより多くの子どもに予防接種を受けさせることですが、そのためにはワクチン価格と製造コストの差を大幅に縮める必要があります。GAVIアライアンスは、より安価なメーカーの市場参加を促し、本格的な市場競争によってワクチン価格の低下を目指す必要があります。これは、むやみに高価な新ワクチンの場合、特に重要となっています」と訴える。
<人道援助に「GAVI価格」の適用を>
MSFは、NGOや人道援助団体が、GAVIアライアンスの交渉によって引き下げされた価格でワクチンを購入できる権利を与えられていないことについても憂慮している。MSFは、難民やHIV陽性の子どもたち、また、標準的な予防接種の対象から漏れ、適齢期を過ぎてしまった子どもたちなどを対象に接種を行うことが多い。しかし、これまでのところ、GAVIアライアンスの交渉で設定された最安値の利用を認められたことはなく、肺炎球菌ワクチンの入手についても、グラクソ・スミスクライン社およびファイザー社との4年にわたる長い交渉を経るほかなかった。両社はMSFに寄付を申し出たものの、これも、MSFにとっては持続的かつ長期的な解決策とはいえない。MSFの活動は現地のニーズに迅速に応じる必要があり、接種対象となる人びとや地域も増やしていきたい考えがあるからだ。
バラセガラム医師は、「MSFは、引き下げられた価格設定の利用を人道援助団体にも開放するようGAVIアライアンスに求めます。危機的状況に置かれた人びとへのワクチン接種には、人道援助団体が適任であることが少なくないのです」と述べている。