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STとDebiotech、米国糖尿病学会にて使い捨てタイプのインシュリン・ポンプ「Jewel Pump」を発表

目立たない小型ポンプが、
患者の日常生活を制限することなく連続的なインシュリン注入を実現



*2010年6月23日にローザンヌおよびジュネーブ(スイス)で発表された
プレスリリースの抄訳です。

Debiotech(デビオテック)とSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、
以下ST)は、米国糖尿病学会の第70回科学セッション(6月25日〜29日、
フロリダ州オーランド)におけるDebiotechブースに、新しいインシュリン・
ポンプ「Jewel Pump」を展示することを発表しました。糖尿病治療に使用する
最先端のマイクロ流体MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)技術の代表で
あるこの小型装置は、皮膚に貼り付ける使い捨て型のパッチ上に実装され、
連続的にインシュリンを注入できるため、治療効率と糖尿病患者の生活の質の
大幅な改善を実現します。この装置は、現在FDA(米国食品医薬品局)の
認可待ちです。

この使い捨てタイプの超小型インシュリン・ポンプは、Debiotechのインシュリン
注入システムに関する専門技術と、シリコン・ベースのマイクロ流体デバイスの
量産に関するSTの強みを組み合わせることによって実現しました。現在入手可能な
インシュリン・ポンプより小型・薄型・軽量な「Jewel Pump」は、ほとんど
目立たないパッチを皮膚に貼り付け、6日間の治療に適した分量(4.5ml)の
インシュリン注入が可能です。マイクロ流体技術は、ポンプの故障を検知して
患者に対する安全性を高める一方で、インシュリンの投薬量をより正確に管理し、
膵臓からの自然分泌状態をそっくり模倣することができます。量産可能な半導体
プロセス・テクノロジーを使って製造されるMEMSベースの「Jewel Pump」は、
コスト面でもはるかに安価なため、患者や医療機関は現在のポンプ・
ソリューションで必要とされる多額の先行投資を行う必要がなくなります。

Debiotechの社長兼CEOであるFrederic Neftel医学博士は、次の様にコメントして
います。「STとの協力は、この非常に画期的な糖尿病治療向けMEMS技術の商品化に
大きく貢献しました。当社は、患者に対する安全性を高めて全体的な生活の質を
改善すると共に、最高レベルの信頼性と性能を兼ね備えたインシュリン投与に
おける飛躍的な進歩を実証することができます。」

インシュリン・ポンプ治療、つまりインシュリン持続皮下注入法(CSII)は、
1日に複数回行う必要があるインシュリン注射に代わる治療方法として期待が
高まっています。CSIIでは、リザーバ(輸液タンク)が取り付けられたプログラム
可能なポンプを患者に装着し、患者ごとに設定された特定のプログラムに従って、
リザーバからインシュリンを皮下細胞に1日中必要に応じて注入します。

STのグループ・バイスプレジデント 兼 MEMS・センサ・高性能アナログ事業部
ジェネラル・マネージャであるBenedetto Vignaは、次の様にコメントしています。
「Debiotechと協力することで、同社の先見的なコンセプトを取り入れ、高性能
かつ手頃な価格の製品の実現に成功したことは、半導体メーカーがヘルスケア・
生活分野において果たせる大きな役割を証明するものです。世界をリードする
MEMSの設計および製造能力を有する当社は、Debiotech等のパートナーと協力し、
世界中の人々の健康と生活を改善することができます。」

Debiotechは、米国糖尿病学会の科学セッションにおいて、市販用の「Jewel Pump」
のデモを行います。またSTの技術者が糖尿病治療に飛躍的な進歩をもたらした
MEMSマイクロ流体コンポーネントについて説明を行います。

Debiotechについて
Debiotechは、20年間にわたり、組込み型および外部型の薬物投与システムの分野
において、重度疾病治療(糖尿病、腎不全、心臓血管疾患、癌など)のための
画期的な医療装置の研究開発を専門としています。同社の製品は、マイクロ
メカニクス、ナノテクノロジーおよび新しい技術をベースとしています。
Debiotechは医療機器および薬品分野の大手企業多数と独占的ライセンス契約を
結んでおり、全世界で500件以上の特許を取得しています。Debiotechの詳細に
ついては、 http://www.debiotech.com をご覧ください。

STマイクロエレクトロニクスについて
STマイクロエレクトロニクスは、多種多様な電子機器向けに革新的な半導体
ソリューションを提供する世界的な総合半導体メーカーです。STは、高度な技術力
と設計ノウハウ、そして幅広いIP(Intellectual Property)ポートフォリオ、
戦略的パートナーシップ、大規模な製造力を駆使することにより、マルチメディア・
コンバージェンスとパワー・アプリケーションにおいて他社の追随を許さない
リーダーとなることを目指しています。2009年の売上は85.1億ドルでした。
さらに詳しい情報はSTのホームページをご覧ください。
ST日本法人:http://www.st-japan.co.jp
STグループ(英語):http://www.st.com

注記

・MEMS(Micro-Electro-Mechanical System)技術は、シリコンの電気的特性と
機械的特性を活用します。従来のシリコン・チップでは、電子がシリコン内を
移動しますがシリコン自体は動きません。しかし、シリコンには、鉄より強度が
高いにもかかわらず弾性も大きいといういくつかの重要な機械的特性も持って
います。シリコン・トランジスタの製造に使用される技術は、カンチレバー /
ばね / 歯車など、物理的に動く微小シリコン構造物の製造にも適用することが
できます。そのため、手頃な価格のコンピュータ、通信機器、および自動車向け
電子機器を製造するのとほとんど同じ半導体製造技術を使用して、非常に小型化
されたセンサやアクチュエータを製造できます。

・MEMS (Micro-Electro-Mechanical Systems )技術は、シリコンの機械特性と
電子特性を活用し、機械要素部品や電子回路をシリコン上に集積化する技術です。
一般的な半導体チップでは、電子がシリコンの中を移動します。一方で、シリコン
は、鋼鉄より高い強度と弾力性を持つなど、複数の優れた機械特性を有しています。
従来、シリコン上にトランジスタを形成するために利用してきた微細加工技術を、
片持ち梁(カンチレバー)構造、バネ構造、またはギア構造)など物理的な動きが
可能な(可動構造)の超小型機械構造を形成するために利用することができます。
低価格なコンピュータ、通信端末、車載用製品に搭載される半導体製造技術と
類似した技術を活用することで、超小型センサやアクティベータを実現します。

・全世界でほぼ2億8000万人が糖尿病を患っており、人口増加、高齢化、および
生活様式の変化にともなって、今後10年間で3億5000万人に増えるものと予想
されています。適切な治療を行わない場合、糖尿病は心臓血管疾患、腎不全、失明、
神経障害、そして最後には死につながります。糖尿病は、ほとんどの先進国で主な
死因の1つになっています。糖尿病には2種類のタイプがあります。多くが青少年期
に発症する糖尿病1型は、糖尿病患者人口の5%から10%に相当し、膵臓内のランゲル
ハンス島のインシュリンを分泌するβ細胞の欠如により、インシュリン欠損症を
引き起こす特徴があります。糖尿病2型(成人発症の糖尿病)は、糖尿病患者
人口の90%から95%に相当し、多くが中年期に発症します。インシュリン抵抗性
もしくはインシュリン感受性低下によるインシュリンの分泌低下が特徴です。
先進国では、肥満人口の増加ならびに高齢化に伴い、糖尿病1型患者よりも2型
患者が急速に増加しています。

・現在米国では、約50万人の糖尿病患者がインシュリン・ポンプを使用しており、
糖尿病1型患者の約25%に相当します。今後5年間のポンプ市場の年間平均成長率は
約13%と予測されており、米国では2015年までに1型患者の約40%がポンプ治療を
受けると予想されています。また、2型患者の3分の1がポンプ治療を受ける
可能性があると推定されています。

・Debiotechとの協業は、STと医療分野の様々な専門機関が推進している複数の
パートナーシップの1例です。STは、Sensimed(緑内障診断)、Mayo Clinic(心臓
遠隔監視用プラットフォーム)、およびVeredus Laboratories(分子診断キット)
ともパートナーシップを結んでいます。

また、本プレスリリースは以下のURLでもご覧いただけます。
http://www.st-japan.co.jp/data/press/t3037d.html

◆ Debiotechへのお問合せ先
Laurent-Dominique Piveteau
Business Development Director
Debiotech
+41 21 623 60 44
ld.piveteau@debiotech.com

◆ お客様お問い合わせ先
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
STマイクロエレクトロニクス(株)
APMグループ
TEL:03-5783-8250 FAX:03-5783-8216
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