国際NGOセーブ・ザ・チルドレン 報告書『子どもに対する戦争:武力紛争下の子どもたちへの暴力を終らせる』を発表-世界では6人に1人の子どもが紛争の影響を受ける地域に暮らす-
[18/02/15]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
セーブ・ザ・チルドレンは、2月15日に『子どもに対する戦争-武力紛争下の子どもたちへの暴力を終らせる(The War on Children: Time to End Violations Against Children in Armed Conflict)*』と題する報告書を発表しました。セーブ・ザ・チルドレンとオスロ平和研究所(PRIO)が実施した調査をもとに執筆された本報告書は、2月16日から18日にかけて開催されるミュンヘン安全保障会議に先立って発表され、現在、かつてない人数の子どもたち、全世界で少なくとも 3億5,700万人が、紛争の影響を受ける地域に暮らしていることを明らかにしています。この人数は、1990年代初頭から7割以上増加しており、世界で6人に1人の子どもが、紛争の影響を受ける地域に暮らしていることを意味します。
[画像: https://prtimes.jp/i/5097/145/resize/d5097-145-294357-0.jpg ]
また、3億5,700万人の半数近くが、高強度紛争地域[1]、すなわち、国連が定める6つの重大な暴力である、1)子どもの殺害と傷害行為、2)子どもの軍への勧誘と利用、3)子どもに対する性的暴力、4)子どもの誘拐、5)学校や病院に対する攻撃、6)子どもに対する人道支援アクセス拒否の影響を受けやすい地域にいます。報告書は、紛争下に置かれている子どもおよびジェンダーに特化したデータが不完全であり、モニタリングを強化してデータを補完していくことが求められる一方、いくつかの傾向は明らかで、しかも、深刻に憂慮すべき状況です。
2010年以降に国連が検証した、殺害された、あるいは重傷を負わされた子どもの人数は、約3倍になっており、人道支援のアクセス拒否の件数は、150倍以上と急増しています。また、レイプと性的暴力は、蔓延した偏見により、実際よりはるかに少ない数しか報告されていないといえますが、これらの問題は広範囲に広がり、多数の少年・少女が危険に晒されていることは明らかです。
シリアや南スーダン、イエメン、アフガニスタンといった国々で拡大しつつある戦争のルールを無視した無差別の暴力が、これらの状況に拍車をかけていると言えます。報告書「子どもに対する戦争」は、悪化する現在の状況は、都市部で展開される紛争の増大と、人口密集地域での爆発兵器使用の増加、子どもや民間人が紛争の前線に立たされる近代戦の長期化と複雑性の結果であると考えています。
くわえて、報告書は以下を明らかにしています。
・自爆攻撃における子どもの使用、学校や病院への直接的な攻撃、クラスター爆弾、たる爆弾、簡易小型爆弾(IED)などの無差別攻撃型の武器利用の拡大など、残忍な方法が用いられる傾向が高まっている。
・シリア、アフガニスタン、ソマリアは、2016年時点で、子どもにとって最も危険な紛争国であった[2]。
・中東地域に暮らす子どもたちは、紛争地域に住む可能性が最も高くなる。この地域の子どもの5人に2人は、紛争地域に暮らし、世界で最も高い割合である。2番目は、アフリカで、5人に1人の子どもが紛争の影響を受けている。また、絶対数では、紛争地域に居住する子どもの人数はアジア地域が世界で最も多い。
コンゴ民主共和国出身のヤニックさん(15歳)は、武装グループに、けがをすることはないという偽の約束をされ、勧誘されたときの経験を話してくれました。「武装グループは、新兵の洗礼のために私を他の村に連れて行きました。洗礼で、神秘的な力と戦う強さが得られると言われました。恐ろしかったです。逃げ出したかったです。武装グループのメンバーは、戦闘中は、恐れることは何もないと言いました。たとえ兵士に撃たれたり、負傷させられたりしても、何も起こらない。私たちは死なないとも言われました。戦いのための棒と赤いヘッドバンド(はちまき)をくれました。
私たちは、一列の隊列を組んで、棒で武装して戦闘に向かいました。兵士たちは、私たちを見つけると、すぐに発砲してきました。私は、目の前で人々が銃撃で殺されるのを見ていました。弾は、当たらないと聞かされていたので、私たちは、最初は立ち止まり兵士が銃を撃ってくるのを見ていました。しかし、私たちは、友人たちが死んでいくのを見て、逃げ出しました」
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長ヘレ・トーニング=シュミットは、「驚くべき人数の子どもたちが紛争地域で成長し、想像を絶する残酷な形態の暴力に晒されていることがこの報告書からわかりました。多くの子どもたちが、人間として決して経験すべきでない、性的暴力や、自爆攻撃に利用されるといったことを経験しています。家や学校、公園は、戦場となっています。
子どもに対するこのような犯罪は、想像しうる限り最も残酷な性質の虐待であり、国際法の重大な違反行為です。当事者たちに責任を取らせるために世界のリーダーたちは、さらに多くの措置をとるべきです。紛争下の子どもたちを保護できないことは、子どもたちからのみならず、その国から、ひいては世界からより良い未来を奪っていることになります。
私たちは、今以上に多くの子どもたちが学校の机や病院のベッドの上で亡くなるのを、緊急支援を拒否されるのを、武装グループに勧誘されるのを見過ごすのか、あるいは、法を犯しても裁かれないという現状に立ち向かい、子どもたちに対する戦争を永遠に終わらせるのかの、厳しい選択を迫られています」と訴えます。
セーブ・ザ・チルドレンは、紛争下の子どもたちの生活に影響を与える国、軍およびすべての当事者に対し、下記の4つの重要なテーマについて、具体的な行動を取ることを強く求めます。
・子どもを危険な状況下に置くことの防止
紛争予防、平和維持、兵士に対する子どもの保護に関する訓練への投資が必要である。
・国際法、国際基準の遵守
すべての国家と当事者は、国際法の下での義務を遵守すべきであり、また、学校保護宣言、パリ・コミットメントおよびパリ原則を支持すること[3]。そして、国家や武装グループは、人口密集地域での爆発兵器を使用しないことを表明するべきである。
・違反者に対する処罰
民間人の犠牲と子どもの死傷者を適切に追跡するための強力な監視と報告の仕組みが必要であり、また、紛争下の子どもの権利の侵害に対処するためのより強い司法制度が必要である。
・被害を受けた子どもたちの人生の再建
子どもたちを中心にした復興の取り組みと、子どもたちへ適切なメンタルヘルスケアの提供、地域のメンタルヘルス従事者やソーシャルワーカーの訓練、障害のある子どもの援助を含む、紛争の影響を受けた子どもたちの支援に投資する必要がある。また、 紛争によって被害を受けた子どもたちの生活再建のために財政的支援も利用できるようにしなければならない。
セーブ・ザ・チルドレンは、世界中の指導者に対し、子どもたちを武力紛争の恐怖から保護することを求める署名を実施しています。
◆日本からの署名はこちらから(日本語) https://www.savechildren.or.jp/petition/peti01.php?ptid=woc
◆その他各国からの署名はこちらから(英語) https://act.savethechildren.net/international/waronchildren/petition/
*報告書全文(英語)はこちら https://www.savethechildren.net/waronchildren/pdf/waronchildren.pdf
報告書の概要(日本語)はこちら http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/2660/1518663507613.pdf
[1] 戦闘に関連した年間死亡者数が1,000人を超える紛争
[2] 包括的なデータが入手できる最新の年
[3] 軍隊または武装集団に関係する児童に関するパリ原則および指針は、2007年に採択された。武装勢力や集団による徴兵や徴用を予防、子どもの保護、解放された子どもたちの社会復帰支援の活動実績と世界的な人道知識を統合している。 2015年に採択された学校保護宣言は、国家に武力紛争における教育の保護と継続に関する広範な政治的支援を表明することを求め、国家が武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドラインを支持し実行するための手段である。 現在までに72ヶ国がこの宣言に署名している。
<セーブ・ザ・チルドレン概要>
セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもにとって、生きる、育つ、守られる、参加する、「子どもの権利」が実現されている世界を目指して活動する子ども支援の国際 NGO です。1919 年に英国で設立され、現在、日本を含む 29 の国と地域の独立したメンバーが連携し、約 120 ヶ国で子ども支援活動を展開しています。
http://www.savechildren.or.jp/
[画像: https://prtimes.jp/i/5097/145/resize/d5097-145-294357-0.jpg ]
また、3億5,700万人の半数近くが、高強度紛争地域[1]、すなわち、国連が定める6つの重大な暴力である、1)子どもの殺害と傷害行為、2)子どもの軍への勧誘と利用、3)子どもに対する性的暴力、4)子どもの誘拐、5)学校や病院に対する攻撃、6)子どもに対する人道支援アクセス拒否の影響を受けやすい地域にいます。報告書は、紛争下に置かれている子どもおよびジェンダーに特化したデータが不完全であり、モニタリングを強化してデータを補完していくことが求められる一方、いくつかの傾向は明らかで、しかも、深刻に憂慮すべき状況です。
2010年以降に国連が検証した、殺害された、あるいは重傷を負わされた子どもの人数は、約3倍になっており、人道支援のアクセス拒否の件数は、150倍以上と急増しています。また、レイプと性的暴力は、蔓延した偏見により、実際よりはるかに少ない数しか報告されていないといえますが、これらの問題は広範囲に広がり、多数の少年・少女が危険に晒されていることは明らかです。
シリアや南スーダン、イエメン、アフガニスタンといった国々で拡大しつつある戦争のルールを無視した無差別の暴力が、これらの状況に拍車をかけていると言えます。報告書「子どもに対する戦争」は、悪化する現在の状況は、都市部で展開される紛争の増大と、人口密集地域での爆発兵器使用の増加、子どもや民間人が紛争の前線に立たされる近代戦の長期化と複雑性の結果であると考えています。
くわえて、報告書は以下を明らかにしています。
・自爆攻撃における子どもの使用、学校や病院への直接的な攻撃、クラスター爆弾、たる爆弾、簡易小型爆弾(IED)などの無差別攻撃型の武器利用の拡大など、残忍な方法が用いられる傾向が高まっている。
・シリア、アフガニスタン、ソマリアは、2016年時点で、子どもにとって最も危険な紛争国であった[2]。
・中東地域に暮らす子どもたちは、紛争地域に住む可能性が最も高くなる。この地域の子どもの5人に2人は、紛争地域に暮らし、世界で最も高い割合である。2番目は、アフリカで、5人に1人の子どもが紛争の影響を受けている。また、絶対数では、紛争地域に居住する子どもの人数はアジア地域が世界で最も多い。
コンゴ民主共和国出身のヤニックさん(15歳)は、武装グループに、けがをすることはないという偽の約束をされ、勧誘されたときの経験を話してくれました。「武装グループは、新兵の洗礼のために私を他の村に連れて行きました。洗礼で、神秘的な力と戦う強さが得られると言われました。恐ろしかったです。逃げ出したかったです。武装グループのメンバーは、戦闘中は、恐れることは何もないと言いました。たとえ兵士に撃たれたり、負傷させられたりしても、何も起こらない。私たちは死なないとも言われました。戦いのための棒と赤いヘッドバンド(はちまき)をくれました。
私たちは、一列の隊列を組んで、棒で武装して戦闘に向かいました。兵士たちは、私たちを見つけると、すぐに発砲してきました。私は、目の前で人々が銃撃で殺されるのを見ていました。弾は、当たらないと聞かされていたので、私たちは、最初は立ち止まり兵士が銃を撃ってくるのを見ていました。しかし、私たちは、友人たちが死んでいくのを見て、逃げ出しました」
セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナル事務局長ヘレ・トーニング=シュミットは、「驚くべき人数の子どもたちが紛争地域で成長し、想像を絶する残酷な形態の暴力に晒されていることがこの報告書からわかりました。多くの子どもたちが、人間として決して経験すべきでない、性的暴力や、自爆攻撃に利用されるといったことを経験しています。家や学校、公園は、戦場となっています。
子どもに対するこのような犯罪は、想像しうる限り最も残酷な性質の虐待であり、国際法の重大な違反行為です。当事者たちに責任を取らせるために世界のリーダーたちは、さらに多くの措置をとるべきです。紛争下の子どもたちを保護できないことは、子どもたちからのみならず、その国から、ひいては世界からより良い未来を奪っていることになります。
私たちは、今以上に多くの子どもたちが学校の机や病院のベッドの上で亡くなるのを、緊急支援を拒否されるのを、武装グループに勧誘されるのを見過ごすのか、あるいは、法を犯しても裁かれないという現状に立ち向かい、子どもたちに対する戦争を永遠に終わらせるのかの、厳しい選択を迫られています」と訴えます。
セーブ・ザ・チルドレンは、紛争下の子どもたちの生活に影響を与える国、軍およびすべての当事者に対し、下記の4つの重要なテーマについて、具体的な行動を取ることを強く求めます。
・子どもを危険な状況下に置くことの防止
紛争予防、平和維持、兵士に対する子どもの保護に関する訓練への投資が必要である。
・国際法、国際基準の遵守
すべての国家と当事者は、国際法の下での義務を遵守すべきであり、また、学校保護宣言、パリ・コミットメントおよびパリ原則を支持すること[3]。そして、国家や武装グループは、人口密集地域での爆発兵器を使用しないことを表明するべきである。
・違反者に対する処罰
民間人の犠牲と子どもの死傷者を適切に追跡するための強力な監視と報告の仕組みが必要であり、また、紛争下の子どもの権利の侵害に対処するためのより強い司法制度が必要である。
・被害を受けた子どもたちの人生の再建
子どもたちを中心にした復興の取り組みと、子どもたちへ適切なメンタルヘルスケアの提供、地域のメンタルヘルス従事者やソーシャルワーカーの訓練、障害のある子どもの援助を含む、紛争の影響を受けた子どもたちの支援に投資する必要がある。また、 紛争によって被害を受けた子どもたちの生活再建のために財政的支援も利用できるようにしなければならない。
セーブ・ザ・チルドレンは、世界中の指導者に対し、子どもたちを武力紛争の恐怖から保護することを求める署名を実施しています。
◆日本からの署名はこちらから(日本語) https://www.savechildren.or.jp/petition/peti01.php?ptid=woc
◆その他各国からの署名はこちらから(英語) https://act.savethechildren.net/international/waronchildren/petition/
*報告書全文(英語)はこちら https://www.savethechildren.net/waronchildren/pdf/waronchildren.pdf
報告書の概要(日本語)はこちら http://www.savechildren.or.jp/scjcms/dat/img/blog/2660/1518663507613.pdf
[1] 戦闘に関連した年間死亡者数が1,000人を超える紛争
[2] 包括的なデータが入手できる最新の年
[3] 軍隊または武装集団に関係する児童に関するパリ原則および指針は、2007年に採択された。武装勢力や集団による徴兵や徴用を予防、子どもの保護、解放された子どもたちの社会復帰支援の活動実績と世界的な人道知識を統合している。 2015年に採択された学校保護宣言は、国家に武力紛争における教育の保護と継続に関する広範な政治的支援を表明することを求め、国家が武装紛争下で学校や大学を軍事目的使用から守るためのガイドラインを支持し実行するための手段である。 現在までに72ヶ国がこの宣言に署名している。
<セーブ・ザ・チルドレン概要>
セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもにとって、生きる、育つ、守られる、参加する、「子どもの権利」が実現されている世界を目指して活動する子ども支援の国際 NGO です。1919 年に英国で設立され、現在、日本を含む 29 の国と地域の独立したメンバーが連携し、約 120 ヶ国で子ども支援活動を展開しています。
http://www.savechildren.or.jp/