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株式会社Smart119が2023年事業総括と2024年事業方針を発表

株式会社Smart119(本社:千葉県千葉市、代表取締役社長/CEO:中田孝明)より、2023年事業活動の総括および、2024年事業方針について報告します。




千葉大学発医療スタートアップ企業である当社では、創業時からのミッション「テクノロジーと柔軟・独創的な発想で救急・急性期医療現場の課題をスマートに解決し、より多くの患者さんを救う」を実現するために、2023年事業を推進しました。

主力製品である救急医療情報サービス『Smart119』(特許第6875734号)は、導入地域が千葉市から千葉県全域(一部機能)に拡大したほか、4月からは東広島市の本格運用が始まり、国内展開を広げています。また新たな課題解決として取り組んでいる「救急需要予測AI」は、川崎市の「AIを活用した救急隊の現場到着時間の短縮に係る業務委託」の公募型プロポーザルにて受託団体に採択され運用を開始しました。そして「札幌市転院搬送支援システム構築業務」の受託者として転院支援に特化したシステムを開発中であり、今の救急現場で必要とされる新しいデジタルソリューションの開発も、『Smart119』と並行し各地域で進行しています。

参画中の『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』では、札幌市に続く第2弾として、北海道の12市町村で構成される「さっぽろ連携中枢都市圏」のうち新たに5市町村において、社会実装を視野に入れた『Smart119』の実証実験を実施中です。救急搬送先決定までの時間が大幅に低減される可能性が示されるなど、効果が証明されています。また兵庫県の「加古川市情報通信技術等を活用した技術実証支援事業補助金」に当社が採択され、過去の救急事案データの解析・分析とともに『Smart119』を活用した救急搬送時間短縮の技術検証(PoC:Proof of Concept・概念実証)を行っています。

さらに、夜間・休日の往診支援事業『Smart Home Doctor』を本格始動しました。高齢化により、在宅医療分野では往診医不足が深刻な課題となっています。このソリューションとして医療機関向けに取り組みを始めたもので、現在、一都三県50以上の医療機関でご活用いただき、5,000名以上の患者に利用されています。

当社代表取締役/CEOの中田孝明は、次のように述べています。
「現役の救急集中医療医、医学研究者として、救急現場の課題をデジタルの力で解決したいと、2016年からAMED(日本医療研究開発機構)のプロジェクトにおいて研究開発を進めてきました。2018年にSmart119社を設立、2020年に千葉市へ『Smart119』が初導入されたのを皮切りに、これまでの成果の社会実装が加速しました。千葉市以外の地域への導入や各地の実証実験、現場のヒアリング等を重ね、さまざまなノウハウを蓄積した結果、『Smart119』は全国あらゆる地域で活用可能な標準サービスまで成長し、2022年からの“第二創業期”はフィールドを全国に拡大するフェーズに入りました。現在多くの自治体から導入のお問合せをいただいており、関心の高まり、事業拡大の気運を肌で感じております。

年々深刻化、複雑化する救急分野の課題解決には、多角的なアプローチが必要です。昨年新たな方向性として開発に挑み、本年川崎市に導入された「救急需要予測AI」は、実証実験で精度の高さが示され、各自治体やメディア等多方面から注目をいただいています。今後も増加し続ける救急需要・課題の改善に欠かせないプロダクトであると、確信しています。またAMEDの研究として進めている「脳卒中AI予測診断アルゴリズム」は、実装に向けた最終段階にあります。脳卒中領域のエキスパートの先生方にもご評価いただき手応えを感じています。

そして往診支援事業は、始動からまだ数ヶ月にもかかわらず多くの医療機関にご利用、ご好評いただいております。高齢化の進む日本においては、在宅医療もまた救急医療と同じく効率化が急がれる分野です。将来的には『Smart119』などと連携し、往診と救急がシームレスにつながっていくことが重要だと考えています。

こうしたさまざまなソリューションをより多くの自治体や医療機関の課題解決に役立て、救急医療DXの浸透に乗り出すべく『Vision2025:国内No.1救急医療プラットフォーム』の目標のもと、全社一丸となって取り組んでおります。現在進行中の他企業との連携についても、私たちが積み重ねてきた技術や経験、アイデアがさらに発展し、社会や現場の細やかなニーズに柔軟に応える研究開発につながると考えています。2024年も『1人でも多くの命を救う』取り組みに貢献し、地域の安心・安全につながる未来医療実現のため、より高度な研究開発、事業力の強化に力を注いでまいります」

■2023年実績
【1:救急医療情報システム『Smart119』国内展開の拡大】
現在、約800万人(※)の命を守るシステムとして各地で活用され、さらに政令指定都市を含む複数の都道府県、市区町村でも導入に向けて検討が進められています。

(1)千葉県(順次拡大中)
2月に「救急医療等業務支援システム(救急搬送一斉照会システム)導入業務委託」に採択され、千葉県全域での運用開始が決定しました。現在、千葉県下54市町村の31消防本部・150医療機関へ順次拡大中です。県全体における搬送先決定の迅速化、救命率向上が期待されます。

(2)東広島市
4月から『東広島市救急業務システム(HECRS)』として本格運用が始まり、東広島市消防局と東広島医療センターをはじめとする二次救急医療機関、また市外の広島大学病院、ドクターヘリなどを含む県下12医療機関で活用されています。HECRSには既存機能に加え、「報告書作成機能」「転院搬送予測機能」「患者監視装置との連携機能」の3つの新機能を搭載しています。同市の課題解決を目的に開発したもので、救急業務の効率化、医療機関などとの連携強化をはかり、救急サービスの質向上を目指します。

(3)川崎市
「AIを活用した救急隊の現場到着時間の短縮に係る業務委託」の公募型プロポーザルにて、複数の候補企業がある中、当社の開発力や解析力をご評価いただき受託団体に採択されました。昨年の実証実験で現場到着時間が最大3分14秒短縮できる可能性が示された「救急需要予測AI」は、3月に同市へ納入、運用が開始されました。今後は実験データ等をもとにさらなる開発を進めながら、同市とともにより精度を高めていきます。

(※)千葉県人口6,274,206人(令和5年9月1日現在)、川崎市人口1,543,765人(令和5年5月1日現在)、東広島市人口190,386人(令和5年9月現在)の総合計

●転院支援システム
 札幌市保健所
「札幌市転院搬送支援システム構築業務」の受託者に採択され、医療機関の負担軽減、迅速な転院搬送といった転院支援に寄与するシステムを構築中です。二次救急医療機関に搬送され急性期治療を終えた後、継続的な治療が必要となる患者の転院先を決定するプロセスは、医療機関自らが転院先候補を探す必要があるなど大きな負担となっています。構築するシステムはPCやタブレット端末などで医療機関の検索、転院待ちの患者情報の管理など効率的に実行できることを想定しています。

●実証実験の実施 
I 『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』
 (ローカル・イノベーション・チャレンジ北海道)第2弾
(1)小樽市
6月に小樽市消防本部にて「情報伝達のしやすさ、医療機関選定・交渉時間の短縮及び効率化を図るとともに、救急隊の業務負担やストレスを軽減する効果の検証」を目的に実証実験を実施。『Smart119』のタブレット端末を使用して検証した結果、病院交渉時間を約62%短縮できる可能性が示されました。

(2)江別市
「延長する救急活動時間のうち、医療機関選定時間をICT化により短縮する」ことを目的に、2023年8月から2024年3月まで実証実験を実施中です。

(3)石狩市、当別町、新篠津村
8月に3市町村を管轄する石狩北部地区消防事務組合消防本部にて、「救急隊の現場滞在時間の短縮等の解決」を目的に実証実験を実施。過去4年分の救急出動データの解析をしたほか、『Smart119』を使って情報伝達のしやすさ、医療機関選定・交渉時間の短縮及び効率化、救急隊員の業務負担やストレス軽減効果を、従来の電話を使用した場合と比較、検証した結果、1事案あたりの平均病院交渉時間を約66%短縮できる可能性が示されました。

II 加古川市技術実証
同市は、市民中心の課題解決型スマートシティ実現を推進。その一環として全国から公募された「加古川市情報通信技術等を活用した技術実証支援事業補助金」にSmart119社の「救急需要予測AIプロジェクト」が採択されました。全国的に延伸傾向のある現場到着時間短縮の効果検証として、過去の救急事案のデータ解析、同市の救急課題の分析とあわせ、『Smart119』を活用した技術実証を、2023年8月28日から2024年2月29日まで実施中です。

【2:医療事業継続支援『レスポンサム(respon:sum)』の充実】
●Covi-Co(レスポンサム拡張機能)の活用
コロナ禍のニーズを受け、新型コロナウイルスに感染した妊産婦などの入院調整業務を支援するため拡張機能として開発された『Covi-Co』(周産期救急/コロナ入院調整支援システム)は、同感染症が「5類」に移行後、千葉県の周産期救急支援システムとして妊産婦患者の迅速な情報共有、入院・転院調整など、安心できる出産体制に活用されています。

【3:往診支援事業『Smart Home Doctor』の始動】
医療機関の夜間・休日における在宅医療を支援する目的で提供を開始しました。高齢者の在宅医療の増加により、往診医不足は非常に深刻な課題です。往診支援事業は、重要な仕組みとなると考え、取り組みを進めています。現在一都三県(千葉県、神奈川県、埼玉県)の50以上の医療機関にご活用いただき、5,000人以上の患者に利用されています。今後は、救急分野と往診分野の2本柱に、これからの高齢化社会にある医療体制を支援していきます。

【4:事業展開拡大に伴う人員の充実/新たな開発プロジェクト等の進行】
●開発力強化
アンクス社と開発体制強化・次世代育成に向け業務提携
「ITを通じて社会をもっと便利にもっと豊かに」をコンセプトに、最先端技術を活用したシステム開発、エンジニアの育成などに取り組むアンクス社と業務提携しました。救急・医療分野をはじめとした社会課題解決につながるソリューション開発、両社エンジニアの技術向上、次世代育成などを目的に、開発センターの設立(鹿児島県)が決定しました。同社との連携により、AIや機械学習といった技術の向上、システム導入後の地域ごとの仕様最適化、ニーズ対応力の強化を加速し、先進的な医療システムの開発と社会実装を推進します。

●新規開発・事業
アストラゼネカ社と救急搬送時の迅速な服用薬剤の特定および処置を目指した業務提携
抗凝固薬や抗血小板薬など、救急搬送時に医師が把握しておきたい服薬情報をデータベース化し『Smart119』と連携することで、迅速な情報把握、特定を目指す取り組みです。アストラゼネカ社と業務提携し、効果検討のための実証実験を『Smart119』導入地域である千葉市で実施したところ、想定を上回る搬送実績を確認し、その有効性が示されました。

■2024年事業方針
【1:『Vision2025:国内No.1救急医療プラットフォーム』の実現】
創業以来ブラッシュアップを重ね続け、全国の標準仕様として提供できる質の高い救急医療サービスに成長した『Smart119』、「救急需要予測AI」「脳卒中AI予測診断アルゴリズム」をはじめ、これまでの開発プロダクトを日本全国の自治体へ展開、浸透させていくことに重きを置き、社員一同邁進します。

【2:往診支援事業『Smart Home Doctor』の拡大】
2023年5月の始動から、すでに事業として収支のバランスが取れる段階まで到達しました。高齢化の加速により、在宅医療の重要性はさらに高まることが予想されます。次段階として、より多くの医療機関にサービスを提供すべく事業拡大を検討してまいります。『Smart119』などのデジタルサービスと合わせ、高齢化社会が進行する日本の救急医療を支えるソリューションとしてさらなる発展を目指します。

<株式会社Smart119について>
株式会社Smart119は「現役救急医が設立した、千葉大学医学部発スタートアップ」です。
『今の「119」を変える』ため、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」を開発・運用。
千葉市において、日本医療研究開発機構 (AMED) の救急医療に関する研究開発事業を実施。
緊急時医師集合要請システム「ACES」、災害時をはじめ、医療事業継続支援システム「respon:sum」の開発・運用を行なっています。Smart119は「安心できる未来医療を創造する」を目指します。

[画像: https://prtimes.jp/i/56624/151/resize/d56624-151-cd8fe1561a2d2c06bc63-0.png ]


【株式会社Smart119概要】
会社名: 株式会社Smart119
住所: 千葉県千葉市中央区中央2丁目5-1千葉中央ツインビル2号館 7階
設立: 2018年5月
代表者: 中田 孝明
事業内容:
音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」の開発・運用
緊急時医師集合要請システム「ACES」の開発・運用
医療事業継続支援システム「respon:sum」の開発・運用
URL: https://smart119.biz
Twitter: https://twitter.com/Smart119_jp
メールアドレス: press@smart119.biz
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