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国連WFPの米増産事業がもたらした未来の可能性

シエラレオネのマシメラ郡で米作りをするウスマン・カヌさん。国連WFPの米増産事業に参加したおかげでこの2年間で収穫を倍に、そしてその収益で家を建てることができました。日本政府の支援を通じて実施されてきたこの事業は、村の農地を有効活用するためのノウハウを地元農家に伝授するものです。対象地域での米の生産量は急増し、ウスマンさんをはじめ多くの農家が豊作に恵まれました。今年の収穫期を控え、米農家はさらなる収穫量への期待に胸を膨らませます。




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シエラレオネ マシメラ郡マヨンボ村

ウスマン・カヌさんは新しく建てた家の玄関先に妻と幼い息子とともに座っていました。「この家は昨年の11月に建て始めたんだ、2度の収穫を経て貯めたお金をつかってね」と彼は言うと、立ちあがって家の周りを歩きながら、嬉しそうにこれから寝室や台所になるまだ建設途中の部屋の間取りを説明してくれました。

「農業は順調だよ」と彼は続けます。「以前は自分の家族が食べるのにやっと足りるくらいの米しかできなかったのが、ここのところはもっと収穫できるようになったよ。収穫が終わると自分たちに必要な分をとっておいて、市場で売るんだ」。日本の支援により国連WFPが実施している事業に参加してからの2年で、ウスマンさんの畑の収穫量は2倍になったといいます。シエラレオネでは全国民の7割以上が農業に従事していますが、この事業では農民たちに耕作可能な沼地の効果的な利用法を教え、食糧難の解消に貢献しています。

[画像2: http://prtimes.jp/i/9064/163/resize/d9064-163-880127-0.jpg ]


少なく植え、多く収穫する

ウスマンさんは現在、5キロの種籾を使って米8袋(800キロ)分を収穫することができています。以前は25キロの種籾から米400キロしか採れませんでした。

事業が実施される前のマシメラ郡とブヤ・ロメンデ郡の米の平均収穫量は、1ヘクタールにつき1トンでした。2014年に農家が研修を受け、生産量は86パーセント増に。2015年、事業開始から2度目の収穫では、生産量はさらに4割増え1ヘクタールあたり2.6トンに増えました。地域農業コーディネーターであるアマド・バングラは「今年はきっともっと増えると僕らは踏んでいる」と話しています。

この目覚しい成果は毎月行われる農業技術指導によるものでした。農家は放置された肥沃な土をより効果的に開墾する術を学び、広大な荒地は0.2ヘクタールずつにわけられ、一世帯が一区画を受け持つこととなりました。以前はただ種を適当に蒔いていたのを、苗床を準備し、20センチから25センチずつ空け列に植えることによって、無駄を減らすことができました。

この事業ではまず、農家が種籾6キロと肥料60キロをもらうところからスタートし、肥料の使い方や収穫すべき時期などを学びます。研修を受ける前は農民たちはただ穀物が乾燥するまで無駄に待ちすぎていたこともありました。もう収穫が望めない時期に田植えを開始していたこともあります。バングラが言うように「農家はどうやったら自分たちの農地を最も効果的に使えるかということを知らなかった」のが問題でした。

[画像3: http://prtimes.jp/i/9064/163/resize/d9064-163-582106-4.jpg ]


利益を貯金する

4つの南京錠をつけた大きな金属の箱がマヨンボ村の初めての市民銀行です。農家の収穫量の増加を手助けする支援に加え、収穫で得られた利益を自分たちで管理できるようにしようという試みです。

各家族がそれぞれ30円から200円程度のお金を毎週貯金し、台帳に入金のスタンプを押してもらい記録します。この仕組みによって地域の共同貯蓄ができるだけでなく、必要な人には小規模の貸付が可能になりました。

「お金を借りられるということは、農家に力を与えます。ビジネスにも役立ちます」、とは国連WFPのプログラムアシスタント、アキニャミ・スコットボイルの弁。「農家はお金を借りて次の収穫に必要な肥料を買うことができ、(収穫が終わって)利益が出た時点で返済することができるのです。」

今現在50家族が参加し約38万円をたった10ヶ月で貯蓄することができました。平均年収が340ドル(約3万4千円)のこの国では大変なことです。

[画像4: http://prtimes.jp/i/9064/163/resize/d9064-163-932463-3.jpg ]


より自立したシエラレオネを目指して

シエラレオネは以前、西アフリカで一番の米輸出国でしたが、今は、国民が一年を通して消費する十分な量を自給できていません。米を栽培するのに大変適した環境にも拘らず、年間2億から3億ドルと言われる米をインドやパキスタンから輸入しています。内戦とエボラ出血熱の流行による打撃で、耕作可能な土地が広範囲で放置されたままになっているのです。

この事業の長期の目的は米の生産性を向上し、高い輸入米への依存を減らすことです。この事業が終わる2017年までには、現在支援を受けている農家は自給自足できるだけでなく余剰米を地元の市場で売れるようになっていることでしょう。農民の負担を減らし生産量を増やすことによって、国連WFPはシエラレオネの米の生産性向上を手助けしています。

保水性の高いウスマンさんの畑からは何千もの明るい緑の苗が顔を出していました。「いく粒からの米からこんなに収穫できるとは考えてもみなかったよ」そういって、彼は嬉しそうに稲を覗き込みました。

[画像5: http://prtimes.jp/i/9064/163/resize/d9064-163-574254-2.jpg ]
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