紛争地イエメンで飢餓と栄養不良が深刻に
[16/10/28]
提供元:PRTIMES
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サナア発―紛争が続くイエメン。特に支援物資が届けにくい地域に住む子どもたちの栄養不良が悪化するなど、国内の食糧事情の深刻化が非常に懸念されています。
国連WFPの幹部らは先週、イエメン北東部のハッジャ州、そして紅海沿岸のホディダ州を訪問し、日々の食事もままならない人々の困窮ぶりや、病院や栄養・保健センターに栄養不良の子どもたちが次々と運ばれてくる様子など、悲惨な状況を目の当たりにしました。
[画像1: http://prtimes.jp/i/9064/170/resize/d9064-170-789271-0.jpg ]
パンを分け合う現状
「栄養不良の息子を診てもらうため、隣人や親族からお金を借りて、アル・トゥハイタの自宅からここ(ホディダ)の病院まで連れてきました」と語る26歳の母、イフサンさん。「母乳を飲ませていますが日ごとに体重が減っていて、いつまで私たちの元にいてくれるかわかりません。栄養どころか、子どもたちにあげられる食べ物自体、ほとんどないのです。」
国連WFP中東・北アフリカ・中央アジア・東欧地域局のムハナド・ハディ地域局長は、イエメンの紛争が、女性や子どもなど弱い立場の人々を中心に大きな被害をもたらしていると指摘。「食糧事情は日に日に悪化しており、人々は生き延びる術をすでに失っています。外部からの支援なしでは生きていけない人たちが数百万人いる状況です」と述べました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/9064/170/resize/d9064-170-585756-1.jpg ]
イエメンの栄養事情は、紛争が始まる前から世界最悪の国の一つで、ホディダ州などでは、5歳未満児の急性栄養不良率が31%と、緊急とされる基準(15%)の倍以上に達していました。また、全国の子どもたちの半数近くが発育阻害(年齢の割に背が低いという慢性的栄養不良の代表的な症状)の状況にあります。
また、中東の最貧国だったイエメンは紛争による経済的な打撃も大きく受け、何百万人もの公務員が給料を受け取っておらず、生活を支えることが出来なくなっています。国内で消費される食糧の9割は輸入に頼っていましたが、紛争が始まってからは国外からの流通が急激に減少しています。
サアナの郊外に住む45歳のファテマさんは、「今は唯一手に入るパンだけを子どもたちに与えて生活していますが、全員分ないことも。食べ物の価格が高騰し、夫の給料も入りません」と過酷な生活状況を語ります。
食糧事情の深刻度を示す国際的な指標、総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification、通称IPC)の今年6月の分析によれば、イエメンでは1,410万人が食糧不安に陥っており、また、そのうち700万人は危機的状況にあるとされています。州によっては人口の7割もが十分な食事を確保できない状況です。
資金難で配給量を削減
国連WFPは、今年2月より、300万人以上に対して毎月食糧支援を行ってきました。しかし、支援を必要とする人がどんどん増える一方で資金難に陥り、この数ヶ月は配給量を減らす形で毎月600万人を支援してきました。この方策は一時的な食糧事情の緩和につながったものの、必要とされる支援の量が増大の一途をたどる中、食糧不安が続いています。
先週、72時間の一時停戦が設けられ、国連WFPはタイズ州の3か所にて15万5千人に食糧支援を行いました。さらに、支援物資を届けることが困難だった別の3か所でも、18万9千人に食糧を提供する予定です。しかし、治安が依然悪く、極度の栄養不良が報告されている地域に物資を届けることがとても困難な状況となっています。特に貧困率の高いマレブ州、アルジョフ州、タイズ州などへ継続的に支援を届けるための条件整備や、安全確保が重要となっています。
[画像3: http://prtimes.jp/i/9064/170/resize/d9064-170-159938-2.jpg ]
また、5歳未満の子ども、妊婦そして授乳中の母親など、併せて70万人に対する栄養支援も行っていきます。国内14州にある2,200の保健所を通じ、急性栄養不良に陥った5歳未満の子どもに対する治療、そして2歳未満の子どもには栄養不良予防の事業を実施予定です。
食、栄養を届け、命を守る
国連WFPイエメン事務所のトルベン・ドゥエ所長は、「将来を担うべき世代が飢餓に直面しています。食糧の提供や栄養不良の治療・予防を拡大し、命を救う支援を今すぐ、広範囲に届ける必要があります。残念ながら、資金難のため、一家族分の配給量を、数家族で分けて提供しなければならない状況です。」と、現状について語っています。
これまでのイエメンでの支援活動は、主に日本政府のほか、アメリカ、ドイツ、EUからの支援金によって実現してきました。国連WFPが今後、2017年3月までイエメンで食糧支援を行うためには、2億5,700万ドルが必要です。支援金を受け取ってから食糧をその国に運び、そして最終的に支援が必要な人々の手に届けられるまで、4ヶ月かかります。国際社会の支援が求められています。
国連WFPの幹部らは先週、イエメン北東部のハッジャ州、そして紅海沿岸のホディダ州を訪問し、日々の食事もままならない人々の困窮ぶりや、病院や栄養・保健センターに栄養不良の子どもたちが次々と運ばれてくる様子など、悲惨な状況を目の当たりにしました。
[画像1: http://prtimes.jp/i/9064/170/resize/d9064-170-789271-0.jpg ]
パンを分け合う現状
「栄養不良の息子を診てもらうため、隣人や親族からお金を借りて、アル・トゥハイタの自宅からここ(ホディダ)の病院まで連れてきました」と語る26歳の母、イフサンさん。「母乳を飲ませていますが日ごとに体重が減っていて、いつまで私たちの元にいてくれるかわかりません。栄養どころか、子どもたちにあげられる食べ物自体、ほとんどないのです。」
国連WFP中東・北アフリカ・中央アジア・東欧地域局のムハナド・ハディ地域局長は、イエメンの紛争が、女性や子どもなど弱い立場の人々を中心に大きな被害をもたらしていると指摘。「食糧事情は日に日に悪化しており、人々は生き延びる術をすでに失っています。外部からの支援なしでは生きていけない人たちが数百万人いる状況です」と述べました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/9064/170/resize/d9064-170-585756-1.jpg ]
イエメンの栄養事情は、紛争が始まる前から世界最悪の国の一つで、ホディダ州などでは、5歳未満児の急性栄養不良率が31%と、緊急とされる基準(15%)の倍以上に達していました。また、全国の子どもたちの半数近くが発育阻害(年齢の割に背が低いという慢性的栄養不良の代表的な症状)の状況にあります。
また、中東の最貧国だったイエメンは紛争による経済的な打撃も大きく受け、何百万人もの公務員が給料を受け取っておらず、生活を支えることが出来なくなっています。国内で消費される食糧の9割は輸入に頼っていましたが、紛争が始まってからは国外からの流通が急激に減少しています。
サアナの郊外に住む45歳のファテマさんは、「今は唯一手に入るパンだけを子どもたちに与えて生活していますが、全員分ないことも。食べ物の価格が高騰し、夫の給料も入りません」と過酷な生活状況を語ります。
食糧事情の深刻度を示す国際的な指標、総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification、通称IPC)の今年6月の分析によれば、イエメンでは1,410万人が食糧不安に陥っており、また、そのうち700万人は危機的状況にあるとされています。州によっては人口の7割もが十分な食事を確保できない状況です。
資金難で配給量を削減
国連WFPは、今年2月より、300万人以上に対して毎月食糧支援を行ってきました。しかし、支援を必要とする人がどんどん増える一方で資金難に陥り、この数ヶ月は配給量を減らす形で毎月600万人を支援してきました。この方策は一時的な食糧事情の緩和につながったものの、必要とされる支援の量が増大の一途をたどる中、食糧不安が続いています。
先週、72時間の一時停戦が設けられ、国連WFPはタイズ州の3か所にて15万5千人に食糧支援を行いました。さらに、支援物資を届けることが困難だった別の3か所でも、18万9千人に食糧を提供する予定です。しかし、治安が依然悪く、極度の栄養不良が報告されている地域に物資を届けることがとても困難な状況となっています。特に貧困率の高いマレブ州、アルジョフ州、タイズ州などへ継続的に支援を届けるための条件整備や、安全確保が重要となっています。
[画像3: http://prtimes.jp/i/9064/170/resize/d9064-170-159938-2.jpg ]
また、5歳未満の子ども、妊婦そして授乳中の母親など、併せて70万人に対する栄養支援も行っていきます。国内14州にある2,200の保健所を通じ、急性栄養不良に陥った5歳未満の子どもに対する治療、そして2歳未満の子どもには栄養不良予防の事業を実施予定です。
食、栄養を届け、命を守る
国連WFPイエメン事務所のトルベン・ドゥエ所長は、「将来を担うべき世代が飢餓に直面しています。食糧の提供や栄養不良の治療・予防を拡大し、命を救う支援を今すぐ、広範囲に届ける必要があります。残念ながら、資金難のため、一家族分の配給量を、数家族で分けて提供しなければならない状況です。」と、現状について語っています。
これまでのイエメンでの支援活動は、主に日本政府のほか、アメリカ、ドイツ、EUからの支援金によって実現してきました。国連WFPが今後、2017年3月までイエメンで食糧支援を行うためには、2億5,700万ドルが必要です。支援金を受け取ってから食糧をその国に運び、そして最終的に支援が必要な人々の手に届けられるまで、4ヶ月かかります。国際社会の支援が求められています。