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“パウンド・フォー・パウンド”パッキャオと歴戦の強打者コット、スーパースター同士が激突! …世界プロボクシング




 日本時間11月15日(日)、世界中が注目するボクシングのビッグマッチがアメリカ、ラスベガスで開催される(午後0時よりWOWOW193chで生中継)。
 アジア人として史上初めて4階級制覇を成し遂げたフィリピンの英雄マニー・パッキャオ。8割近いKO率を誇るカリブの天才パンチャー、ミゲール・コット。誰もが認める現役のトップスター選手同士の激突だ。
 プロモーター(トップランク社)が用意したイベントのキャッチ・コピーは「FIRE POWER」(直訳は狙撃能力、火力)。両者の群を抜く攻撃力を強く意識させるコピーだ。
 当初、パッキャオに対してはWBAのウェルター級スーパー・チャンピオン、シェーン・モズリー(アメリカ)も対戦を申し込んでいた。一部のメディアは「モズリー陣営が2000万ドル(約18億円)をパッキャオに最低保障」と伝えたこともあった。しかし、パッキャオ側が希望する144ポンド〜145ポンドにウェートにモズリーが応じることが困難と判断されたため、同じくオファーを受けていたコットとの対戦が決まったという経緯がある。
 7月下旬に正式に試合決定が伝えられると、150ドル(約1万3,500円)から1000ドル(約9万円)のチケットは飛ぶように売れた。当日はMGMグランドガーデンが1万6,200人の大観衆で埋まることは間違いない。
 試合を10日後に控えた時点でのオッズ(賭け率)は、パッキャオが-265、コットが+205と出ている。比率数字に換算すると13対5でパッキャオ有利となる。ただし、これは神がかり的な進撃を続けるサウスポーに対する期待も含まれているものと考えるべきだろう。
 パッキャオはサウスポーのファイター型というカテゴリーに入るが、ここ3戦――デビッド・ディアス戦、オスカー・デラ・ホーヤ戦、リッキー・ハットン戦――を見ると、適度にフットワークを使いながら自分のポジションを変え、微妙な距離と角度調節をしたうえで踏み込んでいる。体重を上げるにともない、速くて強い左ストレートを打ち抜く攻撃型パンチャーから、硬軟織り交ぜた頭脳派&技巧派の強打者に変貌したといえるかもしれない。スピードや強打といった目に見える戦力だけでなく、並外れた対応能力にこの男の底知れぬ地力を感じる。
 コットは常に高い位置に両グローブを置き、重厚なプレスをかけながら距離を詰めてコンビネーションを叩き込む強打者。特にボディ打ちから顔面への打ち分けがスムーズで強烈だ。これまでの35戦で27のKO勝ちを記録、KO率ではパッキャオを10ポイント近く上回っている。また元・現・後の世界チャンピオン11人を下すなど、S・ライト級〜ウェルター級にかけての実績でもパッキャオを大きく引き離している。
 攻撃型の選手同士だけに、試合は最初からスリリングなものになるだろう。
 先に仕掛けるのは、やはりパッキャオか。左構えから体を小さく振りながら細かく右ジャブを突き、左を伸ばす機会をうかがうはずだ。右を有効につかってコットのガードを開けさせ、そこに正面から左を突き刺せれば衝撃的なシーンが見られるかもしれない。
 コットはじわじわと距離を詰めて、体を左に寄せて相手の右ボディを攻めて出るだろう。それを突破口にしてパンチの連携がスムーズに行けば、こちらもKOチャンスをつかめるはず。
 数字に表れている体格は互角だが、体の厚みや骨格はコットが勝る。試合はウェルター級を2ポンド下回る145ポンド(約65.7キロ)の契約ウェートで行われるが、それがどう影響するのかも見ものといえよう。
 スリル満点の序盤を経て、どちらかが中盤で抜け出て、そして終盤に差し掛かるあたりで決着がつくのではないか。
 世界中が注目するこの大一番の模様は、11月15日(日)午後0時よりWOWOW193chで生中継でお届けする。

Written by ボクシングライター原功           
   

※マニー・パッキャオ(元4階級制覇チャンピオン 30歳)
 1995年1月  プロデビュー
 1998年12月 WBC世界フライ級タイトル獲得
 2001年6月  IBF世界S・バンタム級タイトル獲得
          (vsリーロ・レジャバ 6回終了TKO)
 2008年3月  WBC世界S・フェザー級タイトル獲得
          (vsファン・マヌエル・マルケス 12回判定)
 2008年6月  WBC世界ライト級タイトル獲得
          (vsデビッド・ディアス 9回TKO)
 2008年12月 オスカー・デラ・ホーヤに8回終了TKO勝ち

 戦績:54戦49勝37KO3敗2分

※ミゲール・コット(WBO世界ウェルター級チャンピオン 29歳)
 2001年2月  シドニー五輪出場後、プロデビュー
 2004年9月  WBO世界S・ライト級タイトル獲得
          (vsケルソン・ピント 6回TKO ※王座決定戦)
 2006年12月 WBA世界ウェルター級タイトル獲得
 2008年7月  アントニオ・マルガリートに11回TKO負けでタイトル失う
 2009年2月  WBO世界ウェルター級タイトル獲得

 戦績:35戦34勝27KO1敗
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