アストラゼネカのSGLT2阻害剤フォシーガ 慢性腎臓病治療薬として厚生労働省より優先審査品目に指定
[21/01/28]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、SGLT2阻害剤フォシーガ (一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール、以下、フォシーガ) が、1月27日に、厚生労働省より慢性腎臓病治療薬として優先審査品目の指定を受けましたのでお知らせいたします。
優先審査は、厚生労働省が定める制度であり、希少疾病用医薬品、先駆け審査指定医薬品の他、重篤な疾病であり、かつ、既存治療と比較して有効性または安全性が医療上明らかに優れていると認められた医薬品について、優先的に審査が行われます。
本指定は、第III相DAPA-CKD試験の結果に基づいています。DAPA-CKD試験は、日本人を含む、2型糖尿病合併の有無を問わない慢性腎臓病患者さんを対象とした、SGLT2阻害剤で初めての腎アウトカム試験です。本試験でフォシーガは、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生による主要複合評価項目の発現リスクを39%低下させました(p<0.0001)。絶対リスク減少率(ARR)は、中央値2.4年の試験において5.3%でした。この試験はまた、プラセボと比較して全死亡のリスクを有意に31%低下する(ARR = 2.1%、p=0.0035)など、全ての副次的評価項目を達成しました。試験の結果は2020年8月に発表され、The New England Journal of Medicineに掲載されました。
フォシーガは、国内で、2014年3月に「2型糖尿病」、2019年3月に「1型糖尿病」、2020年11月に「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」の適応症を取得しており、2020年12月に慢性腎臓病に対する効能・効果の製造販売承認事項一部変更承認申請を行っていました。
研究開発本部長の大津智子は次のように述べています。「慢性腎臓病は、腎機能が低下することにより起こる進行性の疾患で、国内患者数は1,330万人(20歳以上の8人に1人)1と推定されています。慢性腎臓病は、透析のリスク要因であるだけでなく、心不全をはじめとした心血管疾患の発症リスクを増加させることから、早期の診断および治療により、その進行を抑制することが重要ですが、現在国内で慢性腎臓病を効能・効果として有する薬剤はありません。フォシーガは、DAPA-CKD試験において、2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病に対する有効性を示しました。今回、フォシーガが優先審査品目に指定されたことを嬉しく思います。当社は引き続き当局と協力し、1日も早く日本の慢性腎臓病の患者さんに届けられるよう尽力いたします。」
なお、現在日本で承認されているフォシーガの効能・効果は次の通りです。
• 2型糖尿病
• 1型糖尿病
• 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
以上
*****
慢性腎臓病(CKD)について
CKDは、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患です。腎機能の低下は、eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義されます2。CKDを発症するもっとも一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎です3。CKDは心血管疾患有病率と高い相関を持ち、心不全や若年死4のような心血管イベント5の発生を増加させます。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります6。CKD患者さんの多くは末期腎不全になる前に心血管系の原因によって死亡しています7。
DAPA-CKD試験について
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらない、4,304例の慢性腎臓病患者さん(eGFR25以上75未満、かつ、アルブミン尿の増加が確認された患者さん)を対象とした、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験です。日本を含む21カ国で実施されました。同試験は、フォシーガ10mg1日1回を慢性腎臓病の標準治療に追加投与し、有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。主要複合評価項目は、慢性腎臓病患者さんにおける腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生、副次的複合評価項目は、 腎機能の悪化(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡のいずれかの発生)、心血管死または心不全による入院、全死亡のいずれかの発生と定義されています。同試験は当初の想定を上回る結果が出たため、独立データモニタリング委員会の勧告に従い、早期に終了したことを2020年3月に発表しています。また、米国では、同試験の結果に基づき、ブレークスルーセラピーの指定を受けたことを2020年10月に、優先審査の指定を受けたことを2021年1月に発表しています。
フォシーガについて
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。成人2型糖尿病患者さんの食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有しています。2型糖尿病患者さんにおける心血管アウトカムをみたDECARE-TIMI58試験では、フォシーガは標準治療への追加療法において、プラセボと比較して、心不全による入院または心血管死の複合評価項目におけるリスクを低下しました。
DAPA-HF試験では、フォシーガは標準治療への追加療法として実施され、2型糖尿病合併の有無を問わず左室駆出率が低下した慢性心不全の患者さんにおいて、心血管死および心不全の悪化の発生を低下させました。フォシーガではまた、左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者さんを対象としたDELIVER試験およびDETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF)が実施されています。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。
アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域について
循環器・腎・代謝疾患はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においても、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。
References
1. 日本腎臓病学会 編「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」p.1 https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf (Visited on 8/4/2020)
2. Mallappallil, M., Friedman, E. A., Delano, B. G., McFarlane, S. I., & Salifu, M. O. (2014). Chronic kidney disease in the elderly: evaluation and management. Clinical practice (London, England), 11(5), 525–535. doi:10.2217/cpr.14.46.
3. National Kidney Foundation. Kidney Disease: Causes, 2017; [cited 2020 Mar 28]. Available from URL: https://www.kidney.org/atoz/content/kidneydiscauses
4. Bikbov, Boris, et al. “Global, Regional, and National Burden of Chronic Kidney Disease, 1990–2017: a Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2017.” The Lancet, vol. 395, no. 10225, 13 Feb. 2020, pp. 709–733., doi:10.1016/s0140-6736(20)30045-3.
5. Segall L et al. Heart failure in patients with chronic kidney disease: A systematic integrative review. Biomed Res Int 2014; 2014:937398.
6. Centers for Disease Control and Prevention. Chronic Kidney Disease in the United States, 2019; [cited 2020 Mar 27]. Available from URL: https://www.cdc.gov/kidneydisease/publications-resources/2019-national-facts.html
7. Thompson S, James M, Wiebe N, Hemmelgarn B, Manns B, Klarenbach S and Tonelli M. Cause of Death in Patients with Reduced Kidney Function. Journal of the American Society of Nephrology. 2015, 26 (10) 2504-2511; DOI: 10.1681/ASN.2014070714. Epub 2015 Mar 2.
優先審査は、厚生労働省が定める制度であり、希少疾病用医薬品、先駆け審査指定医薬品の他、重篤な疾病であり、かつ、既存治療と比較して有効性または安全性が医療上明らかに優れていると認められた医薬品について、優先的に審査が行われます。
本指定は、第III相DAPA-CKD試験の結果に基づいています。DAPA-CKD試験は、日本人を含む、2型糖尿病合併の有無を問わない慢性腎臓病患者さんを対象とした、SGLT2阻害剤で初めての腎アウトカム試験です。本試験でフォシーガは、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生による主要複合評価項目の発現リスクを39%低下させました(p<0.0001)。絶対リスク減少率(ARR)は、中央値2.4年の試験において5.3%でした。この試験はまた、プラセボと比較して全死亡のリスクを有意に31%低下する(ARR = 2.1%、p=0.0035)など、全ての副次的評価項目を達成しました。試験の結果は2020年8月に発表され、The New England Journal of Medicineに掲載されました。
フォシーガは、国内で、2014年3月に「2型糖尿病」、2019年3月に「1型糖尿病」、2020年11月に「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」の適応症を取得しており、2020年12月に慢性腎臓病に対する効能・効果の製造販売承認事項一部変更承認申請を行っていました。
研究開発本部長の大津智子は次のように述べています。「慢性腎臓病は、腎機能が低下することにより起こる進行性の疾患で、国内患者数は1,330万人(20歳以上の8人に1人)1と推定されています。慢性腎臓病は、透析のリスク要因であるだけでなく、心不全をはじめとした心血管疾患の発症リスクを増加させることから、早期の診断および治療により、その進行を抑制することが重要ですが、現在国内で慢性腎臓病を効能・効果として有する薬剤はありません。フォシーガは、DAPA-CKD試験において、2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病に対する有効性を示しました。今回、フォシーガが優先審査品目に指定されたことを嬉しく思います。当社は引き続き当局と協力し、1日も早く日本の慢性腎臓病の患者さんに届けられるよう尽力いたします。」
なお、現在日本で承認されているフォシーガの効能・効果は次の通りです。
• 2型糖尿病
• 1型糖尿病
• 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
以上
*****
慢性腎臓病(CKD)について
CKDは、腎機能が低下することにより起こる重篤な進行性の疾患です。腎機能の低下は、eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義されます2。CKDを発症するもっとも一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎です3。CKDは心血管疾患有病率と高い相関を持ち、心不全や若年死4のような心血管イベント5の発生を増加させます。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります6。CKD患者さんの多くは末期腎不全になる前に心血管系の原因によって死亡しています7。
DAPA-CKD試験について
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらない、4,304例の慢性腎臓病患者さん(eGFR25以上75未満、かつ、アルブミン尿の増加が確認された患者さん)を対象とした、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験です。日本を含む21カ国で実施されました。同試験は、フォシーガ10mg1日1回を慢性腎臓病の標準治療に追加投与し、有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。主要複合評価項目は、慢性腎臓病患者さんにおける腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生、副次的複合評価項目は、 腎機能の悪化(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡のいずれかの発生)、心血管死または心不全による入院、全死亡のいずれかの発生と定義されています。同試験は当初の想定を上回る結果が出たため、独立データモニタリング委員会の勧告に従い、早期に終了したことを2020年3月に発表しています。また、米国では、同試験の結果に基づき、ブレークスルーセラピーの指定を受けたことを2020年10月に、優先審査の指定を受けたことを2021年1月に発表しています。
フォシーガについて
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)は、経口1日1回投与で単剤療法および併用療法の一環として使われる、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。成人2型糖尿病患者さんの食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応とし、体重減少と血圧低下の副次的作用を有しています。2型糖尿病患者さんにおける心血管アウトカムをみたDECARE-TIMI58試験では、フォシーガは標準治療への追加療法において、プラセボと比較して、心不全による入院または心血管死の複合評価項目におけるリスクを低下しました。
DAPA-HF試験では、フォシーガは標準治療への追加療法として実施され、2型糖尿病合併の有無を問わず左室駆出率が低下した慢性心不全の患者さんにおいて、心血管死および心不全の悪化の発生を低下させました。フォシーガではまた、左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者さんを対象としたDELIVER試験およびDETERMINE試験(HFrEFおよびHFpEF)が実施されています。フォシーガの強固な臨床プログラムは、終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。
アストラゼネカの循環器・腎・代謝領域について
循環器・腎・代謝疾患はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においても、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。
References
1. 日本腎臓病学会 編「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」p.1 https://cdn.jsn.or.jp/data/CKD2018.pdf (Visited on 8/4/2020)
2. Mallappallil, M., Friedman, E. A., Delano, B. G., McFarlane, S. I., & Salifu, M. O. (2014). Chronic kidney disease in the elderly: evaluation and management. Clinical practice (London, England), 11(5), 525–535. doi:10.2217/cpr.14.46.
3. National Kidney Foundation. Kidney Disease: Causes, 2017; [cited 2020 Mar 28]. Available from URL: https://www.kidney.org/atoz/content/kidneydiscauses
4. Bikbov, Boris, et al. “Global, Regional, and National Burden of Chronic Kidney Disease, 1990–2017: a Systematic Analysis for the Global Burden of Disease Study 2017.” The Lancet, vol. 395, no. 10225, 13 Feb. 2020, pp. 709–733., doi:10.1016/s0140-6736(20)30045-3.
5. Segall L et al. Heart failure in patients with chronic kidney disease: A systematic integrative review. Biomed Res Int 2014; 2014:937398.
6. Centers for Disease Control and Prevention. Chronic Kidney Disease in the United States, 2019; [cited 2020 Mar 27]. Available from URL: https://www.cdc.gov/kidneydisease/publications-resources/2019-national-facts.html
7. Thompson S, James M, Wiebe N, Hemmelgarn B, Manns B, Klarenbach S and Tonelli M. Cause of Death in Patients with Reduced Kidney Function. Journal of the American Society of Nephrology. 2015, 26 (10) 2504-2511; DOI: 10.1681/ASN.2014070714. Epub 2015 Mar 2.