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TPP:バイオ医薬品の新たな独占状態を生み出すな

米ハワイ州マウイ島で始まった環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合で、交渉参加12ヵ国がバイオ医薬品のデータ保護期間の設定で合意間近だと報じられている。国境なき医師団(MSF)は、世界中の何百万人もが最新の医学的進歩から置き去りにされかねないと警鐘を鳴らす。

バイオ医薬品に分類される医薬品はワクチンをはじめ、がんや多発性硬化症の治療薬など幅広い。データ独占がTPP協定で義務化されれば、各国の規制局は特許の失効したバイオ医薬品の臨床試験データであっても、低価格下につながるジェネリック薬(後発医薬品)の承認に利用できなくなるだろう。米国の製薬業界の要請を受け、米政府は当初、12年のデータ保護期間を求めていた。交渉筋の最新情報によると、現在は8年という妥協案で取り繕っている模様だ。

8年は画期的な数字ではない。米政府は保健医療支出削減のため、データ保護期間を12年から7年とするよう合衆国議会に国内法の修正を呼び掛けてきた。8年というデータ保護期間を求める国際法はなく、バイオ医薬品の革新にも必要のないことを裏付ける根拠も存在する。

ハワイ入りしたMSF必須医薬品キャンペーン米国マネージャー兼法政策顧問ジュディ・リウス・サンフアンの声明

「データ保護は8年であっても、極めて長く不要な時間であり、人命を救う重要なバイオ医薬品の低価格化を促すジェネリック薬の普及を阻むものです。製薬企業はこれまで様々な業種の中でも最も長期といえる独占保護を享受してきました。保護期間の延長や追加の容認は、市場競争を遅らせ、医薬品を何百万人という人びとの手の届かないところにとどめる、新たな手口にしかなりません。今週、ハワイで一堂に会した各国政府代表の負うべき義務は、許容価格の薬の流通を擁護することにあります」
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