アストラゼネカのフォシーガ、2型糖尿病の有無に関わらず、進行リスクのある慢性腎臓病の治療薬として米国にて承認を取得
[21/05/13]
提供元:PRTIMES
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過去20年以上にわたる慢性腎臓病治療において最も重要な進歩
フォシーガは、第III相DAPA-CKD試験で、腎機能低下、末期腎不全、心血管死、
腎不全による死亡の複合エンドポイントにおいて、前例のないリスク低下を示した
本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年4月30日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカのSGLT2阻害剤フォシーガ(ダパグリフロジン)は、米国で、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)における、eGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減を適応症とする承認を取得しました。
FDAによる今回の承認は、第III相DAPA-CKD試験の良好な結果に基づいており、また、今年の初めにFDAより付与された優先審査指定に続くものです。
CKDは、腎機能が低下する病態です。しばしば心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連しており、また、血液透析や腎移植が必要となることもあります(1-3)。CKDは2040年までに世界第5位の死因になると予想されています(4)。現在、米国では3,700万人がCKDに罹患していると推定されています(1)。
DAPA-CKD試験の治験運営委員会の共同代表者であるオランダのグロニンゲン大学医療センターのHiddo L. Heerspink教授は次のように述べています。「DAPA-CKD試験の前例のない結果に基づき、ダパグリフロジンはSGLT2阻害剤で初めて、糖尿病の有無に関わらないCKD治療薬として承認されました。今回の承認により、患者さんと医師は、患者さんを衰弱させ、生命を脅かすこの疾患に対する、新しい、効果的な治療選択肢を手に入れることになります。」
バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは、次のように述べています。「今回の承認は過去20年以上のCKD治療において最も重要な進歩となります。我々は、フォシーガの優れた有効性を、2型糖尿病、左室駆出率が低下した心不全、そして直近では、CKDにおいて示してきました。この薬を米国の多くの患者さんに届けることができ、とても嬉しく思います。」
第III相DAPA-CKD試験においてフォシーガは、CKDステージ2〜4、かつ、尿中アルブミン排泄の増加を認める患者さんを対象に、ACEiもしくはARBによる標準治療への併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目を、プラセボと比較して39%低下させました(p<0.0001)。絶対リスク減少率(ARR)は、中央値2.4年の試験において5.3%でした。フォシーガはまた、全死亡のリスクをプラセボと比較して有意に31%低下させました(ARR = 2.1%、p=0.0035)(5)。
また、フォシーガの心血管アウトカムを評価した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相DECLARE-TIMI58試験において、フォシーガは進行していないCKDにおいても有効であることを示唆する結果が得られています。フォシーガは多発性嚢胞腎を併発する、もしくは、免疫抑制剤による腎疾患の治療歴がある/治療を必要とするCKD患者さんの治療への使用は、有効性が確認されていないため、推奨されていません。
両方の試験において、フォシーガの安全性と忍容性はこれまで確認された安全性プロファイルと一致していました。
米国においてフォシーガは、成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善、心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を持つ成人2型糖尿病患者の心不全による入院リスクの低減、さらに、2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人の心不全(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全入院のリスクの低下に対する承認を取得しています。
現在、日本で承認されたフォシーガの効能・効果は次の通りです。慢性腎臓病に対する適応はありません。
• 2型糖尿病
• 1型糖尿病
• 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者さんに限る。
以上
*****
慢性腎臓病について
CKDは、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患(eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義され(3))で、世界で約8.4憶人の患者さんがいると言われていますが、その多くはまだ診断されていない状態にあります(6)。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎です(7)。CKDは高い有病率や、心不全や若年死をもたらす心血管イベントリスクの増加に関与しています。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全(ESKD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります(1)。CKD患者さんの多くはESKDになる前に心血管系の原因によって死亡しています(8)。
DAPA-CKD試験について
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2〜4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験です。フォシーガ は1日1回、CKDの標準治療に追加投与されました。主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)でした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間でした。試験は日本を含む21カ国で実施されました(9)。結果はThe New England Journal of Medicineに掲載されました(9)。
DECLARE-TIMI58試験について
DECLARE-TIMI58試験は、アストラゼネカが実施する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験です。複数の心血管リスク因子、あるいは、心血管疾患の既往歴を有する患者さんを含む心血管イベントのリスクが高い成人2型糖尿病患者さんを対象に、心血管アウトカムおよび主要な腎の探索的評価項目において、フォシーガによる治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価しました。本試験には、世界33カ国882施設から17,000例を超える患者さんが登録され、TIMI試験グループ(米ボストン)がHadassah Hebrew大学メディカルセンター(イスラエル・エルサレム)と協力し、独立して実施されました。試験の結果はThe Lancetに掲載されました(10)。
フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、経口で1日1回投与の、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。フォシーガの研究は、心臓、腎臓、膵臓における基本的な関連性の解明に伴い、心臓・腎臓に及ぼす影響から、予防、そして臓器保護へと進化しています。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器が機能しなくなり、2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病といった、全世界の主要な死因となる病気を引き起こします。
約10年にわたりフォシーガは、米国において、成人2型糖尿病における食事および運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応*に持ち、単剤療法および併用療法の一環として使用されてきました。第III相DECLARE-TIMI 58 CVアウトカム試験の結果に基づき、標準治療への追加療法で、成人2型糖尿病における心不全入院および心血管死のリスク低下の適応*を取得しています(11)。フォシーガはまた、2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人の左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認された最初のSGLT2阻害剤です*。
*日本におけるフォシーガの承認された効能・効果は、「2型糖尿病」「1型糖尿病」「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」です。
2020年8月には、第III相DAPA-CKD試験において、フォシーガは、2型糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病患者さんに対して、プラセボと比較して、腎不全および心血管または腎不全による死亡からなる複合リスクを低下させたことを示しました(9)。これにより、フォシーガは、慢性腎臓病患者を対象とする腎アウトカム試験で生存期間を有意に延長し、臓器保護作用をもたらすことを示した最初のSGLT2阻害剤となりました。
“DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラムです。終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。現在、左室駆出率が保持された心不全患者さんを対象とした第III相DELIVER試験が進行中です。またフォシーガは、急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象としたDAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。
アストラゼネカの循環器・腎・代謝 (CVRM) 領域について
循環器・腎・代謝 (CVRM) はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、および、循環器・腎・代謝疾患と呼吸器・免疫疾患から成るバイオファーマにおいて、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Chronic kidney disease in the United States, 2019. [cited 2021 Apr 29]. Available from: URL: https://www.cdc.gov/kidneydisease/publications-resources/2019-national-facts.html.
2. Segall L, et al. Heart failure in patients with chronic kidney disease: a systematic integrative review. Biomed Res Int. 2014;2014:937398.
3. Bikbov B, et al. Global, regional, and national burden of chronic kidney disease, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2020;395(10225):709-733.
4. Foreman KJ, et al. Forecasting life expectancy, years of life lost, and all-cause and cause-specific mortality for 250 causes of death: reference and alternative scenarios for 2016-40 for 195 countries and territories. Lancet. 2018;392(10159):2052-2090.
5. Heerspink H. DAPA-CKD - Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. Presented at: ESC Congress 2020 - The Digital Experience, 2020 August 29 - September 01.
6. Jager KJ, et al. A single number for advocacy and communication—worldwide more than 850 million individuals have kidney diseases. Nephrol Dial Transplant. 2019;34(11):1803-1805.
7. National Kidney Foundation. Kidney Disease: Causes; 2015 [cited 2021 Apr 29]. Available from: URL: https://www.kidney.org/atoz/content/kidneydiscauses.
8. Briasoulis A, Bakris GL. Chronic kidney disease as a coronary artery disease risk equivalent. Curr Cardiol Rep. 2013;15(3):340.
9. Heerspink HJL, et al. Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease. N Engl J Med. 2020;383(15):1436-1446.
10. Mosenzon O, et al. Effects of dapagliflozin on development and progression of kidney disease in patients with type 2 diabetes: an analysis from the DECLARE–TIMI 58 Randomised Trial. Lancet. 2019;7(8):606-617.
11. Wiviott SD, et al, for the DECLARE-TIMI 58 Investigators. Dapagliflozin and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes [article and supplementary appendix]. N Engl J Med. 2019:380:347-357.
フォシーガは、第III相DAPA-CKD試験で、腎機能低下、末期腎不全、心血管死、
腎不全による死亡の複合エンドポイントにおいて、前例のないリスク低下を示した
本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年4月30日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカのSGLT2阻害剤フォシーガ(ダパグリフロジン)は、米国で、進行リスクのある成人の慢性腎臓病(CKD)における、eGFRの持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、および心不全入院のリスク低減を適応症とする承認を取得しました。
FDAによる今回の承認は、第III相DAPA-CKD試験の良好な結果に基づいており、また、今年の初めにFDAより付与された優先審査指定に続くものです。
CKDは、腎機能が低下する病態です。しばしば心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連しており、また、血液透析や腎移植が必要となることもあります(1-3)。CKDは2040年までに世界第5位の死因になると予想されています(4)。現在、米国では3,700万人がCKDに罹患していると推定されています(1)。
DAPA-CKD試験の治験運営委員会の共同代表者であるオランダのグロニンゲン大学医療センターのHiddo L. Heerspink教授は次のように述べています。「DAPA-CKD試験の前例のない結果に基づき、ダパグリフロジンはSGLT2阻害剤で初めて、糖尿病の有無に関わらないCKD治療薬として承認されました。今回の承認により、患者さんと医師は、患者さんを衰弱させ、生命を脅かすこの疾患に対する、新しい、効果的な治療選択肢を手に入れることになります。」
バイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは、次のように述べています。「今回の承認は過去20年以上のCKD治療において最も重要な進歩となります。我々は、フォシーガの優れた有効性を、2型糖尿病、左室駆出率が低下した心不全、そして直近では、CKDにおいて示してきました。この薬を米国の多くの患者さんに届けることができ、とても嬉しく思います。」
第III相DAPA-CKD試験においてフォシーガは、CKDステージ2〜4、かつ、尿中アルブミン排泄の増加を認める患者さんを対象に、ACEiもしくはARBによる標準治療への併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目を、プラセボと比較して39%低下させました(p<0.0001)。絶対リスク減少率(ARR)は、中央値2.4年の試験において5.3%でした。フォシーガはまた、全死亡のリスクをプラセボと比較して有意に31%低下させました(ARR = 2.1%、p=0.0035)(5)。
また、フォシーガの心血管アウトカムを評価した無作為化二重盲検プラセボ対照第III相DECLARE-TIMI58試験において、フォシーガは進行していないCKDにおいても有効であることを示唆する結果が得られています。フォシーガは多発性嚢胞腎を併発する、もしくは、免疫抑制剤による腎疾患の治療歴がある/治療を必要とするCKD患者さんの治療への使用は、有効性が確認されていないため、推奨されていません。
両方の試験において、フォシーガの安全性と忍容性はこれまで確認された安全性プロファイルと一致していました。
米国においてフォシーガは、成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善、心血管疾患の既往歴または複数の心血管リスク因子を持つ成人2型糖尿病患者の心不全による入院リスクの低減、さらに、2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人の心不全(NYHA心機能分類:IIからIV)の心血管死および心不全入院のリスクの低下に対する承認を取得しています。
現在、日本で承認されたフォシーガの効能・効果は次の通りです。慢性腎臓病に対する適応はありません。
• 2型糖尿病
• 1型糖尿病
• 慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者さんに限る。
以上
*****
慢性腎臓病について
CKDは、腎機能の低下を伴う重篤な進行性の疾患(eGFRの低下、あるいは腎臓の障害を示唆する指標の変化、もしくはその両方が、最低3カ月間認められた場合と定義され(3))で、世界で約8.4憶人の患者さんがいると言われていますが、その多くはまだ診断されていない状態にあります(6)。CKDを発症する最も一般的な原因疾患は、糖尿病、高血圧、糸球体腎炎です(7)。CKDは高い有病率や、心不全や若年死をもたらす心血管イベントリスクの増加に関与しています。CKDの最も重篤な状態は末期腎不全(ESKD)と呼ばれ、腎障害および腎機能低下が進行し、血液透析や腎移植を必要とする状態となります(1)。CKD患者さんの多くはESKDになる前に心血管系の原因によって死亡しています(8)。
DAPA-CKD試験について
DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2〜4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験です。フォシーガ は1日1回、CKDの標準治療に追加投与されました。主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)でした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間でした。試験は日本を含む21カ国で実施されました(9)。結果はThe New England Journal of Medicineに掲載されました(9)。
DECLARE-TIMI58試験について
DECLARE-TIMI58試験は、アストラゼネカが実施する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験です。複数の心血管リスク因子、あるいは、心血管疾患の既往歴を有する患者さんを含む心血管イベントのリスクが高い成人2型糖尿病患者さんを対象に、心血管アウトカムおよび主要な腎の探索的評価項目において、フォシーガによる治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価しました。本試験には、世界33カ国882施設から17,000例を超える患者さんが登録され、TIMI試験グループ(米ボストン)がHadassah Hebrew大学メディカルセンター(イスラエル・エルサレム)と協力し、独立して実施されました。試験の結果はThe Lancetに掲載されました(10)。
フォシーガについて
フォシーガ(ダパグリフロジン)は、経口で1日1回投与の、ファーストインクラスの選択的SGLT2阻害剤です。フォシーガの研究は、心臓、腎臓、膵臓における基本的な関連性の解明に伴い、心臓・腎臓に及ぼす影響から、予防、そして臓器保護へと進化しています。これらの臓器の一つでも損傷を受けると、他の臓器が機能しなくなり、2型糖尿病、心不全、慢性腎臓病といった、全世界の主要な死因となる病気を引き起こします。
約10年にわたりフォシーガは、米国において、成人2型糖尿病における食事および運動療法の補助療法としての血糖コントロールの改善を適応*に持ち、単剤療法および併用療法の一環として使用されてきました。第III相DECLARE-TIMI 58 CVアウトカム試験の結果に基づき、標準治療への追加療法で、成人2型糖尿病における心不全入院および心血管死のリスク低下の適応*を取得しています(11)。フォシーガはまた、2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人の左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認された最初のSGLT2阻害剤です*。
*日本におけるフォシーガの承認された効能・効果は、「2型糖尿病」「1型糖尿病」「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」です。
2020年8月には、第III相DAPA-CKD試験において、フォシーガは、2型糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病患者さんに対して、プラセボと比較して、腎不全および心血管または腎不全による死亡からなる複合リスクを低下させたことを示しました(9)。これにより、フォシーガは、慢性腎臓病患者を対象とする腎アウトカム試験で生存期間を有意に延長し、臓器保護作用をもたらすことを示した最初のSGLT2阻害剤となりました。
“DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラムです。終了済みの試験を含め35,000例以上の患者さんを対象とする35件以上の第IIb/III相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されています。現在、左室駆出率が保持された心不全患者さんを対象とした第III相DELIVER試験が進行中です。またフォシーガは、急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者さんを対象としたDAPA-MI試験が進行中です。DAPA-MI試験は、この種の試験では初めてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験です。
アストラゼネカの循環器・腎・代謝 (CVRM) 領域について
循環器・腎・代謝 (CVRM) はアストラゼネカの主要治療領域のひとつであり、当社にとって重要な成長ドライバーです。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追求し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、循環器・腎・代謝 疾患をもつ世界中の何百万人もの患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器およびその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、および、循環器・腎・代謝疾患と呼吸器・免疫疾患から成るバイオファーマにおいて、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Chronic kidney disease in the United States, 2019. [cited 2021 Apr 29]. Available from: URL: https://www.cdc.gov/kidneydisease/publications-resources/2019-national-facts.html.
2. Segall L, et al. Heart failure in patients with chronic kidney disease: a systematic integrative review. Biomed Res Int. 2014;2014:937398.
3. Bikbov B, et al. Global, regional, and national burden of chronic kidney disease, 1990–2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet. 2020;395(10225):709-733.
4. Foreman KJ, et al. Forecasting life expectancy, years of life lost, and all-cause and cause-specific mortality for 250 causes of death: reference and alternative scenarios for 2016-40 for 195 countries and territories. Lancet. 2018;392(10159):2052-2090.
5. Heerspink H. DAPA-CKD - Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. Presented at: ESC Congress 2020 - The Digital Experience, 2020 August 29 - September 01.
6. Jager KJ, et al. A single number for advocacy and communication—worldwide more than 850 million individuals have kidney diseases. Nephrol Dial Transplant. 2019;34(11):1803-1805.
7. National Kidney Foundation. Kidney Disease: Causes; 2015 [cited 2021 Apr 29]. Available from: URL: https://www.kidney.org/atoz/content/kidneydiscauses.
8. Briasoulis A, Bakris GL. Chronic kidney disease as a coronary artery disease risk equivalent. Curr Cardiol Rep. 2013;15(3):340.
9. Heerspink HJL, et al. Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease. N Engl J Med. 2020;383(15):1436-1446.
10. Mosenzon O, et al. Effects of dapagliflozin on development and progression of kidney disease in patients with type 2 diabetes: an analysis from the DECLARE–TIMI 58 Randomised Trial. Lancet. 2019;7(8):606-617.
11. Wiviott SD, et al, for the DECLARE-TIMI 58 Investigators. Dapagliflozin and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes [article and supplementary appendix]. N Engl J Med. 2019:380:347-357.