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ニルセビマブの第III相MELODY試験、主要評価項目である健康な乳児のRSウイルスに起因する下気道感染の低減を達成

一般乳児を対象にRSウイルスに対する予防効果を示した初の受動免疫療法

本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年4月26日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

ニルセビマブの第III相MELODY試験は、呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)感染症流行シーズンを初めて迎えた健康な後期早産児および正期産児(在胎35週以上)において、プラセボに対して、主要評価項目であるRSウイルスに起因する診療を要した下気道感染症 (LRTI)の発症頻度の統計学的有意な低下を達成しました(1)。

ニルセビマブはアストラゼネカとサノフィにより開発中のアストラゼネカ独自の半減期延長 (YTE)技術を用いた長期作用型抗体であり、乳幼児に直接免疫を与えることで即時にRSウイルスに対する予防効果を発現させる可能性を有しています。第III相試験で初めて一般の乳児においてRSウイルスに対する予防効果が示されました。

ニルセビマブの安全性プロファイルの中間解析はこれまでの試験データと一貫していました。ニルセビマブとプラセボ群の安全性に関して臨床的な懸念は見られませんでした(1)。

RSウイルスは、細気管支炎および肺炎を含むLRTIの季節性流行の原因となる極めて一般的な伝染性ウイルスです(2-4)。これは、世界中で乳幼児が入院する主な原因となっています(4)。

米イリノイ州シカゴのノースウェスタン大学ファインバーグ医学部小児科准教授、Ann & Robert H. Lurie小児病院の臨床及びCommunity試験の学術部長であり、第III相MELODY試験の治験責任医師であるWillian Muller博士は次のように述べています。「生後1年以内においてRSウイルスが肺炎および細気管支炎の主な原因であるにもかかわらず、現在すべての乳児に対し承認されている予防選択肢はありません。これらの非常に有望な試験データは、ニルセビマブがRSウイルス流行シーズン全体における広範な乳幼児集団への予防効果をもたらすのみならず、単回投与でこれを達成することにより予防療法全体を変革する可能性を実証しています」。

アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門エグゼクティブバイスプレジデントMene Pangalosは次のように述べています。「この画期的な結果は、すべての乳児にRSウイルスへの感染予防効果を提供するという当社の取り組みにおいて大きな科学的進歩を示すものです。ほぼすべての小児は2歳までにRSウイルスに感染し、毎年、全世界で約3,000万例が急性下気道感染症を発症しています。ニルセビマブは、一般乳児集団に対する初のRSウイルスへの予防接種として公衆衛生上の多大な利益を提供し得る可能性を有しており、これらのデータにより当社は世界中の乳児へニルセビマブの提供に向けて一歩前進しました」。

サノフィパスツールのグローバル研究開発の責任者であるJean-François Toussaintは次のように述べています。「RSウイルスは、すべての乳児における入院の主な原因です。実際、RSウイルス感染症で入院する乳児の大部分は、健康上の問題がなく生まれた乳児です。すべての乳児に対しRSウイルス感染症を予防する必要があることは明らかです。私たちは、ニルセビマブが定期的な予防接種のスケジュールに追加されることを期待しています」。

MELODY試験の主要評価項目の評価は予想よりも早く実施されました。世界的な公衆衛生上の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策はRSウイルスを含むすべての呼吸器系ウイルスの流行を低減しましたが、このパンデミック以前に、プラセボに対するニルセビマブのRSV LRTIを予防する効果を評価するために十分な症例が蓄積されました。本試験は、さらなる安全性データを収集すべく進行中です。MELODY試験の結果は今後の医学学術集会で発表されます。

また、ニルセビマブは、RSウイルスシーズンを初めて、あるいは再度迎える早産児および慢性肺疾患(CLD)や先天性心疾患(CHD)に罹患している乳児を対象とし、現行の抗RSウイルス薬であるシナジス(パリビズマブ)との比較で、ニルセビマブの安全性および忍容性を評価するMEDLEY 第II/III試験においても評価中です。MEDLEY試験は2021年第2四半期に最初のデータを先行して発表することが想定されています。MELODY試験、MEDLEY試験ならびに第IIb相試験は、2022年に予定しているアストラゼネカの薬事承認申請の基本的な根拠データとなります。

ニルセビマブは世界的に主要な3つの規制当局により画期的治療薬の指定を受けています。中国の国家食品医薬品監督管理局医薬品審査評価センターによる画期的治療薬指定、米国食品医薬品局による画期的治療薬指定、ならびに欧州医薬品庁のPRIority Medicines(PRIME) へのアクセスの付与を含みます。

※ニルセビマブは本邦未承認です。

以上

*****

呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)について
RSウイルスは、気道に感染する一般的な伝染性ウイルスで、世界中で何百万件もの入院の原因となっており、米国では1歳未満の乳児の細気管支炎や肺炎の最もよく見られる原因となっています(2-4)。2015年に世界中で、急性下気道感染症を約3,000万人が発症し、うち300万件以上が入院となり、5歳未満の乳幼児の入院中の死亡は6万件と推定されました(4,6)。RSウイルスが原因の入院の大部分はウイルス感染がなければ健康な正期産児でした(7-11)。さらに、診療を要したLRTIは医療コストの増大を伴いました(12)。

MELODY試験について
MELODY試験は、RSウイルスの流行シーズンを初めて迎えた健康な乳児を対象とし、投与後150日間プラセボとの比較で、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査により確認されたRSウイルスに起因する診療を要したLRTIの発現率の検証を目的とする、少なくとも21カ国で実施された無作為化プラセボ対照第III相試験です。在胎35週以上の健康な後期早産児および正期産児が2:1の割合でニルセビマブの筋肉内注射による50mg単回投与群(体重5kg未満の乳児)もしくは100mg単回投与群(体重5kg超の乳児)またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられました。2019年7月から2021年2月までの期間に約1,500例の乳児がニルセビマブまたはプラセボの投与をRSウイルスの流行シーズン当初に受けました1。安全性評価を完了すべく、さらに1,500例の乳児が北および南半球で登録されます。

ニルセビマブについて
ニルセビマブは、RSウイルスに起因するLRTIの予防を目的として開発中の、長時間作用型抗体です。ニルセビマブは、現行の標準治療であるシナジスよりも広範な乳幼児集団を投与対象として開発中であり、RSウイルス流行シーズンを初めて迎えるすべての乳児と初めておよび2度目のRSウイルス流行シーズンを迎える先天性心疾患(CHD)または慢性肺疾患(CLD)を有する乳幼児を対象に開発中です(13-15)。同剤に用いられている半減期延長技術により、一般的に5カ月にわたるRSウイルス流行シーズンにおけるニルセビマブの必要投与回数は1回となる可能性があります(14)。現行の抗RSウイルス抗体であるシナジスは投与対象が高リスクの小児に限られているとともに、予防期間は1カ月であるため、1度のRSウイルス流行シーズンに5回の投与が必要です(15)。

ニルセビマブは受動免疫療法であり、個人の免疫系が活性化されワクチンを介して感染を予防または症状を軽減するする能動免疫療法とは異なり、抗体が乳幼児に直接投与されることにより、RSウイルス感染の予防を助けます(16)。予防効果の発現に数週間も要する能動免疫療法とは異なり、受動免疫療法は即時に予防効果を発現することが可能です(16)。

2017年3月、アストラゼネカとサノフィはニルセビマブの開発および商業化に関する契約を発表しました。本契約に基づき、アストラゼネカは初回の薬事承認までのすべての開発活動を主導するとともに製造活動を保持し、サノフィは商業化活動を主導し収益を計上します。この全世界を対象とする契約に基づき、サノフィは1億2,000万ユーロの契約一時金および3,000万ユーロの開発マイルストーンを支払いましたが、さらに、最大4億6,500万ドルを一定の開発および売上関連のマイルストーン達成時に支払うことになります。両社はすべてのコストと利益を折半します。本契約による収益は当社の財務諸表において提携収入として計上されます。

関連事項として、2018年11月、アストラゼネカは、アストラゼネカが受領する可能性のあるニルセビマブの米国における損益をSobiが共有する権利に加え、シナジスの米国における商業化権利をスウェーデンのオーファン・バイオビトラムAB(上場企業)(略称:Sobi) に売却しました。本契約に基づき、アストラゼネカは、契約完了時に現金で10億ドルおよびSobiの普通株式で5億ドルからなる15億ドルの対価を一時金として受領しましたが、2019年から2021年までの期間にニルセビマブに関する最大で合計6,000万ドルの無条件の支払いも受領することになります。また、アストラゼネカは最大4億7,000万ドルのシナジスに対する売上関連の支払い、ニルセビマブの生物製剤承認申請後の1億7,500慢ドルのマイルストーン、およびその他のニルセビマブの利益および開発関連マイルストーン達成に対し可能性のある約1億1,000万ドルの正味支払いも受領することになります。

アストラゼネカの呼吸器・自己免疫疾患領域について
呼吸器・免疫疾患はアストラゼネカが注力する3つの疾患領域のひとつで、当社にとって重要な成長の原動力です。

50年の歴史を基盤として、アストラゼネカは吸入薬および生物学的製剤による呼吸器疾患治療の確固たるリーダーです。アストラゼネカは、すべての重症度における予防可能な喘息発作をなくし、生物学的製剤を中心とした早期治療によりCOPDを死因の上位から除くことで、喘息およびCOPD治療を革新的に向上させ、COPDを死因の上位から除くことを目指しています。また、当社の初期の呼吸器領域研究では、疾患や神経機能不全における免疫機構、肺損傷および異常細胞修復プロセス等の新たなサイエンスに焦点を当てています。

アストラゼネカは、呼吸器疾患と自己免疫疾患に共通する経路と基礎疾患ドライバーを足掛かりに、慢性肺疾患から自己免疫疾患領域まで網羅する研究に注力していきます。また、リウマチ疾患(全身性エリテマトーデスを含む)、皮膚疾患、消化器疾患、全身性好酸球性疾患をはじめ、複数疾患につながる可能性がある5つの中期〜後期フランチャイズに焦点を当て、自己免疫疾患領域におけるプレゼンスを高めています。アストラゼネカは、自己免疫疾患領域において、標的とする自己免疫に起因する疾患の疾患コントロールおよび究極的には臨床的な寛解を達成することを目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Clinicaltrials.gov. A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of MEDI8897 for the Prevention of M  
edically Attended RSV LRTI in Healthy Late Preterm and Term Infants (MELODY) . https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03979313. Accessed April 2021.
2. Piedimonte G, Perez MK. Respiratory syncytial virus infection and bronchiolitis. Pediatr Rev.2014;35:519-53.
3. Oymar K, et al. Acute bronchiolitis in infants, a review. Scand J Trauma Resusc Emerg Med.2014;22:23.
4. Shi T, et al. Global, regional, and national disease burden estimates of acute lower respiratoryinfections due to respiratory syncytial virus in young children in 2015: a systematic review and modelling study. Lancet 2017;390:946–58.
5. Clinicaltrials.gov. A Study to Evaluate the Safety of MEDI8897 for the Prevention of MedicallyAttended Respiratory Syncytial Virus (RSV) Lower Respiratory Track Infection (LRTI) in High-risk Children. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03959488. Accessed April 2021.
6. Oxford Vaccines Group. What is RSV? https://vk.ovg.ox.ac.uk/vk/rsv. Accessed April 2021.
7. Hall CB, et al. Respiratory syncytial virus-associated hospitalizations among children less than24 months of age. Pediatrics. 2013;132:e341-e348.
8. Rha B, et al. Respiratory Syncytial Virus-Associated Hospitalizations Among Young Children:2015-2016. Pediatrics. 2020;146:e20193611.
9. Arriola CS, et al. Estimated Burden of Community-Onset Respiratory Syncytial Virus-Associated Hospitalizations Among Children Aged <2 Years in the United States, 2014-15. J Pediatric Infect Dis Soc. 2020;9:587-595
10. Krilov LR, et al. Impact of the 2014 American Academy of Pediatrics Immunoprophylaxis Policy on the Rate, Severity, and Cost of Respiratory Syncytial Virus Hospitalizations among Preterm Infants. Am J Perinatol. 2020;37:174-183.
11. Scheltema NM, et al. Global respiratory syncytial virus-associated mortality in young children(RS
VGOLD) : a retrospective case series. Lancet Glob Health. 2017;5:e984-9.
12. Zhang S, et al. Cost of Respiratory Syncytial Virus-Associated Acute Lower Respiratory Infection Management in Young Children at the Regional and Global Level: A Systematic Review and Meta-Analysis.J Infect Dis. 2020;222(Suppl 7) :S680-687.
13. Villafana T, et al. Passive and active immunization against respiratory syncytial virus for the young and old. Expert Rev Vaccines. 2017;16:1-39.
14. Zhu Q, et al. A highly potent extended half-life antibody as a potential RSV vaccine surrogate for all infants. Sci Transl Med. 2017;9:pii: eaaj1928
15. Synagis (palivizumab) injection prescribing information. Available at: https://www.synagis.com/synagis.pdf Accessed April 2021.
16. Centers for Disease Control and Prevention. Vaccines & Immunizations. August 18, 2017. https://www.cdc.gov/vaccines/vac-gen/immunity-types.htm. Accessed April 2021.
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