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ニルセビマブの第II/III相MEDLEY試験、RSウイルス感染の高リスク乳児において良好な安全性および忍容性プロファイルを示す

本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年6月28日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

ニルセビマブはすべての乳幼児におけるRSウイルスに対する受動免疫療法として開発中です

第II/III相MEDLEY試験では、呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)の流行シーズンを初めて迎えたRSウイルス感染における高リスクの乳児を対象に、シナジス (パリビズマブ) に対する、ニルセビマブの安全性と忍容性を評価しました(1)。
本試験では、慢性肺疾患 (CLD)に罹患した乳児、先天性心疾患(CHD)に罹患した乳児、早産児のいずれか1つ以上に該当する乳児に対してニルセビマブの安全性を評価しました。試験治療下で発現した有害事象 (TEAEs) もしくは試験治療下で発現した重篤な有害事象 (TESAEs) の発現率は両治療群間で同様でした(1)。

ニルセビマブはアストラゼネカとサノフィにより開発中のアストラゼネカ独自の半減期延長 (YTE)技術を用いた長時間作用型抗体であり、乳幼児に直接免疫を与え、単回投与で流行シーズン全体を通して、RSウイルスに対する感染予防効果を発揮させる可能性を有しています。

米国ニューヨーク州シラキュースのニューヨーク州立大学アップステートメディカルセンターの小児科教授かつ微生物学および免疫学教授であり、MEDLEY試験の主任治験担当医師であるJoseph Domachowske博士は次のように述べています。「ニルセビマブに関するこれらのデータは重要なデータで、早産児および疾患を有する乳児のRSウイルスに起因する下気道感染症に対し、既存の感染予防の唯一の選択肢に匹敵する安全性および忍容性プロファイルを示すものです。通常、RSウイルスの流行シーズンは米国では5カ月近く継続するため、単回投与によりシーズン全体を通じてすべての乳幼児を防御する感染予防の選択肢を提供するという潜在的な利点が示唆されています」。

アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門エグゼクティブバイスプレジデントMene Pangalosは次のように述べています。「RSウイルスは乳幼児における入院の最大の要因です。これらの結果は、第III相MELODY試験および第IIb相試験で発表された良好な安全性の結果と共に、単回投与ですべての乳幼児おいてRSウイルスへの感染を予防するニルセビマブの可能性を実証する一連の根拠に寄与するものです。この結果を規制当局と共有することを楽しみにしています」。

サノフィパスツールのグローバル研究開発部門の責任者であるJean-François Toussaintは次のように述べています。「RSウイルス感染症は、すべての乳児に使用可能な予防法がいまだに存在しない感染症のなかでも、特に多い疾患です。私たちは、ニルセビマブが、早期産児、正期産児、健常児、および健康に問題のある乳児も含めた、すべての乳児に対する定期的な予防接種のスケジュールに、重要な要素として新たに加わる可能性があると信じています」。

MEDLEY試験の結果の全容は今後の医学学会の学術集会で発表されます。本試験はさらなる安全性データを収集すべく現在も実施中です。

また、ニルセビマブは、RSウイルスの流行シーズンを初めて迎えた健康な後期早産児および正期産児において、プラセボと比較し、RSウイルスに起因する診療を要した下気道感染症 (LRTI)の発症頻度の統計学的有意な低下を達成した第III相MELODY試験においても評価中です。MEDLEY試験ならびにMELODY試験と第IIb相試験は、薬事承認申請の基本的な根拠データとなります。

ニルセビマブは世界的に主要な3つの規制当局により画期的治療薬の指定を受けています。中国の国家食品医薬品監督管理局医薬品審査評価センターによる画期的治療薬指定、米国食品医薬品局による画期的治療薬指定、ならびに欧州医薬品庁のPRIority MEdicines (PRIME)スキームへのアクセスの付与を含みます。

※現在、ニルセビマブが承認されている国はありません。

以上

*****
呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス) について
RSウイルスは、気管支炎や肺炎を含む、LRTIの季節的流行の原因となる一般的な伝染性病原体です(2-4)。これは、世界中で乳幼児における入院の最大の原因となっています(4)。現在、シナジスが早産児や高リスクの乳幼児におけるRSウイルスに起因する重篤なLRTI予防に対し承認された唯一の選択肢ですが、一般的なRSウイルス流行シーズンにおいて最大5回の注射による投与を必要とします(5)。2015年に世界中で、急性下気道感染症を約3,000万人が発症、うち300万例以上が入院となり、5歳未満の乳幼児の入院中の死亡は6万例と推定されました(4,6)。RSウイルスに起因する入院の大部分はウイルス感染以外については健康な正期産児でした(7-11)。 さらに、診療を要したLRTIは医療コストの増大を伴いました(12)。

MEDLEY試験について
MEDLEY試験は、早産児およびシナジスによる治療が適格な高リスクの乳幼児を対象とし、ニルセビマブの安全性および忍容性の評価を目的とする無作為化二重盲検シナジス対照第II/III相試験です。2019年7月から2021年5月までの期間に、RSウイルス流行シーズンを初めて迎えた約925例の乳幼児が、ニルセビマブまたはシナジスの投与を受けました。安全性は、投与後360日間のTEAEsおよびTESAEsの発現頻度が評価されます。高リスクの乳幼児は、CLD/CHDを発症していない在胎35週以内の乳児またはCLDまたは血行動態に異常のあるCHDを発症している早産児と定義します(1)。

MEDLEY試験においてニルセビマブの安全性および忍容性の評価は、前倒しで実施されました。主要解析は、初めて迎えるRSウイルスの流行シーズンを通し、十分な人数の乳幼児が試験に登録されたことにより、シナジスに対するニルセビマブの安全性および忍容性の早期の評価を可能にしました。

MELODY試験について
MELODY試験は、RSウイルスの流行シーズンを初めて迎えた健康な乳児を対象とし、投与後150日間プラセボとの比較で、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応 (RT-PCR) 検査により確認されたRSウイルスに起因する診療を要したLRTIの発現率の検証を目的とする、少なくとも21カ国で実施された無作為化プラセボ対照第III相試験です。在胎35週以上の健康な後期早産児および正期産児が、ニルセビマブ の筋肉内注射による50mg 単回投与群 (体重5kg未満の乳児)もしくは100mg 単回投与群 (体重5kg超の乳児) またはプラセボ投与群に2:1の割合で無作為に割り付けられました。2019年7月から2021年2月までの期間に約1,500例の乳児がニルセビマブまたはプラセボの投与をRSウイルスの流行シーズン当初に受けました(13)。安全性評価を完了すべく、さらに1,500例の乳児が全世界的に登録されます。

ニルセビマブについて
ニルセビマブは、RSウイルスに起因するLRTIの予防を目的として開発中の、長時間作用型抗体 です。ニルセビマブは、現行の標準治療であるシナジスよりも広範な乳幼児集団を投与対象として開発中です(5, 14,15) 。同剤に用いられている半減期延長技術により、一般的に5カ月にわたるRSウイルス流行シーズンにおけるニルセビマブの必要投与回数は1回となる可能性があります(15)。現行の抗RSウイルス抗体であるアストラゼネカのシナジス は投与対象が高リスクの小児に限られているとともに、予防期間は1カ月であるため、1度のRSウイルス流行シーズンに5回の投与が必要です(5)。

ニルセビマブは受動免疫療法であり、ワクチンを介して活性化された個人の免疫系が感染を予防または症状を軽減するする能動免疫療法とは異なり、抗体が乳幼児に直接投与されることにより、RSウイルス感染の予防を助けます(16)。予防効果の発現に数週間も要する能動免疫療法とは異なり、受動免疫療法は即時に予防効果を発現することが可能です(16)。

2017年3月、アストラゼネカとサノフィはニルセビマブの開発および商業化に関する契約を発表しました。本契約に基づき、アストラゼネカは初回の薬事承認までのすべての開発活動を主導するとともに製造活動を保持し、サノフィは商業化活動を主導し収益を計上します。この全世界を対象とする契約に基づき、サノフィは1億2,000万ユーロの契約一時金および3,000万ユーロの開発マイルストーンを支払いましたが、さらに、最大4億6,500万ドルを一定の開発および売上関連のマイルストーン達成時に支払うことになります。両社はすべてのコストと利益を折半します。本契約による収益は当社の財務諸表において提携収入として計上されます。

関連事項として、2018年11月、アストラゼネカは、アストラゼネカが受領する可能性のあるニルセビマブの米国における損益をオーファン・バイオビトラム AB (上場企業) (略称:Sobi)が共有する権利に加え、シナジスの米国における商業化権利をSobiに売却しました。 本契約に基づき、アストラゼネカは、契約完了時に現金で10億ドルおよびSobiの普通株式で5億ドルからなる15億ドルの対価を一時金として受領しましたが、2019年から2021年までの期間にニルセビマブ に関する最大で合計6,000万ドルの無条件の支払いも受領することになります。また、アストラゼネカは最大4億7,000万ドルのシナジスに対する売上関連の支払い、ニルセビマブの生物製剤承認申請 (BLA) 後の1億7,500万ドルのマイルストーン、およびその他のニルセビマブの利益および開発関連マイルストーン達成に対し可能性のある約1億1,000万ドルの正味支払いも受領することになります。BLA後の1億7,500万ドルの支払い後, 米国におけるニルセビマブに関するサノフィとの契約に基づき、Sobiの継続的参画は損益のアストラゼネカの全持分に達することになります。アストラゼネカは引き続き世界中でニルセビマブの製造および供給を行う一方、米国におけるニルセビマブの利益が事前に規定された水準を超えた場合、Sobiから追加のロイヤリティを受け取る権利を有しています。

アストラゼネカの呼吸器・自己免疫疾患領域について
呼吸器・免疫疾患はアストラゼネカが注力する3つの疾患領域のひとつで、当社にとって重要な成長の原動力です。

50年の歴史を基盤として、アストラゼネカは吸入薬および生物学的製剤による呼吸器疾患治療の確固たるリーダーです。アストラゼネカは、予防可能な喘息発作をなくし、生物学的製剤を中心とした早期治療によりCOPDを死因の上位3位から除くことで、喘息およびCOPD治療を革新的に向上させることを目指しています。また、当社の初期の呼吸器領域研究では、疾患や神経機能不全における免疫機構、肺損傷および異常細胞修復プロセス等の新たなサイエンスに焦点を当てています。

アストラゼネカは、呼吸器疾患と自己免疫疾患に共通する情報伝達経路と基礎疾患ドライバーを足掛かりに、慢性肺疾患から自己免疫疾患領域まで網羅する研究に注力していきます。また、リウマチ性疾患 (全身性エリテマトーデスを含む) 、皮膚疾患、消化器疾患、全身性好酸球性疾患をはじめ、複数疾患につながる可能性がある5つの中期〜後期フランチャイズに焦点を当て、自己免疫疾患領域におけるプレゼンスを高めています。アストラゼネカは、自己免疫疾患領域において、標的とする自己免疫に起因する疾患の疾患コントロールおよび究極的には臨床的な寛解を世界中の何百万人もの患者さんのために達成することを目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはastrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ) をフォローしてご覧ください。

References
1. Clinicaltrials.gov. A Study to Evaluate the Safety of MEDI8897 for the Prevention of Medically Attended Respiratory Syncytial Virus (RSV) Lower Respiratory Track Infection (LRTI) in High-risk Children. https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03959488. Accessed June 2021.
2. Piedimonte G, Perez MK. Pediatr Rev. 2014;35(12):519-53
3. Oymar K et al. Scand J Trauma Resusc Emerg Med. 2014;22:23
4. Shi T, et al. Global, regional, and national disease burden estimates of acute lower respiratory infections due to respiratory syncytial virus in young children in 2015: a systematic review and modelling study. Lancet 2017; 390: 946–58.
5. Synagis (palivizumab) injection prescribing information. Available at: https://www.synagis.com/synagis.pdf. Accessed June 2021.
6. Oxford Vaccines Group. What is RSV? https://vk.ovg.ox.ac.uk/vk/rsv. Accessed April 2021
7. Hall CB, et al. Respiratory syncytial virus-associated hospitalizations among children less than 24 months of age. Pediatrics. 2013;132:e341-e348.
8. Rha B, et al. Respiratory Syncytial Virus-Associated Hospitalizations Among Young Children: 2015-2016. Pediatrics. 2020;146:e20193611.
9. Arriola CS, et al. Estimated Burden of Community-Onset Respiratory Syncytial Virus-Associated Hospitalizations Among Children Aged <2 Years in the United States, 2014-15. J Pediatric Infect Dis Soc. 2020;9:587-595
10. Krilov LR, et al. Impact of the 2014 American Academy of Pediatrics Immunoprophylaxis Policy on the Rate, Severity, and Cost of Respiratory Syncytial Virus Hospitalizations among Preterm Infants. Am J Perinatol. 2020;37:174-183.
11. Scheltema NM, et al. Global respiratory syncytial virus-associated mortality in young children (RSV GOLD): a retrospective case series. Lancet Glob Health. 2017;5:e984-9.
12. Zhang S et al. J Infect Dis. 2020. doi: 10.1093/infdis/jiz683
13. Clinicaltrials.gov. A Study to Evaluate the Safety and Efficacy of MEDI8897 for the Prevention of Medically Attended RSV LRTI in Healthy Late Preterm and Term Infants (MELODY). https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03979313. Accessed June 2021.
14. Villafana T, et al. Passive and active immunization against respiratory syncytial virus for the young and old. Expert Rev Vaccines. 2017;16:1-39.
15. Zhu Q, et al. A highly potent extended half-life antibody as a potential RSV vaccine surrogate for all infants. Sci Transl Med. 2017;9:pii: eaaj1928
16. Centers for Disease Control and Prevention. Vaccines & Immunizations. August 18, 2017. https://www.cdc.gov/vaccines/vac-gen/immunity-types.htm. Accessed June 2021.
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