アストラゼネカのビレーズトリエアロスフィア、中等症〜最重症のCOPD患者さんを対象とした第III相KRONOS試験のサブグループ解析の結果を発表
[21/07/09]
提供元:PRTIMES
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〜血中好酸球数300細胞/mm3未満、且つ、気道可逆性なしのCOPD患者における有効性・安全性を評価〜
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、3剤配合剤のビレーズトリ™エアロスフィア(R)(一般名:ブデソニド160µg/グリコピロニウム臭化物14.4µg/ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6µg、以下、ビレーズトリ)の第III相KRONOS試験の対象である中等症〜最重症COPD患者(全体集団1,899例)のうち、血中好酸球数300細胞/mm3未満、且つ、気道可逆性なしの患者さん(サブグループ解析集団948例)を対象として、主要評価項目である12〜24週における朝のトラフFEV1(※1)のベースラインからの変化量、その他評価項目である中等度又は重度のCOPD増悪率について、サブグループ解析を実施しました。
その結果、ビレーズトリ群は、ビベスピ™エアロスフィア(R)(一般名:グリコピロニウム臭化物14.4µg/ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6µg、以下、ビべスピ)と比較して、同程度の呼吸機能の改善効果を示しました。また、ビレーズトリ群は、ビベスピ群と比較して、中等度又は重度のCOPD増悪率を有意に抑制しました。なお、肺炎を含む有害事象の頻度はKRONOS試験全体集団とサブグループ解析集団では同程度である事が示されました。
本サブグループ解析は、第60回日本呼吸器学会学術講演会において2020年に発表され(1)、この度Respiratory Researchに掲載されました(2)。
日本呼吸器学会が発刊している『COPD診断と治療のためのガイドライン2018』では、喘息病態合併のCOPD患者さんにICSを含む治療を推奨しています(3)。本サブグループ解析の結果により、いくつかの喘息様特徴を除いたサブグループ解析集団(血中好酸球数300細胞/mm3未満、且つ、気道可逆性なし)においても、優れた有効性と全体集団と同様の安全性が示されたことから、ガイドラインで推奨されている対象に加えて、喘息様特徴を除いたCOPD患者さんにとっても3剤配合剤が有用である可能性が示されました。
本論文の筆頭著者であり、奈良県立医科大学呼吸器内科学講座の教授である室繁郎先生は次のように述べています。「気道可逆性を有することや末梢血好酸球数300細胞/mm3を超える事は喘息要素の存在を示唆し(4)、ICSの効果が期待できる症例と想定されています。今回のサブグループ解析では、これら二つの特徴がない対象においても、トリプル製剤であるビレーズトリがビベスピよりも増悪抑制効果に優れていることが示唆されました。24週間の短期試験の事後解析であること、増悪が全体集団におけるその他の評価項目であることなどの留意事項はあるものの、トリプル製剤が喘息要素の乏しい症例においても有効であることを示唆する新たなデータではないかと考えています」。
アストラゼネカは、「サイエンスを追い求める」を企業バリューのひとつとしています。アストラゼネカは今後もCOPD治療への貢献に引き続き尽力してまいります。
(※1)FEV1(1秒量): FVC(努力性肺活量)のうち、最初の1秒間に吐き出した空気量。FVCとは最大吸気位から最大呼気位まで一気に吐き出した呼出量。
以上
*****
慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPDは、肺の気流閉塞により息切れが起き、体力が消耗する進行性の疾患です(5)。COPDは世界中で推定3億8,400 万人に影響を与え(6)、世界の死因第3位です(7)。肺機能の改善、増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することが、COPDの重要な治療目標です(5)。COPDが悪化するだけで、著しい肺機能の低下(8)、生活の質の大幅な低下(9)、平均余命の大幅な短縮、死亡リスク増加につながる可能性があります(10.11)。
KRONOS試験について
KRONOS試験は、ビレーズトリの安全性および有効性を評価する、多施設無作為化二重盲検並行群間比較24週持続投与試験です。本試験は、ビレーズトリ(ブデソニド160µg,グリコピロニウム臭化物14.4µg,ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6µgの配合剤)をビべスピ(グリコピロニウムとホルモテロールフマル酸塩14.4/9.6μgの配合剤)、PT009(エアロスフィア薬物送達技術を用いた加圧噴霧式定量吸入器[pMDI]によるブデソニドとホルモテロールフマル酸塩320/9.6µgの配合剤)、および、シムビコートタービュヘイラー(非盲検、ブデソニドとホルモテロールフマル酸塩400/12μgの配合剤)と比較しました。患者さんはビレーズトリ、ビべスピ、PT009、シムビコートタービュヘイラーのいずれかの1回2吸入を1日2回吸入しました。KRONOS試験は、約1,900例の中等症から最重症のCOPD患者さんを対象に実施し、約4分の3 (74%)の患者さんに過去12カ月間報告された増悪はありませんでした。その結果、ビレーズトリ群は、ビべスピ群、PT009* と比較して、有意な呼吸機能の改善と、ビべスピ群と比較して有意な増悪率抑制を示しました。
*PT009(ブデソニド/ホルモテロールMDI)は国内未承認
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、オンコロジーおよび循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社については https://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。
References
1. 室 繁郎ら.日本呼吸器学会誌 (2186-5876)9巻増刊 Page322(2020.08)
2. Shigeo Muro, Hisatoshi Sugiura, Patrick Darken & Paul Dorinsky Respiratory Research volume 22, Article number: 187 (2021)
3. 日本呼吸器学会(2018)『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版2018』メディカルレビュー社
4. 日本呼吸器学会. 喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き2018
5. GOLD. Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD, Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2020. [Online]. Available at: http://goldcopd.org. [Last accessed: June 2020].
6. Adeloye D, Chua S, Lee C, et al. Global Health Epidemiology Reference Group (GHERG). Global and regional estimates of COPD prevalence: Systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2015; 5 (2): 020415.
7. Quaderi SA, Hurst JR. The unmet global burden of COPD. Glob Health Epidemiol Genom. 2018; 3: e4. Published 2018 Apr 6. doi:10.1017/gheg.2018.1
8. Halpin DMG, Decramer M, Celli BR, et al. Effect of a single exacerbation on decline in lung function in COPD. Respiratory Medicine 2017; 128: 85-91.
9. Roche N, Wedzicha JA, Patalano F, et al. COPD exacerbations significantly impact quality of life as measured by SGRQ-C total score: results from the FLAME study. Eur Resp J. 2017; 50 (Suppl 61): OA1487
10. Ho TW, Tsai YJ, Ruan SY, et al. In-Hospital and One-Year Mortality and Their Predictors in Patients Hospitalized for First-Ever Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations: A Nationwide Population-Based Study. PLOS ONE. 2014; 9 (12): e114866.
11. Suissa S, Dell’Aniello S, Ernst P. Long-term natural history of chronic obstructive pulmonary disease: severe exacerbations and mortality. Thorax. 2012; 67 (11): 957-63.
アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、3剤配合剤のビレーズトリ™エアロスフィア(R)(一般名:ブデソニド160µg/グリコピロニウム臭化物14.4µg/ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6µg、以下、ビレーズトリ)の第III相KRONOS試験の対象である中等症〜最重症COPD患者(全体集団1,899例)のうち、血中好酸球数300細胞/mm3未満、且つ、気道可逆性なしの患者さん(サブグループ解析集団948例)を対象として、主要評価項目である12〜24週における朝のトラフFEV1(※1)のベースラインからの変化量、その他評価項目である中等度又は重度のCOPD増悪率について、サブグループ解析を実施しました。
その結果、ビレーズトリ群は、ビベスピ™エアロスフィア(R)(一般名:グリコピロニウム臭化物14.4µg/ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6µg、以下、ビべスピ)と比較して、同程度の呼吸機能の改善効果を示しました。また、ビレーズトリ群は、ビベスピ群と比較して、中等度又は重度のCOPD増悪率を有意に抑制しました。なお、肺炎を含む有害事象の頻度はKRONOS試験全体集団とサブグループ解析集団では同程度である事が示されました。
本サブグループ解析は、第60回日本呼吸器学会学術講演会において2020年に発表され(1)、この度Respiratory Researchに掲載されました(2)。
日本呼吸器学会が発刊している『COPD診断と治療のためのガイドライン2018』では、喘息病態合併のCOPD患者さんにICSを含む治療を推奨しています(3)。本サブグループ解析の結果により、いくつかの喘息様特徴を除いたサブグループ解析集団(血中好酸球数300細胞/mm3未満、且つ、気道可逆性なし)においても、優れた有効性と全体集団と同様の安全性が示されたことから、ガイドラインで推奨されている対象に加えて、喘息様特徴を除いたCOPD患者さんにとっても3剤配合剤が有用である可能性が示されました。
本論文の筆頭著者であり、奈良県立医科大学呼吸器内科学講座の教授である室繁郎先生は次のように述べています。「気道可逆性を有することや末梢血好酸球数300細胞/mm3を超える事は喘息要素の存在を示唆し(4)、ICSの効果が期待できる症例と想定されています。今回のサブグループ解析では、これら二つの特徴がない対象においても、トリプル製剤であるビレーズトリがビベスピよりも増悪抑制効果に優れていることが示唆されました。24週間の短期試験の事後解析であること、増悪が全体集団におけるその他の評価項目であることなどの留意事項はあるものの、トリプル製剤が喘息要素の乏しい症例においても有効であることを示唆する新たなデータではないかと考えています」。
アストラゼネカは、「サイエンスを追い求める」を企業バリューのひとつとしています。アストラゼネカは今後もCOPD治療への貢献に引き続き尽力してまいります。
(※1)FEV1(1秒量): FVC(努力性肺活量)のうち、最初の1秒間に吐き出した空気量。FVCとは最大吸気位から最大呼気位まで一気に吐き出した呼出量。
以上
*****
慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPDは、肺の気流閉塞により息切れが起き、体力が消耗する進行性の疾患です(5)。COPDは世界中で推定3億8,400 万人に影響を与え(6)、世界の死因第3位です(7)。肺機能の改善、増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することが、COPDの重要な治療目標です(5)。COPDが悪化するだけで、著しい肺機能の低下(8)、生活の質の大幅な低下(9)、平均余命の大幅な短縮、死亡リスク増加につながる可能性があります(10.11)。
KRONOS試験について
KRONOS試験は、ビレーズトリの安全性および有効性を評価する、多施設無作為化二重盲検並行群間比較24週持続投与試験です。本試験は、ビレーズトリ(ブデソニド160µg,グリコピロニウム臭化物14.4µg,ホルモテロールフマル酸塩水和物9.6µgの配合剤)をビべスピ(グリコピロニウムとホルモテロールフマル酸塩14.4/9.6μgの配合剤)、PT009(エアロスフィア薬物送達技術を用いた加圧噴霧式定量吸入器[pMDI]によるブデソニドとホルモテロールフマル酸塩320/9.6µgの配合剤)、および、シムビコートタービュヘイラー(非盲検、ブデソニドとホルモテロールフマル酸塩400/12μgの配合剤)と比較しました。患者さんはビレーズトリ、ビべスピ、PT009、シムビコートタービュヘイラーのいずれかの1回2吸入を1日2回吸入しました。KRONOS試験は、約1,900例の中等症から最重症のCOPD患者さんを対象に実施し、約4分の3 (74%)の患者さんに過去12カ月間報告された増悪はありませんでした。その結果、ビレーズトリ群は、ビべスピ群、PT009* と比較して、有意な呼吸機能の改善と、ビべスピ群と比較して有意な増悪率抑制を示しました。
*PT009(ブデソニド/ホルモテロールMDI)は国内未承認
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、オンコロジーおよび循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社については https://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。
References
1. 室 繁郎ら.日本呼吸器学会誌 (2186-5876)9巻増刊 Page322(2020.08)
2. Shigeo Muro, Hisatoshi Sugiura, Patrick Darken & Paul Dorinsky Respiratory Research volume 22, Article number: 187 (2021)
3. 日本呼吸器学会(2018)『COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版2018』メディカルレビュー社
4. 日本呼吸器学会. 喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)診断と治療の手引き2018
5. GOLD. Global Strategy for the Diagnosis, Management and Prevention of COPD, Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease (GOLD) 2020. [Online]. Available at: http://goldcopd.org. [Last accessed: June 2020].
6. Adeloye D, Chua S, Lee C, et al. Global Health Epidemiology Reference Group (GHERG). Global and regional estimates of COPD prevalence: Systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2015; 5 (2): 020415.
7. Quaderi SA, Hurst JR. The unmet global burden of COPD. Glob Health Epidemiol Genom. 2018; 3: e4. Published 2018 Apr 6. doi:10.1017/gheg.2018.1
8. Halpin DMG, Decramer M, Celli BR, et al. Effect of a single exacerbation on decline in lung function in COPD. Respiratory Medicine 2017; 128: 85-91.
9. Roche N, Wedzicha JA, Patalano F, et al. COPD exacerbations significantly impact quality of life as measured by SGRQ-C total score: results from the FLAME study. Eur Resp J. 2017; 50 (Suppl 61): OA1487
10. Ho TW, Tsai YJ, Ruan SY, et al. In-Hospital and One-Year Mortality and Their Predictors in Patients Hospitalized for First-Ever Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations: A Nationwide Population-Based Study. PLOS ONE. 2014; 9 (12): e114866.
11. Suissa S, Dell’Aniello S, Ernst P. Long-term natural history of chronic obstructive pulmonary disease: severe exacerbations and mortality. Thorax. 2012; 67 (11): 957-63.