紛争激化から1年 破たん寸前のイエメン 毎日6人の子どもが紛争で死傷 社会サービスの崩壊で失われた命、推定1万人【プレスリリース】
[16/03/30]
提供元:PRTIMES
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報告書『瀬戸際に立つ子どもたち』発表
[画像1: http://prtimes.jp/i/5176/660/resize/d5176-660-864985-1.jpg ]
※本信は、ユニセフ本部および発信情報をもとに日本ユニセフ協会が作成・配信しています。
※原文は、http://www.unicef.org/media/media_90751.html からご覧いただけます。
【2016年3月29日 サヌア(イエメン)/アンマン(ヨルダン)発】
イエメンの残虐な紛争と急速に悪化している人道状況は、子どもたちの生活を荒廃させ、この国を崩壊寸前の状況に追い込んでいます。ユニセフ(国連児童基金)が発表した報告書『Children on the Brink(瀬戸際に立つ子どもたち)』は、イエメンで続く暴力が子どもたちに強いている大きな犠牲と、以前から危うい状態であった人道的状況の悪化に焦点を当てています。
ユニセフは、イエメンで子どもたちに対する重大な暴力行為が1,560回以上も行われたと確認しています。その結果、この1年だけで、900人以上の子どもが殺害され、1,300人以上が負傷しており、平均すると毎日6人の子どもが、命を落とすかケガを負ったことになります。この数は、2014年の1年間の数に比べほぼ7倍です。学校への攻撃は50回を超え、学校で、または通学途中に命を落とした子どもたちもいます。また、子どもへの暴力行為は、実際にはもっと多いだろうと考えられます。これらの被害者数に含まれるのはユニセフが確認できたもののみであり、氷山の一角です。
「子どもたちは、自分たちが始めたわけではない紛争で、最も多くの犠牲を払っています。国のあらゆる場所で子どもたちは命を奪われ、重傷を負っています。イエメンのどこにも、子どもたちにとって安全な場所はないのです。遊んでいても、眠っていても、危険と隣り合わせです」とユニセフ・イエメン事務所代表のジュリアン・ハーネスは訴えています。
紛争が激化する中で、戦闘への子どもの徴用や使用は増え続けてきました。子どもたちは、検問所に立ったり武器を手にしたり、戦闘の中でより能動的な役割を担わされています。この1年で、ユニセフは848件の子どもの徴用を確認しました。紛争当事者たちは、わずか10歳の幼い子どもまで戦闘に巻き込んでいました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/5176/660/resize/d5176-660-764342-3.jpg ]
最新のデータは、63カ所の保健施設が攻撃を受けたり損壊しており、またほとんどの施設が、断続的な停電に加えて、深刻な医療物資不足や人員不足に陥っていることを示しています。
紛争によって燃料や食糧の流入が遮られ、輸入制限もされているため、最も必要な基本サービスがイエメン全土で機能していません。
戦争の直接的な被害のみならず、予防接種や、下痢や肺炎の治療といった重要な保健サービスが衰退したことで、過去1年間で1万人近い5歳未満児が予防可能な病気によって亡くなったと、ユニセフは見積もっています。イエメンでは毎年5歳の誕生日を迎えずに命を落とす子どもが4万人近くおり、それにこの数が加えられるのです。
紛争激化前からこの地域の最貧国であり、世界でみても最も貧しい国のひとつであったイエメンは、この破壊的な紛争によって、崩壊の瀬戸際まで追い込まれてしまいました。いま、この国の子どもの8割に相当する1,000万人近い子どもたちが、緊急の人道支援を必要としています。200万人以上の子どもが、下痢性疾患の脅威にさらされ、32万人が重度の急性栄養不良のリスクに直面しています。
暴力やアクセスの制限、深刻な資金難にもかかわらず、ユニセフはパートナー団体とともに、暴力の影響を受けている多くの子どもや女性たちへの栄養支援や安全な水の提供、予防接種などの支援を続けてきました。
「我々は、人道支援を加速し、子どもたちの命と成長し教育を受けるという夢を守り続けなくてはなりません。これは、時間との戦いです」(ハーネス代表)
ユニセフは、イエメン紛争に関わるすべての当事者に対し、戦いに終止符を打ち、政治的解決を図るよう、繰り返し呼び掛けています。平和への模索を続けると同時に、緊急の対応策が求められています。
紛争のすべての当事者は、戦争状態においても遵守するべき義務を守り、一般市民や学校、保健施設、給水施設など、市民の生活インフラへの攻撃は即刻停止しなければならない。
紛争のすべての当事者は、戦闘における子どもたちの徴用や使用を止め、戦闘員であった子どもも非戦闘員だった子どもも、全員即時解放しなければならない。
紛争のすべての当事者は、紛争で寸断されていた地域を含め国内のどこにいる子どもであっても、すべての子どもへの無制限かつ無条件の人道アクセスを保証しなければならない。
ユニセフとパートナー団体は、至急資金を確保する必要がある。ユニセフは現在、2016年の活動に必要な資金1億8,000万米ドルのうち、わずか18%の支援しか受け取っていない。
「イエメンは、以前から既に、断続的な紛争と開発の遅れによって脆弱な国でした。悲しいことに、その影響を最も受けるのは、いつも子どもたちです。紛争を終わらせない限り、この国は破たんし、その影響は広範囲かつ長期間にわたって、子どもたちやその家族を苦しめることになります」とユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所代表のピーター・サラマは指摘しています。
* * *
[画像3: http://prtimes.jp/i/5176/660/resize/d5176-660-913632-2.jpg ]
■参考:イエメン紛争被害データ
<基本情報>
イエメン人口:2,400万人
支援を必要とする人:2,100万人
子どもの人口:1,150万人以上(うち、5歳未満児は約350万人)
支援を必要としている子ども:1,000万人
国内に避難している人々:250万人
<子どもの保護>
確認されている子どもへの重大な暴力行為:1,560回以上
子どもの死傷者:2,300人(死亡934人、負傷1,356人)
子どもの死者数は、一般市民の死亡者数の3分の1
子どもの負傷者数は、一般市民の負傷者数の4分の1
紛争に徴用された子ども:848人(2014年は156人)
<教育>
学校に戻ることができない子ども:38万7,000人
いまも閉鎖中の学校:1,600校
学校への攻撃:52回
武装グループによって占拠されている学校:50校
国内避難民の避難所として使用されている学校:184校
<保健・栄養>
保健ケアを必要としている子ども:740万人
重度の急性栄養不良の子ども:32万人
保健サービスの衰退によって命を落とした5歳未満児:1万人近く
閉鎖された保健施設:600カ所
5分の1のワクチンセンターや地域のワクチン保管庫がいまも閉鎖中
保健施設や保健員への攻撃:63回
<水と衛生>
安定的に水を手に入れられない人口:1,900万人(人口の8割に相当)
下痢性疾患のリスクがある子ども:250万人
<貧困と開発>
貧困の中で暮らす子ども:600万人近く
社会的保護が必要な人々:800万人
* * *
■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)
[画像1: http://prtimes.jp/i/5176/660/resize/d5176-660-864985-1.jpg ]
※本信は、ユニセフ本部および発信情報をもとに日本ユニセフ協会が作成・配信しています。
※原文は、http://www.unicef.org/media/media_90751.html からご覧いただけます。
【2016年3月29日 サヌア(イエメン)/アンマン(ヨルダン)発】
イエメンの残虐な紛争と急速に悪化している人道状況は、子どもたちの生活を荒廃させ、この国を崩壊寸前の状況に追い込んでいます。ユニセフ(国連児童基金)が発表した報告書『Children on the Brink(瀬戸際に立つ子どもたち)』は、イエメンで続く暴力が子どもたちに強いている大きな犠牲と、以前から危うい状態であった人道的状況の悪化に焦点を当てています。
ユニセフは、イエメンで子どもたちに対する重大な暴力行為が1,560回以上も行われたと確認しています。その結果、この1年だけで、900人以上の子どもが殺害され、1,300人以上が負傷しており、平均すると毎日6人の子どもが、命を落とすかケガを負ったことになります。この数は、2014年の1年間の数に比べほぼ7倍です。学校への攻撃は50回を超え、学校で、または通学途中に命を落とした子どもたちもいます。また、子どもへの暴力行為は、実際にはもっと多いだろうと考えられます。これらの被害者数に含まれるのはユニセフが確認できたもののみであり、氷山の一角です。
「子どもたちは、自分たちが始めたわけではない紛争で、最も多くの犠牲を払っています。国のあらゆる場所で子どもたちは命を奪われ、重傷を負っています。イエメンのどこにも、子どもたちにとって安全な場所はないのです。遊んでいても、眠っていても、危険と隣り合わせです」とユニセフ・イエメン事務所代表のジュリアン・ハーネスは訴えています。
紛争が激化する中で、戦闘への子どもの徴用や使用は増え続けてきました。子どもたちは、検問所に立ったり武器を手にしたり、戦闘の中でより能動的な役割を担わされています。この1年で、ユニセフは848件の子どもの徴用を確認しました。紛争当事者たちは、わずか10歳の幼い子どもまで戦闘に巻き込んでいました。
[画像2: http://prtimes.jp/i/5176/660/resize/d5176-660-764342-3.jpg ]
最新のデータは、63カ所の保健施設が攻撃を受けたり損壊しており、またほとんどの施設が、断続的な停電に加えて、深刻な医療物資不足や人員不足に陥っていることを示しています。
紛争によって燃料や食糧の流入が遮られ、輸入制限もされているため、最も必要な基本サービスがイエメン全土で機能していません。
戦争の直接的な被害のみならず、予防接種や、下痢や肺炎の治療といった重要な保健サービスが衰退したことで、過去1年間で1万人近い5歳未満児が予防可能な病気によって亡くなったと、ユニセフは見積もっています。イエメンでは毎年5歳の誕生日を迎えずに命を落とす子どもが4万人近くおり、それにこの数が加えられるのです。
紛争激化前からこの地域の最貧国であり、世界でみても最も貧しい国のひとつであったイエメンは、この破壊的な紛争によって、崩壊の瀬戸際まで追い込まれてしまいました。いま、この国の子どもの8割に相当する1,000万人近い子どもたちが、緊急の人道支援を必要としています。200万人以上の子どもが、下痢性疾患の脅威にさらされ、32万人が重度の急性栄養不良のリスクに直面しています。
暴力やアクセスの制限、深刻な資金難にもかかわらず、ユニセフはパートナー団体とともに、暴力の影響を受けている多くの子どもや女性たちへの栄養支援や安全な水の提供、予防接種などの支援を続けてきました。
「我々は、人道支援を加速し、子どもたちの命と成長し教育を受けるという夢を守り続けなくてはなりません。これは、時間との戦いです」(ハーネス代表)
ユニセフは、イエメン紛争に関わるすべての当事者に対し、戦いに終止符を打ち、政治的解決を図るよう、繰り返し呼び掛けています。平和への模索を続けると同時に、緊急の対応策が求められています。
紛争のすべての当事者は、戦争状態においても遵守するべき義務を守り、一般市民や学校、保健施設、給水施設など、市民の生活インフラへの攻撃は即刻停止しなければならない。
紛争のすべての当事者は、戦闘における子どもたちの徴用や使用を止め、戦闘員であった子どもも非戦闘員だった子どもも、全員即時解放しなければならない。
紛争のすべての当事者は、紛争で寸断されていた地域を含め国内のどこにいる子どもであっても、すべての子どもへの無制限かつ無条件の人道アクセスを保証しなければならない。
ユニセフとパートナー団体は、至急資金を確保する必要がある。ユニセフは現在、2016年の活動に必要な資金1億8,000万米ドルのうち、わずか18%の支援しか受け取っていない。
「イエメンは、以前から既に、断続的な紛争と開発の遅れによって脆弱な国でした。悲しいことに、その影響を最も受けるのは、いつも子どもたちです。紛争を終わらせない限り、この国は破たんし、その影響は広範囲かつ長期間にわたって、子どもたちやその家族を苦しめることになります」とユニセフ・中東・北アフリカ地域事務所代表のピーター・サラマは指摘しています。
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[画像3: http://prtimes.jp/i/5176/660/resize/d5176-660-913632-2.jpg ]
■参考:イエメン紛争被害データ
<基本情報>
イエメン人口:2,400万人
支援を必要とする人:2,100万人
子どもの人口:1,150万人以上(うち、5歳未満児は約350万人)
支援を必要としている子ども:1,000万人
国内に避難している人々:250万人
<子どもの保護>
確認されている子どもへの重大な暴力行為:1,560回以上
子どもの死傷者:2,300人(死亡934人、負傷1,356人)
子どもの死者数は、一般市民の死亡者数の3分の1
子どもの負傷者数は、一般市民の負傷者数の4分の1
紛争に徴用された子ども:848人(2014年は156人)
<教育>
学校に戻ることができない子ども:38万7,000人
いまも閉鎖中の学校:1,600校
学校への攻撃:52回
武装グループによって占拠されている学校:50校
国内避難民の避難所として使用されている学校:184校
<保健・栄養>
保健ケアを必要としている子ども:740万人
重度の急性栄養不良の子ども:32万人
保健サービスの衰退によって命を落とした5歳未満児:1万人近く
閉鎖された保健施設:600カ所
5分の1のワクチンセンターや地域のワクチン保管庫がいまも閉鎖中
保健施設や保健員への攻撃:63回
<水と衛生>
安定的に水を手に入れられない人口:1,900万人(人口の8割に相当)
下痢性疾患のリスクがある子ども:250万人
<貧困と開発>
貧困の中で暮らす子ども:600万人近く
社会的保護が必要な人々:800万人
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)