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第4回 WOWOWシナリオ大賞受賞作決定!

 第4回WOWOWシナリオ大賞の受賞作が決定いたしました。応募総数587編の中から大賞1編、優秀賞2編を選びました。結果は以下の通りです。


<第4回WOWOWシナリオ大賞>
大 賞:「エンドロール 〜伝説の父〜」福島 カツシゲ(ふくしま かずしげ)氏
優秀賞:「オーバーホール」澤 美奈(さわ みな)氏
    「猫を探しています」多和田 久美(たわだ くみ)氏


 大賞の福島カツシゲ氏には賞金500万円、優秀賞の澤美奈氏、多和田久美氏にはそれぞれ賞金100万円を贈呈いたします。大賞受賞作「エンドロール 〜伝説の父〜」は2011年度内のドラマ化を目指して制作に入る予定です。


<大賞受賞作「エンドロール 〜伝説の父〜」(福島 カツシゲ氏)あらすじ>
 もし、人生が一本の映画だったとしたら、エンドロールに流れる名前は、いったい、どんな名前が出てくるのだろうか?父(タダシ)の七回忌で実家に帰ってきた息子(ケンジ)は、本棚にあったアントニオ猪木の本を手にして、父が亡くなる前に現れたユウジの事を思い出していた。「俺が子供だったからって、よくあんなウソついたよな。」父と母の同級生だったユウジは、ケンジにとっては衝撃的にムチャクチャな男だった。そんなユウジが仕切る父の七回忌『タダシ祭』が、もうすぐ始まろうとしていた。

■福島カツシゲ氏 プロフィール:1966年生まれ、大阪府出身。コメディアン。


<優秀賞受賞作「オーバーホール」(澤 美奈氏)あらすじ>
裏社会の案件ばかりを扱う弁護士、橘リサ。15年前に保険金目的で殺された妹の形見の懐中時計と共に、リサの時間は止まっていた。ひょんなことでアンティーク時計を偏愛する喫茶店店主に出会い、オーバーホール(分解修理)を頼むことに。一方、リサは無差別通り魔事件の犯人、深沢紗枝の弁護人となる。何も語ろうとしない紗枝の過去を追うリサ。形見の懐中時計が再び時を刻み始めた時、紗枝の事件と妹の死の真相が明らかになる。

<優秀賞受賞作「猫を探しています」(多和田 久美氏)あらすじ>
迷子の愛猫・クロを探す遼子。だがいつしか自身の思いや過去を探すことに。断ち切れない不倫の恋人への思い、自殺したはずの父との再会。失意しかない。傷心の井本やクロ探しで出会った人々の哀しみと強さ、いつも悠々としていたクロの姿が、だが行き場のない思いを変える。恋人に別れを告げる遼子。クロがくれた出会いと別れ。そして哀しかった思い出が今、奇跡となって現れた。猫を探して、遼子はこれからの大切な時間を見つけた。



<選考委員長・崔 洋一氏 選評>
 映像化される前提が作品全体のレベルアップに繋がっていることは喜ばしい限りである。それは、同時に安易な“傾向と対策”に厳しい視点を持つ選考基準ともなる。時代の息吹きを受け現在進行形の様々な“ドラマ”を描くこととは、作者たち(応募者たち)がトレンドや鋭い観察眼を持ってシナリオに具現化する質が何よりも大切であるということだ。作品の瑞々しさと力とは、作者の切り口、すなわちこの世界をどう捉えているのかということを様々なジャンル、スタイルで伝えてくれているのか否か、ということだろう。
大賞に選ばれた『エンドロール 〜伝説の父〜』は文句のないエンターテインメントであり、受け手の喜びを職業的な計算とは違うスピーディーなテンポで活写し、小気味が良い。余命いくばくない、極々平凡な父が、息子に残したい遠慮がちな個人史がいつの間にか、かつての級友と妻により変質し、トリックスターならぬ、英雄譚に化けていく様は笑え、そして泣ける。
 優秀賞『猫を探しています』は人間の内面を力づくではなく、ひとのやさしさを日常的でリアルな筆致で描いた秀作である。人生の伴侶とも呼べる猫の失踪と我が身の不倫をパラレルな事象ではなく、等身大の女の人生の一こまとして、哀切感から希望へと導いている。大人のドラマとして読み応えがあった。同じく優秀賞『オーバーホール』は、文明の歪みに生きる“現代人”を複雑な関係性からあぶり出す意欲作である。幼児期の家庭内暴力がすべての始まりであるが、そこには荒んだ心象風景を今ある人生から乗り越えようとする、ひとびとの葛藤劇が確かにある。

<選考委員・奥寺 佐渡子氏 選評>
 依然、応募にあたり「この賞の傾向と対策」を考えている方々もいるかもしれない。結果からいえば今回も「傾向はない」。なんでもありだ。次回もそうあることを願う。
 『エンドロール〜伝説の父〜』はスピーディーな掛け合いの妙、行間ににじむ情、大いなる茶目っ気。風通しのよい好編だ。『猫を探しています』は肉親との別れ、他人との出会いそれぞれに個性が光る。主人公の心のうちをつぶさに描きながら、同時に映像的拡がりを感じさせた。『オーバーホール』は傷つけられた子どもたちのその後という今日的な問題に、易きに流れることなく取り組んだ。キャラクターの入念な作り込みに説得力がある。

<選考委員・椋樹 弘尚氏 選評>
 今回の選考には良い意味で、大変苦戦した。例年以上に、どの作品も映像化を意識していたように感じた。そんな選ばれし脚本の中でも、大賞の『エンドロール 〜伝説の父〜』は軽妙な中にも計算された会話をするキャラクターたちに、映像を連想させる躍動感があった。ラストの裏切り方も心地よい。『猫を探しています』は猫を探す主観世界と社会の希薄な接点のみで読ませる作者の力量は圧巻。無理に話を展開させない所に作者の明確な視点を感じた。『オーバーホール』の気の利いたセリフ回しやキャラクターも魅力的。一見無謀な人物設定は確実にテーマを掴みにいった結果なのだろう。

<選考委員・野村 正昭氏 選評>
 最終選考に残った候補作は11本。最終選考委員は5名。本賞を含めて今までにも幾つかの脚本賞に関わった経験があるが、驚いたことに今回は最終選考に残った11本の作品全てについて、5人のうち誰かから推薦の声があがった。これは全体のレベルの高さと事務局の面白い作品を逃したくないという熱意が一致した結果だと思う。大賞受賞作『エンドロール 〜伝説の父〜』はラストの仕掛けも含めて、その映像化が本当に楽しみな剛腕の一作だし、『猫を探しています』も『オーバーホール』も、よく練りあげられた秀作。                

【問合せ先】
(マスコミ関係) 広報部 TEL03(4330)8080
(IR関係) IR経理部 TEL03(4330)8089
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