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30年の歴史に幕を閉じる小劇団の雄、「第三エロチカ」。彼らが投げかける“新宿のこれまでとこれから”とは。




2010年、新宿を拠点に活動した劇団「第三エロチカ」が、解散した。混とんの街・新宿を創設メンバーの川村毅の目を通して描くとともに、劇団の軌跡を振り返る。

 新宿はいつも戦場だった―。2010年秋、新宿を拠点に活動してきたある劇団が、その歴史の幕を閉じた。1980年、当時20歳の川村毅をはじめ、明治大学生を中心に旗揚げされた劇団「第三エロチカ」である。“女子大生ブーム”“東京ディズニーランド開園”“高級ディスコ出現”“コンビニ普及”など、まさにバブル経済へまっしぐらの時代。そんな背景の中、川村の他にも、野田秀樹、渡辺えり、鴻上尚史、如月小春ら1950年代生まれの劇作家・演出家が次々に台頭し、技巧的で遊び心を生かした演劇スタイルで、小劇場第三世代として若者たちに熱狂的に支持された時代でもある。
 1986年には当時26歳の川村が「新宿八犬伝 第一巻」でつかこうへいに次ぐ若さで岸田國士戯曲賞を受賞、その後もバブル期から急激に格差社会へと移りゆく中においても、第三エロチカの演劇は常に「時代と寝る」ことにこだわり、大きく変貌を遂げながら時代時代を見事に写し出してきた。
 1960年代のアナーキズムが新しい形で蘇ったような、反抗的で無頼のエネルギーを持つ異色な存在として君臨した第三エロチカ。そんな、日本の演劇界を語る上で欠かすことのできない存在であり続けた、小劇場第三世代の最後の砦、第三エロチカが2010年10月末、「新宿八犬伝 第五巻」を最終公演として30年の歴史に幕を閉じ、新宿の街に散った。とくに「新宿八犬伝」は、新宿を舞台に、鋭く新宿という街の「今」を写しながら書き継がれ、上演されてきた。
 番組では、川村の目を通して新宿という街の変貌を描きながら、30年の長きにわたる劇団の軌跡と川村の創作の歴史を振り返り、その終焉と、これから始まるものを探る。

<番組情報>
「ノンフィクションW 第三エロチカ、新宿に散る!」
3/14(月)夜10:00〜

写真:上段/川村毅、新宿歩き
   下段左/歌舞伎町
   下段右/第三エロチカの「新宿八犬伝」
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