EU-トルコ声明から1年 移民・難民の子どもたちの負担増大【プレスリリース】
[17/03/21]
提供元:PRTIMES
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足止めされ教育機会を奪われ続ける子どもたち
[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/883/resize/d5176-883-564528-0.jpg ]
【2017年3 月17日 ジュネーブ 発】
大量の移民の流れを食い止めるための措置として取られたバルカン諸国の国境閉鎖と欧州連合(EU)-トルコ声明が合意されてから1年が経過し、難民・移民の子どもたちは、今まで以上に、国外退去、拘留、搾取や貧困の危険に晒されている、とユニセフ(国連児童基金)は発表しました。
「昨年3月から、ヨーロッパへ移動する子どもの数は大きく減少したものの、難民・移民の子どもたちに降りかかる脅威や苦難は増加している」とユニセフ欧州地域事務所代表兼欧州難民危機特別調整官アフシャン・カーンは述べました。「子どもたちは苦難から逃れてきたのに、辿りついた場所からさらに逃げるか、拘留されるか、または完全に放置される、という悪循環に陥っています」
ギリシャのユニセフ職員は、子どもたちとその家族が経験している苦難と苛立ちの深刻さについて報告しています。中には8歳の幼い子どもが自傷行為をした例もあります。最近は生活環境に改善がみられるものの、避難所で暮らす同伴者のいない子どもたちの中には深いレベルの不安、攻撃や暴力などにより、心理社会的な悩みを抱え、麻薬や売春などリスクの高い行動を示めす子どももいます。戦争や破壊、愛するものの死や、危険な旅を経験した子どもたちの状況は、ギリシャの避難民キャンプでの劣悪な生活環境や、難民申請などの長い手続きにより悪化し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こすことがあります。
イラクから逃れてきたハワールさん(14歳)は語りました。「いい時と悪い時があります。やる気がある日と精神的に消耗している日があります。捕らわれていると感じます。避難所の誰にも会いたくないし、何も見たくなくなります。外に出ると、少し気分が良くなります」
アフガニスタンから逃れてきた4人の子どもの父親のマルーフさんは、地中海東ルートを渡った経験が、彼や彼の妻や子どもたちに悪い精神的影響を与えていると言います。しかし、カウンセリングは受けていません。「子どもたちの態度がここに来てから変わってしまった。彼らは学校に行きたがらず、喧嘩するようになりました。今日も、キャンプの学校に行かせたのですが、こどもたちはクラスを抜け出してしまった。私たちには確かな事が何もありません。島に留められていることが、精神的な問題を引き起こしています。私の唯一の幸せは家族がみな生きているということだけです」
[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/883/resize/d5176-883-585275-1.jpg ]
ユニセフはギリシャ政府やパートナーNGOと協力して、難民・移民の子どもたちが必要としている精神的・心理社会的な適切なケアを優先的に提供しています。「ダブリン規則」に従い、移民・難民をギリシャへ早期送還させることは、子どもたちが直面している状況にさらに大きな負担をかけ、既存のサービスにさらに圧力をかけることになると思われます。
国境の閉鎖やEU-トルコ声明は、移民の流れを止めるかわりに、ユニセフとパートナーが1年前に警鐘を鳴らしたように、子どもたちとその家族が、自らの意志で、密航業者を通じたさらに危険かつ非正規のルートをとるよう促しているのです。2017年に入ってから、EU-トルコ声明と国境閉鎖が完全に執行されていたのにもかかわらず、3,000人の移民・難民がギリシャに到着し、その約3分の1は子どもでした。多くの人々が、国境をくぐり抜け、ブルガリア、西バルカン諸国やハンガリーに入り続けています。
ギリシャや西バルカン諸国で足止めされている子どもたちは、すでに3年近くに亘り教育の機会を失い、現在も、異なる言語や教育システムのハードルに阻まれ、今年も学校に通えないリスクに直面しています。ユニセフはギリシャで足止めされている難民・移民の子どもたちのギリシャの学校へ統合するギリシャ教育省の計画を支援しています。しかし、15,000人の学齢期の子どものうち、ギリシャ語での教育システムの恩恵を受けているのは僅かに2,500人に留まっています。
ギリシャ政府やパートナー団体の多大な努力にもかかわらず、おとなの同伴のない子ども2,100人の約半数は、いまだに標準以下の環境で暮らしています。この中には移動の制限を受ける施設に暮らす約200人のおとなの同伴のない子どもたちを含みます。(島の受入センターに178人、「保護拘留」として留置場に16人)
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■本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。本信の原文は、 https://www.unicef.org/media/media_95185.html からご覧いただけます。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)
[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/883/resize/d5176-883-564528-0.jpg ]
【2017年3 月17日 ジュネーブ 発】
大量の移民の流れを食い止めるための措置として取られたバルカン諸国の国境閉鎖と欧州連合(EU)-トルコ声明が合意されてから1年が経過し、難民・移民の子どもたちは、今まで以上に、国外退去、拘留、搾取や貧困の危険に晒されている、とユニセフ(国連児童基金)は発表しました。
「昨年3月から、ヨーロッパへ移動する子どもの数は大きく減少したものの、難民・移民の子どもたちに降りかかる脅威や苦難は増加している」とユニセフ欧州地域事務所代表兼欧州難民危機特別調整官アフシャン・カーンは述べました。「子どもたちは苦難から逃れてきたのに、辿りついた場所からさらに逃げるか、拘留されるか、または完全に放置される、という悪循環に陥っています」
ギリシャのユニセフ職員は、子どもたちとその家族が経験している苦難と苛立ちの深刻さについて報告しています。中には8歳の幼い子どもが自傷行為をした例もあります。最近は生活環境に改善がみられるものの、避難所で暮らす同伴者のいない子どもたちの中には深いレベルの不安、攻撃や暴力などにより、心理社会的な悩みを抱え、麻薬や売春などリスクの高い行動を示めす子どももいます。戦争や破壊、愛するものの死や、危険な旅を経験した子どもたちの状況は、ギリシャの避難民キャンプでの劣悪な生活環境や、難民申請などの長い手続きにより悪化し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こすことがあります。
イラクから逃れてきたハワールさん(14歳)は語りました。「いい時と悪い時があります。やる気がある日と精神的に消耗している日があります。捕らわれていると感じます。避難所の誰にも会いたくないし、何も見たくなくなります。外に出ると、少し気分が良くなります」
アフガニスタンから逃れてきた4人の子どもの父親のマルーフさんは、地中海東ルートを渡った経験が、彼や彼の妻や子どもたちに悪い精神的影響を与えていると言います。しかし、カウンセリングは受けていません。「子どもたちの態度がここに来てから変わってしまった。彼らは学校に行きたがらず、喧嘩するようになりました。今日も、キャンプの学校に行かせたのですが、こどもたちはクラスを抜け出してしまった。私たちには確かな事が何もありません。島に留められていることが、精神的な問題を引き起こしています。私の唯一の幸せは家族がみな生きているということだけです」
[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/883/resize/d5176-883-585275-1.jpg ]
ユニセフはギリシャ政府やパートナーNGOと協力して、難民・移民の子どもたちが必要としている精神的・心理社会的な適切なケアを優先的に提供しています。「ダブリン規則」に従い、移民・難民をギリシャへ早期送還させることは、子どもたちが直面している状況にさらに大きな負担をかけ、既存のサービスにさらに圧力をかけることになると思われます。
国境の閉鎖やEU-トルコ声明は、移民の流れを止めるかわりに、ユニセフとパートナーが1年前に警鐘を鳴らしたように、子どもたちとその家族が、自らの意志で、密航業者を通じたさらに危険かつ非正規のルートをとるよう促しているのです。2017年に入ってから、EU-トルコ声明と国境閉鎖が完全に執行されていたのにもかかわらず、3,000人の移民・難民がギリシャに到着し、その約3分の1は子どもでした。多くの人々が、国境をくぐり抜け、ブルガリア、西バルカン諸国やハンガリーに入り続けています。
ギリシャや西バルカン諸国で足止めされている子どもたちは、すでに3年近くに亘り教育の機会を失い、現在も、異なる言語や教育システムのハードルに阻まれ、今年も学校に通えないリスクに直面しています。ユニセフはギリシャで足止めされている難民・移民の子どもたちのギリシャの学校へ統合するギリシャ教育省の計画を支援しています。しかし、15,000人の学齢期の子どものうち、ギリシャ語での教育システムの恩恵を受けているのは僅かに2,500人に留まっています。
ギリシャ政府やパートナー団体の多大な努力にもかかわらず、おとなの同伴のない子ども2,100人の約半数は、いまだに標準以下の環境で暮らしています。この中には移動の制限を受ける施設に暮らす約200人のおとなの同伴のない子どもたちを含みます。(島の受入センターに178人、「保護拘留」として留置場に16人)
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■本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。本信の原文は、 https://www.unicef.org/media/media_95185.html からご覧いただけます。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)