【エシカル消費研究会】食領域におけるエシカル消費のマーケティングフレームを発表
[23/04/28]
提供元:PRTIMES
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〜「エシカル」の認知拡大がエシカルフード市場創出のキー〜
CCCMKホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:高橋誉則、以下「CCCMKHD」)は、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していく「エシカル消費研究会」第6回目(https://note.com/note_ethicalfood/n/n4b433e13dccf)を、2023年3月31日に流通・メーカー・専門家の方々に参加いただきオンラインで開催いたしました。「エシカル消費研究会」は、今回の第6回目の開催をもって活動を一区切りし、その成果として、食領域におけるエシカル消費のマーケティングフレームを発表、それとともに「Tカードみんなのエシカルフードラボ」について提言を行いました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/983/944/resize/d983-944-a958cacbc7825ed9bf89-0.jpg ]
「エシカル消費研究会」は、CCCマーケティングが取り組む共創型プラットフォーム「Tカードみんなのエシカルフードラボ」(https://ethicalfoodlab.tsite.jp)の中に位置づけられる研究会で、企業、教育機関、自治体などあらゆる方々と共創しながら、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費について研究していくことを目的としています。
■第6回「エシカル消費研究会」の参加者 ※五十音順
・味の素株式会社
・株式会社こだわりや
・ハウス食品グループ本社株式会社、ハウス食品株式会社
・株式会社ファミリーマート
・明治ホールディングス株式会社
・河口真理子さん(立教大学・不二製油グループ本社株式会社)
・佐々木ひろこさん(一般社団法人Chefs for the Blue)
・中村優吾さん(九州大学大学院システム情報科学研究院 助教)
・山本謙治さん(株式会社グッドテーブルズ)
ほか1社
食領域におけるエシカル消費のマーケティングフレーム
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、「すごくエシカルな人が100人より、たまにエシカルな人が1000人の方がソーシャルインパクトが大きい」と考えています。イギリスのEthical Consumer Research Associationによると、エシカル先進国のイギリスにおいても、エシカルなもののみ購入しているAlways ethicalな人は数%です。一方、エシカルなものを買わない・興味がないCan not be ethicalな人は20〜30%と言われています。その中で、半数以上を占める「時折エシカルなものを買う人(Sometimes ethical)」の行動が巨大なマーケットとなると考えられます。
こうした視点を元に、生活者が「エシカル」について認知してから実践に至るまでのステータスと態度変容モデルをマーケティングフレームとしてまとめました。図中の破線矢印が態度変容の起こり得るポイントで、態度変容のスイッチになり得ると考えられるものを赤の吹き出しで記載しています。図中のパーセントは2023年1月時点での各ステータスの構成比を表しています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/983/944/resize/d983-944-26d4831f1662c27216f0-1.jpg ]
まず「エシカル」について認知する段階があり、認知している人でも内容まで理解している人、内容はよく分らない不明瞭な人に分かれます。認知状況が理解、不明瞭どちらであってもエシカルを意識して食品を選ぶ、実践している人がいます。さらに、実践者の中でもその頻度により、いつもエシカルな食品を選ぶ人、ときどきエシカルな食品を選ぶ人に分かれます。それぞれのステータスを移動する時に態度変容が起こりますが、認知なしから認知ありに至る段階では、メディアや店頭、メーカーの発信がキーポイントになります。また、認知ありの中でも、理解が不明瞭な状態から内容まで知っている状態に至る際には、知的好奇心の刺激がキーポイントになります。実践なしから実践ありに至る段階では、フェアトレード、児童労働などの具体的なイシュー(課題)の訴求や、自分が普段購入している商品の中にエシカルな商品があることを発見することがキーポイントになります。また、実践している人に対しては、「エシカル」という概念自体の共感がキーポイントとなります。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の提言
「エシカル」の認知率は年々上がっており、飲食物購入時の商品選択でエシカルを意識する消費者は確実に増えています。現在の認知率34.7%に対し、エシカルを意識して商品購入する実践者は15.2%です。仮に認知率が40%まで上がった時に現在と同じ割合で実践者が現れるとすると、その数値は17.5%に達します。この数はイノベーター理論で言うイノベーター、アーリーアダプターを合計した16%を超え、アーリーマジョリティ―への普及が始まった段階と解釈できます。16%を超えると新商品や流行が急激に拡がっていくと言われており、エシカルフード市場においてもその時期が目前に迫っていると考えられます。
そのため、まず認知率を上げて実践者が16%を超える状態を作ることで、エシカルフード市場を形成することが重要と考えられます。認知率を上げるためには、フードチェーン全体での取り組みやメディアなどの動きも重要となってきます。認知者の理解度を上げていくには、能動的な情報収集の助けとなる情報発信が必要です。その際、自身の生活にどのように関わってくるのか、自分の生活をより豊かにしたい、よく理解したい、といった欲求とともに、知的好奇心を満たすことが望まれます。
また、情報発信の際、商品単位でエシカルであることを知らせることも有効です。既に購入している商品がエシカルであると知ることで、自身の行動が肯定されていると感じ、その後のリピートやエシカル消費そのものの定着が期待できます。日本の場合、認知しているが実践していない人は、理解が進めば実践する可能性のある浮動層だと考えられるため、どの商品がエシカルか分かれば行動変容に繋がる可能性は期待できます。
さらに、個々のイシューを伝えていくことも必要です。現段階では、エシカルに関連するイシューが広く知られている状態ではないため、イシューから伝える必要があると考えられます。また、イシューに関しては「食品ロス」に偏重して意識される傾向があるため、エシカルに関連するイシューを幅広く伝え、それらを「エシカル」という言葉で束ねることで個々の取り組みの相乗効果に繋げられるのではないでしょうか。取り組み内容など“事実”を伝えることはウォッシュを防ぐ観点から非常に重要です。その上で、「エシカル」への共感がエシカル消費の理由となり得るため、コミュニケーションの際に「エシカル」という言葉を使うことは有効であると考えられます。
エシカル消費研究会 参加者からのコメント
・商品を開発する時に、社内でエシカルという話は出ているが、そこに価値を見出すことができていなかった。大手企業も規模の大きくない会社も、エシカルなことをしないといけないということが生産者側にあることが大きな気づきだった。今後商談の中で真っ先に話さなければならないバイヤーに共有していきたい。
・小学校や中学校に出前授業をする際に、若者がエシカルを意識していることは認識している。その一方で、どこの商品がエシカルなのか、消費者の中で結びついていない部分があるようだ。各企業で共通の認識の元にメッセージを発信していくことが必要ではないか。
・社会変化の急激な変化の中で10年後、20年後は間違いなく消費のあり方が変わっているので、それをどこまでエシカル消費寄りにしていけるかが、私たちの使命だと思う。
・エシカル消費を今後拡大するのは各社のテーマ。社会価値を作っているつもりだが、独りよがりになるとお客さまの価値にならない。どこまでストーリーとして語れるか、どうお客さまの価値にするか、どこまでお客さまから共感を得られるかがこれからのテーマになる。
・お客さま価値と社会価値を両立させないと受け入れられないという課題感は今も持っている。社会もどんどん変わっていくので、取り残されないために、待つのではなく、企業として発信したり商品を出したりすること、それを継続していくことが必要だと感じる。
・世の中はどんどん変わっていくので、その中で何ができるか継続的に考えていかないといけない。他の会社のみなさまとお話できたことはよかった。今後何か企画で協業できるとよい。
・ここから先エシカル消費のムーブメントを作っていく必要がある。実装していく段階で何か協業できるとよい。
・お客さまの行動変容を促すために、企業の役割として、情報発信、製品提供など、継続的な活動が、必要であることを分かってはいるが、なかなか踏み込めない領域である。自社の中で意思をもって取り組むきっかけを作っていきたい。
・エシカルと言えそうな商品づくりをいくつかチャレンジしているが、頭の理解と消費者の行動が繋がっていなかった。フレームワークができたことで、どこが一番のキーポイントか整理できた。エシカルな要素を価格転嫁するのは難しい。まずはおいしいものを買ってもらうこと、価値をつけて適正な価格で買ってもらい、それにストーリーが付くのがよいと思う。一社では難しいので一緒に何かできるとよい。
「エシカル消費研究会」としての活動は、今回が一区切りとなります。今後はフードチェーンに関わる方々と共に作成したマーケティングフレームを、エシカルフードの普及に向けて活用いただけることを期待いたします。
CCCMKホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:高橋誉則、以下「CCCMKHD」)は、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していく「エシカル消費研究会」第6回目(https://note.com/note_ethicalfood/n/n4b433e13dccf)を、2023年3月31日に流通・メーカー・専門家の方々に参加いただきオンラインで開催いたしました。「エシカル消費研究会」は、今回の第6回目の開催をもって活動を一区切りし、その成果として、食領域におけるエシカル消費のマーケティングフレームを発表、それとともに「Tカードみんなのエシカルフードラボ」について提言を行いました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/983/944/resize/d983-944-a958cacbc7825ed9bf89-0.jpg ]
「エシカル消費研究会」は、CCCマーケティングが取り組む共創型プラットフォーム「Tカードみんなのエシカルフードラボ」(https://ethicalfoodlab.tsite.jp)の中に位置づけられる研究会で、企業、教育機関、自治体などあらゆる方々と共創しながら、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費について研究していくことを目的としています。
■第6回「エシカル消費研究会」の参加者 ※五十音順
・味の素株式会社
・株式会社こだわりや
・ハウス食品グループ本社株式会社、ハウス食品株式会社
・株式会社ファミリーマート
・明治ホールディングス株式会社
・河口真理子さん(立教大学・不二製油グループ本社株式会社)
・佐々木ひろこさん(一般社団法人Chefs for the Blue)
・中村優吾さん(九州大学大学院システム情報科学研究院 助教)
・山本謙治さん(株式会社グッドテーブルズ)
ほか1社
食領域におけるエシカル消費のマーケティングフレーム
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、「すごくエシカルな人が100人より、たまにエシカルな人が1000人の方がソーシャルインパクトが大きい」と考えています。イギリスのEthical Consumer Research Associationによると、エシカル先進国のイギリスにおいても、エシカルなもののみ購入しているAlways ethicalな人は数%です。一方、エシカルなものを買わない・興味がないCan not be ethicalな人は20〜30%と言われています。その中で、半数以上を占める「時折エシカルなものを買う人(Sometimes ethical)」の行動が巨大なマーケットとなると考えられます。
こうした視点を元に、生活者が「エシカル」について認知してから実践に至るまでのステータスと態度変容モデルをマーケティングフレームとしてまとめました。図中の破線矢印が態度変容の起こり得るポイントで、態度変容のスイッチになり得ると考えられるものを赤の吹き出しで記載しています。図中のパーセントは2023年1月時点での各ステータスの構成比を表しています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/983/944/resize/d983-944-26d4831f1662c27216f0-1.jpg ]
まず「エシカル」について認知する段階があり、認知している人でも内容まで理解している人、内容はよく分らない不明瞭な人に分かれます。認知状況が理解、不明瞭どちらであってもエシカルを意識して食品を選ぶ、実践している人がいます。さらに、実践者の中でもその頻度により、いつもエシカルな食品を選ぶ人、ときどきエシカルな食品を選ぶ人に分かれます。それぞれのステータスを移動する時に態度変容が起こりますが、認知なしから認知ありに至る段階では、メディアや店頭、メーカーの発信がキーポイントになります。また、認知ありの中でも、理解が不明瞭な状態から内容まで知っている状態に至る際には、知的好奇心の刺激がキーポイントになります。実践なしから実践ありに至る段階では、フェアトレード、児童労働などの具体的なイシュー(課題)の訴求や、自分が普段購入している商品の中にエシカルな商品があることを発見することがキーポイントになります。また、実践している人に対しては、「エシカル」という概念自体の共感がキーポイントとなります。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」の提言
「エシカル」の認知率は年々上がっており、飲食物購入時の商品選択でエシカルを意識する消費者は確実に増えています。現在の認知率34.7%に対し、エシカルを意識して商品購入する実践者は15.2%です。仮に認知率が40%まで上がった時に現在と同じ割合で実践者が現れるとすると、その数値は17.5%に達します。この数はイノベーター理論で言うイノベーター、アーリーアダプターを合計した16%を超え、アーリーマジョリティ―への普及が始まった段階と解釈できます。16%を超えると新商品や流行が急激に拡がっていくと言われており、エシカルフード市場においてもその時期が目前に迫っていると考えられます。
そのため、まず認知率を上げて実践者が16%を超える状態を作ることで、エシカルフード市場を形成することが重要と考えられます。認知率を上げるためには、フードチェーン全体での取り組みやメディアなどの動きも重要となってきます。認知者の理解度を上げていくには、能動的な情報収集の助けとなる情報発信が必要です。その際、自身の生活にどのように関わってくるのか、自分の生活をより豊かにしたい、よく理解したい、といった欲求とともに、知的好奇心を満たすことが望まれます。
また、情報発信の際、商品単位でエシカルであることを知らせることも有効です。既に購入している商品がエシカルであると知ることで、自身の行動が肯定されていると感じ、その後のリピートやエシカル消費そのものの定着が期待できます。日本の場合、認知しているが実践していない人は、理解が進めば実践する可能性のある浮動層だと考えられるため、どの商品がエシカルか分かれば行動変容に繋がる可能性は期待できます。
さらに、個々のイシューを伝えていくことも必要です。現段階では、エシカルに関連するイシューが広く知られている状態ではないため、イシューから伝える必要があると考えられます。また、イシューに関しては「食品ロス」に偏重して意識される傾向があるため、エシカルに関連するイシューを幅広く伝え、それらを「エシカル」という言葉で束ねることで個々の取り組みの相乗効果に繋げられるのではないでしょうか。取り組み内容など“事実”を伝えることはウォッシュを防ぐ観点から非常に重要です。その上で、「エシカル」への共感がエシカル消費の理由となり得るため、コミュニケーションの際に「エシカル」という言葉を使うことは有効であると考えられます。
エシカル消費研究会 参加者からのコメント
・商品を開発する時に、社内でエシカルという話は出ているが、そこに価値を見出すことができていなかった。大手企業も規模の大きくない会社も、エシカルなことをしないといけないということが生産者側にあることが大きな気づきだった。今後商談の中で真っ先に話さなければならないバイヤーに共有していきたい。
・小学校や中学校に出前授業をする際に、若者がエシカルを意識していることは認識している。その一方で、どこの商品がエシカルなのか、消費者の中で結びついていない部分があるようだ。各企業で共通の認識の元にメッセージを発信していくことが必要ではないか。
・社会変化の急激な変化の中で10年後、20年後は間違いなく消費のあり方が変わっているので、それをどこまでエシカル消費寄りにしていけるかが、私たちの使命だと思う。
・エシカル消費を今後拡大するのは各社のテーマ。社会価値を作っているつもりだが、独りよがりになるとお客さまの価値にならない。どこまでストーリーとして語れるか、どうお客さまの価値にするか、どこまでお客さまから共感を得られるかがこれからのテーマになる。
・お客さま価値と社会価値を両立させないと受け入れられないという課題感は今も持っている。社会もどんどん変わっていくので、取り残されないために、待つのではなく、企業として発信したり商品を出したりすること、それを継続していくことが必要だと感じる。
・世の中はどんどん変わっていくので、その中で何ができるか継続的に考えていかないといけない。他の会社のみなさまとお話できたことはよかった。今後何か企画で協業できるとよい。
・ここから先エシカル消費のムーブメントを作っていく必要がある。実装していく段階で何か協業できるとよい。
・お客さまの行動変容を促すために、企業の役割として、情報発信、製品提供など、継続的な活動が、必要であることを分かってはいるが、なかなか踏み込めない領域である。自社の中で意思をもって取り組むきっかけを作っていきたい。
・エシカルと言えそうな商品づくりをいくつかチャレンジしているが、頭の理解と消費者の行動が繋がっていなかった。フレームワークができたことで、どこが一番のキーポイントか整理できた。エシカルな要素を価格転嫁するのは難しい。まずはおいしいものを買ってもらうこと、価値をつけて適正な価格で買ってもらい、それにストーリーが付くのがよいと思う。一社では難しいので一緒に何かできるとよい。
「エシカル消費研究会」としての活動は、今回が一区切りとなります。今後はフードチェーンに関わる方々と共に作成したマーケティングフレームを、エシカルフードの普及に向けて活用いただけることを期待いたします。