「井上芳雄 by MYSELF × Greenville Concert 2024」レポート
[24/04/30]
提供元:PRTIMES
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井上芳雄の約3年ぶりとなるコンサート「井上芳雄 by MYSELF × Greenville Concert 2024」が、4月23・24日に東京ガーデンシアターで開催された。
[画像1: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-b3bbf6f493686931c73f-0.jpg ]
今回のコンサートでは、今年で8年目に突入した、井上がパーソナリティを務めるTBSラジオの番組「井上芳雄 by MYSELF」と、2023年3月に日本コロムビアよりリリースされた自身初のフルオリジナルアルバム「Greenville」の世界観がコラボレートする。2日間にわたって繰り広げられたコンサートでは、井上が近年出演したミュージカル作品のナンバーや「Greenville」に収録された楽曲、そして井上とゆかりのある日替わりゲストたちとのデュエット&トリオの歌声が披露され、演劇界のトップランナーとして走り続ける井上の胆力、アーティストとしての佇まい、トークシーンでほころぶ顔や鋭くも愛があるツッコミなど、井上のさまざまな側面が堪能できるコンサートとなった。
まずは初日の様子をレポート。井上のこれまでのコンサートの中でもひときわ大きな会場となった東京ガーデンシアターには、開演前を待つ観客の静かな興奮が満ちていた。ステージ上のLEDパネルにはスカイブルーのタイトルロゴが輝き、どこか落ち着いた、大人っぽい雰囲気を漂わせる。今回は井上と共に「井上芳雄 by MYSELF」にレギュラー出演する大貫祐一郎と「Greenville」をプロデュースしたコトリンゴがピアニストを担うため、上手と下手に1台ずつピアノが置かれた。
「Greenville」は、井上が提示した人生の局面で訪れる困難や場面をテーマに、多彩なアーティストが書き下ろしたコンセプチュアルなアルバムとなるが、今回のコンサートでは井上が、「Greenville」で挙げたテーマに通じる楽曲をミュージカル作品からセレクトし、歌いつなげるコンサートとなる。
ミュージカルの開演前のように、オーケストラがチューニングを済ませると、水の波紋や芽吹く草木などの映像が映し出され、ステージ中央に井上がすっと現れた。そのまま「何もない 地球(ほし)の上で 目を覚ます その息吹」と、「Greenville」から「Prelude」が歌われ、コンサートの幕開けが優しく告げられる。コンサートの構成・演出を手がけるのは、劇作・演出家の小林香。3年ぶりとなるコンサートでの登場に井上は、ド派手な演出を選ぶのではなく、1つの物語を語り始めるかのように、観客を自身の世界に引き込んだ。
1曲目を歌い終え、さっと表情を変えた井上は「こんばんは、井上芳雄です! 皆さんお元気でしたか?」とあいさつ。コンサートでは数年ぶりの対面となる観客に「皆さんもそこそこ元気だったでしょう」「この期間、僕も皆さんと同じように“大人”を進めてきました」と井上節を繰り広げ、会場を沸かせた。そして、2021年に自身の20周年記念コンサートがコロナのあおりを受けて1公演のみの実施となったこと、その代替として無観客生配信コンサート「『井上芳雄 by MYSELF』スペシャルライブ配信 20th Anniversary Festival! 〜急遽生配信!裏切らない芳雄4時間フェス〜」を行ったことなどを、自身の思いと共に振り返る。またこのコンサートで最新アルバムの収録曲を披露できる喜びを語り、「『Greenville』と『井上芳雄 by MYSELF』を組み合わせたらどうなるか。5時間超えの前回とは違い、僕も大人になりました。長ければ良いというわけじゃない。今回は2時間半のコンサートをお届けします」と堂々と宣言し、笑顔を見せた。
“生を受ける”をキーワードに誕生した「Prelude」につながる楽曲として、昨年日本で初演されたミュージカル「ベートーヴェン」より「よろしく絶望」のイントロが鳴り始めると、井上はまとう空気をガラッと変え、圧倒的な才能を持ちながら、絶望をも受け入れて生きるベートーヴェンを自らに降ろし、観客の脳裏に舞台の情景をよみがえらせた。さらに、ミュージカル「エリザベート」より、ベースを利かせたアレンジの「私を燃やす愛」をつやっぽく披露したほか、アルバム曲「天使も悪魔も」を軽快なリズムに乗せて踊るように歌う。続く「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」の「EL Tango De Roxanne」では集中力をぐっと高め、真っ赤な照明の中で、ロクサーヌに対するクリスチャンの思いを力強い歌声で轟かせ、客席から大きな拍手が贈られた。
コトリンゴ作詞作曲の「タイムテーブル」では、“使われる”というテーマが明るくポップな曲調で展開。井上が、観客の反応が最も気になる曲として挙げていた全編英語の歌詞の「Lost In The Night」では、井上のグルーヴ感あふれる歌唱に呼応するかのように客席のペンライトが大きく揺れた。
[画像2: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-ed3e81b2b3288d73b279-3.jpg ]
今回のコンサートでは、LEDパネルが舞台美術として駆使され、楽曲の世界観をサポートする。曲調や井上の動きに合わせてカラフルでポップなイラストや自然や宇宙を思わせる有機的な映像が映し出されるのだが、この効果が最大限に発揮されたのが、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」より披露された「Chandelier」だ。シーアのヒット曲を、両手を広げて悠々と歌い上げる井上の背後には、まばゆいばかりの光が弾け、降り注ぎ、井上いわく「外国人タレントのよう」な迫力の映像演出がステージ上の高揚感を押し上げる。
コンサートでは2日間日替わりで、豪華ゲストが登場した。初日には、2022年のミュージカル「ガイズ&ドールズ」で井上と共演し、「井上芳雄 by MYSELF」コンサートでもおなじみの浦井健治と田代万里生が参加。衣裳にコンサートグッズのステッカーを貼り、胸ポケットに井上のアクリルスタンドを忍ばせて現れた浦井は、井上の問いかけにわざとぞんざいに答えたり、“芳雄グリーン”色のペンライトが光る様子を「芝生みたい」と表現したりして観客の笑いを誘う。一方、井上のコンサートで毎回、綿密なネタを仕込んでくる田代は、「ガイズ&ドールズ」で明日海りおが演じたサラ・ブラウン風のロングジャケットを着用し、マシンガントークで井上を翻弄。そんな田代の様子に井上が「自分のせいでほかの現場でも“ゲスト芸人”のようになってしまったのでは」と真剣に心配する様子を見せると、客席から笑い声が漏れた。2人は井上と「ガイズ&ドールズ」より「Luck be a lady」「初めて知る想い」をそれぞれデュエットで聴かせ、“今は位が上がってしまった元プリンス”を自認しているという3者で、それぞれがプリンス役として出演したミュージカルの楽曲を集めた「プリンス・メドレー」を歌い継いだ。さらに浦井と田代は、大盛り上がりのトークで予定より時間が押していることを気にする井上をよそに、田代作詞、大貫作曲の「プリンセス・ハート」をにぎやかに歌い上げ、嵐のように去って行った。
[画像3: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-53efd3d64fbba2bca612-4.jpg ]
井上はゲストの登場によって肩の力が抜けたのか、後半戦ではさらに歌声に伸びやかさをみせる。蓬莱竜太が井上の日常にインスパイアされて作詞したという「無題の詩」をはじめ、アルバムから「Diary」「ライフ」「記憶の庭」、そしてミュージカルから「ジェーン・エア」の「The Gypsy」、「ベートーヴェン」の「運命はこの手で」など、さまざまな曲調のナンバーを畳みかけるように歌い、底なしの表現力を見せつけた。
ラストに向けて披露されたのは、アルバム曲「The Only」とミュージカル「リトル・プリンス」より「シャイニングスター」。前者では井上の涼やかな歌声が“自分らしさ”を肯定する歌詞に説得力を持たせ、後者ではコトリンゴと大貫の2ピアノの豪華な伴奏に乗せて、井上がハリのある歌声を響かせた。コンサートの締めくくりとなる「あなたに贈る海風」で、井上の心のこもった歌唱が空間を満たすと、客席からは万雷の拍手が贈られた。
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【4月23日(火)セットリスト】
M1. Opening〜Prelude
M2. よろしく絶望
M3. 私を燃やす愛〜天使も悪魔も
M4. El Tango De Roxanne
M5. タイムテーブル
M6. Lost In The Night
M7. Chandelier
M8. Luck be a lady
M9. 初めて知る想い
M10. プリンス・メドレー〜プリンセス・ハート
M11. Interlude〜無題の詩
M12. The Gypsy
M13. Diary
M14. ライフ
M15. 運命はこの手で
M16. Make Them Hear You
M17. 記憶の庭
M18. The Only
M19. シャイニングスター
M20. あなたに贈る海風
M21. 雨が止んだら(アンコール)
M22. ぼくは人工衛星(アンコール)
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わちゃわちゃした1日目とキッチリ進行したつもりの2日目。
結果、同等の上演時間オーバーで井上らしい“平等”なステージに
2日目。井上は温かな拍手に導かれながら、前日よりもリラックスした雰囲気で姿を現した。しかし自身は、久しぶりのコンサートだということ、またこれまでとは違う趣向が凝らされていることもあって「まだ慣れない」と言う。初日が“主にゲストの奮闘により”予定終了時刻を大幅に過ぎてしまったことを反省し、2日目はオンタイムの進行を約束。ゲスト部分を除き1日目と同じセットリストだったが、バックバンドや音楽監督たちとの気の利いたトーク、オーディエンスのあおり方にも脂が乗り、勢いに乗ったパフォーマンスを次々と見せていった。
[画像4: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-2ec2f6fce1ed53bc1849-1.jpg ]
2日目のゲストには、東京藝術大学の先輩で2023年の「Ragtime」が初共演となった石丸幹二と、「ガイズ&ドールズ」で共演し井上がコンサートゲストを務めた明日海が登場した。まずは井上と石丸が、コロナで中止となった前回のコンサートのために準備していたという、玉置浩二の「田園」をデュエットで4年越しに披露。2人のエネルギッシュな歌声に合わせて客席のペンライトも激しく波立ち、会場のボルテージは一気に上がる。一方の明日海は、前日に田代が対抗心を燃やしながら明日海のパートを歌った「初めて知る想い」を井上と披露し、本役としての存在感を見せつけた。さらに3人は、共通の出演作だが共演経験はない「エリザベート」のメドレーを歌唱。「闇が広がる」で、井上が一瞬にしてルドルフの顔に戻ったことに石丸が驚きを隠せずにいると、井上は「一度覚えた自転車の乗り方と同じ」と謙遜しつつ頬を緩めた。また、ファン垂涎の井上フランツ×石丸トート×明日海エリザベートの「私だけに(リプライズ)」など、この場限りのぜいたくなコラボレーションに、客席からは感嘆の声が。ゲストが退場した後も、井上は1曲1曲を丁寧に歌い上げ、時折会場を見渡しては、客席の光景を目に焼き付けるかのような表情を見せた。
[画像5: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-0b31ca511050891ac8f9-5.jpg ]
コンサートではアルバム「Greenville」に込めた井上の思いも語られた。思春期に1年ほど、アメリカのGreenvilleという街で暮らした井上は、予期せず置かれた状況下で“何者でもない自分”と向き合う時間を過ごしたという。そんな毎日を精一杯生き抜こうとしていた当時の心境に今、「戻ってきている」そうで、今回のコンサートでは、井上がミュージカル俳優として積み重ねてきた豊かな時間や経験と、アーティスト・井上芳雄の原点を見つめ直す目線が幾度も交錯した。
[画像6: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-181fe6c078b4eb39d7ef-2.jpg ]
多彩な楽曲を歌いこなす圧巻のパフォーマンスとエンターテイナーぶりで観客を大いに魅了した井上。全20曲を歌い終え、拍手に迎えられて舞台袖から戻ってくると、進行に気を付けていた2日目も実は「前日と同じくらいの時間が経っていた(笑)」と、観客に“裏切らない”報告をする。さらに2日間のコンサートを振り返り、「1曲1曲を大切に届けることができました。“生きている”と感じられる瞬間もあって、素敵な時間を過ごせたなと思います!」と感謝を述べ、日比谷音楽祭2023での日比谷ブロードウェイのステージのために書き下ろされた「雨が止んだら」でアンコールに突入。客席での撮影が許可された「ぼくは人工衛星」では、クルクルと歌い踊りながらハッピーなオーラを振りまき、「うまく撮れた?」と観客を気遣いつつ満足気な笑顔を残して、ステージを後にした。
[画像7: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-2172a6c21820a17fcd84-6.jpg ]
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【4月24日(水)セットリスト】
M1. Opening〜Prelude
M2. よろしく絶望
M3. 私を燃やす愛〜天使も悪魔も
M4. El Tango De Roxanne
M5. タイムテーブル
M6. Lost In The Night
M7. Chandelier
M8. 田園
M9. 初めて知る想い
M10. エリザベート・メドレー
M11. Interlude〜無題の詩
M12. The Gypsy
M13. Diary
M14. ライフ
M15. 運命はこの手で
M16. Make Them Hear You
M17. 記憶の庭
M18. The Only
M19. シャイニングスター
M20. あなたに贈る海風
M21. 雨が止んだら(アンコール)
M22. ぼくは人工衛星(アンコール)
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[画像1: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-b3bbf6f493686931c73f-0.jpg ]
今回のコンサートでは、今年で8年目に突入した、井上がパーソナリティを務めるTBSラジオの番組「井上芳雄 by MYSELF」と、2023年3月に日本コロムビアよりリリースされた自身初のフルオリジナルアルバム「Greenville」の世界観がコラボレートする。2日間にわたって繰り広げられたコンサートでは、井上が近年出演したミュージカル作品のナンバーや「Greenville」に収録された楽曲、そして井上とゆかりのある日替わりゲストたちとのデュエット&トリオの歌声が披露され、演劇界のトップランナーとして走り続ける井上の胆力、アーティストとしての佇まい、トークシーンでほころぶ顔や鋭くも愛があるツッコミなど、井上のさまざまな側面が堪能できるコンサートとなった。
まずは初日の様子をレポート。井上のこれまでのコンサートの中でもひときわ大きな会場となった東京ガーデンシアターには、開演前を待つ観客の静かな興奮が満ちていた。ステージ上のLEDパネルにはスカイブルーのタイトルロゴが輝き、どこか落ち着いた、大人っぽい雰囲気を漂わせる。今回は井上と共に「井上芳雄 by MYSELF」にレギュラー出演する大貫祐一郎と「Greenville」をプロデュースしたコトリンゴがピアニストを担うため、上手と下手に1台ずつピアノが置かれた。
「Greenville」は、井上が提示した人生の局面で訪れる困難や場面をテーマに、多彩なアーティストが書き下ろしたコンセプチュアルなアルバムとなるが、今回のコンサートでは井上が、「Greenville」で挙げたテーマに通じる楽曲をミュージカル作品からセレクトし、歌いつなげるコンサートとなる。
ミュージカルの開演前のように、オーケストラがチューニングを済ませると、水の波紋や芽吹く草木などの映像が映し出され、ステージ中央に井上がすっと現れた。そのまま「何もない 地球(ほし)の上で 目を覚ます その息吹」と、「Greenville」から「Prelude」が歌われ、コンサートの幕開けが優しく告げられる。コンサートの構成・演出を手がけるのは、劇作・演出家の小林香。3年ぶりとなるコンサートでの登場に井上は、ド派手な演出を選ぶのではなく、1つの物語を語り始めるかのように、観客を自身の世界に引き込んだ。
1曲目を歌い終え、さっと表情を変えた井上は「こんばんは、井上芳雄です! 皆さんお元気でしたか?」とあいさつ。コンサートでは数年ぶりの対面となる観客に「皆さんもそこそこ元気だったでしょう」「この期間、僕も皆さんと同じように“大人”を進めてきました」と井上節を繰り広げ、会場を沸かせた。そして、2021年に自身の20周年記念コンサートがコロナのあおりを受けて1公演のみの実施となったこと、その代替として無観客生配信コンサート「『井上芳雄 by MYSELF』スペシャルライブ配信 20th Anniversary Festival! 〜急遽生配信!裏切らない芳雄4時間フェス〜」を行ったことなどを、自身の思いと共に振り返る。またこのコンサートで最新アルバムの収録曲を披露できる喜びを語り、「『Greenville』と『井上芳雄 by MYSELF』を組み合わせたらどうなるか。5時間超えの前回とは違い、僕も大人になりました。長ければ良いというわけじゃない。今回は2時間半のコンサートをお届けします」と堂々と宣言し、笑顔を見せた。
“生を受ける”をキーワードに誕生した「Prelude」につながる楽曲として、昨年日本で初演されたミュージカル「ベートーヴェン」より「よろしく絶望」のイントロが鳴り始めると、井上はまとう空気をガラッと変え、圧倒的な才能を持ちながら、絶望をも受け入れて生きるベートーヴェンを自らに降ろし、観客の脳裏に舞台の情景をよみがえらせた。さらに、ミュージカル「エリザベート」より、ベースを利かせたアレンジの「私を燃やす愛」をつやっぽく披露したほか、アルバム曲「天使も悪魔も」を軽快なリズムに乗せて踊るように歌う。続く「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」の「EL Tango De Roxanne」では集中力をぐっと高め、真っ赤な照明の中で、ロクサーヌに対するクリスチャンの思いを力強い歌声で轟かせ、客席から大きな拍手が贈られた。
コトリンゴ作詞作曲の「タイムテーブル」では、“使われる”というテーマが明るくポップな曲調で展開。井上が、観客の反応が最も気になる曲として挙げていた全編英語の歌詞の「Lost In The Night」では、井上のグルーヴ感あふれる歌唱に呼応するかのように客席のペンライトが大きく揺れた。
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今回のコンサートでは、LEDパネルが舞台美術として駆使され、楽曲の世界観をサポートする。曲調や井上の動きに合わせてカラフルでポップなイラストや自然や宇宙を思わせる有機的な映像が映し出されるのだが、この効果が最大限に発揮されたのが、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」より披露された「Chandelier」だ。シーアのヒット曲を、両手を広げて悠々と歌い上げる井上の背後には、まばゆいばかりの光が弾け、降り注ぎ、井上いわく「外国人タレントのよう」な迫力の映像演出がステージ上の高揚感を押し上げる。
コンサートでは2日間日替わりで、豪華ゲストが登場した。初日には、2022年のミュージカル「ガイズ&ドールズ」で井上と共演し、「井上芳雄 by MYSELF」コンサートでもおなじみの浦井健治と田代万里生が参加。衣裳にコンサートグッズのステッカーを貼り、胸ポケットに井上のアクリルスタンドを忍ばせて現れた浦井は、井上の問いかけにわざとぞんざいに答えたり、“芳雄グリーン”色のペンライトが光る様子を「芝生みたい」と表現したりして観客の笑いを誘う。一方、井上のコンサートで毎回、綿密なネタを仕込んでくる田代は、「ガイズ&ドールズ」で明日海りおが演じたサラ・ブラウン風のロングジャケットを着用し、マシンガントークで井上を翻弄。そんな田代の様子に井上が「自分のせいでほかの現場でも“ゲスト芸人”のようになってしまったのでは」と真剣に心配する様子を見せると、客席から笑い声が漏れた。2人は井上と「ガイズ&ドールズ」より「Luck be a lady」「初めて知る想い」をそれぞれデュエットで聴かせ、“今は位が上がってしまった元プリンス”を自認しているという3者で、それぞれがプリンス役として出演したミュージカルの楽曲を集めた「プリンス・メドレー」を歌い継いだ。さらに浦井と田代は、大盛り上がりのトークで予定より時間が押していることを気にする井上をよそに、田代作詞、大貫作曲の「プリンセス・ハート」をにぎやかに歌い上げ、嵐のように去って行った。
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井上はゲストの登場によって肩の力が抜けたのか、後半戦ではさらに歌声に伸びやかさをみせる。蓬莱竜太が井上の日常にインスパイアされて作詞したという「無題の詩」をはじめ、アルバムから「Diary」「ライフ」「記憶の庭」、そしてミュージカルから「ジェーン・エア」の「The Gypsy」、「ベートーヴェン」の「運命はこの手で」など、さまざまな曲調のナンバーを畳みかけるように歌い、底なしの表現力を見せつけた。
ラストに向けて披露されたのは、アルバム曲「The Only」とミュージカル「リトル・プリンス」より「シャイニングスター」。前者では井上の涼やかな歌声が“自分らしさ”を肯定する歌詞に説得力を持たせ、後者ではコトリンゴと大貫の2ピアノの豪華な伴奏に乗せて、井上がハリのある歌声を響かせた。コンサートの締めくくりとなる「あなたに贈る海風」で、井上の心のこもった歌唱が空間を満たすと、客席からは万雷の拍手が贈られた。
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【4月23日(火)セットリスト】
M1. Opening〜Prelude
M2. よろしく絶望
M3. 私を燃やす愛〜天使も悪魔も
M4. El Tango De Roxanne
M5. タイムテーブル
M6. Lost In The Night
M7. Chandelier
M8. Luck be a lady
M9. 初めて知る想い
M10. プリンス・メドレー〜プリンセス・ハート
M11. Interlude〜無題の詩
M12. The Gypsy
M13. Diary
M14. ライフ
M15. 運命はこの手で
M16. Make Them Hear You
M17. 記憶の庭
M18. The Only
M19. シャイニングスター
M20. あなたに贈る海風
M21. 雨が止んだら(アンコール)
M22. ぼくは人工衛星(アンコール)
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わちゃわちゃした1日目とキッチリ進行したつもりの2日目。
結果、同等の上演時間オーバーで井上らしい“平等”なステージに
2日目。井上は温かな拍手に導かれながら、前日よりもリラックスした雰囲気で姿を現した。しかし自身は、久しぶりのコンサートだということ、またこれまでとは違う趣向が凝らされていることもあって「まだ慣れない」と言う。初日が“主にゲストの奮闘により”予定終了時刻を大幅に過ぎてしまったことを反省し、2日目はオンタイムの進行を約束。ゲスト部分を除き1日目と同じセットリストだったが、バックバンドや音楽監督たちとの気の利いたトーク、オーディエンスのあおり方にも脂が乗り、勢いに乗ったパフォーマンスを次々と見せていった。
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2日目のゲストには、東京藝術大学の先輩で2023年の「Ragtime」が初共演となった石丸幹二と、「ガイズ&ドールズ」で共演し井上がコンサートゲストを務めた明日海が登場した。まずは井上と石丸が、コロナで中止となった前回のコンサートのために準備していたという、玉置浩二の「田園」をデュエットで4年越しに披露。2人のエネルギッシュな歌声に合わせて客席のペンライトも激しく波立ち、会場のボルテージは一気に上がる。一方の明日海は、前日に田代が対抗心を燃やしながら明日海のパートを歌った「初めて知る想い」を井上と披露し、本役としての存在感を見せつけた。さらに3人は、共通の出演作だが共演経験はない「エリザベート」のメドレーを歌唱。「闇が広がる」で、井上が一瞬にしてルドルフの顔に戻ったことに石丸が驚きを隠せずにいると、井上は「一度覚えた自転車の乗り方と同じ」と謙遜しつつ頬を緩めた。また、ファン垂涎の井上フランツ×石丸トート×明日海エリザベートの「私だけに(リプライズ)」など、この場限りのぜいたくなコラボレーションに、客席からは感嘆の声が。ゲストが退場した後も、井上は1曲1曲を丁寧に歌い上げ、時折会場を見渡しては、客席の光景を目に焼き付けるかのような表情を見せた。
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コンサートではアルバム「Greenville」に込めた井上の思いも語られた。思春期に1年ほど、アメリカのGreenvilleという街で暮らした井上は、予期せず置かれた状況下で“何者でもない自分”と向き合う時間を過ごしたという。そんな毎日を精一杯生き抜こうとしていた当時の心境に今、「戻ってきている」そうで、今回のコンサートでは、井上がミュージカル俳優として積み重ねてきた豊かな時間や経験と、アーティスト・井上芳雄の原点を見つめ直す目線が幾度も交錯した。
[画像6: https://prtimes.jp/i/19470/3737/resize/d19470-3737-181fe6c078b4eb39d7ef-2.jpg ]
多彩な楽曲を歌いこなす圧巻のパフォーマンスとエンターテイナーぶりで観客を大いに魅了した井上。全20曲を歌い終え、拍手に迎えられて舞台袖から戻ってくると、進行に気を付けていた2日目も実は「前日と同じくらいの時間が経っていた(笑)」と、観客に“裏切らない”報告をする。さらに2日間のコンサートを振り返り、「1曲1曲を大切に届けることができました。“生きている”と感じられる瞬間もあって、素敵な時間を過ごせたなと思います!」と感謝を述べ、日比谷音楽祭2023での日比谷ブロードウェイのステージのために書き下ろされた「雨が止んだら」でアンコールに突入。客席での撮影が許可された「ぼくは人工衛星」では、クルクルと歌い踊りながらハッピーなオーラを振りまき、「うまく撮れた?」と観客を気遣いつつ満足気な笑顔を残して、ステージを後にした。
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【4月24日(水)セットリスト】
M1. Opening〜Prelude
M2. よろしく絶望
M3. 私を燃やす愛〜天使も悪魔も
M4. El Tango De Roxanne
M5. タイムテーブル
M6. Lost In The Night
M7. Chandelier
M8. 田園
M9. 初めて知る想い
M10. エリザベート・メドレー
M11. Interlude〜無題の詩
M12. The Gypsy
M13. Diary
M14. ライフ
M15. 運命はこの手で
M16. Make Them Hear You
M17. 記憶の庭
M18. The Only
M19. シャイニングスター
M20. あなたに贈る海風
M21. 雨が止んだら(アンコール)
M22. ぼくは人工衛星(アンコール)
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