コロプラおでかけ研究所レポート #2 首都圏「夜の繁華街」人の動き急回復へ 〜計画停電エリア低調〜
コロプラおでかけ研究所(主席研究員:長谷部潤)は、首都圏「夜の繁華街」における人の動きが震災前の8割〜9割程度にまで回復していることを明らかにした。一方で計画停電対象エリアとなった場合、「おでかけ」の回復は著しく遅れることも判明。停電が飲食店などに及ぼす影響の大きさも同時に明らかになった。
おでかけを科学する<コロプラおでかけ研究所(主席研究員:長谷部潤)>は、株式会社コロプラ代表取締役:馬場功淳、本社:東京都渋谷区、以下「コロプラ」)が運営する位置ゲープラットフォーム「コロプラ+(プラス)」における月間4,000万回もの位置登録情報を分析した結果、首都圏「夜の繁華街」における人の動きが震災前の8割〜9割程度にまで回復していることが明らかになった。一方で計画停電対象エリアとなった場合、「おでかけ」の回復は著しく遅れることも判明。停電が飲食店などに及ぼす影響の大きさも同時に明らかになった。
※位置登録データは統計処理をしており、ユーザの皆様個人を特定できるものではありません。 ※当該資料はサマリ版です。フルレポートはhttp://colopl.co.jpをご覧ください。
(図1)計画停電対象繁華街と対象外繁華街との<コロプラ+>での位置登録回数推移
■飲みたいパワーは健在
3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。都心でも震度5強を観測。JR、地下鉄をはじめ交通網が一斉にストップした。その後も郊外を中心に運航休止となる路線が多く、震災翌週は自宅待機とする企業も多かった。当然、飲みに行く頻度は落ちる。震災翌週(3月14日の週)の首都圏繁華街の20時〜22時のおでかけ指数(=位置登録回数)は、基準日とした震災前日――3月10日(木)の100に対し30〜60程度にまで落ち込んだ。それは都内の繁華街(六本木、新宿、錦糸町など)も郊外の繁華街(浦和、西船橋など)も大きな差異はなく、一律な落ち込みであった。
震災翌週は自宅待機の企業も多かったようだが、その翌週である3月21日の週は、(日本人らしく)一斉に自宅待機指示を解除、「出社」へと移行した。その影響は夜の繁華街にも如実に表れる。震災当日に4まで落ち込んだ都内繁華街おでかけ指数は22日(火)に唐突に65まで跳ね上がる。まだまだ列車本数などは制限されている状況であったが、サラリーマンの飲みたいパワーがそれを上回ったようである。昼間仕事をし、夜飲みに行く――少なくとも首都圏は、この日を境に「日常」へと戻り始めたように感じている。
■計画停電エリアの厳しさ
震災翌々週の3月21日の週はもう一つ特徴的な数字が現れた。それは計画停電エリアと除外エリアとの差である。週初の22日(火)こそおでかけ指数はともに70近くまで回復したが、計画停電エリアである郊外の繁華街である浦和、柏、西船橋エリアは、金曜日である25日まで横ばいの60台で推移。一方で除外エリアである六本木、新宿、錦糸町など都内の繁華街は金曜日には91にまで上昇した。停電対象エリアとそうでないエリアとの差は1.4倍近くにまで広がったのである。
注目すべき点がその翌週(3月28日の週)にも見られた。計画停電は3月28日(月)を最後に実施されなくなったが、その週のおでかけ指数は69〜75にとどまったのである。停電対象外である都内繁華街のそれは83〜89であり、停電が実施されなかったにもかかわらず、両者の差はなんらの変化を示さなかったのである。
(図2)一都三県における19時〜24時の位置登録回数の変化。震災前一週間(3月4日〜3月10日)と計画停電終了後一週間(3月31日〜4月6日)とを比較。減少率が10%以上30%未満だと「黄色」、30%以上だと「赤色」で表記。一定数以上の位置登録が行われたエリアのみを対象としている。東京ベイエリアと郊外の落ち込みが大きい(赤いエリアが多い)ことが分かる。
■一度遠のいた客足はなかなか戻らない
<コロプラおでかけ研究所>は、郊外の繁華街、つまり計画停電の対象となっていたエリアの客足の戻りの鈍さを、「一旦遠のいた足はなかなか戻らない」――にその理由を置いている。理由は簡単で、4月4日の週に至っても両者の差が一向に縮まらないためである。この時期になると、さすがに停電の可能性を鑑みて飲みに行かない、ということは考え難く、やはり、繁華街やレジャーエリアは一度客足が遠のくとなかなか戻ってこない、と考えるべきだろう。その目線では、東京ディズニーリゾートの営業再開が注目だろう。
浦安市、市川市、船橋市の3つの市での位置登録ユーザ数を比較すると、浦安市の戻りが著しく遅い。浦安市は液状化による被害が甚大で、その影響が強く数字に表れていることが考えられる。ただそれに加え、東京ディズニーリゾートの営業中止も大きいだろう。入場者数は年間2,500万人台。営業日数345日間で単純に割ると日次で7.3万人である。浦安市の人口が16万人なので人口比で44%に匹敵する来場者が今現在ゼロということなのである。当然ながら位置登録ユーザ数への影響は大きいと考えられる。
(図3)千葉西部三市(浦安市、市川市、船橋市)の位置登録者数比較。浦安市の戻りの鈍さに注目
東日本大震災は、(東北エリアと比較するべくもないものの)首都圏も被災地であったと言える。中でも計画停電実施による経済活動、消費活動に対する影響(=いわば一種の被害)の甚大さが、夜の繁華街データからもはっきりと出ている。経済産業省は「夏の停電は避ける」としているが、当研究所も本当に切実に避けて欲しいと願っている。事実上一週間の計画停電の対象になっただけで、4月中旬の今に至るまで停電エリアと非停電エリアとの差は縮まらないのである。これが夏の数か月が対象となったら、しかも都内も対象となったら、…考えるだけでも恐ろしいことである。
― 以 上 ―
【コロプラおでかけ研究所について】
株式会社コロプラ内に設立された「おでかけ」に関するリサーチセンター。位置情報プラットフォーム<コロプラ+>におけるユーザからの月間4,000万回にも及ぶ位置登録情報データをベースに「人々の移動」を調査・分析し定期レポートを発表している。
主席研究員: 長谷部潤 ※株式会社コロプラ 取締役CSO(最高戦略責任者)を兼務
※GeoHex by sa2da is licensed under a Creative Commons 表示-継承 2.1 日本 License.Creative Commons License
【株式会社コロプラ 会社概要】
社名: 株式会社コロプラ http://colopl.co.jp
所在地: 東京都渋谷区恵比寿南1-15-1 JT恵比寿南ビル3F
設立: 2008年10月1日
資本金: 35,885,000円
代表者: 代表取締役社長 馬場功淳
事業内容: 「コロニーな生活☆PLUS」など位置情報ゲーム、位置情報サービスプラットフォーム「コロプラ+」の開発・運営
【本リリースに関するお問い合わせ】
株式会社コロプラ 経営企画部 天野 press@colopl.co.jp
※位置登録データは統計処理をしており、ユーザの皆様個人を特定できるものではありません。 ※当該資料はサマリ版です。フルレポートはhttp://colopl.co.jpをご覧ください。
(図1)計画停電対象繁華街と対象外繁華街との<コロプラ+>での位置登録回数推移
■飲みたいパワーは健在
3月11日午後2時46分、東日本大震災発生。都心でも震度5強を観測。JR、地下鉄をはじめ交通網が一斉にストップした。その後も郊外を中心に運航休止となる路線が多く、震災翌週は自宅待機とする企業も多かった。当然、飲みに行く頻度は落ちる。震災翌週(3月14日の週)の首都圏繁華街の20時〜22時のおでかけ指数(=位置登録回数)は、基準日とした震災前日――3月10日(木)の100に対し30〜60程度にまで落ち込んだ。それは都内の繁華街(六本木、新宿、錦糸町など)も郊外の繁華街(浦和、西船橋など)も大きな差異はなく、一律な落ち込みであった。
震災翌週は自宅待機の企業も多かったようだが、その翌週である3月21日の週は、(日本人らしく)一斉に自宅待機指示を解除、「出社」へと移行した。その影響は夜の繁華街にも如実に表れる。震災当日に4まで落ち込んだ都内繁華街おでかけ指数は22日(火)に唐突に65まで跳ね上がる。まだまだ列車本数などは制限されている状況であったが、サラリーマンの飲みたいパワーがそれを上回ったようである。昼間仕事をし、夜飲みに行く――少なくとも首都圏は、この日を境に「日常」へと戻り始めたように感じている。
■計画停電エリアの厳しさ
震災翌々週の3月21日の週はもう一つ特徴的な数字が現れた。それは計画停電エリアと除外エリアとの差である。週初の22日(火)こそおでかけ指数はともに70近くまで回復したが、計画停電エリアである郊外の繁華街である浦和、柏、西船橋エリアは、金曜日である25日まで横ばいの60台で推移。一方で除外エリアである六本木、新宿、錦糸町など都内の繁華街は金曜日には91にまで上昇した。停電対象エリアとそうでないエリアとの差は1.4倍近くにまで広がったのである。
注目すべき点がその翌週(3月28日の週)にも見られた。計画停電は3月28日(月)を最後に実施されなくなったが、その週のおでかけ指数は69〜75にとどまったのである。停電対象外である都内繁華街のそれは83〜89であり、停電が実施されなかったにもかかわらず、両者の差はなんらの変化を示さなかったのである。
(図2)一都三県における19時〜24時の位置登録回数の変化。震災前一週間(3月4日〜3月10日)と計画停電終了後一週間(3月31日〜4月6日)とを比較。減少率が10%以上30%未満だと「黄色」、30%以上だと「赤色」で表記。一定数以上の位置登録が行われたエリアのみを対象としている。東京ベイエリアと郊外の落ち込みが大きい(赤いエリアが多い)ことが分かる。
■一度遠のいた客足はなかなか戻らない
<コロプラおでかけ研究所>は、郊外の繁華街、つまり計画停電の対象となっていたエリアの客足の戻りの鈍さを、「一旦遠のいた足はなかなか戻らない」――にその理由を置いている。理由は簡単で、4月4日の週に至っても両者の差が一向に縮まらないためである。この時期になると、さすがに停電の可能性を鑑みて飲みに行かない、ということは考え難く、やはり、繁華街やレジャーエリアは一度客足が遠のくとなかなか戻ってこない、と考えるべきだろう。その目線では、東京ディズニーリゾートの営業再開が注目だろう。
浦安市、市川市、船橋市の3つの市での位置登録ユーザ数を比較すると、浦安市の戻りが著しく遅い。浦安市は液状化による被害が甚大で、その影響が強く数字に表れていることが考えられる。ただそれに加え、東京ディズニーリゾートの営業中止も大きいだろう。入場者数は年間2,500万人台。営業日数345日間で単純に割ると日次で7.3万人である。浦安市の人口が16万人なので人口比で44%に匹敵する来場者が今現在ゼロということなのである。当然ながら位置登録ユーザ数への影響は大きいと考えられる。
(図3)千葉西部三市(浦安市、市川市、船橋市)の位置登録者数比較。浦安市の戻りの鈍さに注目
東日本大震災は、(東北エリアと比較するべくもないものの)首都圏も被災地であったと言える。中でも計画停電実施による経済活動、消費活動に対する影響(=いわば一種の被害)の甚大さが、夜の繁華街データからもはっきりと出ている。経済産業省は「夏の停電は避ける」としているが、当研究所も本当に切実に避けて欲しいと願っている。事実上一週間の計画停電の対象になっただけで、4月中旬の今に至るまで停電エリアと非停電エリアとの差は縮まらないのである。これが夏の数か月が対象となったら、しかも都内も対象となったら、…考えるだけでも恐ろしいことである。
― 以 上 ―
【コロプラおでかけ研究所について】
株式会社コロプラ内に設立された「おでかけ」に関するリサーチセンター。位置情報プラットフォーム<コロプラ+>におけるユーザからの月間4,000万回にも及ぶ位置登録情報データをベースに「人々の移動」を調査・分析し定期レポートを発表している。
主席研究員: 長谷部潤 ※株式会社コロプラ 取締役CSO(最高戦略責任者)を兼務
※GeoHex by sa2da is licensed under a Creative Commons 表示-継承 2.1 日本 License.Creative Commons License
【株式会社コロプラ 会社概要】
社名: 株式会社コロプラ http://colopl.co.jp
所在地: 東京都渋谷区恵比寿南1-15-1 JT恵比寿南ビル3F
設立: 2008年10月1日
資本金: 35,885,000円
代表者: 代表取締役社長 馬場功淳
事業内容: 「コロニーな生活☆PLUS」など位置情報ゲーム、位置情報サービスプラットフォーム「コロプラ+」の開発・運営
【本リリースに関するお問い合わせ】
株式会社コロプラ 経営企画部 天野 press@colopl.co.jp