断眠療法がうつ病治療に効果を発揮
[09/06/30]
提供元:@Press
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100万人を超えたうつ病患者。NHKは2009年に入り、NHKスペシャル、クローズアップ現代、ためしてガッテンと連続してうつ病をテーマとした番組を放映し、誰でもうつ病にかかってもおかしくなく、とても治りにくい病気であることが広く認識されてきました。そして、番組を通じて明らかになったのは、抗うつ薬中心の治療方針に手詰まり感が見えること。日本うつ病学会理事長の野村 総一郎氏が番組の中で、「抗うつ薬はうつ病治療法の一つに過ぎない。」と抗うつ薬の限界に触れ、うつ病治療には様々の治療法が求められている実態が明らかになりました。このような厳しい状況の中、抗うつ薬中心の治療を補完する治療法として、「断眠療法」が効果を上げています。
■断眠療法とは
睡眠を断つ治療法。断眠療法の歴史は古く、新しい治療法ではありません。1971年にその効果が確認されて以来、これまでに全世界で数多く適用され、その高い有効性が実証されています。
<断眠療法特長>
1.一晩の断眠直後から効果がでる。
2.有効率は約60%と高く、抗うつ薬の有効率と遜色ない。
3.副作用が少なく、適用対象が広い。
4.薬物抵抗性の難治性うつ病にも有効である。
しかしながら、その効果が持続しにくく、断眠療法後の回復睡眠で逆戻りすることが多いという欠点もあり、これまで日本ではあまり一般化されませんでした。しかし、断眠療法の効果を持続・増強させる方法がヨーロッパを中心に研究されており、幅広く応用されています。
徹夜明けにハイな気分になるという経験をしたことのある人も多いと思いますが、断眠療法はそれに近いものがあるかもしれません。断眠療法がうつ病を改善させるメカニズムは明らかではありませんが、一晩眠らないことで生体リズム(※)や神経伝達物質等に変化を及ぼし、それによってうつ病の急速な改善をもたらしている可能性が指摘されています。
断眠療法は、断眠中はもとより、断眠の前後を通して医療スタッフのサポートが必要になるので、一般的には入院して治療を受けることになります。
※生体リズム
人間の身体の中では、体内時計をもとに様々な周期性のある活動が行われています。たとえば、1日周期のリズムを刻む体温のリズム、ホルモン分泌のリズム等々。
■断眠療法の効果を持続: 秋田大学医学部附属病院のアプローチ
断眠療法の効果を増強・持続させる方法にはいくつかありますが、秋田大学医学部附属病院の精神科では、独自に「高照度光療法」と「睡眠位相前進」を併用することにより、断眠療法の効果が持続しにくいという弱点を克服して成果を上げてきています。
具体的には、一晩睡眠をとらせない全断眠を実施します。そして、翌日以降に光療法と睡眠位相前進を実施することによって睡眠時間帯を上手く操作し、断眠療法の効果を維持したまま通常睡眠時間帯に戻すことを行っています。
断眠中は、テレビ、ビデオ鑑賞、読書、ゲームなど、患者がどのように過ごしても良ことになっています。断眠療法の進んでいるヨーロッパでは、集団療法として患者同士が断眠中に交流して過ごすことも行われています。
秋田大学医学部附属病院 精神科:
http://www.med.akita-u.ac.jp/~seisin/sleep_deprivation/web-content/index.html
光療法の総合サイト:
http://portal.lighttherapy.jp/patient/post_124.html
■有効なうつ病治療法として普及することに期待
抗うつ薬治療は必要不可欠のものですが、抗うつ薬中心に偏った治療方針には手詰まり感があることは否めません。1999年5月に大きな期待とともにSSRIが発売開始されてから丁度10年が経過しましたが、うつ病患者の数は増加し続けているのが現実です。
抗うつ薬の効き方、副作用の現れ方は人それぞれで、抗うつ薬が効きにくい、あるいは副作用が出やすいといった薬剤抵抗性の患者、難治性の患者も少なからず存在するのです。
このような患者に断眠療法を適用する価値は非常に高いと考えられます。入院が必要であるものの、一晩の断眠直後から効果がでて、有効率が60%と抗うつ薬と遜色なく、副作用が少なく適用対象が広いというメリットがあるので、実際に治療を適用するのも有望な選択肢の一つではないでしょうか。
断眠療法が優れている点は、それ自体の有効性にとどまらず、抗うつ薬等の他の治療法と併用出来る点にあり、相乗効果を発揮しながら治療出来ることです。うつ病の治療経過は様々で、なかなか改善がみられず遷延する場合も少なくありません。それに対してより効果を発揮できる方法が加わったことは、大変な進歩であり、社会的に大変大きな価値を持っていることは明らかです。
うつ病患者や一般人の方はもとより、医療従事者の理解が進むことにより、全国の医療現場において推奨・活用されることを願っています。
■断眠療法とは
睡眠を断つ治療法。断眠療法の歴史は古く、新しい治療法ではありません。1971年にその効果が確認されて以来、これまでに全世界で数多く適用され、その高い有効性が実証されています。
<断眠療法特長>
1.一晩の断眠直後から効果がでる。
2.有効率は約60%と高く、抗うつ薬の有効率と遜色ない。
3.副作用が少なく、適用対象が広い。
4.薬物抵抗性の難治性うつ病にも有効である。
しかしながら、その効果が持続しにくく、断眠療法後の回復睡眠で逆戻りすることが多いという欠点もあり、これまで日本ではあまり一般化されませんでした。しかし、断眠療法の効果を持続・増強させる方法がヨーロッパを中心に研究されており、幅広く応用されています。
徹夜明けにハイな気分になるという経験をしたことのある人も多いと思いますが、断眠療法はそれに近いものがあるかもしれません。断眠療法がうつ病を改善させるメカニズムは明らかではありませんが、一晩眠らないことで生体リズム(※)や神経伝達物質等に変化を及ぼし、それによってうつ病の急速な改善をもたらしている可能性が指摘されています。
断眠療法は、断眠中はもとより、断眠の前後を通して医療スタッフのサポートが必要になるので、一般的には入院して治療を受けることになります。
※生体リズム
人間の身体の中では、体内時計をもとに様々な周期性のある活動が行われています。たとえば、1日周期のリズムを刻む体温のリズム、ホルモン分泌のリズム等々。
■断眠療法の効果を持続: 秋田大学医学部附属病院のアプローチ
断眠療法の効果を増強・持続させる方法にはいくつかありますが、秋田大学医学部附属病院の精神科では、独自に「高照度光療法」と「睡眠位相前進」を併用することにより、断眠療法の効果が持続しにくいという弱点を克服して成果を上げてきています。
具体的には、一晩睡眠をとらせない全断眠を実施します。そして、翌日以降に光療法と睡眠位相前進を実施することによって睡眠時間帯を上手く操作し、断眠療法の効果を維持したまま通常睡眠時間帯に戻すことを行っています。
断眠中は、テレビ、ビデオ鑑賞、読書、ゲームなど、患者がどのように過ごしても良ことになっています。断眠療法の進んでいるヨーロッパでは、集団療法として患者同士が断眠中に交流して過ごすことも行われています。
秋田大学医学部附属病院 精神科:
http://www.med.akita-u.ac.jp/~seisin/sleep_deprivation/web-content/index.html
光療法の総合サイト:
http://portal.lighttherapy.jp/patient/post_124.html
■有効なうつ病治療法として普及することに期待
抗うつ薬治療は必要不可欠のものですが、抗うつ薬中心に偏った治療方針には手詰まり感があることは否めません。1999年5月に大きな期待とともにSSRIが発売開始されてから丁度10年が経過しましたが、うつ病患者の数は増加し続けているのが現実です。
抗うつ薬の効き方、副作用の現れ方は人それぞれで、抗うつ薬が効きにくい、あるいは副作用が出やすいといった薬剤抵抗性の患者、難治性の患者も少なからず存在するのです。
このような患者に断眠療法を適用する価値は非常に高いと考えられます。入院が必要であるものの、一晩の断眠直後から効果がでて、有効率が60%と抗うつ薬と遜色なく、副作用が少なく適用対象が広いというメリットがあるので、実際に治療を適用するのも有望な選択肢の一つではないでしょうか。
断眠療法が優れている点は、それ自体の有効性にとどまらず、抗うつ薬等の他の治療法と併用出来る点にあり、相乗効果を発揮しながら治療出来ることです。うつ病の治療経過は様々で、なかなか改善がみられず遷延する場合も少なくありません。それに対してより効果を発揮できる方法が加わったことは、大変な進歩であり、社会的に大変大きな価値を持っていることは明らかです。
うつ病患者や一般人の方はもとより、医療従事者の理解が進むことにより、全国の医療現場において推奨・活用されることを願っています。