ABB、2010年は堅調。産業界における需要の高まりを受け成長が加速
[11/02/18]
提供元:@Press
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・第4四半期の成長が加速。
前年同期比受注高18パーセント増[現地通貨ベース]、収益6パーセント増
・エネルギーの効率化、産業の生産性の向上、電力系統の信頼性が需要を喚起
・第4四半期のEBITマージンは、12.3パーセントで、
成長と経費削減のターゲットの範疇
・営業活動によるキャッシュフローは18億米ドルで、
第4四半期で最も高かった前年度の数字に迫るレベル
・1株あたりの配当を0.60スイスフランに増額する提案は事業での自信の表れ
・2011年度の経費削減の目標値を10億米ドル以上と設定
スイス チューリッヒ、2011年2月17日発表 - ABBは、2010年度第4四半期において、産業界におけるエネルギー効率化と産業の生産性の向上への需要の高まり、そして電力インフラへの投資の回復を受け、堅調な受注と収益を達成したと発表しました。
産業界のお客さまが、生産能力の増強と効率性の改善を推し進めたことにより、1,500万米ドル以下の基本受注が全体で17パーセント伸び、そして全ての事業分野で増加に転じたことが、市場のポジティブなトレンドを反映しています。信頼性の高い電力を産業界、そして商業界のお客さまに届けるための配電設備への受注も増加しました。1,500万米ドル以上の大規模受注は、ヨーロッパ、中東での大規模送電プロジェクト獲得により、21パーセント増加しました。
金利税引き前利益(EBIT)は、23パーセント増加し、9億7,800万米ドルとなりました。EBITは、以前発表した1億2,000万米ドルの引当金を含みます。この多くは、パワーシステム事業における大規模プロジェクトに関連しています。第4四半期のリストラ関連経費は、約1億2,000万米ドルです。
プロジェクトのチャージ、依然続く価格への圧力にもかかわらず、EBITからリストラ関連経費とヘッジ取引の時価評価額の影響を取り除いた2010年第4四半期のEBITマージンは、12.3パーセントとなりました。ABBの2010年度第4四半期、通期のEBITマージンはともに、我々の目標レンジである11パーセントから16パーセントの範囲内に十分達するレベルとなっています。
第4四半期で、30億米ドルの経費削減プログラムは、その成果を達成し、終了しました。ABBは、2011年度、さらに10億米ドル以上の削減を達成することを計画しています。
当期純利益は、30パーセント増で7億米ドルに達し、営業活動によるキャッシュフローも、記録的な高水準を達成した昨年に迫るレベルとなりました。第4四半期終了時点でのネットキャッシュは64億米ドルでした。ABBの取締役会は、昨年度の実績の一株あたり0.51スイスフランから、0.60スイスフランへの増配を株主総会に提案しました。
【2010年度第4四半期および通期決算ハイライト】
※下記資料をご参照くださいませ。
URL: http://www.atpress.ne.jp/releases/19079/1_5.pdf
■経営陣のコメント
「2010年度決算は、今日のABBが金融危機以前より強いポジションにあることを示す内容であり、満足しています。」と、CEOのジョー・ホーガンは述べています。「産業界、および公共事業のお客さまからの、短期的周期の製品に対する需要が本格化し、過去2年間で最も早く基本受注の伸びに貢献しました。収益は、第3四半期と比較しても加速度的に増加しています。これは、エネルギーの効率化と生産性の向上に対する産業界の強い需要によるものです。収益の伸びは、原価基準へのてこ入れによって、収益も目標レンジを達成しています。これにより、オートメーション分野での回復の恩恵を受け、そして、長期的スパンの事業における需要、価格の弱含みにも対処することができたのです。」
「今回提案した配当金の増額は、我々の事業に対する自信の表れです。2011年度は、短期的産業分野の事業においても、そして、事業年度後半においては、電力設備への公共事業の投資も回復を始めると期待しており、素晴らしい成長機会が潤沢にあると見ています。長期的には、エネルギーの効率化と、より柔軟で信頼性の高い電力インフラに対する需要は、引き続き大変強いものがあります。ABBは、原価基準を低く保ち、製品ポートフォリオを拡大し、お客さま第一の姿勢をより高く目指す組織をもって、これらの事業機会を獲得することを目指します。」と、ジョー・ホーガンは述べています。
【第4四半期決算サマリー】
■受注と収益
第4四半期において、受注は前年同期比で堅調に推移しました。これは、オートメーションソリューションの分野、そしてエネルギーの効率化、および生産性の向上へのお客さまの投資が引き続き活発であったことが要因です。特比、鉱業、海運、紙パルプ、石油ガス、石油化学の分野での受注が改善しました。より信頼性の高い電力供給への需要の高まりを受けて、公共事業、産業界のお客さまは、配電システム、および機器への投資を拡大しました。
当四半期において、大規模送電プロジェクトをヨーロッパおよび中東で獲得したことも、受注の伸びに貢献した要因です。これは、成熟経済、新興経済双方において、電力系統を相互接続し、送電インフラを強化するという長期的なトレンドを示すものです。しかしながら、公共事業における、通常の送電分野の製品への需要は、低くとどまりました。
当期の基本受注は17パーセントの伸びをみせ、全ての事業分野でプラスに転じました。大規模受注は前年同期比21パーセント増で、当期の総受注の19パーセントを占めています。
地域的には、ヨーロッパでの受注(現地通貨ベース)が前年同期に比べて37パーセントと大きく伸びました。これは、基本受注、大規模受注ともに伸びたことによるものです。これらの受注には、バルト海を渡りHVDCで結ぶスウェーデン・リトアニア間の5億8,000万米ドル相当のプロジェクトなどが含まれます。
南北アメリカでは、受注は22パーセント成長しました。米国では、13パーセントの成長で、低電圧機器事業以外はプラスの伸びを見せました。電力事業分野での受注、鉱業分野でのお客さまの投資が南アフリカでの58パーセントの受注の伸びに寄与しています。中東およびアフリカでの受注は主に電力設備関連の受注増加によるもので、8パーセントの成長でした。
アジアでは、中国およびインドでの電力事業分野の受注の低下により、産業界の活況を反映し、オートメーション3事業分野全てがほとんどの地域で堅調な伸びを示したにもかかわらず、5パーセント減となりました。
当期、収益は主に短期、中期的なオートメーション事業の分野での伸びにより、最近の受注が収益化することにより増加しました。パワーシステムの収益もまた、強固な受注高を遂行することにより、増加しました。当四半期のサービスによる収益は現地通貨ベースで8パーセントの増加となりました。2010年通期では、サービスによる収益は総収益の17パーセント(2009年度は16パーセント)となりました。
2010年12月末付けの受注高は、262億米ドルで、現地通貨ベースで、2009年度末比4パーセント増となりました。2010年第3四半期末と比較すると、2パーセント減となっています。
■EBIT
EBITおよびEBITマージンは、前年同期比で共に増加しました。この要因のひとつは、主に固定費の低下が最も進んだオートメーション事業分野において、短期および中期的周期の事業での収益の増加が好影響を及ぼしたことです。当四半期におけるリストラ関連経費、約1億2,000万米ドルは、前年同期の3億5,000万米ドルと比較すると、顕著に低下しています。2010年第4四半期のEBITは、パワーシステム事業での約1億2,000万米ドルの費用を含みます。この費用のほとんどが以前発表されたケーブル関連事業での引当金です。
EBITからリストラ関連経費とヘッジ取引の時価評価額の影響を取り除いた2010年第4四半期のEBITマージンは、主にパワーシステムにおけるプロジェクトの引当金の増額により、12.3パーセントとなりました(2009年第4四半期12.7パーセント)。
■経費削減
ABBは、以前発表した経費削減プログラムを、第4四半期で完了し、その目標を十分達成しました。当プログラムは、ABBの経費を売上原価、販売管理費両面から継続的に削減し、2010年度末までに、2008年度の水準から、総額30億米ドルの削減を達成するというものでした。
2010年第4四半期の経費削減は、約3億7,000万米ドルで、その半分が、グローバルソーシングの最適化(原材料価格の変動を除く)、そして2割がグローバルフットプリントの取組みにより達成されました。残りは販売管理費の削減やオペレーショナルエクセレンスの取組みにより成し遂げられました。2010年度通期では、経費削減は約15億米ドルとなりました。
2010年第4四半期の当プログラム関連の経費は、約1億2,000万米ドルで、プログラム全体の経費は約8億4,000万米ドルでした。
ABBは、経費削減を2011年度も引き続きサプライマネジメント、フットプリントの最適化、オペレーショナルエクセレンスの取組みを通じて推し進めていきます。経費削減のレベルは、10億米ドル以上と見込んでおり、ABBのさまざまな事業の需要、原材料価格、設備稼働状況、価格決定における環境などの要因により決定されます。
■買収
2011年1月、ABBは北アメリカの産業用電気モーターのリーダーである、バルドーエレクトリック社の買収を完了しました。2010年11月30日に発表され、12億米ドルの負債を含む42億米ドル相当の規模となった当取引は、主要な北アメリカの産業オートメーション市場で基盤を構築する、ABBの戦略上重要な一歩となりました。当事業はディスクリートオートメーションアンドモーションディビジョンに統合され、2011年1月後半からのABBの財務諸表に反映されました。
2010年に、ABBはエネルギーマネジメントソフトウェアソリューションを、世界中の公共事業、産業界のお客さまに供給するべく、米国を拠点とするソフトウェアサプライヤ、ベンティクス社を買収しました。当事業は、パワーシステムディビジョンの一部となり、2010年6月以降、ABBの財務諸表に統合されています。
加えて、ABBは2010年に、ABBインドにおける持ち株比率を52パーセントから75パーセントに引き上げました。当取引の費用はおよそ9億5,000万米ドルでした。
2010年度、ABBは将来における成長機会を切り拓くべく、約13億米ドルを買収(インドでの取引を除く)に投じました。
■貸借対照表とキャッシュフロー
第4四半期末時点でのネットキャッシュは、第3四半期末の53億米ドルに比べて増加し、64億米ドルでした。営業活動によるキャッシュフローは18億米ドルで、2009年の記録的なレベルに迫る高水準でした。この良好な業績は、強固な運転資本管理、とりわけ売掛金回収の改善によるものです。お客さまからの前払い金も、前年同期比に比べ、顕著に増加しました。
2011年1月、ABBはバルドーエレクトリック社の全発行済み株式の取得、債権の返済のために約42億米ドルを支払いました。
■増配
ABBの取締役会は、2010年度の配当金を、2009年実績の0.51スイスフランから、1株当たり0.60スイスフランへ増配とする提案をしています。当提案は、長期にわたり、継続的かつ右肩上がりの配当を支払うという、ABBの配当政策に基づいたものです。取締役会はまた、昨今のスイスの税制の変更に基づき、所得税が免税となるよう、配当をABBリミテッドの資本準備金より支払うことを提案しています。ABBは、現在、そして将来の配当金支払いのため、総額約40億スイスフランを、株主資本から資本準備金へと充てることができます。当提案は、2011年4月29日の年次株主総会での承認を必要とします。当形式での配当の支払いは、過去3年間行われた額面価格割引に取って代わることとなります。株主総会で承認されれば、配当落ち期日は2011年5月3日、スイスでの支払期日は、2011年5月6日となる予定です。
■見通し
2011年、ABBは全ての地域において、お客さまの電力インフラのアップグレードや産業の効率化、生産性の向上を支援する電力およびオートメーションソリューションへの需要が、引き続き堅調に推移すると見込んでいます。
新興市場は、引き続き、電力網の新規構築、エネルギーの効率化と産業プロセスの質の向上を主眼とした工業生産の拡大により、成長を牽引するでしょう。これらの国々での需要を牽引するのは、水力、風力などの電力源の開発であり、これらは電力消費地から離れた場所にあることが多く、効率の高い送電技術を必要とします。経済成長を支える日用品への需要は、世界的により品質面での競争が高まる必要性があり、これが、新興市場の産業におけるオートメーションソリューションへの需要を喚起することが期待されます。
成熟市場における需要もまた、改善することが見込まれます。公益企業は系統の相互接続、再生可能エネルギーの従来の電力系統への統合、既存の電力系統の改修、スマートグリッド技術などに投資を継続することが期待されます。多くの地域で、2年にわたる送電分野での設備投資が低迷してきましたが、ABBは、おそらく今年後半には、公益企業の通常の送電分野の製品への投資が回復すると見込んでいます。
成熟経済の産業界のお客さまも、既存の生産財の生産性をさらに向上させるための投資を行うと期待されます。北ヨーロッパにおける建築の増加、インテリジェントビルへのトレンドが、ABBの成熟経済でのオートメーションソリューション事業にとって追い風となります。
同時に、現在の競争の状況は、2011年以降も変わらないと予想しています。電力装置の分野でここ数年続いている生産能力の向上により、引き続きサプライヤへ価格低下圧力を及ぼすと見込まれます。この圧力は、需要が回復した後も数四半期の間残ると考えられます。新興市場においては、競争力の高い製品を擁するプレーヤーが、主に電力設備などの、中程度の品質の製品分野で国内市場を越えて参入すると見込まれます。
故に、2011年、ABB経営陣は、技術的、地理的ポートフォリオ全体に見られる顕著な成長機会を活かすことに照準を絞ります。ABBは、再び、新興市場での足場を固めるため、資本支出を行っていきます。販売、研究開発に対しても、成長および収益性を高めるため、投資を増やしていきます。ABBの市場での競争力の維持、および収益率を会社目標のレンジに保持するため、原価管理は、引き続き最優先課題となります。
■将来予測に関する注意事項
本プレスリリースに含まれる将来の見通しに関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき、当社経営陣が判断した見通しであり、潜在的なリスクや不確実性を含んでいます。現実の結果は、さまざまな要因の変化により、これら見通しとは大きく異なる結果となる可能性があることをご承知おきくださいますようお願いいたします。
■ABBについて ( http://www.abb.com/ )
ABBは、世界のおよそ100カ国に124,000人の従業員を擁する電力技術とオートメーション技術のリーディングカンパニーです。環境負荷を最低限に抑えながらお客さまの業務効率を最適化するソリューションの数々を、産業界と公益事業の皆さまに提供しています。
■ABB株式会社について ( http://www.abb.co.jp/ )
ABBの日本法人であるABB株式会社は、国内において電力およびオートメーション事業を、製造、販売、サービス分野にわたって展開しています。
また、ABBの日本国内における活動は、ABB株式会社と3つの合弁事業から構成されており、ABBジャパングループとして約700名の従業員、12都市にわたる販売/サービスネットワークを擁しています。
前年同期比受注高18パーセント増[現地通貨ベース]、収益6パーセント増
・エネルギーの効率化、産業の生産性の向上、電力系統の信頼性が需要を喚起
・第4四半期のEBITマージンは、12.3パーセントで、
成長と経費削減のターゲットの範疇
・営業活動によるキャッシュフローは18億米ドルで、
第4四半期で最も高かった前年度の数字に迫るレベル
・1株あたりの配当を0.60スイスフランに増額する提案は事業での自信の表れ
・2011年度の経費削減の目標値を10億米ドル以上と設定
スイス チューリッヒ、2011年2月17日発表 - ABBは、2010年度第4四半期において、産業界におけるエネルギー効率化と産業の生産性の向上への需要の高まり、そして電力インフラへの投資の回復を受け、堅調な受注と収益を達成したと発表しました。
産業界のお客さまが、生産能力の増強と効率性の改善を推し進めたことにより、1,500万米ドル以下の基本受注が全体で17パーセント伸び、そして全ての事業分野で増加に転じたことが、市場のポジティブなトレンドを反映しています。信頼性の高い電力を産業界、そして商業界のお客さまに届けるための配電設備への受注も増加しました。1,500万米ドル以上の大規模受注は、ヨーロッパ、中東での大規模送電プロジェクト獲得により、21パーセント増加しました。
金利税引き前利益(EBIT)は、23パーセント増加し、9億7,800万米ドルとなりました。EBITは、以前発表した1億2,000万米ドルの引当金を含みます。この多くは、パワーシステム事業における大規模プロジェクトに関連しています。第4四半期のリストラ関連経費は、約1億2,000万米ドルです。
プロジェクトのチャージ、依然続く価格への圧力にもかかわらず、EBITからリストラ関連経費とヘッジ取引の時価評価額の影響を取り除いた2010年第4四半期のEBITマージンは、12.3パーセントとなりました。ABBの2010年度第4四半期、通期のEBITマージンはともに、我々の目標レンジである11パーセントから16パーセントの範囲内に十分達するレベルとなっています。
第4四半期で、30億米ドルの経費削減プログラムは、その成果を達成し、終了しました。ABBは、2011年度、さらに10億米ドル以上の削減を達成することを計画しています。
当期純利益は、30パーセント増で7億米ドルに達し、営業活動によるキャッシュフローも、記録的な高水準を達成した昨年に迫るレベルとなりました。第4四半期終了時点でのネットキャッシュは64億米ドルでした。ABBの取締役会は、昨年度の実績の一株あたり0.51スイスフランから、0.60スイスフランへの増配を株主総会に提案しました。
【2010年度第4四半期および通期決算ハイライト】
※下記資料をご参照くださいませ。
URL: http://www.atpress.ne.jp/releases/19079/1_5.pdf
■経営陣のコメント
「2010年度決算は、今日のABBが金融危機以前より強いポジションにあることを示す内容であり、満足しています。」と、CEOのジョー・ホーガンは述べています。「産業界、および公共事業のお客さまからの、短期的周期の製品に対する需要が本格化し、過去2年間で最も早く基本受注の伸びに貢献しました。収益は、第3四半期と比較しても加速度的に増加しています。これは、エネルギーの効率化と生産性の向上に対する産業界の強い需要によるものです。収益の伸びは、原価基準へのてこ入れによって、収益も目標レンジを達成しています。これにより、オートメーション分野での回復の恩恵を受け、そして、長期的スパンの事業における需要、価格の弱含みにも対処することができたのです。」
「今回提案した配当金の増額は、我々の事業に対する自信の表れです。2011年度は、短期的産業分野の事業においても、そして、事業年度後半においては、電力設備への公共事業の投資も回復を始めると期待しており、素晴らしい成長機会が潤沢にあると見ています。長期的には、エネルギーの効率化と、より柔軟で信頼性の高い電力インフラに対する需要は、引き続き大変強いものがあります。ABBは、原価基準を低く保ち、製品ポートフォリオを拡大し、お客さま第一の姿勢をより高く目指す組織をもって、これらの事業機会を獲得することを目指します。」と、ジョー・ホーガンは述べています。
【第4四半期決算サマリー】
■受注と収益
第4四半期において、受注は前年同期比で堅調に推移しました。これは、オートメーションソリューションの分野、そしてエネルギーの効率化、および生産性の向上へのお客さまの投資が引き続き活発であったことが要因です。特比、鉱業、海運、紙パルプ、石油ガス、石油化学の分野での受注が改善しました。より信頼性の高い電力供給への需要の高まりを受けて、公共事業、産業界のお客さまは、配電システム、および機器への投資を拡大しました。
当四半期において、大規模送電プロジェクトをヨーロッパおよび中東で獲得したことも、受注の伸びに貢献した要因です。これは、成熟経済、新興経済双方において、電力系統を相互接続し、送電インフラを強化するという長期的なトレンドを示すものです。しかしながら、公共事業における、通常の送電分野の製品への需要は、低くとどまりました。
当期の基本受注は17パーセントの伸びをみせ、全ての事業分野でプラスに転じました。大規模受注は前年同期比21パーセント増で、当期の総受注の19パーセントを占めています。
地域的には、ヨーロッパでの受注(現地通貨ベース)が前年同期に比べて37パーセントと大きく伸びました。これは、基本受注、大規模受注ともに伸びたことによるものです。これらの受注には、バルト海を渡りHVDCで結ぶスウェーデン・リトアニア間の5億8,000万米ドル相当のプロジェクトなどが含まれます。
南北アメリカでは、受注は22パーセント成長しました。米国では、13パーセントの成長で、低電圧機器事業以外はプラスの伸びを見せました。電力事業分野での受注、鉱業分野でのお客さまの投資が南アフリカでの58パーセントの受注の伸びに寄与しています。中東およびアフリカでの受注は主に電力設備関連の受注増加によるもので、8パーセントの成長でした。
アジアでは、中国およびインドでの電力事業分野の受注の低下により、産業界の活況を反映し、オートメーション3事業分野全てがほとんどの地域で堅調な伸びを示したにもかかわらず、5パーセント減となりました。
当期、収益は主に短期、中期的なオートメーション事業の分野での伸びにより、最近の受注が収益化することにより増加しました。パワーシステムの収益もまた、強固な受注高を遂行することにより、増加しました。当四半期のサービスによる収益は現地通貨ベースで8パーセントの増加となりました。2010年通期では、サービスによる収益は総収益の17パーセント(2009年度は16パーセント)となりました。
2010年12月末付けの受注高は、262億米ドルで、現地通貨ベースで、2009年度末比4パーセント増となりました。2010年第3四半期末と比較すると、2パーセント減となっています。
■EBIT
EBITおよびEBITマージンは、前年同期比で共に増加しました。この要因のひとつは、主に固定費の低下が最も進んだオートメーション事業分野において、短期および中期的周期の事業での収益の増加が好影響を及ぼしたことです。当四半期におけるリストラ関連経費、約1億2,000万米ドルは、前年同期の3億5,000万米ドルと比較すると、顕著に低下しています。2010年第4四半期のEBITは、パワーシステム事業での約1億2,000万米ドルの費用を含みます。この費用のほとんどが以前発表されたケーブル関連事業での引当金です。
EBITからリストラ関連経費とヘッジ取引の時価評価額の影響を取り除いた2010年第4四半期のEBITマージンは、主にパワーシステムにおけるプロジェクトの引当金の増額により、12.3パーセントとなりました(2009年第4四半期12.7パーセント)。
■経費削減
ABBは、以前発表した経費削減プログラムを、第4四半期で完了し、その目標を十分達成しました。当プログラムは、ABBの経費を売上原価、販売管理費両面から継続的に削減し、2010年度末までに、2008年度の水準から、総額30億米ドルの削減を達成するというものでした。
2010年第4四半期の経費削減は、約3億7,000万米ドルで、その半分が、グローバルソーシングの最適化(原材料価格の変動を除く)、そして2割がグローバルフットプリントの取組みにより達成されました。残りは販売管理費の削減やオペレーショナルエクセレンスの取組みにより成し遂げられました。2010年度通期では、経費削減は約15億米ドルとなりました。
2010年第4四半期の当プログラム関連の経費は、約1億2,000万米ドルで、プログラム全体の経費は約8億4,000万米ドルでした。
ABBは、経費削減を2011年度も引き続きサプライマネジメント、フットプリントの最適化、オペレーショナルエクセレンスの取組みを通じて推し進めていきます。経費削減のレベルは、10億米ドル以上と見込んでおり、ABBのさまざまな事業の需要、原材料価格、設備稼働状況、価格決定における環境などの要因により決定されます。
■買収
2011年1月、ABBは北アメリカの産業用電気モーターのリーダーである、バルドーエレクトリック社の買収を完了しました。2010年11月30日に発表され、12億米ドルの負債を含む42億米ドル相当の規模となった当取引は、主要な北アメリカの産業オートメーション市場で基盤を構築する、ABBの戦略上重要な一歩となりました。当事業はディスクリートオートメーションアンドモーションディビジョンに統合され、2011年1月後半からのABBの財務諸表に反映されました。
2010年に、ABBはエネルギーマネジメントソフトウェアソリューションを、世界中の公共事業、産業界のお客さまに供給するべく、米国を拠点とするソフトウェアサプライヤ、ベンティクス社を買収しました。当事業は、パワーシステムディビジョンの一部となり、2010年6月以降、ABBの財務諸表に統合されています。
加えて、ABBは2010年に、ABBインドにおける持ち株比率を52パーセントから75パーセントに引き上げました。当取引の費用はおよそ9億5,000万米ドルでした。
2010年度、ABBは将来における成長機会を切り拓くべく、約13億米ドルを買収(インドでの取引を除く)に投じました。
■貸借対照表とキャッシュフロー
第4四半期末時点でのネットキャッシュは、第3四半期末の53億米ドルに比べて増加し、64億米ドルでした。営業活動によるキャッシュフローは18億米ドルで、2009年の記録的なレベルに迫る高水準でした。この良好な業績は、強固な運転資本管理、とりわけ売掛金回収の改善によるものです。お客さまからの前払い金も、前年同期比に比べ、顕著に増加しました。
2011年1月、ABBはバルドーエレクトリック社の全発行済み株式の取得、債権の返済のために約42億米ドルを支払いました。
■増配
ABBの取締役会は、2010年度の配当金を、2009年実績の0.51スイスフランから、1株当たり0.60スイスフランへ増配とする提案をしています。当提案は、長期にわたり、継続的かつ右肩上がりの配当を支払うという、ABBの配当政策に基づいたものです。取締役会はまた、昨今のスイスの税制の変更に基づき、所得税が免税となるよう、配当をABBリミテッドの資本準備金より支払うことを提案しています。ABBは、現在、そして将来の配当金支払いのため、総額約40億スイスフランを、株主資本から資本準備金へと充てることができます。当提案は、2011年4月29日の年次株主総会での承認を必要とします。当形式での配当の支払いは、過去3年間行われた額面価格割引に取って代わることとなります。株主総会で承認されれば、配当落ち期日は2011年5月3日、スイスでの支払期日は、2011年5月6日となる予定です。
■見通し
2011年、ABBは全ての地域において、お客さまの電力インフラのアップグレードや産業の効率化、生産性の向上を支援する電力およびオートメーションソリューションへの需要が、引き続き堅調に推移すると見込んでいます。
新興市場は、引き続き、電力網の新規構築、エネルギーの効率化と産業プロセスの質の向上を主眼とした工業生産の拡大により、成長を牽引するでしょう。これらの国々での需要を牽引するのは、水力、風力などの電力源の開発であり、これらは電力消費地から離れた場所にあることが多く、効率の高い送電技術を必要とします。経済成長を支える日用品への需要は、世界的により品質面での競争が高まる必要性があり、これが、新興市場の産業におけるオートメーションソリューションへの需要を喚起することが期待されます。
成熟市場における需要もまた、改善することが見込まれます。公益企業は系統の相互接続、再生可能エネルギーの従来の電力系統への統合、既存の電力系統の改修、スマートグリッド技術などに投資を継続することが期待されます。多くの地域で、2年にわたる送電分野での設備投資が低迷してきましたが、ABBは、おそらく今年後半には、公益企業の通常の送電分野の製品への投資が回復すると見込んでいます。
成熟経済の産業界のお客さまも、既存の生産財の生産性をさらに向上させるための投資を行うと期待されます。北ヨーロッパにおける建築の増加、インテリジェントビルへのトレンドが、ABBの成熟経済でのオートメーションソリューション事業にとって追い風となります。
同時に、現在の競争の状況は、2011年以降も変わらないと予想しています。電力装置の分野でここ数年続いている生産能力の向上により、引き続きサプライヤへ価格低下圧力を及ぼすと見込まれます。この圧力は、需要が回復した後も数四半期の間残ると考えられます。新興市場においては、競争力の高い製品を擁するプレーヤーが、主に電力設備などの、中程度の品質の製品分野で国内市場を越えて参入すると見込まれます。
故に、2011年、ABB経営陣は、技術的、地理的ポートフォリオ全体に見られる顕著な成長機会を活かすことに照準を絞ります。ABBは、再び、新興市場での足場を固めるため、資本支出を行っていきます。販売、研究開発に対しても、成長および収益性を高めるため、投資を増やしていきます。ABBの市場での競争力の維持、および収益率を会社目標のレンジに保持するため、原価管理は、引き続き最優先課題となります。
■将来予測に関する注意事項
本プレスリリースに含まれる将来の見通しに関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づき、当社経営陣が判断した見通しであり、潜在的なリスクや不確実性を含んでいます。現実の結果は、さまざまな要因の変化により、これら見通しとは大きく異なる結果となる可能性があることをご承知おきくださいますようお願いいたします。
■ABBについて ( http://www.abb.com/ )
ABBは、世界のおよそ100カ国に124,000人の従業員を擁する電力技術とオートメーション技術のリーディングカンパニーです。環境負荷を最低限に抑えながらお客さまの業務効率を最適化するソリューションの数々を、産業界と公益事業の皆さまに提供しています。
■ABB株式会社について ( http://www.abb.co.jp/ )
ABBの日本法人であるABB株式会社は、国内において電力およびオートメーション事業を、製造、販売、サービス分野にわたって展開しています。
また、ABBの日本国内における活動は、ABB株式会社と3つの合弁事業から構成されており、ABBジャパングループとして約700名の従業員、12都市にわたる販売/サービスネットワークを擁しています。