株式会社タス、2010年12月期の1都3県賃貸住宅統計指標を発表〜1都3県2011年の空室率の見通し〜
[11/02/25]
提供元:@Press
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不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営する株式会社タス(所在地:東京都中央区、代表取締役社長:立野 良太郎)は、2010年12月末時点の1都3県の賃貸住宅TVI(タス空室インデックス)、募集期間、更新確率・中途解約確率、賃料指数を発表しました。これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。
1.賃貸住宅指標概況
<東京都全域>
TVI(ポイント) :12.58
募集期間(ヶ月) : 3.24
更新確率(%) :42.21
中途解約確率(%):40.39
<東京都23区>
TVI(ポイント) :12.36
募集期間(ヶ月) : 3.25
更新確率(%) :41.81
中途解約確率(%):40.78
賃料指数(2004年=100):97.73
<東京市部>
TVI(ポイント) :15.61
募集期間(ヶ月) : 3.17
更新確率(%) :43.68
中途解約確率(%):42.12
賃料指数(2004年=100):97.55
<神奈川県>
TVI(ポイント) :12.76
募集期間(ヶ月) : 3.53
更新確率(%) :40.96
中途解約確率(%):42.12
賃料指数(2004年=100):98.89
<埼玉県>
TVI(ポイント) :15.21
募集期間(ヶ月) : 3.52
更新確率(%) :42.76
中途解約確率(%):42.99
賃料指数(2004年=100):98.42
<千葉県>
TVI(ポイント) :13.47
募集期間(ヶ月) : 3.47
更新確率(%) :43.53
中途解約確率(%):43.55
賃料指数(2004年=100):99.6
※これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。
■東京都
・東京23区の募集戸数が多いため、東京都全域の動きは、東京23区にほぼ連動しています。
・TVIの傾向には変化がなく、東京都全域、東京23区とも横ばい傾向、東京市部は微増傾向となっています。
マンション系(S造、RC造、SRC造)、アパート系(木造・軽量鉄骨造)別の長期TVI推移では、東京23区のマンション系、アパート系ともに横ばい傾向です。東京市部については、マンション系・アパート系共に増加傾向が鮮明となってきました。なお、統計に使用した全データに占めるアパート(木造、軽量鉄骨造)の割合であるアパート率は、東京都全域:22.6%、東京23区:17.15%、東京市部:41.22%です。
・募集期間は市部は横ばい傾向、東京23区は微増傾向にあります。若干の増減はありますが3.2ヶ月前後で推移しています。
・2010年12月期は東京23区、東京市部とも中途解約確率が減少、更新確率が増加しています。東京23区については長期的にも中途解約確率が減少傾向、更新確率は微増傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れます。
・賃料指数は東京23区、東京市部とも継続して下降しており、回復には時間を要すると思われます。
※より詳細な情報として、広域市場レポート(東京都マクロレポート)、地域市場レポート(東京23区各区マクロレポート)およびインデックスレポート(統計指標)、周辺市場レポート(賃料査定サービス、指定場所から半径400m)をTAS-MAP( http://www.tas-japan.com/ )から提供しております。
※2011年3月初旬に、広域市場レポート、地域市場レポート、インデックスレポートを2010年12月末版に更新予定です。今回のバージョンから、東京23区各区インデックスレポートに各区賃料指数を追加いたします。
■神奈川県
・神奈川県のTVIは2010年4月より横ばい傾向です。マンション系、アパート系別の長期TVI推移からは、どちらの分類においても神奈川県が最も低い値を示しています。なお、神奈川県のアパート率は44.97%で、アパート率の高さが全体のTVIを引き上げています。
・募集期間は引き続き微増傾向にあり、回復にはまだ時間を要しそうです。
・神奈川県は長期的には中途解約確率が微減傾向、更新確率が微増傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れます。
・賃料指数については、99前後で安定して推移しています。
■埼玉県
・埼玉県のTVIは横ばい傾向が鮮明になってきましたが、過去2年間で最も高い水準にあります。マンション系、アパート系別の長期TVI推移で、他都県よりもアパート系のTVIが高く、継続して増加傾向にあることが読み取れます。埼玉県のアパート率は43.78%です。
・募集期間については、過去2年間は3.4〜3.5ヶ月で推移しています。
・ここ1年の傾向としては、中途解約確率が微減傾向、更新確率が微増傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れますが、中途解約確率は千葉県に次ぎ高いレベルにあります。
・賃料指数は、99前後で安定して推移していましたが、2010年第4四半期の下げ幅が大きくなっています。
■千葉県
・千葉県のTVIは横ばい傾向が継続しています。マンション系、アパート系別の長期TVI推移では、アパート系が埼玉県に次いでTVIが高くなっています。マンション系は神奈川県に次いでTVIが低くなっていますが、アパート率が46.40%と高いため全体のTVIも高くなっています。
・募集期間は3.4ヶ月前後で横ばいとなっています。
・ここ1年の傾向としては、中途解約確率が微減傾向、更新確率が増加傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れますが、中途解約確率は1都3県で一番高いレベルにあります。
・賃料指数は、100前後で安定して推移しています。
●TVI(タス空室インデックス)(過去2年推移)
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/1_1.JPG
●1都3県アパート(木造、軽量鉄骨)TVI
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/2_2.JPG
●1都3県マンション(S造、RC造、SRC造)TVI
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/3_3.JPG
2.1都3県の2011年空室率の見通し〜区賃貸住宅需給ギャップ分析より〜
(1)分析方法
前回の定期発表時の分析で、需給ギャップと空室率の指標であるTVI(タス空室インデックス)との動きが連動している様子が観測できました。
詳細は以下をご覧ください。
2010年10月期、11月期1都3県賃貸住宅指標を発表〜東京23区賃貸住宅需給ギャップ分析〜
http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol11_residential20110121.pdf
前回と同様に需給ギャップは、公的統計情報(「住民基本台帳による世帯と人口」、「平成17年国勢調査」、「人口問題研究所の推定値(平成19年5月推定)」)を利用して、下記の式で推定します。
需給ギャップ = 供給 - 需要
= (推定賃貸住宅供給量 - 平均滅失戸数) - 世帯数増減
民間借家の滅失数について、前回は「総務省住宅土地統計調査(平成15年、平成20年)」を用いて、両者の戸数の差から推定していました。しかしながらこの手法だと、一部地域、期間については滅失数がマイナスになるなど、正確性に疑問があります。このため、今回は需給ギャップとTVIが連動するという仮定のもと、各地域の滅失数を調整し、需給ギャップとTVIの関係を定性的に分析します。
(2)1都3県の賃貸住宅需給ギャップとTVIの関係
次資料に「1都3県の需給ギャップとTVI」の推移を示します。なお2010年11月以降は推計値となります。
東京23区、神奈川県、千葉県については需給ギャップの推移とTVIの推移に相関性が読み取れます。一方で東京市部と埼玉県については、2007年の第3四半期から2009年の第4四半期にかけて需給ギャップ推移とTVI推移の乖離があります。同様の傾向は23区内の足立区、葛飾区、江戸川区等でも観測することができ、何らかの規則性に基づいていると考えられます。
ここでは、この乖離が賃料の推移と関連していると仮定し、検証を行ってみましょう。「1都3県の需給ギャップとTVI」図の右下に東京23区の賃料指数を示します。東京23区の賃料指数は2007年頃から急上昇しています。また東京市部および埼玉県のTVIの推移が、東京23区の賃料指数と逆の動きをしていることも読み取れます。
実は1都3県の中で東京23区の賃料指数の動きは特別なものです。他の地域では2007年ごろからの賃料指数の推移は比較的安定しています。また東京23区内を詳細に分析すると、外周部の区についても同様に2007年からの賃料指数の上昇は見られません。つまり、2007年からの賃料急上昇は23区の内側にある区だけで発生していたということです。
これらから、「賃料が高騰した23区内側の区から、賃料の安い東京市部、埼玉県への人の移動が発生した」という仮説を立てることができます。またこれら移動した人は需給ギャップには反映できない、つまり住民票を登録していない人であると思われます。なお、千葉県方面については、足立区、葛飾区、江戸川区で移動需要が吸収されていたものと思われます。
(3)2011年空室率TVIの推移予測
需給ギャップの推移および上記の仮説に基づき、2011年の空室率TVIの推移予測を行います。
東京23区:東京23区では需給ギャップ解消に向けて調整が進んでいることが読み取れます。従って2011年は、空室率TVIが減少傾向となると思われます。
東京市部:東京市部においても需給ギャップの調整が進んでいますが、東京23区の賃料の下落による人口流出が予想されるため、当面は空室率TVIが高止まりすると思われます。
神奈川県:神奈川県も需給ギャップ解消に向けて調整が進んでいるため、今後空室率TVIが減少傾向となると思われます。
埼玉県 :埼玉県は需給ギャップの調整があまり進んでいません。一方で東京23区の賃料の下落による人口流出が予想されるため、当面は空室率TVIが上昇傾向となる可能性があります。
千葉県 :千葉県は需給ギャップの調整があまり進んでいません。当面は空室率TVIが横ばい傾向となると思われます。
●1都3県の賃貸住宅需給ギャップとTVI
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/4_4.JPG
■用語説明
<TVI(TAS Vacancy Index:タス空室インデックス)>
※タスが開発した賃貸住宅の空室の指標
TVIはアットホーム株式会社の賃貸住宅募集データを空室のサンプリング、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして下式で算出を行います。
なお、募集建物の総戸数は、(1)募集建物を階層別に分類、(2)国勢調査、住宅土地統計調査を用いて階層別の都道府県毎の平均戸数を算出し、両者を乗じることにより算出しています。
TVI = 空室のサンプリング ÷ ストックのサンプリング
= Σ募集戸数 ÷ Σ募集建物の総戸数
<募集期間(Downtime)>
成約した物件の平均募集期間を示します。アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて、下記の計算式で求められます。
募集期間 = Average(成約日-募集開始日)
<更新確率・中途解約確率>
更新確率は契約期間が2年として入居したテナントが契約更新を行う確率、中途解約確率は契約期間が2年として契約満了前にテナントが退去する確率を示します。アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて算出しています。
成約した部屋が再び市場に現れる(募集が開始される)までの月数をカウントし、7〜48ヶ月目を総数とし、7〜22ヶ月目までに市場に現れた件数を中途解約した件数、27〜48ヶ月目に現れた件数を契約更新をした件数としてそれぞれの確率を計算しています。
注1:データ上7ヶ月未満で募集されているデータも存在していますが、入力ミスの可能性も否定できないため、算出から省いています。
注2:49ヶ月以上で募集されているデータは全体の10%未満であること、また注1で省いた部分に含まれる可能性のある正規データ(6ヶ月以内に中途解約したデータ)とのバランスを考慮して、算出から省いています。
■株式会社タスについて
インターネットによる不動産評価、及び不動産情報サービス等を提供する不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営する、トヨタグループ会社のアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)です。
会社名 : 株式会社タス(英語名 TAS Corp.)
所在地 : 東京都中央区八丁堀2-25-9 トヨタ八丁堀ビル7F
設立年月日: 2000年8月28日
資本金 : 1億8千万円
出資 : トヨタ自動車株式会社
朝日航洋株式会社
株式会社三友システムアプレイザル
豊田通商株式会社
Web : http://www.tas-japan.com/
1.賃貸住宅指標概況
<東京都全域>
TVI(ポイント) :12.58
募集期間(ヶ月) : 3.24
更新確率(%) :42.21
中途解約確率(%):40.39
<東京都23区>
TVI(ポイント) :12.36
募集期間(ヶ月) : 3.25
更新確率(%) :41.81
中途解約確率(%):40.78
賃料指数(2004年=100):97.73
<東京市部>
TVI(ポイント) :15.61
募集期間(ヶ月) : 3.17
更新確率(%) :43.68
中途解約確率(%):42.12
賃料指数(2004年=100):97.55
<神奈川県>
TVI(ポイント) :12.76
募集期間(ヶ月) : 3.53
更新確率(%) :40.96
中途解約確率(%):42.12
賃料指数(2004年=100):98.89
<埼玉県>
TVI(ポイント) :15.21
募集期間(ヶ月) : 3.52
更新確率(%) :42.76
中途解約確率(%):42.99
賃料指数(2004年=100):98.42
<千葉県>
TVI(ポイント) :13.47
募集期間(ヶ月) : 3.47
更新確率(%) :43.53
中途解約確率(%):43.55
賃料指数(2004年=100):99.6
※これらの指標は、アットホーム株式会社の賃貸住宅データを用いて分析されています。
■東京都
・東京23区の募集戸数が多いため、東京都全域の動きは、東京23区にほぼ連動しています。
・TVIの傾向には変化がなく、東京都全域、東京23区とも横ばい傾向、東京市部は微増傾向となっています。
マンション系(S造、RC造、SRC造)、アパート系(木造・軽量鉄骨造)別の長期TVI推移では、東京23区のマンション系、アパート系ともに横ばい傾向です。東京市部については、マンション系・アパート系共に増加傾向が鮮明となってきました。なお、統計に使用した全データに占めるアパート(木造、軽量鉄骨造)の割合であるアパート率は、東京都全域:22.6%、東京23区:17.15%、東京市部:41.22%です。
・募集期間は市部は横ばい傾向、東京23区は微増傾向にあります。若干の増減はありますが3.2ヶ月前後で推移しています。
・2010年12月期は東京23区、東京市部とも中途解約確率が減少、更新確率が増加しています。東京23区については長期的にも中途解約確率が減少傾向、更新確率は微増傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れます。
・賃料指数は東京23区、東京市部とも継続して下降しており、回復には時間を要すると思われます。
※より詳細な情報として、広域市場レポート(東京都マクロレポート)、地域市場レポート(東京23区各区マクロレポート)およびインデックスレポート(統計指標)、周辺市場レポート(賃料査定サービス、指定場所から半径400m)をTAS-MAP( http://www.tas-japan.com/ )から提供しております。
※2011年3月初旬に、広域市場レポート、地域市場レポート、インデックスレポートを2010年12月末版に更新予定です。今回のバージョンから、東京23区各区インデックスレポートに各区賃料指数を追加いたします。
■神奈川県
・神奈川県のTVIは2010年4月より横ばい傾向です。マンション系、アパート系別の長期TVI推移からは、どちらの分類においても神奈川県が最も低い値を示しています。なお、神奈川県のアパート率は44.97%で、アパート率の高さが全体のTVIを引き上げています。
・募集期間は引き続き微増傾向にあり、回復にはまだ時間を要しそうです。
・神奈川県は長期的には中途解約確率が微減傾向、更新確率が微増傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れます。
・賃料指数については、99前後で安定して推移しています。
■埼玉県
・埼玉県のTVIは横ばい傾向が鮮明になってきましたが、過去2年間で最も高い水準にあります。マンション系、アパート系別の長期TVI推移で、他都県よりもアパート系のTVIが高く、継続して増加傾向にあることが読み取れます。埼玉県のアパート率は43.78%です。
・募集期間については、過去2年間は3.4〜3.5ヶ月で推移しています。
・ここ1年の傾向としては、中途解約確率が微減傾向、更新確率が微増傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れますが、中途解約確率は千葉県に次ぎ高いレベルにあります。
・賃料指数は、99前後で安定して推移していましたが、2010年第4四半期の下げ幅が大きくなっています。
■千葉県
・千葉県のTVIは横ばい傾向が継続しています。マンション系、アパート系別の長期TVI推移では、アパート系が埼玉県に次いでTVIが高くなっています。マンション系は神奈川県に次いでTVIが低くなっていますが、アパート率が46.40%と高いため全体のTVIも高くなっています。
・募集期間は3.4ヶ月前後で横ばいとなっています。
・ここ1年の傾向としては、中途解約確率が微減傾向、更新確率が増加傾向であり、テナントの入れ替わりが安定する傾向にあることが読み取れますが、中途解約確率は1都3県で一番高いレベルにあります。
・賃料指数は、100前後で安定して推移しています。
●TVI(タス空室インデックス)(過去2年推移)
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/1_1.JPG
●1都3県アパート(木造、軽量鉄骨)TVI
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/2_2.JPG
●1都3県マンション(S造、RC造、SRC造)TVI
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/3_3.JPG
2.1都3県の2011年空室率の見通し〜区賃貸住宅需給ギャップ分析より〜
(1)分析方法
前回の定期発表時の分析で、需給ギャップと空室率の指標であるTVI(タス空室インデックス)との動きが連動している様子が観測できました。
詳細は以下をご覧ください。
2010年10月期、11月期1都3県賃貸住宅指標を発表〜東京23区賃貸住宅需給ギャップ分析〜
http://www.tas-japan.com/pdf/news/residential/Vol11_residential20110121.pdf
前回と同様に需給ギャップは、公的統計情報(「住民基本台帳による世帯と人口」、「平成17年国勢調査」、「人口問題研究所の推定値(平成19年5月推定)」)を利用して、下記の式で推定します。
需給ギャップ = 供給 - 需要
= (推定賃貸住宅供給量 - 平均滅失戸数) - 世帯数増減
民間借家の滅失数について、前回は「総務省住宅土地統計調査(平成15年、平成20年)」を用いて、両者の戸数の差から推定していました。しかしながらこの手法だと、一部地域、期間については滅失数がマイナスになるなど、正確性に疑問があります。このため、今回は需給ギャップとTVIが連動するという仮定のもと、各地域の滅失数を調整し、需給ギャップとTVIの関係を定性的に分析します。
(2)1都3県の賃貸住宅需給ギャップとTVIの関係
次資料に「1都3県の需給ギャップとTVI」の推移を示します。なお2010年11月以降は推計値となります。
東京23区、神奈川県、千葉県については需給ギャップの推移とTVIの推移に相関性が読み取れます。一方で東京市部と埼玉県については、2007年の第3四半期から2009年の第4四半期にかけて需給ギャップ推移とTVI推移の乖離があります。同様の傾向は23区内の足立区、葛飾区、江戸川区等でも観測することができ、何らかの規則性に基づいていると考えられます。
ここでは、この乖離が賃料の推移と関連していると仮定し、検証を行ってみましょう。「1都3県の需給ギャップとTVI」図の右下に東京23区の賃料指数を示します。東京23区の賃料指数は2007年頃から急上昇しています。また東京市部および埼玉県のTVIの推移が、東京23区の賃料指数と逆の動きをしていることも読み取れます。
実は1都3県の中で東京23区の賃料指数の動きは特別なものです。他の地域では2007年ごろからの賃料指数の推移は比較的安定しています。また東京23区内を詳細に分析すると、外周部の区についても同様に2007年からの賃料指数の上昇は見られません。つまり、2007年からの賃料急上昇は23区の内側にある区だけで発生していたということです。
これらから、「賃料が高騰した23区内側の区から、賃料の安い東京市部、埼玉県への人の移動が発生した」という仮説を立てることができます。またこれら移動した人は需給ギャップには反映できない、つまり住民票を登録していない人であると思われます。なお、千葉県方面については、足立区、葛飾区、江戸川区で移動需要が吸収されていたものと思われます。
(3)2011年空室率TVIの推移予測
需給ギャップの推移および上記の仮説に基づき、2011年の空室率TVIの推移予測を行います。
東京23区:東京23区では需給ギャップ解消に向けて調整が進んでいることが読み取れます。従って2011年は、空室率TVIが減少傾向となると思われます。
東京市部:東京市部においても需給ギャップの調整が進んでいますが、東京23区の賃料の下落による人口流出が予想されるため、当面は空室率TVIが高止まりすると思われます。
神奈川県:神奈川県も需給ギャップ解消に向けて調整が進んでいるため、今後空室率TVIが減少傾向となると思われます。
埼玉県 :埼玉県は需給ギャップの調整があまり進んでいません。一方で東京23区の賃料の下落による人口流出が予想されるため、当面は空室率TVIが上昇傾向となる可能性があります。
千葉県 :千葉県は需給ギャップの調整があまり進んでいません。当面は空室率TVIが横ばい傾向となると思われます。
●1都3県の賃貸住宅需給ギャップとTVI
http://www.atpress.ne.jp/releases/19218/4_4.JPG
■用語説明
<TVI(TAS Vacancy Index:タス空室インデックス)>
※タスが開発した賃貸住宅の空室の指標
TVIはアットホーム株式会社の賃貸住宅募集データを空室のサンプリング、募集建物の総戸数をストックのサンプリングとして下式で算出を行います。
なお、募集建物の総戸数は、(1)募集建物を階層別に分類、(2)国勢調査、住宅土地統計調査を用いて階層別の都道府県毎の平均戸数を算出し、両者を乗じることにより算出しています。
TVI = 空室のサンプリング ÷ ストックのサンプリング
= Σ募集戸数 ÷ Σ募集建物の総戸数
<募集期間(Downtime)>
成約した物件の平均募集期間を示します。アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて、下記の計算式で求められます。
募集期間 = Average(成約日-募集開始日)
<更新確率・中途解約確率>
更新確率は契約期間が2年として入居したテナントが契約更新を行う確率、中途解約確率は契約期間が2年として契約満了前にテナントが退去する確率を示します。アットホーム株式会社の賃貸住宅の賃料データを用いて算出しています。
成約した部屋が再び市場に現れる(募集が開始される)までの月数をカウントし、7〜48ヶ月目を総数とし、7〜22ヶ月目までに市場に現れた件数を中途解約した件数、27〜48ヶ月目に現れた件数を契約更新をした件数としてそれぞれの確率を計算しています。
注1:データ上7ヶ月未満で募集されているデータも存在していますが、入力ミスの可能性も否定できないため、算出から省いています。
注2:49ヶ月以上で募集されているデータは全体の10%未満であること、また注1で省いた部分に含まれる可能性のある正規データ(6ヶ月以内に中途解約したデータ)とのバランスを考慮して、算出から省いています。
■株式会社タスについて
インターネットによる不動産評価、及び不動産情報サービス等を提供する不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営する、トヨタグループ会社のアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)です。
会社名 : 株式会社タス(英語名 TAS Corp.)
所在地 : 東京都中央区八丁堀2-25-9 トヨタ八丁堀ビル7F
設立年月日: 2000年8月28日
資本金 : 1億8千万円
出資 : トヨタ自動車株式会社
朝日航洋株式会社
株式会社三友システムアプレイザル
豊田通商株式会社
Web : http://www.tas-japan.com/