青梅加熱濃縮エキスの肝機能改善作用 多施設臨床試験による検証結果が国際医学雑誌に掲載
[12/08/28]
提供元:@Press
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AdaBio株式会社(所在地:群馬県高崎市、代表取締役社長:足立 太郎、以下 当社)が手掛ける青梅加熱濃縮エキスの成分(MK615)を用いた多施設臨床試験の結果が、国際医学雑誌World Journal of Gastroenterologyに掲載(2012年8月21日)されました。
今回の報告は、日本における健康食品の代表ともいえる「梅」の作用を臨床試験で示したもので、梅の医薬利用素材としての可能性をより現実的にした大きな一歩と考えております。当社は、全国第2位の生産量を有する群馬県産の梅を活用し、梅の加熱濃縮エキスに関する加工食品を製造・販売して参りました。今回の研究報告を踏まえて、梅の加熱濃縮エキスに含まれる成分の医薬開発に向けた研究に注力してまいります。
【掲載内容】
今回の研究報告は、東京慈恵会医科大学 銭谷 幹男教授らの研究グループをはじめとする国内の3つの医療機関の共同による多施設臨床試験によるもので、『青梅加熱濃縮エキス(MK615)(AdaBio社製)』の肝機能改善効果ならびに安全性についての検討結果が報告されました。また論文では急性肝炎モデル動物を用いたin vivo基礎試験におけるMK615の肝庇護作用の検証結果と合わせて報告されました。
臨床試験では、インターフェロン治療が無効で、従来の肝庇護剤(*1)の投与でも十分な効果の得られないC型慢性肝炎患者、あるいは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(*2)患者等の慢性肝疾患患者を対象として、MK615(同成分を含む青梅加熱濃縮エキス飲料「ミサトールME」)を12週間飲用したところ、ALT(*3)値では58例中26例(45%)に、30%以上の改善(ALT値の低下)が認められました。AST(*4)値では58例中25例(43%)に同様の改善が認められました。特にC型慢性肝炎では40例中20例(50%)にALTの改善が見られました。また、観察期間中試験品の飲用に起因すると思われる明らかな有害事象は認められませんでした。
モデル動物を用いた検討では、MK615をあらかじめ経口投与したラットのグループと、生理食塩液を投与した対照グループに、D-ガラクトサミン塩酸塩の腹腔内投与によりそれぞれ急性肝炎を誘導し、その肝炎症状を比較する試験を行いました。D-ガラクトサミン塩酸塩を投与すると通常48時間をピークに急性肝炎様の肝障害が誘発され、血液中のALT、ASTが上昇します。対照グループに比べ、MK615をあらかじめ投与したグループでは、ALTとASTの上昇が抑制され、肝臓組織の炎症像も軽減されました。
これらの結果は、MK615の肝疾患患者への肝庇護剤としての可能性を示唆するものです。
用語説明
(*1) 肝庇護剤
肝臓の破壊されるのを防ぎ、肝機能を改善させることを目的とする薬剤。代表的な肝庇護剤としては、ウルソデオキシコール酸製剤、グリチルリチン製剤などがある。
(*2) 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)
飲酒習慣がないにも関わらず、アルコール性肝障害に類似した脂肪沈着を伴う肝障害で、単純脂肪肝から肝繊維化を伴うようなタイプまで幅広い病態を含む。肝細胞壊死と肝炎症状や肝繊維化を伴う場合は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non-alcoholic steatohepatitis)といわれ、一般に予後不良である。
(*3) ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ:alanine aminotransferase)
アミノ酸の代謝に関わる酵素で、肝臓や腎臓などに多く含まれる。特に肝炎などにより肝細胞が破壊されると血液中にこの酵素が漏れ出し(逸脱酵素という)、血液中に高い値を示す。血液検査でこの値が高い場合は肝細胞の破壊が起こっていることを示す検査マーカー。以前はGPTと呼ばれていた。
(*4) AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ:aspartate aminotransferase)
アミノ酸の代謝に関わる酵素で、肝臓や心筋、骨格筋、赤血球などに多く含まれる。ALT同様に逸脱酵素としての血液検査マーカーで、肝疾患などで測定される。ALTと比べると肝臓以外の組織にも多く含まれ、ASTのみが高値(ALT が低値)である場合は肝疾患以外を疑う場合があり、ALTと共に測定することが多い。以前はGOTと呼ばれていた。
【研究の背景】
これまで当社と研究チームは、MK615が、in vitroにおいて、Nrf2の活性化やHO-1の誘導作用、及びNF-κBの活性抑制やTNF-α、IL-6の産生抑制作用を示すことを報告して参りました。今回は、MK615の抗酸化作用、抗炎症作用に着目し、C型慢性肝炎やNAFLD等の慢性肝疾患患者に対する「MK615」の有効性及び安全性を、肝疾患専門医師の主導で臨床的に検討していただきました。もともとMK615は、青梅の加熱濃縮エキスに含まれる成分で、食品として長く飲用された経験のある成分です。in vitroでは実験用に成分を抽出・加工したものを使用しますが、今回の検討では患者様を対象とした臨床試験であることから、事前の疾患動物モデルでの検討などにより安全性や作用を考慮した上で、食品として健常者で飲用された経験の豊富な製品「ミサトールME」が試験に使用されました。
尚、この研究の中間解析結果は、2010年4月22日〜24日に新潟市で開催された第96回日本消化器病学会総会において発表されました。
【研究グループの構成】
<東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科>
銭谷 幹男 教授、田尻 久雄 教授、穂苅 厚史 准教授、石川 智久 准教授
<慶応義塾大学大学院 政策メディア研究科、栗原クリニック東京・日本橋>
栗原 毅 教授
<聖マリアンナ医科大学 総合診療内科>
松田 隆 教授、石井 修 講師
<聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科>
奥瀬 千晃 准教授、松本 伸行 講師、高橋 秀明 助教
<鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 システム血栓制御学講座>
丸山 征郎 教授
<大阪工業大学 工学部生命工学科>
川原 幸一 教授
【試験に使用した青梅加熱濃縮エキスについて】
詳細 : http://www.adabio.co.jp/misatolall.html
AdaBio株式会社: http://www.adabio.co.jp/index.html
【掲載論文について】
掲載論文 : Efficacy of MK615 for the treatment of patients with liver disorders
World J Gastroenterology 2012 August 21; 18(31):4118-4126
doi: 10.3748/wjg.v18.i31.4118
掲載誌 : World Journal of Gastroenterology
2012年8月21日より同誌ホームページに電子版が公開されております。
掲載誌URL: http://www.wjgnet.com/1007-9327/index.htm
筆頭著者 : 穂苅 厚史<東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科>
今回の報告は、日本における健康食品の代表ともいえる「梅」の作用を臨床試験で示したもので、梅の医薬利用素材としての可能性をより現実的にした大きな一歩と考えております。当社は、全国第2位の生産量を有する群馬県産の梅を活用し、梅の加熱濃縮エキスに関する加工食品を製造・販売して参りました。今回の研究報告を踏まえて、梅の加熱濃縮エキスに含まれる成分の医薬開発に向けた研究に注力してまいります。
【掲載内容】
今回の研究報告は、東京慈恵会医科大学 銭谷 幹男教授らの研究グループをはじめとする国内の3つの医療機関の共同による多施設臨床試験によるもので、『青梅加熱濃縮エキス(MK615)(AdaBio社製)』の肝機能改善効果ならびに安全性についての検討結果が報告されました。また論文では急性肝炎モデル動物を用いたin vivo基礎試験におけるMK615の肝庇護作用の検証結果と合わせて報告されました。
臨床試験では、インターフェロン治療が無効で、従来の肝庇護剤(*1)の投与でも十分な効果の得られないC型慢性肝炎患者、あるいは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(*2)患者等の慢性肝疾患患者を対象として、MK615(同成分を含む青梅加熱濃縮エキス飲料「ミサトールME」)を12週間飲用したところ、ALT(*3)値では58例中26例(45%)に、30%以上の改善(ALT値の低下)が認められました。AST(*4)値では58例中25例(43%)に同様の改善が認められました。特にC型慢性肝炎では40例中20例(50%)にALTの改善が見られました。また、観察期間中試験品の飲用に起因すると思われる明らかな有害事象は認められませんでした。
モデル動物を用いた検討では、MK615をあらかじめ経口投与したラットのグループと、生理食塩液を投与した対照グループに、D-ガラクトサミン塩酸塩の腹腔内投与によりそれぞれ急性肝炎を誘導し、その肝炎症状を比較する試験を行いました。D-ガラクトサミン塩酸塩を投与すると通常48時間をピークに急性肝炎様の肝障害が誘発され、血液中のALT、ASTが上昇します。対照グループに比べ、MK615をあらかじめ投与したグループでは、ALTとASTの上昇が抑制され、肝臓組織の炎症像も軽減されました。
これらの結果は、MK615の肝疾患患者への肝庇護剤としての可能性を示唆するものです。
用語説明
(*1) 肝庇護剤
肝臓の破壊されるのを防ぎ、肝機能を改善させることを目的とする薬剤。代表的な肝庇護剤としては、ウルソデオキシコール酸製剤、グリチルリチン製剤などがある。
(*2) 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)
飲酒習慣がないにも関わらず、アルコール性肝障害に類似した脂肪沈着を伴う肝障害で、単純脂肪肝から肝繊維化を伴うようなタイプまで幅広い病態を含む。肝細胞壊死と肝炎症状や肝繊維化を伴う場合は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:non-alcoholic steatohepatitis)といわれ、一般に予後不良である。
(*3) ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ:alanine aminotransferase)
アミノ酸の代謝に関わる酵素で、肝臓や腎臓などに多く含まれる。特に肝炎などにより肝細胞が破壊されると血液中にこの酵素が漏れ出し(逸脱酵素という)、血液中に高い値を示す。血液検査でこの値が高い場合は肝細胞の破壊が起こっていることを示す検査マーカー。以前はGPTと呼ばれていた。
(*4) AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ:aspartate aminotransferase)
アミノ酸の代謝に関わる酵素で、肝臓や心筋、骨格筋、赤血球などに多く含まれる。ALT同様に逸脱酵素としての血液検査マーカーで、肝疾患などで測定される。ALTと比べると肝臓以外の組織にも多く含まれ、ASTのみが高値(ALT が低値)である場合は肝疾患以外を疑う場合があり、ALTと共に測定することが多い。以前はGOTと呼ばれていた。
【研究の背景】
これまで当社と研究チームは、MK615が、in vitroにおいて、Nrf2の活性化やHO-1の誘導作用、及びNF-κBの活性抑制やTNF-α、IL-6の産生抑制作用を示すことを報告して参りました。今回は、MK615の抗酸化作用、抗炎症作用に着目し、C型慢性肝炎やNAFLD等の慢性肝疾患患者に対する「MK615」の有効性及び安全性を、肝疾患専門医師の主導で臨床的に検討していただきました。もともとMK615は、青梅の加熱濃縮エキスに含まれる成分で、食品として長く飲用された経験のある成分です。in vitroでは実験用に成分を抽出・加工したものを使用しますが、今回の検討では患者様を対象とした臨床試験であることから、事前の疾患動物モデルでの検討などにより安全性や作用を考慮した上で、食品として健常者で飲用された経験の豊富な製品「ミサトールME」が試験に使用されました。
尚、この研究の中間解析結果は、2010年4月22日〜24日に新潟市で開催された第96回日本消化器病学会総会において発表されました。
【研究グループの構成】
<東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科>
銭谷 幹男 教授、田尻 久雄 教授、穂苅 厚史 准教授、石川 智久 准教授
<慶応義塾大学大学院 政策メディア研究科、栗原クリニック東京・日本橋>
栗原 毅 教授
<聖マリアンナ医科大学 総合診療内科>
松田 隆 教授、石井 修 講師
<聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科>
奥瀬 千晃 准教授、松本 伸行 講師、高橋 秀明 助教
<鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 システム血栓制御学講座>
丸山 征郎 教授
<大阪工業大学 工学部生命工学科>
川原 幸一 教授
【試験に使用した青梅加熱濃縮エキスについて】
詳細 : http://www.adabio.co.jp/misatolall.html
AdaBio株式会社: http://www.adabio.co.jp/index.html
【掲載論文について】
掲載論文 : Efficacy of MK615 for the treatment of patients with liver disorders
World J Gastroenterology 2012 August 21; 18(31):4118-4126
doi: 10.3748/wjg.v18.i31.4118
掲載誌 : World Journal of Gastroenterology
2012年8月21日より同誌ホームページに電子版が公開されております。
掲載誌URL: http://www.wjgnet.com/1007-9327/index.htm
筆頭著者 : 穂苅 厚史<東京慈恵会医科大学附属病院 消化器・肝臓内科>