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イマジオム、マルチコア/マルチCPU向けの並列プログラミング環境「HarmonyCalc Personal」を無償配布開始

株式会社イマジオム(本社:茨城県日立市、代表取締役:高木 太郎)は、同社の開発したクラスタコンピュータミドルウェア(商品名:HarmonyCalc、読み:ハーモニーカルク)のマルチコア/マルチCPU向けのバージョン(商品名:HarmonyCalc Personal、読み:ハーモニーカルクパーソナル)の無償(フリーウェア)化を決定し、10月6日より配布を開始することにいたしました。

HarmonyCalcは、複数のコンピュータで構成されるコンピュータクラスタや、複数の計算回路を持つマルチコア/マルチCPUのコンピュータの上で高速に動作する並列プログラムを簡単に作成するためのミドルウェア(組み込み用ソフトウェア)です。
コンピュータクラスタが本格的に普及するのは今から数年先と見られていますが、マルチコア/マルチCPUのコンピュータはすでに普及しつつあります。
同社はこれらのコンピュータの上でのみ動作するHarmonyCalcの下位バージョンを無償化することで、これまで技術的に敷居が高いと言われていた並列プログラミングを誰でも簡単に使うことのできる技術に変化させ、これによってコンピュータクラスタの普及を図りたいと考えています。


■背景

これまでコンピュータの性能は、年月とともに向上し続けることが当たり前とされてきました。CPU(計算処理を行う集積回路)の処理能力は、半導体技術の著しい進歩を背景に、過去35年にわたって指数的に増大してきました。
最新のCPUは初期のCPUの100万倍を超える処理能力を持っています。急速な技術の進歩に牽引される形でコンピュータの活用が進み、最近では科学技術分野だけでなく、産業・医療・民生分野でも大規模な計算を行うニーズが増えてきました。

しかし2000年ごろになると、半導体技術の理論的な限界が見えてきました。
そこでハードウェア(CPU、コンピュータ、システム)メーカは、増え続ける計算ニーズに対応するために「並列化」のアプローチを採り始めました。
これまで一つずつ実行されていた複数の計算処理を並行して同時に実行することができるハードウェアを作れば、処理時間を大きく短縮させることができます。
メーカの取り組みの成果として、今日では次のようなハードウェアが市販されています。

マルチコア:1個のCPUに複数のコア(CPU内部の計算回路)を格納し、同時に動作させる。
マルチCPU :1枚のボードに複数のCPUを搭載し、同時に動作させる。クラスタ、グリッド:複数のコンピュータをネットワークで接続し、協調的に動作させる。

しかし並列コンピュータの出現は、新しい課題を生みました。それはプログラミングが非常に難しいことです。並列化されたハードウェアの処理能力を活用することができるのは「並列プログラム」と呼ばれる特殊なプログラムに限られ、これを作成するには「並列プログラミング」と呼ばれるプログラミング技術を習得しなければなりません。それには、WindowsなどのOS(オペレーティングシステム。基本ソフトウェア)の基本的な動作を理解したり、並列処理に固有の「デッドロック」や「スタベーション」などの問題を回避する方法を習得したりする必要があります。
これはプログラミングの初心者にとっては非常に難しいことです。そのためソフトウェアの供給が、ハードウェアの普及についていけない状況になってきています。


■HarmonyCalcの特徴

HarmonyCalcは、産業・医療・民生分野での使用を想定したクラスタコンピュータミドルウェアです。主に科学研究分野で使われていた従来のクラスタコンピュータミドルウェアは、並列プログラミングに詳しいユーザの使用を前提に、処理性能を特に重視して設計されていました。
これに対してHarmonyCalcは、並列プログラミングに詳しくないユーザの使用も想定し、むしろ次のような使い勝手を重視して設計されています。

1.広く普及しているWindowsの上で動作する(多くのエンドユーザにパッケージ配布するため)。
2.少ない修正でアプリケーションの並列化ができる(開発・保守コストを削減するため)。
3.使用する開発言語を問わない(広い範囲のアプリケーションに対応するため)。
4.開発者に高度なシステム知識を要求しない(プログラマを確保しやすくするため)。
5.パソコン1台でも並列プログラミングができる(チーム開発や開発委託を可能にするため)。
6.エンドユーザに並列処理の知識を要求しない(配布コストを削減するため)。

なおHarmonyCalcについて、詳しくは次のホームページをご覧ください。
http://www.imageom.co.jp/HarmonyCalc/


■HarmonyCalc Personalリリースの内容

HarmonyCalcには、コンピュータクラスタの上で動作する「クラスタ版」と、マルチコア/マルチCPUのコンピュータの上で動作する「マルチコア版」があります。
これまでイマジオムでは、これらの二つのバージョンを一つの製品パッケージで販売しておりましたが、このたび「マルチコア版」のみを取り出し、「HarmonyCalc Personal」として無償で配布することにいたしました。
HarmonyCalc(フルバージョン)とHarmonyCalc Personalに含まれる内容の違いを次に示します。

内容           HarmonyCalc     HarmonyCalc Personal
             (フルバージョン)
──────────── ───────── ─────────
クラスタ版ミドルウェア  ○         −
マルチコア版ミドルウェア ○         ○
クラスタ管理ツール    ○         −
開発支援ツール      ○         ○
サンプルプログラム    ○         ○

HarmonyCalc Personalは、1台のコンピュータの中でのみ動作し、コンピュータクラスタを構成する複数のコンピュータを協調的に動作させることはできません。
マルチコア/マルチCPUのコンピュータでは、複数のCPUやコアを使って高速に動作します。シングルコア・シングルCPUのコンピュータでも動作しますが、並列化による高速化の効果は得られません。

HarmonyCalcの「マルチコア版」と「クラスタ版」のAPI(アプリケーションプログラムインタフェース。プログラムに組み込む方法)は、ソースコードのレベルで高い互換性を持っています。
そのためHarmonyCalc Personalを使って作成した並列プログラムにさらなる高速化の必要が生じ、クラスタコンピュータに対応させることになった場合でも、ソースコードを大きく変更する必要はありません。新たにHarmonyCalc(フルバージョン)を購入し、使用するミドルウェアを差し替えるだけで移植ができます。つまりHarmonyCalcを使えば、プログラムに簡単にスケーラビリティ(ハードウェアの増設による性能向上が可能な性質)を持たせることができます。

HarmonyCalc Personalのご提供方法・条件は次のとおりです。

1.HarmonyCalc Personalのユーザには、「マルチコア版」の開発ライセンスと実行ライセンスを無償で提供いたします。商用利用にも制限はありません。
2.HarmonyCalc Personalは、株式会社イマジオムのホームページからダウンロードして入手することができます。
3.HarmonyCalc Personalには、原則として個別のユーザサポートは提供いたしません。
4.当面はHarmonyCalc Personalの日本語版のみ提供されます。

HarmonyCalc PersonalとHarmonyCalcは、次のようなユーザに特に大きなメリットをもたらします。

1.C・C++やFortran以外の開発言語で作られたアプリケーションを並列化したいプログラム開発者。
2.並列プログラミングに関する高度な知識を持っていないが、並列処理を活用したいプログラム開発者。
3.多くの並列アプリケーションを開発・運用しており、それぞれにかかるコストを抑えたいプログラム開発者。
4.開発した並列アプリケーションを、不特定多数のエンドユーザに手離れよく配布したいプログラム開発者。
5.並列処理を技術的・費用的に難しい技術だと考えており、その導入に躊躇しているプログラム開発者。

HarmonyCalc PersonalとHarmonyCalcは、次のように広範な応用分野で役に立つものと期待されます。

1.金融・流通
2.土木・建築
3.画像処理
4.医療
5.ディジタルエンジニアリング
6.生産管理
7.ディジタルコンテンツ制作
8.インターネット・イントラネットサービスのバックグラウンド処理
9.教育・研究


■株式会社イマジオムについて

設立 : 2004年4月
資本金: 1,000万円
本社 : 茨城県日立市
代表者: 代表取締役 高木 太郎
URL  : http://www.imageom.co.jp/

人間の携わる生産活動や創造活動を技術的に支援する方法を積極的に提案し、そのために有用な各種の製品を開発しています。産業用画像処理、工作機械制御、大規模データ処理、人的知識管理など、高度なアルゴリズムに基づくシステムの企画開発を得意としており、その要素技術として並列処理にも取り組んでいます。
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