日経平均は大幅反発、出遅れ物色に「海運」の示す先行き
[21/02/05]
提供元:株式会社フィスコ
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ランチタイムコメント
日経平均は大幅反発。389.02円高の28730.97円(出来高概算7億6000万株)で前場の取引を終えている。
4日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、332ドル高となった。週間の新規失業保険申請件数が予想外に減少したことが好感されたほか、下院が2021会計年度の予算議案を可決し、追加経済対策の実現期待も高まった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1.2%の上昇となり、過去最高値を更新。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで289円高からスタートすると、朝方伸び悩む場面もあったが、香港などアジア市場がおおむね好調な出足だったことから上げ幅を広げ、前引けにかけて一時28750.28円(408.33円高)まで上昇した。
個別では、ソニー<6758>、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>など売買代金上位は全般堅調。JAL<9201>や日産自<7201>、三菱自<7211>といった出遅れ感の強かった銘柄は特に上げが目立つ。決算発表銘柄ではNTTデータ<9613>などが急伸し、マツダ<7261>やUアローズ<7606>、リコー<7752>は東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、売買代金上位ではエムスリー<2413>、村田製<6981>、レーザーテック<6920>が逆行安。グロース(成長)株が弱い印象を受けるが、川崎船<9107>など前日買われた景気敏感株の一角も軟調ぶりが目立つ。決算発表銘柄ではヤマシンF<6240>や古河電工<5801>が大きく売られ、東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、鉱業、輸送用機器などが上昇率上位で、その他も全般堅調。海運業と化学の2業種のみ下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の65%、対して値下がり銘柄は30%となっている。
前日の米国市場ではNYダウが4日続伸し、S&P500指数とナスダック総合指数は過去最
高値を更新した。本日のアジア市場では香港ハンセン指数が大幅反発しており、日経平均もこうした海外株高を背景に強含みの展開となっている。米個人投資家の過剰投機、中国人民銀行(中央銀行)の金融引き締め観測など様々な不安材料を抱えつつも、やはり「目先は強気」のスタンスに変更はないだろう。
前日は香港ハンセン指数や上海総合指数が値を崩すとともに、日経平均も後場一段安となったが、香港ハンセン指数などは引けにかけてやや持ち直した。この日の日経平均先物の手口を見ると、ゴールドマン・サックス証券が売り越す一方、クレディ・スイス証券は買い越し。1月第4週(25〜29日)の投資部門別取引状況で外国人投資家は日経平均先物を1600億円売り越していたが、今週に入ってからの買い戻しは緩やかなものにとどまっている感がある。実際、今週2日以降の日経平均先物の売買高はやや低調で、V字回復を演出したのは主に「現物株買い」だったのだろう。引き続き前日のようにアジア株安とともに下へ振らされる場面は出てくるかもしれないが、それも落ち着いてくれば日経平均先物の売り持ち解消の動きが一段と広がる可能性がある。
さて、物色動向としては出遅れていた自動車株、空運株などの上昇が目立つ。決算を受けて急伸しているマツダなどを見ると、こうした出遅れ銘柄の業績改善に対する期待が高まるところだろう。一方でエムスリーや村田製の弱さが目を引くが、グロース・ハイテク株が軒並み売られているわけではなく、株価位置や株式需給に着目した物色と考えられる。川崎船などが軟調とあって、バリュー(割安)セクターでも海運業は逆行安だ。ただ、郵船<9101>は小幅ながらプラスを確保している。
昨年後半、急ピッチの上昇を演じた海運株のこうした動きは示唆に富む。足元で出遅れ修正中の銘柄についても、循環的な業績回復を見届けた後は個別評価によって株価の強弱が分かれそうだ。
なお、新興市場ではマザーズ指数が5日ぶりに反落しているが、今年最初のIPO(新規株式公開)銘柄であるQDレーザ<6613>はまだ買い気配のまま初値が付いていない。公募・売出しによる吸収金額が50億円超(オーバーアロットメントによる売出し含む)とマザーズ上場案件としてはまずまず大きいが、半導体レーザー技術のスタートアップ企業として注目度が高く、レーザアイウェア(メガネ型ディスプレイ)事業の急速な立ち上がりにも期待がかかる。既存銘柄の上値追いに慎重姿勢が広がるなかでIPO銘柄に物色の矛先が向きやすいとも考えられるが、個人投資家の物色意欲の強さを示しているとみていいだろう。
(小林大純)
<AK>
4日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、332ドル高となった。週間の新規失業保険申請件数が予想外に減少したことが好感されたほか、下院が2021会計年度の予算議案を可決し、追加経済対策の実現期待も高まった。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1.2%の上昇となり、過去最高値を更新。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで289円高からスタートすると、朝方伸び悩む場面もあったが、香港などアジア市場がおおむね好調な出足だったことから上げ幅を広げ、前引けにかけて一時28750.28円(408.33円高)まで上昇した。
個別では、ソニー<6758>、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、ファーストリテ<9983>など売買代金上位は全般堅調。JAL<9201>や日産自<7201>、三菱自<7211>といった出遅れ感の強かった銘柄は特に上げが目立つ。決算発表銘柄ではNTTデータ<9613>などが急伸し、マツダ<7261>やUアローズ<7606>、リコー<7752>は東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、売買代金上位ではエムスリー<2413>、村田製<6981>、レーザーテック<6920>が逆行安。グロース(成長)株が弱い印象を受けるが、川崎船<9107>など前日買われた景気敏感株の一角も軟調ぶりが目立つ。決算発表銘柄ではヤマシンF<6240>や古河電工<5801>が大きく売られ、東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、空運業、鉱業、輸送用機器などが上昇率上位で、その他も全般堅調。海運業と化学の2業種のみ下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の65%、対して値下がり銘柄は30%となっている。
前日の米国市場ではNYダウが4日続伸し、S&P500指数とナスダック総合指数は過去最
高値を更新した。本日のアジア市場では香港ハンセン指数が大幅反発しており、日経平均もこうした海外株高を背景に強含みの展開となっている。米個人投資家の過剰投機、中国人民銀行(中央銀行)の金融引き締め観測など様々な不安材料を抱えつつも、やはり「目先は強気」のスタンスに変更はないだろう。
前日は香港ハンセン指数や上海総合指数が値を崩すとともに、日経平均も後場一段安となったが、香港ハンセン指数などは引けにかけてやや持ち直した。この日の日経平均先物の手口を見ると、ゴールドマン・サックス証券が売り越す一方、クレディ・スイス証券は買い越し。1月第4週(25〜29日)の投資部門別取引状況で外国人投資家は日経平均先物を1600億円売り越していたが、今週に入ってからの買い戻しは緩やかなものにとどまっている感がある。実際、今週2日以降の日経平均先物の売買高はやや低調で、V字回復を演出したのは主に「現物株買い」だったのだろう。引き続き前日のようにアジア株安とともに下へ振らされる場面は出てくるかもしれないが、それも落ち着いてくれば日経平均先物の売り持ち解消の動きが一段と広がる可能性がある。
さて、物色動向としては出遅れていた自動車株、空運株などの上昇が目立つ。決算を受けて急伸しているマツダなどを見ると、こうした出遅れ銘柄の業績改善に対する期待が高まるところだろう。一方でエムスリーや村田製の弱さが目を引くが、グロース・ハイテク株が軒並み売られているわけではなく、株価位置や株式需給に着目した物色と考えられる。川崎船などが軟調とあって、バリュー(割安)セクターでも海運業は逆行安だ。ただ、郵船<9101>は小幅ながらプラスを確保している。
昨年後半、急ピッチの上昇を演じた海運株のこうした動きは示唆に富む。足元で出遅れ修正中の銘柄についても、循環的な業績回復を見届けた後は個別評価によって株価の強弱が分かれそうだ。
なお、新興市場ではマザーズ指数が5日ぶりに反落しているが、今年最初のIPO(新規株式公開)銘柄であるQDレーザ<6613>はまだ買い気配のまま初値が付いていない。公募・売出しによる吸収金額が50億円超(オーバーアロットメントによる売出し含む)とマザーズ上場案件としてはまずまず大きいが、半導体レーザー技術のスタートアップ企業として注目度が高く、レーザアイウェア(メガネ型ディスプレイ)事業の急速な立ち上がりにも期待がかかる。既存銘柄の上値追いに慎重姿勢が広がるなかでIPO銘柄に物色の矛先が向きやすいとも考えられるが、個人投資家の物色意欲の強さを示しているとみていいだろう。
(小林大純)
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