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再度動意づくスマホゲーム株

Miniトピック
スマホゲームの「パズドラ」ブームにより、「パズドラ」を運営するガンホー<3765>の時価総額が1兆5000億円を超え世間の耳目を集めた時点から約2年が経過した。ガンホーの株価はその後下がり続け、現在の時価総額は約5000億円とピーク時の3分の1となっている。株価が下がり続けたのは、スマホゲームの競争激化と、ピークをつけた後は時間の経過によって飽きられることでユーザー離れが予想されたことによる。
 確かに、ピークを超えたと見られた後は売上もじわじわと減少し始めた時期もみられた。しかし、減少幅は非常に小さく、ここにきて逆に盛り返してきている。今季(2015年12月期)の売上高はピーク時を超える見込みだ。
 「モンスト」の大ヒットで時価総額が急拡大したミクシィ<2121>についても昨年末に株価がピークを打った後、上記と同様の懸念により先月には半額強程度まで下がっている(6970円→3875円)。しかし、ミクシィの業績は下がるどころか、急拡大の勢いは全く止まっていない。
 大方の予想に反して、「パズドラ」と「モンスト」の2強の売上は全く落ちていない。「パズドラ」と「モンスト」は未だに売上ランキング上位の常連であり、1位2位を争っているような状態だ。
 スマホゲームの競争は激しくなっているが、2強の勢いが全く衰えないことで、ソーシャルゲームの性質がより鮮明になってきたといえる。つまり、据え置き型ゲームでは人気がピークを超えると後は売上はどんどん落ちて行く一方(同じモノを再度購入しない)なのに対して、ソーシャルゲームはゲームやネット内でのつながりから顧客の粘着性(固定客化し繰り返し課金する)が極めて高いということである。そのゲーム内のみならず、動画サイトでゲームの実況などが人気を集めているのはこれを増幅させているとみられる。
 現在、ガンホーの予想PER(株価収益率)は約9倍、ミクシィは約8倍となっているが、業績や顧客の粘着性の強度からすると、明らかに割安な水準と思われる(特に「モンスト」の成長ペースの衰えは確認されていない)。
 スマホゲーム市場全体についても、今後も拡大して行くとみられている。最近携帯キャリアがガラケーをやめてスマホにシフトしているように、スマホの保有率がさらに増加して行くことや、スマホ本体の価格や回線使用料に価格低下圧力がかかっておりその分スマホゲームに課金する余地ができること、スマホからのネットユーザー数がPCを逆転しつつあること等が追い風となる。
 スマホゲーム事業自体もヒットすれば確実に「儲かる」事業である。スマホゲームはスマートフォンの通信料金と一緒にアイテム課金分が回収されるため、ネットは基本無料という原則からマネタイズ(収益化)に苦労している他のネット事業とは根本的に違う(他のネット事業は主に広告収入に頼ることが多いが、これは倍々ゲームで伸びることを期待するのは困難)。また、電子データであることから、在庫の問題などがなくなり(電子データの複製コストはゼロ)、開発費を回収した後はほぼ丸儲け(メンテナンス費用等は必要)となることで収益性が非常に高い。上記のガンホーやミクシィの売上高営業利益率は50%を超える。
 任天堂<7974>がスマホゲームに参入すると表明したとたん株価が約2倍となったのは故無しとしないのである。
 最近一部の小型ゲーム株の動きが激しくなっているが、これはガンホーやミクシィほど大ヒットしなくても、そこそこのヒットでもスマホゲームは「儲かる」からに他ならない。また、一度ヒットすると顧客の粘着性が高い為、一定の水準まで到達すれば、息の長い成長が見込める。顧客の粘着性が高いということは、裏返すと上位のゲームに割って入ることは難易度が高いと言えるが、もし割って入るような大ヒットとなればテンバガー化必至である。
 日経平均株価が11連騰し、一服感が出る可能性がある局面でもあり、今年に入って低迷が続いていた新興市場(特にマザーズ)のゲーム株の動向が注目される。

<YU>

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