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NYの視点:ドラギECB総裁はディフェンシブ、ユーロは当分レンジか

注目トピックス 経済総合

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で金融政策の据え置きを決定した。ドラギ総裁は会見で、世界経済への不透明感から見通しリスクが下方だとの見解を示した。また、「インフレが目標を達成し成長回復に向けてECBの政策は必要だ」と、大規模な緩和策を擁護した。ECBは物価を回復させるため追加措置の用意があるとし、必要であれば責務の範囲内ですべての手段を使用することを再確認した。

米財務省が発表した声明や、今月初旬にワシントンで開催された主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議の共同声明でも、介入に否定的な方針が示され、競争的な通貨切り下げ回避が再確認された。このため、ECBもユーロ安誘導を控えている模様。3月に発表した措置でも、今までのユーロ安を導き輸出企業支援を主体とした政策から、貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)やコーポレート・セクター・パーチェース・プログラム(cspp)を通じて、実質経済を支援する方針に変更。

マイナス金利導入に関して、年金などを損なうとドラギ総裁を非難する声もドイツを中心に高まりつつある。定例理事会前、ドイツのショイブレ財務相は、「ドラギ総裁がもう少し、政治に神経質になってくれれば」と述べている。これに対し、ドラギ総裁は「ECBは法律に従うにであって、政治家に従わない」と反論。ドイツのメルケル首相は「金融政策で全ての問題を解決することは不可能であることは明らか」「ECBは独立機関である」と、ECBを弁護した。批判の多いマイナス金利に関して、ドラギ総裁は、「その影響は広範にポジティブ」で「銀行に害を与えている証拠はない」とした。また、低インフレが長期化するため、インフレの展開において「辛抱強い対応が必要である」と当面様子見の姿勢を示した。

この発言から、ドラギECB総裁は守りに入ったとの見方が強まっている。また、ユーロ相場がレンジ内で方向感を探る動きにとどまり安定していることにECBは満足していると捉えられている。ストラティジストはドラギECB総裁がオフェンシブ(攻撃的)なときはユーロを売れるが、ディフェンシブ、守りに入った場合は、ユーロを売れないとしている。ユーロは当面レンジ内でのもみ合いが予想される。ただ、米国の利上げ観測が強まった場合に限り、欧米の金利差拡大観測にユーロ・ドルが下落することになる。



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