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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆先手打った攻勢◆

注目トピックス 経済総合

〇米統計軟化、FOMCは予定通り〇

NY時間朝、FOMC結果発表前に意外感をもって、米債利回りが急低下、ドルが売られた。指標10年物国債利回りは一時2.103%、昨年11月10日の大統領選直後の水準。ドル円は一時108.84円。

要因は二つの米統計。一つは5月小売売上高で、前月比0.3%減(市場予想+0.1%)、1年4か月ぶりの大きな落ち込み。前年同月比では+3.8%だが、自動車販売の減速、ガソリン値下がりによる影響、百貨店販売1.0%減など消費形態の変化などが背景。第2四半期GDPの回復に影響すると見られている。もう一つは5月消費者物価指数が予想外の前月比0.1%下落(市場予想横ばい)、前年同月比は1.9%上昇で、4月の2.2%上昇から低下した。追い討ちを掛けたのは原油相場の急落。米週間石油統計でガソリン在庫が約210万バレルの増加。ドライブシーズンで市場は45.7万バレルの減少を見込んでいたため、ガソリン先物が急落、WTI先物も1.73ドル安の44.73ドル/バレル。終値としては昨年11月14日以来の安値。

一気に悲観論が強まり、仕掛け的な動きとなったが、FOMC結果は予定通りとなった。政策金利を0.25%引き上げ、1〜1.25%とし、年内後1回の利上げ姿勢を崩さなかった。加えて、FRB保有債券4.5兆ドル規模の段階的縮小を表明した。早ければ9月にも「政策正常化プロセス」を開始する可能性がある。償還分の米国債については、月間当初60億ドル規模で再投資を見送り、その後300億ドルに達するまで1年かけて3カ月おきに60億ドルずつ増やす計画。単純に見れば、金利上昇圧力になる。その分を海外投資家に依存すればドル買い要因ともなる(国債以外の住宅ローン担保証券も月50億ドル相当削減との見方がある)。

ただ、市場はFRBの姿勢に懐疑的な様だ。短期金利先物市場では、次回利上げは早くても来年3月、中心は6月との見込み。ブルームバーグが今月5-8日に実施した調査では、9月利上げ、10-12月期にバランスシート縮小開始の見方が大勢だった。イエレン議長の任期は来年2月上旬。再任可能性には言及を避けたが、市場は交代も視野に、年内の追加利上げは難しいとの見方にあるようだ。なお、トランプ政策の遅れについては、影響は限定的とし、景気の緩みも一時的との姿勢を崩さなかった。

今のところ、想定下限の攻防と見えるが、景気弱気・債券強気派の10年債利回り2%割れ想定か、現状少数派になった景気強気・債券弱気派の3%目指すシナ
リオが生きているか、激しい綱引きが続くものと考えられる。




以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/6/15号)



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