オフショア金融エコシステムとブロックチェーン技術は米中戦略ゲームの分水嶺(2)【中国問題グローバル研究所】
[19/11/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。所長の遠藤 誉教授を中心として、トランプ政権の”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、また北京郵電大学の孫 啓明教授らが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している孫 啓明教授の考察「オフショア金融エコシステムとブロックチェーン技術は米中戦略ゲームの分水嶺(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。
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三、米中金融戦争における戦略核ミサイル級の技術、ブロックチェーン
米国の上級軍事アナリストはこう考えている。中国がドル取引をバイパスし、オフショア金融業務を発展することは、世界を2つに引き裂き、「新しい冷戦」体制を形成するであろう。そしてブロックチェーン技術は2つのグローバル超大国間のハイテク戦争の新しい戦場となるであろう。日本のNHKが作ったドキュメンタリー番組「アメリカVS.中国“情報・金融・ハイテク覇権”に挑む中国」も、人工知能、ブロックチェーンなどの新興技術が米中貿易戦争において果たす重要な役割を客観的に示している。
米国がなぜ超大国であるのか? それは米国が情報技術、航空宇宙技術などの領域のコア技術を所有し、そしてドル覇権を握っているからだ。円は、かつて一度ドル覇権に挑戦するチャンスがあり、その後のユーロの登場もドル覇権にある程度揺さぶりをかけたが、米国の的確な攻撃により、ともに実質的にドル覇権に衝撃を与えることができなかった。そして現在、中国は今後数年間において、唯一米国の覇権に挑むことができる国だとみなされている。したがって、中国と米国の金融・技術戦争は避けられない。また貿易摩擦に注目し、米国のZTEとファーウェイに対する制裁を思い起こすと、米中の新しい科学技術イノベーション領域での戦争はすでに激化していることがわかる。
(一)中国のブロックチェーン利用は既に米国より一歩先んじている
米国は世界第一位の経済大国であり、特に世界の最先端技術においてはトップランナーであるが、ブロックチェーンの利用においては遅れを取っている。なぜならば技術の有効性を検証する試金石は、商業利用できるかどうかだ。そして米国の一部高度なブロックチェーン技術は市場の需要が不足しているため、まだ商業利用できずにいる。それに対して、中国は市場の需要が大きいため、ブロックチェーン特許技術が実際に利用される面において、米国より一歩先んじている。中国のブロックチェーン技術は米国と異なる独自路線を探っている。そして利用に関しては既に米国より進んでいる。
ブロックチェーン技術が最も広く、深く利用されている金融業から見よう。知的財産産業メディア「IPRdaily」と「incoPatイノベーティブインデックス研究センター」が共同で発表した「2017年グローバルブロックチェーン企業特許トップ100」によると、ランク入りした49%の企業が中国にあり、33%が米国にある。そして上位10社のうち中国企業7社に対して、米国は2社にとどまっている。中国のブロックチェーン技術の商業利用は米国よりはるかに先んじている。大手国有銀行以外にも、中国企業のアリババ、バイドゥ、テンセント、京東などのインターネット企業の参入も、金融分野におけるブロックチェーン商業利用の注目点となっている。例えば、全世界のブロックチェーン技術の特許出願数から見ると、アリババの特許出願数は90件であり、IBMを抜いて世界一位である。これらの特許は主に新しい小売業、物流、トレーサビリティなどの場合での利用に関係している。中国深センが開発した「RubyChain」は、スマートコントラクト、マルチチェーンの並列化、クロスチェーンの合意、ブロックチェーンにビッグデータの保存、ブロックチェーン以外のアプリケーションブロックの断片化保存、アプリケーションの高速移行などの運用メカニズムを提供し、パブリックチェーンで不可能だと言われている非中央集権的、拡張性、セキュリティのいいとこ取りをバランス良く網羅している。従来型の企業とインターネット企業に対して、ブロックチェーン技術の移植と利用に便利な機能を提供する。これによって、ブロックチェーンアプリケーションはWebアプリケーション開発と同じように、柔軟で迅速に、低コストかつワンストップで開発できるようになり、ブロックチェーンの商業利用を本格的に実現可能にし、中国は既にブロックチェーン技術の商業利用の新たな時代を切り開いた。
(二)中国ブロックチェーン研究は、米国と異なる独自路線を開拓している
ブロックチェーンが経済と金融の中核となるインフラの一つだとすれば、ブロックチェーン技術のコア技術をマスターできる人は、次の時代の情報技術のリーダーになれるであろう。ファーウェイとZTEが制裁される困難な状況を繰り返さないために、中国政府と市場はそれぞれの役割を果たし、米国と異なる独自路線を開拓する必要がある。政府が金融制度と金融管理を強化し、金融業のシステムリスクを防ぐと同時に、一定のフォールトトレラントを保留し、市場の有効性を発揮し、市場ができることを市場に委ねなければならない。
1. 中国はブロックチェーン技術に基づき、先に発行する
先にデジタル通貨を発行することは、中国がドル通貨の世界覇権を変える重要なチャンスである。今のドル覇権のゲームルールの下では、中国人民元のグローバル化はかなり難しい。つまり人民元がドルを追い越すために、既存の道路を走っては無理であり、道を変えないと追い越すことができないのだ。先にデジタル通貨を発行することは、人民元のグローバル化の始まりである。法定デジタル通貨は従来の通貨と同じ国家主権に依拠する利点があり、同時にデジタル通貨の優位性も有している。ブロックチェーン技術に基づく法定デジタル通貨は、たとえローカルノードが故障しても、ネットワークの他のノードに分散された取引データは、資金の安全性を保証できる。分散型台帳、すべてのネットワークに接続する特性は、国際情勢の混乱に伴うリスクを回避でき、大国の駆け引きによる制裁を回避することができる。国家主権に依拠するため、マネーロンダリング、ハッキング、偽造、脱税などに対してもかなりの有効性を持っているであろう。
2. ブロックチェーン技術に基づき、中国は米国の技術封鎖を突破し、人民元のグローバル化の独立路線を開拓できる
米国はインターネットの先駆者であり、すべてのIPv4ルートネームサーバは米政府管轄下のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が管理している。ICANNは世界中のインターネットのドメインIPv4ルートネームサーバ、ドメインシステム及びインターネットプロトコルアドレスなどの管理をしている。世界中には13クラスタのIPv4ルートネームサーバしかない。うちクラスタは米国にあり、欧州の2クラスタはそれぞれスウェーデン(I)とオランダ(K)にあり、そしてアジアの1クラスタは日本(M)が管理している。極端なケースでは、米国は、特定の地域のインターネットを遮断させる能力を持っている。しかしブロックチェーンのP2Pベースの通信メカニズムは、実質的にICANNの管理をバイパスしている。加えてブロックチェーンには安全、機密性、オープンソース、グローバル化などの特性があるので、技術封鎖に対抗する有用な手段である。
3. 米中両国のブロックチェーン産業発展路線の差異
米中両国は技術研究の差、市場規模の差、利用の方向性の差があり、結果的にそれぞれ異なる路線を歩むことになった。中国のブロックチェーン技術の中核は実体経済に奉仕し、金融、医療、司法、工業、メディア業などの分野での利用を探っている。対して米国はゲーム、ギャンブル、取引所などのデジタル資産の取引とデジタル通貨の流通に力を注いでいる。ブロックチェーンの歴史は10年しかないが、米中の路線は既に別の道を進んでいるようだ。近年のブロックチェーンの商業利用を見ると、米国は口先だけで、実際JPモルガン、FACEBOOK、マイクロソフトなどのブロックチェーンネイティブプロジェクトはほとんどまだ開発中で、実体経済まで利用されるプロジェクトはほとんどない。米国のブロックチェーン利用はまだ「暗号通貨」を中心に空回りしている。それに対して中国のブロックチェーンプロジェクトは、加速度的に実現している。中国のテンセント、アリババ、迅雷、バイドゥ、京東のブロックチェーン大手5社、加えてファーウェイ、万向、衆安、WeBank 微シュウ?行、平安壱帳通などの大手企業からも、大量のブロックチェーンの実際利用ケースが現れている。(詳細は互鏈脈搏研究院のデータベース参照)
ブロックチェーン応用の実現は、中国ブロックチェーン技術を発展させる。迅雷ブロックチェーン、バイドゥスーパーチェーン、アントブロックチェーン、平安壱帳通等はそれぞれ独自のブロックチェーン技術を開発し、性能、使いやすさ、拡張性は既に世界トップレベルに達している。技術面でも、中国は独自の技術体系を有している。『フォーブス』は「中国のブロックチェーンは画期的な優位性を実現した?」という記事を掲載し、迅雷ブロックチェーンなど中国のブロックチェーン技術の世界における優位性を紹介した。互鏈脈搏研究院のデータベースによると、2019年第1四半期ブロックチェーンの利用事例は中国78件に対して米国26件である。利用事例に触発され、中国のブロックチェーン特許出願数も世界一である。INNOJOYの集計によると、中国のブロックチェーン特許出願数は7639件に対して、米国は1551件でしかない。(出典:互鏈脈搏INNOJOY 2019年5月21日まで)
学術研究では、2016年から、中国の学界は既にビットコイン研究からブロックチェーン研究に移行した。EIデータベースのブロックチェーン論文の数を見ると、上位10機関のうち、4つはヨーロッパ、残りは米国、中国、オーストラリアに位置している。CNKIの国内データベースのブロックチェーン論文の数を見ると、中国の論文は一位であり、そして上位10機関のうち、3つは中国の国有銀行である。つまり国有銀行はブロックチェーン技術の研究にかなり重視しているであろう。
(〜オフショア金融エコシステムとブロックチェーン技術は米中戦略ゲームの分水嶺(3)【中国問題グローバル研究所】」へ続く〜)
(この評論は11月17日に執筆)
※1:中国問題グローバル研究所
https://grici.or.jp/
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◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページでも配信している孫 啓明教授の考察「オフショア金融エコシステムとブロックチェーン技術は米中戦略ゲームの分水嶺(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。
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三、米中金融戦争における戦略核ミサイル級の技術、ブロックチェーン
米国の上級軍事アナリストはこう考えている。中国がドル取引をバイパスし、オフショア金融業務を発展することは、世界を2つに引き裂き、「新しい冷戦」体制を形成するであろう。そしてブロックチェーン技術は2つのグローバル超大国間のハイテク戦争の新しい戦場となるであろう。日本のNHKが作ったドキュメンタリー番組「アメリカVS.中国“情報・金融・ハイテク覇権”に挑む中国」も、人工知能、ブロックチェーンなどの新興技術が米中貿易戦争において果たす重要な役割を客観的に示している。
米国がなぜ超大国であるのか? それは米国が情報技術、航空宇宙技術などの領域のコア技術を所有し、そしてドル覇権を握っているからだ。円は、かつて一度ドル覇権に挑戦するチャンスがあり、その後のユーロの登場もドル覇権にある程度揺さぶりをかけたが、米国の的確な攻撃により、ともに実質的にドル覇権に衝撃を与えることができなかった。そして現在、中国は今後数年間において、唯一米国の覇権に挑むことができる国だとみなされている。したがって、中国と米国の金融・技術戦争は避けられない。また貿易摩擦に注目し、米国のZTEとファーウェイに対する制裁を思い起こすと、米中の新しい科学技術イノベーション領域での戦争はすでに激化していることがわかる。
(一)中国のブロックチェーン利用は既に米国より一歩先んじている
米国は世界第一位の経済大国であり、特に世界の最先端技術においてはトップランナーであるが、ブロックチェーンの利用においては遅れを取っている。なぜならば技術の有効性を検証する試金石は、商業利用できるかどうかだ。そして米国の一部高度なブロックチェーン技術は市場の需要が不足しているため、まだ商業利用できずにいる。それに対して、中国は市場の需要が大きいため、ブロックチェーン特許技術が実際に利用される面において、米国より一歩先んじている。中国のブロックチェーン技術は米国と異なる独自路線を探っている。そして利用に関しては既に米国より進んでいる。
ブロックチェーン技術が最も広く、深く利用されている金融業から見よう。知的財産産業メディア「IPRdaily」と「incoPatイノベーティブインデックス研究センター」が共同で発表した「2017年グローバルブロックチェーン企業特許トップ100」によると、ランク入りした49%の企業が中国にあり、33%が米国にある。そして上位10社のうち中国企業7社に対して、米国は2社にとどまっている。中国のブロックチェーン技術の商業利用は米国よりはるかに先んじている。大手国有銀行以外にも、中国企業のアリババ、バイドゥ、テンセント、京東などのインターネット企業の参入も、金融分野におけるブロックチェーン商業利用の注目点となっている。例えば、全世界のブロックチェーン技術の特許出願数から見ると、アリババの特許出願数は90件であり、IBMを抜いて世界一位である。これらの特許は主に新しい小売業、物流、トレーサビリティなどの場合での利用に関係している。中国深センが開発した「RubyChain」は、スマートコントラクト、マルチチェーンの並列化、クロスチェーンの合意、ブロックチェーンにビッグデータの保存、ブロックチェーン以外のアプリケーションブロックの断片化保存、アプリケーションの高速移行などの運用メカニズムを提供し、パブリックチェーンで不可能だと言われている非中央集権的、拡張性、セキュリティのいいとこ取りをバランス良く網羅している。従来型の企業とインターネット企業に対して、ブロックチェーン技術の移植と利用に便利な機能を提供する。これによって、ブロックチェーンアプリケーションはWebアプリケーション開発と同じように、柔軟で迅速に、低コストかつワンストップで開発できるようになり、ブロックチェーンの商業利用を本格的に実現可能にし、中国は既にブロックチェーン技術の商業利用の新たな時代を切り開いた。
(二)中国ブロックチェーン研究は、米国と異なる独自路線を開拓している
ブロックチェーンが経済と金融の中核となるインフラの一つだとすれば、ブロックチェーン技術のコア技術をマスターできる人は、次の時代の情報技術のリーダーになれるであろう。ファーウェイとZTEが制裁される困難な状況を繰り返さないために、中国政府と市場はそれぞれの役割を果たし、米国と異なる独自路線を開拓する必要がある。政府が金融制度と金融管理を強化し、金融業のシステムリスクを防ぐと同時に、一定のフォールトトレラントを保留し、市場の有効性を発揮し、市場ができることを市場に委ねなければならない。
1. 中国はブロックチェーン技術に基づき、先に発行する
先にデジタル通貨を発行することは、中国がドル通貨の世界覇権を変える重要なチャンスである。今のドル覇権のゲームルールの下では、中国人民元のグローバル化はかなり難しい。つまり人民元がドルを追い越すために、既存の道路を走っては無理であり、道を変えないと追い越すことができないのだ。先にデジタル通貨を発行することは、人民元のグローバル化の始まりである。法定デジタル通貨は従来の通貨と同じ国家主権に依拠する利点があり、同時にデジタル通貨の優位性も有している。ブロックチェーン技術に基づく法定デジタル通貨は、たとえローカルノードが故障しても、ネットワークの他のノードに分散された取引データは、資金の安全性を保証できる。分散型台帳、すべてのネットワークに接続する特性は、国際情勢の混乱に伴うリスクを回避でき、大国の駆け引きによる制裁を回避することができる。国家主権に依拠するため、マネーロンダリング、ハッキング、偽造、脱税などに対してもかなりの有効性を持っているであろう。
2. ブロックチェーン技術に基づき、中国は米国の技術封鎖を突破し、人民元のグローバル化の独立路線を開拓できる
米国はインターネットの先駆者であり、すべてのIPv4ルートネームサーバは米政府管轄下のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が管理している。ICANNは世界中のインターネットのドメインIPv4ルートネームサーバ、ドメインシステム及びインターネットプロトコルアドレスなどの管理をしている。世界中には13クラスタのIPv4ルートネームサーバしかない。うちクラスタは米国にあり、欧州の2クラスタはそれぞれスウェーデン(I)とオランダ(K)にあり、そしてアジアの1クラスタは日本(M)が管理している。極端なケースでは、米国は、特定の地域のインターネットを遮断させる能力を持っている。しかしブロックチェーンのP2Pベースの通信メカニズムは、実質的にICANNの管理をバイパスしている。加えてブロックチェーンには安全、機密性、オープンソース、グローバル化などの特性があるので、技術封鎖に対抗する有用な手段である。
3. 米中両国のブロックチェーン産業発展路線の差異
米中両国は技術研究の差、市場規模の差、利用の方向性の差があり、結果的にそれぞれ異なる路線を歩むことになった。中国のブロックチェーン技術の中核は実体経済に奉仕し、金融、医療、司法、工業、メディア業などの分野での利用を探っている。対して米国はゲーム、ギャンブル、取引所などのデジタル資産の取引とデジタル通貨の流通に力を注いでいる。ブロックチェーンの歴史は10年しかないが、米中の路線は既に別の道を進んでいるようだ。近年のブロックチェーンの商業利用を見ると、米国は口先だけで、実際JPモルガン、FACEBOOK、マイクロソフトなどのブロックチェーンネイティブプロジェクトはほとんどまだ開発中で、実体経済まで利用されるプロジェクトはほとんどない。米国のブロックチェーン利用はまだ「暗号通貨」を中心に空回りしている。それに対して中国のブロックチェーンプロジェクトは、加速度的に実現している。中国のテンセント、アリババ、迅雷、バイドゥ、京東のブロックチェーン大手5社、加えてファーウェイ、万向、衆安、WeBank 微シュウ?行、平安壱帳通などの大手企業からも、大量のブロックチェーンの実際利用ケースが現れている。(詳細は互鏈脈搏研究院のデータベース参照)
ブロックチェーン応用の実現は、中国ブロックチェーン技術を発展させる。迅雷ブロックチェーン、バイドゥスーパーチェーン、アントブロックチェーン、平安壱帳通等はそれぞれ独自のブロックチェーン技術を開発し、性能、使いやすさ、拡張性は既に世界トップレベルに達している。技術面でも、中国は独自の技術体系を有している。『フォーブス』は「中国のブロックチェーンは画期的な優位性を実現した?」という記事を掲載し、迅雷ブロックチェーンなど中国のブロックチェーン技術の世界における優位性を紹介した。互鏈脈搏研究院のデータベースによると、2019年第1四半期ブロックチェーンの利用事例は中国78件に対して米国26件である。利用事例に触発され、中国のブロックチェーン特許出願数も世界一である。INNOJOYの集計によると、中国のブロックチェーン特許出願数は7639件に対して、米国は1551件でしかない。(出典:互鏈脈搏INNOJOY 2019年5月21日まで)
学術研究では、2016年から、中国の学界は既にビットコイン研究からブロックチェーン研究に移行した。EIデータベースのブロックチェーン論文の数を見ると、上位10機関のうち、4つはヨーロッパ、残りは米国、中国、オーストラリアに位置している。CNKIの国内データベースのブロックチェーン論文の数を見ると、中国の論文は一位であり、そして上位10機関のうち、3つは中国の国有銀行である。つまり国有銀行はブロックチェーン技術の研究にかなり重視しているであろう。
(〜オフショア金融エコシステムとブロックチェーン技術は米中戦略ゲームの分水嶺(3)【中国問題グローバル研究所】」へ続く〜)
(この評論は11月17日に執筆)
※1:中国問題グローバル研究所
https://grici.or.jp/
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