米国株式市場見通し:レイバーデー明けで出来高回復、地政学リスへの警戒は必要
[14/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
レイバーデーの3連休を控えて、夏季休暇シーズンで市場参加者も少なく、週を通じて閑散取引となった。週初はドラギECB総裁の発言を受けた追加緩和期待で欧州株式相場が堅調推移となった流れを受けて買いが先行。企業買収なども好感されており、大型株で構成されるS&P500指数はザラ場で2000ポイントの節目を上回り過去最高値を更新した。6月FHFA住宅価格指数や8月消費者信頼感指数が予想を上回ったほか、イスラエルとハマスがパレスチナ・ガザ地区での停戦に合意したことも好感された。週半ばにかけても前回は数時間で破綻した停戦合意が継続していることから地政学リスクへの警戒感が後退したものの、小動きとなった。週後半になるとロシア軍がウクライナ東部に再び進入するなど、緊張が高まっていることが嫌気されて反落。しかしながら4−6月期GDP改定値が上方修正されたことや7月中古住宅販売仮契約が予想を上回ったことで引けにかけて下げ幅を縮小する展開となった。週末にかけてはイギリスがテロ警戒レベルを引き上げたことが懸念されたものの、底堅い動きとなった。結局週を通じて主要株式指数は上昇。
携帯端末メーカーのアップル(AAPL)は正式に9月9日の新製品発表イベントの招待状を送付したことで上昇。宝飾品小売のティファニーは好決算を発表し、通年の業績見通しを引き上げたことで堅調推移となった。ドーナツ・チェーンのティム・ホートンズは、ファストフードのバーガーキングによる買収提案に合意し急騰。一方でアパレルのアバクロンビー&フィッチやキッチン用品のウィリアムズ・ソノマが予想を下回る決算を発表して下落。鉄鉱石価格が2年ぶりの安値となっていることでクリフス・ナチュラル・リソーシズ(CLF)や資源大手各社も売られた。
9月1日はレイバーデーの祝日で、米国株式相場は休場となる。投資家や市場関係者の多くが復帰することから、出来高も回復することが想定されるが、今週も引き続き地政学リスへの警戒が必要だ。4日から5日にかけてNATO首脳会談が予定されており、ウクライナ情勢を巡って対ロシアへの制裁強化が発表される可能性がある。特に先週イギリスがテロ警戒レベルを引き上げたこともあり、ウクライナや中東など一部地域から、より広範囲に影響が拡散するリスクに注意が必要だ。
月初となることから数多くの経済指標の発表が予定されている。8月ISM製造業景況指数(2日)、9月新車販売台数(3日)、9月ADP雇用統計(4日)、8月ISM非製造業景況指数(4日)、8月雇用統計(5日)などの発表が控えている。ジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演では、利上げのタイミングは雇用情勢次第との見解を示しており、雇用統計が注目される。雇用統計では失業率は6.1%へと低下、非農業部門雇用者数は22万5千人増が予想されている。またFOMC(連邦公開市場委員会)での基礎資料となる地区連銀経済報告(ベージュブック)も3日に発表される予定だ。
個別企業決算は住宅メーカーのトール・ブラザーズが3日に決算発表を予定している。また来週9日に予定されているアップルの新製品発表イベントが近づくに従って、新型iPhoneやウェアラブル端末などへの期待が高まりそうだ。新型iPhoneではモバイルペイメント機能が実装されるとの観測が広がっており、NFCと呼ばれる近距離無線機能に対応した半導体を製造するNXPセミコンダクターズの株価が堅調推移となっている。また硬度の高いサファイアガラスの採用も予想されており、GTアドバンスト・テクノロジーズの株価も高値圏で推移している。
(Horiko Capital Management LLC)
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