【FISCOソーシャルレポーター】個人ブロガー三竿郁夫氏「破壊的イノベーションができるか?」
[17/03/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人ブロガー三竿郁夫氏(ブログ 「IA工房 -真の日タイ連携を目指して-」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
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「破壊的イノベーションができるか?」
クリステンセンが、破壊的(Disruptive)イノベーションという言葉を使い始めてもう20年になるが、今のIT業界に代表されるベンチャー企業の成功例を見るとまさにその理論が当てはまっている場合が多い。 しかし、技術的人的要素をたくさん所有する大企業こそ、その理論を活用した新規事業創造をするべきだ。
破壊的イノベーションの概念は、この20年のマーケット破壊の例を見るとすぐに理解できる。
・Amazonや楽天<4755>に代表されるインタネット販売やコンビニIT活用の普及により、仲介業の仕組みを破壊し、物販業界と流通業界は大きな変革を余儀なくされた。
・Appleやソフトバンク<9984>等が仕掛けてきた携帯電話の普及が、電話業界だけでなくゲーム業界、PC業界をはじめとする多くのサービス業界のビジネスモデルを変革し、課金のシステムにも大きな影響を与えた。
・Uberは、旧態然としたタクシー業界に風穴をあけた。まさに破壊的イノベーションの典型例だ。
大企業の中では、イノベーションのジレンマの前提である「既存顧客や株主の意向、小規模な市場や存在しない市場の無視、組織の能力への依存、技術の供給優先」等から解き放ったチームが必要だ。また、企画を考えるときに「技術の供給」からではなく、「旧態然とした業態の変革」からの発想が重要である。
今、脚光を浴びているIoTとAIは、確かに破壊的ノベーションの多くの可能性を秘めた技術だ。そして多くの技術と人材を有する大企業は、もちろんその分野に飛びついている。 ただ、その言葉と技術的なアイデアだけではイノベーションのスタートアップを成功させることはできない。クリステンセンが語る本質的なアプローチをきちっと実践できる企業かどうか、それが勝負を決するだろう。それは、IoTやAIでいえば、どの業界業態に具体的に適用させるかだ。いままで注目を浴びてきたサービス業、流通業だけでなく、旧態然とした農業分野、医療分野や規制緩和に絡む分野、お役所等の破壊的イノベーションに注目したい。
注目するべき破壊的イノベーションテーマに取り組んでいる大企業を探ってみる。そのベースになる発想が重要である。
発想(1):気象情報?職業人が本当に知りたいのは?
IBMは、The Weather Companyを作り、気象予報データとアナリティクスのライセンス等を持つ会社を買収した。漁師は? ワイナリーは? 職業人は? 最終的にどんな解析データが欲しいのかというイノベイティブなアプローチだ。
発想(2):多くの人が曖昧な健康情報と広告だらけの健康食品に振り回されている
健康の計測器メーカータニタは、「健康をはかる」から「健康をつくる」へ。という方針を打ち出し、「日本をもっと健康に!」を標語に食事と運動、休養のバランスの観点から、健康をつくりを支援する多くの情報を提供している。タニタ食堂のレシピの公開から始まり、子会社タニタ食堂は、共通の経営理念を持つきちり<3082>と業務提携し、健康メニューを提供するレストランを全国展開する。
発想(3):働き方改革は勤務時間問題だけじゃない!
丸和運輸機関<9090>は、全国のトラック運転手を抱えるパートナー中小企業に、労務管理、人材育成、IT支援、資金調達、共同購入等様々な支援を行う一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワークを設立し、課題を多く持つ運送業界全体の支援を目指している。(今年度目標800社の加盟)このネットワークは、この業界での働き方改革に貢献するだろう。
発想(4):CO2の発生の削減だけでなく、発生したCO2をエネルギー源にできないか?
昭和シェル石油<5002>は、水と二酸化炭素(CO2)から太陽光のエネルギーだけでメタンとエチレンを合成する人工光合成の技術とその実用化開発を行っている。
発想(5):現代の二次エネルギーの主流は電力、その最大の課題は備蓄できないこと
千代田化工<6366>、東芝<6502>は、将来のエネルギー供給の破壊的イノベーションのネタ、電力に変わる二次エネルギー備蓄、水素備蓄に力を入れ、将来の水素社会への貢献を目指している。
これらの会社でスタートアップを成功させるための重要なポイントは、経営者自らが短期的な業績とは別に、社会や業界の大きな課題解決や社会貢献に強い熱意をもち、長期的な視野から、具体的な破壊的なイノベーションのスタートアップを推進していくことである。
執筆者名:三竿郁夫IA工房代表
ブログ名: 「IA工房 -真の日タイ連携を目指して-」
<MT>
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「破壊的イノベーションができるか?」
クリステンセンが、破壊的(Disruptive)イノベーションという言葉を使い始めてもう20年になるが、今のIT業界に代表されるベンチャー企業の成功例を見るとまさにその理論が当てはまっている場合が多い。 しかし、技術的人的要素をたくさん所有する大企業こそ、その理論を活用した新規事業創造をするべきだ。
破壊的イノベーションの概念は、この20年のマーケット破壊の例を見るとすぐに理解できる。
・Amazonや楽天<4755>に代表されるインタネット販売やコンビニIT活用の普及により、仲介業の仕組みを破壊し、物販業界と流通業界は大きな変革を余儀なくされた。
・Appleやソフトバンク<9984>等が仕掛けてきた携帯電話の普及が、電話業界だけでなくゲーム業界、PC業界をはじめとする多くのサービス業界のビジネスモデルを変革し、課金のシステムにも大きな影響を与えた。
・Uberは、旧態然としたタクシー業界に風穴をあけた。まさに破壊的イノベーションの典型例だ。
大企業の中では、イノベーションのジレンマの前提である「既存顧客や株主の意向、小規模な市場や存在しない市場の無視、組織の能力への依存、技術の供給優先」等から解き放ったチームが必要だ。また、企画を考えるときに「技術の供給」からではなく、「旧態然とした業態の変革」からの発想が重要である。
今、脚光を浴びているIoTとAIは、確かに破壊的ノベーションの多くの可能性を秘めた技術だ。そして多くの技術と人材を有する大企業は、もちろんその分野に飛びついている。 ただ、その言葉と技術的なアイデアだけではイノベーションのスタートアップを成功させることはできない。クリステンセンが語る本質的なアプローチをきちっと実践できる企業かどうか、それが勝負を決するだろう。それは、IoTやAIでいえば、どの業界業態に具体的に適用させるかだ。いままで注目を浴びてきたサービス業、流通業だけでなく、旧態然とした農業分野、医療分野や規制緩和に絡む分野、お役所等の破壊的イノベーションに注目したい。
注目するべき破壊的イノベーションテーマに取り組んでいる大企業を探ってみる。そのベースになる発想が重要である。
発想(1):気象情報?職業人が本当に知りたいのは?
IBMは、The Weather Companyを作り、気象予報データとアナリティクスのライセンス等を持つ会社を買収した。漁師は? ワイナリーは? 職業人は? 最終的にどんな解析データが欲しいのかというイノベイティブなアプローチだ。
発想(2):多くの人が曖昧な健康情報と広告だらけの健康食品に振り回されている
健康の計測器メーカータニタは、「健康をはかる」から「健康をつくる」へ。という方針を打ち出し、「日本をもっと健康に!」を標語に食事と運動、休養のバランスの観点から、健康をつくりを支援する多くの情報を提供している。タニタ食堂のレシピの公開から始まり、子会社タニタ食堂は、共通の経営理念を持つきちり<3082>と業務提携し、健康メニューを提供するレストランを全国展開する。
発想(3):働き方改革は勤務時間問題だけじゃない!
丸和運輸機関<9090>は、全国のトラック運転手を抱えるパートナー中小企業に、労務管理、人材育成、IT支援、資金調達、共同購入等様々な支援を行う一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワークを設立し、課題を多く持つ運送業界全体の支援を目指している。(今年度目標800社の加盟)このネットワークは、この業界での働き方改革に貢献するだろう。
発想(4):CO2の発生の削減だけでなく、発生したCO2をエネルギー源にできないか?
昭和シェル石油<5002>は、水と二酸化炭素(CO2)から太陽光のエネルギーだけでメタンとエチレンを合成する人工光合成の技術とその実用化開発を行っている。
発想(5):現代の二次エネルギーの主流は電力、その最大の課題は備蓄できないこと
千代田化工<6366>、東芝<6502>は、将来のエネルギー供給の破壊的イノベーションのネタ、電力に変わる二次エネルギー備蓄、水素備蓄に力を入れ、将来の水素社会への貢献を目指している。
これらの会社でスタートアップを成功させるための重要なポイントは、経営者自らが短期的な業績とは別に、社会や業界の大きな課題解決や社会貢献に強い熱意をもち、長期的な視野から、具体的な破壊的なイノベーションのスタートアップを推進していくことである。
執筆者名:三竿郁夫IA工房代表
ブログ名: 「IA工房 -真の日タイ連携を目指して-」
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