【市場をにぎわす5大テーマ】(2)社会インフラ〜高齢化が急速進行、再整備は待ったなし
[17/12/30]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 市況・概況
先の10月23日の解散総選挙で大勝利を収めた安倍晋三首相(自由民主党総裁)。その原点となる自公連立政権が政権を奪還する第二次安倍内閣は2012年12月26日にスタートして、アベノミクス相場がスタートすることになった。そのアベノミクス相場の中でも息の長い相場テーマとなっているのが社会インフラだ。そのテーマのキーワードは、道路、リニア、トンネル、電柱地中化、補修、防災などに大別される。こうした社会インフラテーマを国策として確かな流れとしたのが、「国土強靱化基本計画」と「日本再興計画」だ。
「日本再興計画」は2013年6月に閣議決定に基づいて、同年11月に「インフラ長寿命化基本方針」取りまとめられた。この基本計画がベースとなって国、自治体、レベルの行動計画が2030年頃を最終とするロードマップとともに策定された。「国土強靱化基本計画」は、2013年12月11日に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」が公布・施行され、2014年6月3日に同法の規定により閣議決定された。この基本計画(国土強靱化の推進方針)で12の個別施策分野と3の横断的分野の施策が示されている。
12の個別施策分野は、「行政機能/警察消防等」「住宅・都市」「保健医療・福祉」「エネルギー」「金融」「情報通信」「産業構造」「交通・物流」「農林水産」「国土保全」「環境」「土地利用(国土利用)」。そして、3の横断的分野「リスクコミュニケーション」「老朽化対策」「研究開発」だ。
この2つの指針を受けて株式市場の物色テーマとして浮上したのが、道路、補修、防災(減災)だ。昭和の高度経済成長時代に社会資本整備は、「五全総(五次全国総合開発計画)」をベースに「創る」が支柱だったが、これが「守る」に舵を大きく切ることになった。1963年に開催された東京オリンピックと同時期に整備された首都高速1号を始めとする、高度成長期以降に集中整備されたインフラが一斉に高齢化を迎えている。今後15
年から20年程度で、建設後50年以上経過する橋長2メートル以上道路の割合は現在の約
16%から約65%となり、インフラの高齢化は加速度的に増加するとされている。約800兆円に及ぶとされる社会資本の高齢化に対応するとともに、G7の一員である先進国としての地位を守り、成長著しいアジア新興国との競争に打ち勝たなければならないことから、戦略的に取り組みを進め無くてはならない。
また、「日本再興計画」「国土強靱化基本計画」とは源流を、やや異にしているのが「リニア新幹線」と「電線地中化(無電柱化)」の物色キーワードだ。リニア新幹線建設は国の支援があるものの、事業主体はJR東海だ。2016年に品川−名古屋間を2027年完成予定で総投資額は8・3兆円から9・9兆円とも試算される。昭和の時代に計画されて、平成で建設が開始されて、次の元号で完成という、正しく時代をまたいだビッグプロジェクトだ。そのルート建設にあたっては、地中のトンネル部門が多いということで、
トンネル関連企業がメリットを享受として株式市場で注目されている。
一方、無電柱化はリニアと比べものにならない超小型の地中化関連事業ともいえる。電線地中化は、景観向上、災害対策、交通安全の観点から実施効果が大きいとされる。このほか、電柱を使った空き巣の防止や、犬のマーキングなどの衛生問題も解決される。
※本コンテンツは、FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう〜第4次産業革命後の世界〜より一部抜粋したものです。
<WA>
「日本再興計画」は2013年6月に閣議決定に基づいて、同年11月に「インフラ長寿命化基本方針」取りまとめられた。この基本計画がベースとなって国、自治体、レベルの行動計画が2030年頃を最終とするロードマップとともに策定された。「国土強靱化基本計画」は、2013年12月11日に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」が公布・施行され、2014年6月3日に同法の規定により閣議決定された。この基本計画(国土強靱化の推進方針)で12の個別施策分野と3の横断的分野の施策が示されている。
12の個別施策分野は、「行政機能/警察消防等」「住宅・都市」「保健医療・福祉」「エネルギー」「金融」「情報通信」「産業構造」「交通・物流」「農林水産」「国土保全」「環境」「土地利用(国土利用)」。そして、3の横断的分野「リスクコミュニケーション」「老朽化対策」「研究開発」だ。
この2つの指針を受けて株式市場の物色テーマとして浮上したのが、道路、補修、防災(減災)だ。昭和の高度経済成長時代に社会資本整備は、「五全総(五次全国総合開発計画)」をベースに「創る」が支柱だったが、これが「守る」に舵を大きく切ることになった。1963年に開催された東京オリンピックと同時期に整備された首都高速1号を始めとする、高度成長期以降に集中整備されたインフラが一斉に高齢化を迎えている。今後15
年から20年程度で、建設後50年以上経過する橋長2メートル以上道路の割合は現在の約
16%から約65%となり、インフラの高齢化は加速度的に増加するとされている。約800兆円に及ぶとされる社会資本の高齢化に対応するとともに、G7の一員である先進国としての地位を守り、成長著しいアジア新興国との競争に打ち勝たなければならないことから、戦略的に取り組みを進め無くてはならない。
また、「日本再興計画」「国土強靱化基本計画」とは源流を、やや異にしているのが「リニア新幹線」と「電線地中化(無電柱化)」の物色キーワードだ。リニア新幹線建設は国の支援があるものの、事業主体はJR東海だ。2016年に品川−名古屋間を2027年完成予定で総投資額は8・3兆円から9・9兆円とも試算される。昭和の時代に計画されて、平成で建設が開始されて、次の元号で完成という、正しく時代をまたいだビッグプロジェクトだ。そのルート建設にあたっては、地中のトンネル部門が多いということで、
トンネル関連企業がメリットを享受として株式市場で注目されている。
一方、無電柱化はリニアと比べものにならない超小型の地中化関連事業ともいえる。電線地中化は、景観向上、災害対策、交通安全の観点から実施効果が大きいとされる。このほか、電柱を使った空き巣の防止や、犬のマーキングなどの衛生問題も解決される。
※本コンテンツは、FISCO 株・企業報 2017年冬号 今、この株を買おう〜第4次産業革命後の世界〜より一部抜粋したものです。
<WA>