為替週間見通し:米中協議進展への期待でドルは底堅く推移か
[19/06/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
【先週の概況】
■米中首脳会談への期待でドル・円は一時108円台
先週のドル・円は強含み。6月の米消費者信頼感指数、5月新築住宅販売件数は市場予想を下回ったことから、リスク回避のドル売りが優勢となったが、ブラード米セントルイス連銀総裁が「現状で0.5ポイント(50bp)の利下げは行き過ぎ」と述べたことや、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「短期的に過剰に行動しないことが重要」との見方を示したことから、7月の大幅な利下げ観測は後退し、ドルを買い戻す動きが広がった。
さらに、ムニューシン米財務長官が「米中通商交渉は90%完了(していた)」との発言や「米国と中国は貿易戦争の一時休戦で合意」との一部報道を受けて米中貿易協議での合意形成への期待が高まり、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。ドル・円は一時108円16銭まで買われた。
28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、107円64銭へ下落後、107円94銭まで上昇する場面があった。この日発表された5月米コアPCE価格指数は市場予想を上回る前年比+1.6%となったことから、米国債利回りの反発に伴うドル買いが観測された。ただ、トランプ米大統領が「追加関税を発動しないとの約束しない」と伝えたことから、リスク選好的なドル買い・円売りは一服し、ドル・円は107円92銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:106円78銭−108円16銭。
【今週の見通し】
■対中追加制裁見送り報道でドルは底堅く推移か
今週のドル・円は底堅い値動きとなりそうだ。中国国営新華社通信は29日、米中首脳会談で、米国は中国からの輸入品に新たな関税をかけないと表明したと伝えた。米中首脳は双方が通商協議を再開することに合意したと伝えられており、リスク回避の円買いは縮小するとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)による7月利下げ観測は後退していないが、貿易・通商に関する米中協議のさらなる進展が期待されることから、ドル・円は下支えされそうだ。ただし、6月ISM製造業景況指数や6月米雇用統計などの主要経済指標が市場予想を下回った場合、インフレ鈍化の思惑が浮上し、ドルは伸び悩む可能性がある。
今月18-19日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融当局者の半数は政策金利の引き下げを妥当とみており、次回7月30-31日のFOMC会合での利下げが有力視される。外為市場は政策金利の引き下げ幅を0.25ポイント(25bp)と想定しているが、今後発表される主要経済指標が市場予想を下回った場合、0.50ポイント(50bp)へと市場の見方が変わる可能性もあろう。それでも米中首脳会談を経て通商問題などについて協議を継続することが決まった場合、貿易協議の進展を好感してリスク選好的なドル買い・円売りが広がる可能性がある。
【米・6月ISM製造業景況指数】(7月1日発表予定)
7月1日発表の米6月ISM製造業景況指数は51.2と、5月の52.1を下回る公算。先行指標とされるNY連銀製造業景気指数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数は低調な内容となり、製造業の景況感の悪化が示された場合はドル売り材料になりやすい。
【米・6月雇用統計】(7月5日発表予定)
7月5日発表の6月雇用統計は、失業率3.6%(前回3.6%)、非農業部門雇用者数は前月比+16.0万人(同+7.5万人)、平均時給は前年比+3.2%(同+3.1%)と見込まれる。失業率は低水準を維持するものの、賃金の伸び悩みでインフレ鈍化に思惑が広がりやすい。
予想レンジ:106円50銭−109円50銭
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■米中首脳会談への期待でドル・円は一時108円台
先週のドル・円は強含み。6月の米消費者信頼感指数、5月新築住宅販売件数は市場予想を下回ったことから、リスク回避のドル売りが優勢となったが、ブラード米セントルイス連銀総裁が「現状で0.5ポイント(50bp)の利下げは行き過ぎ」と述べたことや、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「短期的に過剰に行動しないことが重要」との見方を示したことから、7月の大幅な利下げ観測は後退し、ドルを買い戻す動きが広がった。
さらに、ムニューシン米財務長官が「米中通商交渉は90%完了(していた)」との発言や「米国と中国は貿易戦争の一時休戦で合意」との一部報道を受けて米中貿易協議での合意形成への期待が高まり、リスク回避のドル売り・円買いは縮小した。ドル・円は一時108円16銭まで買われた。
28日のニューヨーク外為市場でドル・円は、107円64銭へ下落後、107円94銭まで上昇する場面があった。この日発表された5月米コアPCE価格指数は市場予想を上回る前年比+1.6%となったことから、米国債利回りの反発に伴うドル買いが観測された。ただ、トランプ米大統領が「追加関税を発動しないとの約束しない」と伝えたことから、リスク選好的なドル買い・円売りは一服し、ドル・円は107円92銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:106円78銭−108円16銭。
【今週の見通し】
■対中追加制裁見送り報道でドルは底堅く推移か
今週のドル・円は底堅い値動きとなりそうだ。中国国営新華社通信は29日、米中首脳会談で、米国は中国からの輸入品に新たな関税をかけないと表明したと伝えた。米中首脳は双方が通商協議を再開することに合意したと伝えられており、リスク回避の円買いは縮小するとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)による7月利下げ観測は後退していないが、貿易・通商に関する米中協議のさらなる進展が期待されることから、ドル・円は下支えされそうだ。ただし、6月ISM製造業景況指数や6月米雇用統計などの主要経済指標が市場予想を下回った場合、インフレ鈍化の思惑が浮上し、ドルは伸び悩む可能性がある。
今月18-19日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融当局者の半数は政策金利の引き下げを妥当とみており、次回7月30-31日のFOMC会合での利下げが有力視される。外為市場は政策金利の引き下げ幅を0.25ポイント(25bp)と想定しているが、今後発表される主要経済指標が市場予想を下回った場合、0.50ポイント(50bp)へと市場の見方が変わる可能性もあろう。それでも米中首脳会談を経て通商問題などについて協議を継続することが決まった場合、貿易協議の進展を好感してリスク選好的なドル買い・円売りが広がる可能性がある。
【米・6月ISM製造業景況指数】(7月1日発表予定)
7月1日発表の米6月ISM製造業景況指数は51.2と、5月の52.1を下回る公算。先行指標とされるNY連銀製造業景気指数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数は低調な内容となり、製造業の景況感の悪化が示された場合はドル売り材料になりやすい。
【米・6月雇用統計】(7月5日発表予定)
7月5日発表の6月雇用統計は、失業率3.6%(前回3.6%)、非農業部門雇用者数は前月比+16.0万人(同+7.5万人)、平均時給は前年比+3.2%(同+3.1%)と見込まれる。失業率は低水準を維持するものの、賃金の伸び悩みでインフレ鈍化に思惑が広がりやすい。
予想レンジ:106円50銭−109円50銭
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