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為替週間見通し:ドルは上げ渋りか、米9月利下げを織り込む展開に

注目トピックス 市況・概況
【先週の概況】
■米中協議継続への期待でドル反転

先週のドル・円は反転。通商問題を巡る米中対立の長期化が警戒されたことから、8月26日のアジア市場でドル・円は一時、2016年11月以来となる104円46銭まで下落した。しかしながら、トランプ米大統領は「中国とまもなく協議を開始する」と述べたことで、米中協議再開への期待が高まり、リスク回避のドル売りは縮小。日経平均株価(現物株)は2万円台を維持したこともドル買い材料となり、ドル・円は106円台前半まで戻す展開となった。

米国経済は景気後退入りするとの懸念は消えていないことから、長期金利は低下し、ドル・円は105円台に反落する場面があったが、28日、29日の米国株式は強い動きを見せており、米長期金利の低下は一服したことから、リスク選好的なドル買いが再び優勢となった。

30日のニューヨーク外為市場でドル・円は、106円11銭まで下落後、106円43銭まで戻した。この日発表された8月米ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は下方修正され、市場予想を下回ったことから、米国経済の成長減速懸念が再燃し、一時ドル売りが優勢となった。しかしながら、ユーロ安・米ドル高の進行や米長期利回りの反転などを意識してドルは下げ止まり、106円27銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは
104円46銭から106円68銭となった。ドル・円の取引レンジ:104円46銭−106円68銭。

【今週の見通し】
■ドルは上げ渋りか、米9月利下げを織り込む展開に

今週のドル・円は上げ渋りか。米中貿易摩擦の解消に向けた両国の協議が9月に開催される見通しで、過度な警戒による円買いは後退した。ただ、目先的には低調な米経済指標を受けて9月利下げを織り込むドル売りが出やすい展開となりそうだ。米中対立の早期解消への期待はあるものの、9月1日に発動される対中制裁関税について、猶予期間は設けられず、現在輸送中の製品も対象になる。対中制裁関税第4弾の一部が予定通り9月1日に発動されることから、米中協議の行方について楽観視できないとの声が聞かれている。そのため、リスク選好的なドル買い・円売りが大きく広がるとの見方は増えていないようだ。

一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月23日の講演で、9月利下げへの直接的な言及を避け、政策選択の余地を残した。しかし、米国経済は良好としながらも、適切な行動を取ると明言している。米中摩擦の長期化は避けられないとの見方が多いため、市場には年末に向けて複数回の利下げ観測が広がりつつある。8月ISM製造業景気指数や8月雇用統計など重要経済指標が市場予想を下回った場合、9月17-18日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が広がりやすく、リスク回避的なドル売りがすみやかに縮小する可能性は低いとみられる。

【米・8月ISM製造業景況指数】(9月3日発表予定)
9月3日発表の米8月ISM製造業景況指数は51.3と、7月の51.2をやや上回る可能性がある。ただし、参考指標のマークイット8月製造業PMIは経済活動の拡大と縮小の節目である50を割り込んでおり、ISM製造業景況指数が改善を続ける可能性は低いとみられている。市場予想と一致してもドル買い材料にならない見通し。

【米・8月雇用統計】(9月6日発表予定)
9月6日発表の8月雇用統計は、失業率3.7%、非農業部門雇用者数は前月比+16.2万人、平均時給は前年比+3.0%と見込まれる。平均時給の伸び率は7月実績を下回る可能性があることから、市場予想と一致してもFRBの利下げ継続を意識してドル売り優勢の相場展開となる可能性がある。

予想レンジ:104円50銭−107円50銭




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