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為替週間見通し:もみ合いか、米中通商協議の先行きに警戒続く

注目トピックス 市況・概況
【先週の概況】
■米経済指標改善を好感してドル買い優勢

先週のドル・円は強含み。中国の習国家主席は「相互尊重と平等の原則に基づき米国と第1段階の通商合意をまとめたい」との見方を示し、トランプ米大統領は「貿易合意を模索している」と述べたことから、米中通商協議における第1段階の合意期待が高まり、ドル買い・円売りが優勢となった。11月27日発表の7−9月期国内総生産(GDP)改定値と10月耐久財受注は、いずれも市場予想を上回ったこともドル買い材料となった。

ただ、トランプ米大統領は27日、「香港人権・民主主義法案」に署名し、香港の民主化を求める抗議活動を支持する法案が成立したことから、米中通商協議の進展に重大な影響が及ぶとの懸念が広がった。リスク回避的なドル売り・円買いが一時強まる場面があったが、ドル・円は109円台前半で下げ止まった。

29日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時109円67銭まで買われた。米国債利回りの上昇に伴うドル買いが優勢となったが、香港人権・民主主義法の成立に対して中国が報復措置の可能性を警告し、米中通商協議の停滞や追加関税発動に対する警戒感が高まった。ドル・円は109円40銭まで下落したが、リスク回避のドル売りは拡大せず、109円47銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:108円64銭−109円67銭。

【今週の見通し】
■もみ合いか、米中通商協議の先行きに警戒続く

今週のドル・円はもみ合いか。米主要経済指標の改善を受けて景気底入れが意識され、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ打ち止め観測が広がっている。ただ、米中通商協議の先行きは不透明であり、ドルを下押しする場面もあろう。今週発表の11月ISM製造業景況指数や11月雇用統計など、金融政策に大きな影響を与える経済指標が予想を上回った場合、利下げ打ち止め観測はより強まる可能性がある。株式市場ではNYダウなど主要株価指数が最高値を更新し、ドル買いを支援する見通し。

ただ、香港人権・民主主義法の成立を受け、中国政府の反応を慎重に見極める必要はあるだろう。中国政府は声明で「重大な内政干渉」と反発しており、今後報復措置を発動する構えをみせる。米中両国は第1段階の合意に向け調整を進めているとみられているが、市場関係者の間からは、「香港人権法は超党派で圧倒的支持を受けて可決されており、通商協議への影響が全くないとは思えない」との見方も出ている。

米中通商協議は12月中に進展するとの期待は残されているが、この問題に対して中国側の態度がすみやかに軟化することは期待できないことから、目先的にリスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。

【米・11月ISM製造業景況指数】(12月2日発表予定)
12月2日発表の米11月ISM製造業景況指数は49.5と、10月の48.3から改善が見込まれる。ただ、引き続き節目の50を下回ると予想されており、製造業の景況感の弱さが示された場合、リスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。

【米・11月雇用統計】(12月6日発表予定)
12月6日発表の11月雇用統計は、失業率3.6%、非農業部門雇用者数は前月比+19.0万人、平均時給は前年比+3.1%と見込まれている。市場予想と一致すれば、ドル買いに振れやすい。

予想レンジ:108円50銭−110円50銭




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