国内株式市場見通し:国内政局動向、米FOMC、経済指標など注目イベント多く
[21/10/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■衆院選巡る報道で一喜一憂
今週の日経平均は小幅反発。週間の上げ幅は87.84円(+0.30%)となり、終値で29000円を回復することはできなかった。衆院選投開票を前に持ち高を一方向に傾ける向きは少なく、決算発表の本格化に伴い、週を通して個別株物色が中心の相場展開となった。
週前半は政局動向を材料に一進一退の展開に。週初は、週末の討論会でのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のインフレリスクへの言及が警戒感を誘うなか、前の日に投開票された参議院静岡選挙区の補欠選挙で自民党候補が敗れたことが衆院選への警戒感を高め、売りが先行、日経平均は204.44円安となった。しかし、翌26日には米ハイテク企業の好決算が投資家心理を支えるなか、自民党が単独過半数を取れる見込みと一部で報道されたことで、衆院選を巡る政局不透明感が後退。一転して一気に買い戻されると、日経平均は505.60円高の29106.01円と大幅反発で29000円を回復した。
ただ、その後は米国の主要企業の好決算を受けたNYダウやS&P500指数の史上最高値更新などを背景に、全般底堅く推移するも、衆院選投開票を前に方向感に欠ける動きが続いた。27日は香港ハンセン指数を中心にアジア市況が軟調ななか午前に大きく下げたかと思えば、午後は一転して買いが優勢となり、日経平均は7.77円安とほぼ横ばい。28日は、決算を受けたファナック<6954>やエムスリー<2413>の急落のほか、中国上海株の下落を背景に、日経平均は278.15円安となったが、SCREENHD<7735>や信越化学<4063>などの好決算銘柄は買われ、一方的に売り込む流れにはならなかった。
週末は、米バイデン政権が1.75兆ドル規模の経済対策の枠組みを発表した一方、増税規模が想定内にとどまったことが投資家心理を改善させたものの、引け後に決算を発表したアップル、アマゾンの米大型ハイテク株が揃って時間外取引で下落していたことが嫌気された。ハイテク株が売られるなか、前場の日経平均は一時28475.06円まで大きく下げたが、衆院選投開票を直前に持ち高を一方向に傾ける向きは限られ、急速に下げ渋ると、後場開始の際には一時29000円を上回った。その後は戻り一服となり、上げ幅は縮めたが、キーエンス<6861>やソニーG<6758>の好決算も下支えとなるなか、72.60円高の28892.69円で大引けた。
■イベント多く複雑な展開
来週の日経平均は上下に振れ、方向感を見出しにくい展開となりそうだ。衆院選投開票の結果のほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)、企業決算、米中経済指標などイベントが多く、消化するにあたって複雑な展開が想定される。
まず、衆院選投開票の結果を吸収するため、週初から値動きが激しくなりそうだ。事前の各種メディアの報道では自民党が単独過半数を取れるかの攻防と伝わっているため、単独過半数を取ることができれば、今後の政権運営の安定化を好感して、海外勢を中心に買い戻しが入りそうだ。一方、自民・公明両党の与党で過半数を維持できても、自民党単独で過半数を取れなければ、これを嫌気した売りが出ることも考えられる。可能性は低いが、仮に、候補者を一本化した野党連合が想定以上に躍進し、与党が過半数を割るようなことがあれば、相場は波乱となりそうだ。
そのほか、2日からの米FOMCにも注目。今会合で量的緩和政策の縮小(テーパリング)の開始が正式決定されることはほぼ確実だろう。前回のFOMCまでの間にすでに織り込み済みであるため、市場の反応は限定的と思われるが、一時的な利益確定売りの口実にされる可能性はあるため留意したい。
一方、世界的なエネルギー価格高騰や米労働市場での賃金上昇を背景に、くすぶるインフレ懸念に対するパウエルFRB議長の言及が注目される。FRB内では一部の高官が、もはやインフレに対して「一過性」という言葉を使うのを禁止すべきとも発言しており、会合参加者全体の中でも徐々にインフレの長期化を認める方向に転じつつある。市場は早くも来年の利上げまで織り込みはじめており、パウエル議長のインフレや利上げに対する考え方の微妙なニュアンスの変化を嗅ぎ取ることが求められる。ただ、基本的には、ハト派姿勢の強いパウエル議長のことを踏まえれば、波乱なく通過することが見込まれる。
そのほか、経済指標にも注目。中国では財新が発表する10月製造業購買担当者景気指数(PMI)が予定されているほか、米国では、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する10月製造業・非製造業景気指数、9月製造業受注、10月ADP雇用リポート、10月雇用統計などが予定されている。米国では、交渉が行き詰っていた歳出案について当初の計画から半減はするものの、1.75兆ドル規模とする枠組みが発表された。これは主に子育て支援や気候変動対策を柱にしたものだが、こちらの交渉進展に伴い、これとは別に下院での採決が滞っていたインフラ法案も今後可決に向かう見通しとなった。米国で経済対策への期待が高まるなか、良好な経済指標で順調な経済回復が確認されれば、広く景気敏感株の買いにつながりそうだ。
■トヨタの決算であく抜け感高まるか
3日が文化の日の祝日で立会は4日に限られるが、それでも週を通して600社程の決算が予定されている。中でもトヨタ<7203>の決算に注目。振り返れば、8月に大幅な減産を発表して株価の急落したトヨタが、世界的な供給網混乱の影響を懸念するきっかけとなった。今回の決算で、挽回生産など下期に対する強気な見通しが示されれば、供給網混乱の緩和への期待から製造業全般があく抜けに向かう可能性も期待されよう。
■米FOMC、米ISM景況指数、米雇用統計など
来週は11月1日に10月新車販売台数、中国10月財新製造業PMI、米10月ISM製造業景況指数、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月開催分)、米FOMC(〜11月3日)、3日にパウエルFRB議長会見、米10月ADP雇用リポート、米10月ISM非製造業景況指数、米9月製造業受注、4日に米9月貿易収支、5日に9月家計調査、米10月雇用統計などが予定されている。
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今週の日経平均は小幅反発。週間の上げ幅は87.84円(+0.30%)となり、終値で29000円を回復することはできなかった。衆院選投開票を前に持ち高を一方向に傾ける向きは少なく、決算発表の本格化に伴い、週を通して個別株物色が中心の相場展開となった。
週前半は政局動向を材料に一進一退の展開に。週初は、週末の討論会でのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のインフレリスクへの言及が警戒感を誘うなか、前の日に投開票された参議院静岡選挙区の補欠選挙で自民党候補が敗れたことが衆院選への警戒感を高め、売りが先行、日経平均は204.44円安となった。しかし、翌26日には米ハイテク企業の好決算が投資家心理を支えるなか、自民党が単独過半数を取れる見込みと一部で報道されたことで、衆院選を巡る政局不透明感が後退。一転して一気に買い戻されると、日経平均は505.60円高の29106.01円と大幅反発で29000円を回復した。
ただ、その後は米国の主要企業の好決算を受けたNYダウやS&P500指数の史上最高値更新などを背景に、全般底堅く推移するも、衆院選投開票を前に方向感に欠ける動きが続いた。27日は香港ハンセン指数を中心にアジア市況が軟調ななか午前に大きく下げたかと思えば、午後は一転して買いが優勢となり、日経平均は7.77円安とほぼ横ばい。28日は、決算を受けたファナック<6954>やエムスリー<2413>の急落のほか、中国上海株の下落を背景に、日経平均は278.15円安となったが、SCREENHD<7735>や信越化学<4063>などの好決算銘柄は買われ、一方的に売り込む流れにはならなかった。
週末は、米バイデン政権が1.75兆ドル規模の経済対策の枠組みを発表した一方、増税規模が想定内にとどまったことが投資家心理を改善させたものの、引け後に決算を発表したアップル、アマゾンの米大型ハイテク株が揃って時間外取引で下落していたことが嫌気された。ハイテク株が売られるなか、前場の日経平均は一時28475.06円まで大きく下げたが、衆院選投開票を直前に持ち高を一方向に傾ける向きは限られ、急速に下げ渋ると、後場開始の際には一時29000円を上回った。その後は戻り一服となり、上げ幅は縮めたが、キーエンス<6861>やソニーG<6758>の好決算も下支えとなるなか、72.60円高の28892.69円で大引けた。
■イベント多く複雑な展開
来週の日経平均は上下に振れ、方向感を見出しにくい展開となりそうだ。衆院選投開票の結果のほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)、企業決算、米中経済指標などイベントが多く、消化するにあたって複雑な展開が想定される。
まず、衆院選投開票の結果を吸収するため、週初から値動きが激しくなりそうだ。事前の各種メディアの報道では自民党が単独過半数を取れるかの攻防と伝わっているため、単独過半数を取ることができれば、今後の政権運営の安定化を好感して、海外勢を中心に買い戻しが入りそうだ。一方、自民・公明両党の与党で過半数を維持できても、自民党単独で過半数を取れなければ、これを嫌気した売りが出ることも考えられる。可能性は低いが、仮に、候補者を一本化した野党連合が想定以上に躍進し、与党が過半数を割るようなことがあれば、相場は波乱となりそうだ。
そのほか、2日からの米FOMCにも注目。今会合で量的緩和政策の縮小(テーパリング)の開始が正式決定されることはほぼ確実だろう。前回のFOMCまでの間にすでに織り込み済みであるため、市場の反応は限定的と思われるが、一時的な利益確定売りの口実にされる可能性はあるため留意したい。
一方、世界的なエネルギー価格高騰や米労働市場での賃金上昇を背景に、くすぶるインフレ懸念に対するパウエルFRB議長の言及が注目される。FRB内では一部の高官が、もはやインフレに対して「一過性」という言葉を使うのを禁止すべきとも発言しており、会合参加者全体の中でも徐々にインフレの長期化を認める方向に転じつつある。市場は早くも来年の利上げまで織り込みはじめており、パウエル議長のインフレや利上げに対する考え方の微妙なニュアンスの変化を嗅ぎ取ることが求められる。ただ、基本的には、ハト派姿勢の強いパウエル議長のことを踏まえれば、波乱なく通過することが見込まれる。
そのほか、経済指標にも注目。中国では財新が発表する10月製造業購買担当者景気指数(PMI)が予定されているほか、米国では、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する10月製造業・非製造業景気指数、9月製造業受注、10月ADP雇用リポート、10月雇用統計などが予定されている。米国では、交渉が行き詰っていた歳出案について当初の計画から半減はするものの、1.75兆ドル規模とする枠組みが発表された。これは主に子育て支援や気候変動対策を柱にしたものだが、こちらの交渉進展に伴い、これとは別に下院での採決が滞っていたインフラ法案も今後可決に向かう見通しとなった。米国で経済対策への期待が高まるなか、良好な経済指標で順調な経済回復が確認されれば、広く景気敏感株の買いにつながりそうだ。
■トヨタの決算であく抜け感高まるか
3日が文化の日の祝日で立会は4日に限られるが、それでも週を通して600社程の決算が予定されている。中でもトヨタ<7203>の決算に注目。振り返れば、8月に大幅な減産を発表して株価の急落したトヨタが、世界的な供給網混乱の影響を懸念するきっかけとなった。今回の決算で、挽回生産など下期に対する強気な見通しが示されれば、供給網混乱の緩和への期待から製造業全般があく抜けに向かう可能性も期待されよう。
■米FOMC、米ISM景況指数、米雇用統計など
来週は11月1日に10月新車販売台数、中国10月財新製造業PMI、米10月ISM製造業景況指数、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(9月開催分)、米FOMC(〜11月3日)、3日にパウエルFRB議長会見、米10月ADP雇用リポート、米10月ISM非製造業景況指数、米9月製造業受注、4日に米9月貿易収支、5日に9月家計調査、米10月雇用統計などが予定されている。
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