来週の相場で注目すべき3つのポイント:米FOMC、米ISM景況指数、PhotosynthのマザーズIPOなど
[21/10/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■株式相場見通し
予想レンジ:上限30000-下限27500円
来週の日経平均は上下に振れ、方向感を見出しにくい展開となりそうだ。衆院選の結果のほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)、企業決算、米中経済指標などイベントが多く、消化するにあたって複雑な展開が想定される。
週初は衆院選投開票の結果を吸収することになる。自民党の単独過半数獲得の場合、今後の政権運営の安定化を好感し、海外勢を中心に買い戻しが入ろう。一方、自民・公明両党の与党で過半数を維持できても、自民党単独での過半数獲得に失敗すれば、これを嫌気した売りが出そうだ。仮に、候補者を一本化した野党連合が想定以上に躍進し、与党が過半数を割るようなことがあれば、相場は波乱となろう。
そのほか、2日からの米FOMCにも注目。今会合で量的緩和の縮小(テーパリング)開始が正式決定されることはほぼ確実。前回のFOMCまでの間にすでに織り込み済みであるため、市場の反応は限定的と思われるが、一時的な利益確定売りの口実にされる可能性はあるため留意したい。
一方、世界的なエネルギー価格高騰や米労働市場での賃金上昇を背景に、くすぶるインフレ懸念に対するパウエルFRB議長の発言に注目。市場は早くも来年の利上げまで織り込みはじめており、パウエル議長のインフレや利上げに対する考え方の微妙なニュアンスの変化を嗅ぎ取ることが求められる。ただ基本的には、ハト派姿勢の強いパウエル議長のことを踏まえれば、波乱なく通過することが見込まれる。
そのほか、経済指標に注目。米国ではサプライマネジメント協会(ISM)が発表する10月景況指数のほか、9月製造業受注、10月雇用統計などが予定されている。米国では、交渉が行き詰っていた歳出案について当初の計画から半減はするものの、1.75兆ドル規模とする枠組みが発表された。これは主に子育て支援や気候変動対策を柱にしたものだが、こちらの交渉進展に伴い、これとは別に下院での採決が滞っていたインフラ法案も今後可決に向かう見通しとなった。米国で経済対策への期待が高まるなか、良好な経済指標で順調な景気回復が確認されれば、広く景気敏感株の買いにつながりそうだ。
3日が文化の日の祝日のため立会は4日に限られるが、それでも週を通して600社ほどの決算が予定されている。なかでもトヨタ自動車<7203>に注目。振り返れば8月に大幅減産を発表して株価急落したトヨタが、世界的な供給網混乱の影響を懸念するきっかけを作った。今回の決算で挽回生産などによる下期の強気な見通しが示されれば、供給網混乱の緩和への期待から製造業全般があく抜けに向かう可能性も期待されよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ハト派寄りの政策姿勢と予想され、長期金利の上昇は一服することから、ドル売りが優勢となる可能性がある。ただ、10月雇用統計など経済指標が堅調なら、将来的な利上げへの根強い期待がドルを支えそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は11月2-3日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、資産買入れの段階的縮小(テーパリング)開始を決める公算。早ければ11月中に債券買入れの縮小を開始し、2022年半ばには完了するシナリオがすでに想定されている。
ただ、政策金利の引き上げを巡って、金融当局者の間で見解の相違が存在することが指摘されている。パウエルFRB議長は10月22日の講演でテーパリングの重要性に言及しながらも、利上げには慎重な姿勢を強調しており、今回のFOMCでは早期利上げに慎重なスタンスに集約される可能性がある。5日発表の10月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が2カ月連続での増加幅減少の反動により大幅増が予想され、ドル買い材料になりやすい。なお、他の主要中央銀行の金融政策も注目される。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は10月28日、理事会後の記者会見で、「高インフレの局面は想定以上に長期化する」と述べており、将来的な利上げの思惑が浮上している。一方、黒田日銀総裁は足元の円安を容認しており、市場がこの点に着目した場合、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
11月1日(月):製造業PMI(10月)、自動車販売台数(10月)、中・財新製造業PMI(10月)、欧・米・ユーロ圏製造業PMI(10月)、米・ISM製造業景況指数(10月)、英・国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)(10月31日-11月12日)など
11月2日(火):日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(9月21・22日分)、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・自動車販売(10月、3日までに)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(3日まで)など
11月3日(水):株式市場は祝日のため休場(文化の日)、日・欧・米・サービス業PMI(10月)、中・財新サービス業PMI(10月)、米・ADP全米雇用報告(10月)、米・ISM非製造業景況指数(10月)、米・製造業受注(9月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見など
11月4日(木):英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、米・貿易収支(9月)、「OPEC(石油輸出国機構)プラス」閣僚級会合、など
11月5日(金):家計支出(9月)、Photosynthが東証マザーズに新規上場、欧・ユーロ圏小売売上高(9月)、米・雇用統計(10月)など
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予想レンジ:上限30000-下限27500円
来週の日経平均は上下に振れ、方向感を見出しにくい展開となりそうだ。衆院選の結果のほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)、企業決算、米中経済指標などイベントが多く、消化するにあたって複雑な展開が想定される。
週初は衆院選投開票の結果を吸収することになる。自民党の単独過半数獲得の場合、今後の政権運営の安定化を好感し、海外勢を中心に買い戻しが入ろう。一方、自民・公明両党の与党で過半数を維持できても、自民党単独での過半数獲得に失敗すれば、これを嫌気した売りが出そうだ。仮に、候補者を一本化した野党連合が想定以上に躍進し、与党が過半数を割るようなことがあれば、相場は波乱となろう。
そのほか、2日からの米FOMCにも注目。今会合で量的緩和の縮小(テーパリング)開始が正式決定されることはほぼ確実。前回のFOMCまでの間にすでに織り込み済みであるため、市場の反応は限定的と思われるが、一時的な利益確定売りの口実にされる可能性はあるため留意したい。
一方、世界的なエネルギー価格高騰や米労働市場での賃金上昇を背景に、くすぶるインフレ懸念に対するパウエルFRB議長の発言に注目。市場は早くも来年の利上げまで織り込みはじめており、パウエル議長のインフレや利上げに対する考え方の微妙なニュアンスの変化を嗅ぎ取ることが求められる。ただ基本的には、ハト派姿勢の強いパウエル議長のことを踏まえれば、波乱なく通過することが見込まれる。
そのほか、経済指標に注目。米国ではサプライマネジメント協会(ISM)が発表する10月景況指数のほか、9月製造業受注、10月雇用統計などが予定されている。米国では、交渉が行き詰っていた歳出案について当初の計画から半減はするものの、1.75兆ドル規模とする枠組みが発表された。これは主に子育て支援や気候変動対策を柱にしたものだが、こちらの交渉進展に伴い、これとは別に下院での採決が滞っていたインフラ法案も今後可決に向かう見通しとなった。米国で経済対策への期待が高まるなか、良好な経済指標で順調な景気回復が確認されれば、広く景気敏感株の買いにつながりそうだ。
3日が文化の日の祝日のため立会は4日に限られるが、それでも週を通して600社ほどの決算が予定されている。なかでもトヨタ自動車<7203>に注目。振り返れば8月に大幅減産を発表して株価急落したトヨタが、世界的な供給網混乱の影響を懸念するきっかけを作った。今回の決算で挽回生産などによる下期の強気な見通しが示されれば、供給網混乱の緩和への期待から製造業全般があく抜けに向かう可能性も期待されよう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い値動きか。来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)は、ハト派寄りの政策姿勢と予想され、長期金利の上昇は一服することから、ドル売りが優勢となる可能性がある。ただ、10月雇用統計など経済指標が堅調なら、将来的な利上げへの根強い期待がドルを支えそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は11月2-3日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、資産買入れの段階的縮小(テーパリング)開始を決める公算。早ければ11月中に債券買入れの縮小を開始し、2022年半ばには完了するシナリオがすでに想定されている。
ただ、政策金利の引き上げを巡って、金融当局者の間で見解の相違が存在することが指摘されている。パウエルFRB議長は10月22日の講演でテーパリングの重要性に言及しながらも、利上げには慎重な姿勢を強調しており、今回のFOMCでは早期利上げに慎重なスタンスに集約される可能性がある。5日発表の10月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が2カ月連続での増加幅減少の反動により大幅増が予想され、ドル買い材料になりやすい。なお、他の主要中央銀行の金融政策も注目される。ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は10月28日、理事会後の記者会見で、「高インフレの局面は想定以上に長期化する」と述べており、将来的な利上げの思惑が浮上している。一方、黒田日銀総裁は足元の円安を容認しており、市場がこの点に着目した場合、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
11月1日(月):製造業PMI(10月)、自動車販売台数(10月)、中・財新製造業PMI(10月)、欧・米・ユーロ圏製造業PMI(10月)、米・ISM製造業景況指数(10月)、英・国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)(10月31日-11月12日)など
11月2日(火):日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(9月21・22日分)、豪・オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、米・自動車販売(10月、3日までに)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(3日まで)など
11月3日(水):株式市場は祝日のため休場(文化の日)、日・欧・米・サービス業PMI(10月)、中・財新サービス業PMI(10月)、米・ADP全米雇用報告(10月)、米・ISM非製造業景況指数(10月)、米・製造業受注(9月)、米・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見など
11月4日(木):英・イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利発表、米・貿易収支(9月)、「OPEC(石油輸出国機構)プラス」閣僚級会合、など
11月5日(金):家計支出(9月)、Photosynthが東証マザーズに新規上場、欧・ユーロ圏小売売上高(9月)、米・雇用統計(10月)など
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