ウォーターD CORPORATE RESEARCH(2):2013年度3Q累計決算は増収基調
[14/04/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
2013年度第3四半期の累計決算は、売上が前年比13.3億円(25.5%)増の65.7億円。しかし、営業利益はほぼ横ばい(0.3%減)の2.4億円となった。売上高は年率換算で過去最高を更新するペースを継続。一方、営業損益は2011〜2012年度実績を年率で下回るペースのままである。先行投資額の多寡に大きく左右される営業利益を単純な年率換算で一喜一憂すべきでないことは明らかながら、現在の年間想定(5億円)は引続き容易なターゲットとは言い難い水準にある。同社の長期業績トレンドは下図の通り。創業来、継続している増収基調には変化がないことが確認できる。
■顧客数拡大ピッチは加速。早くも会社計画は達成
12月末時点の顧客数は25万件を超えた模様。3月末比では約4.6万件(22%)の増加、9月末比では約1.9万件の増加となっており、増加ピッチはここにきてやや加速している。ちなみに、会社計画における期末顧客数は24万件。したがって、この時点で既に目標数字は達成することとなった。
これはOEM契約が拡大していることが背景。前回のレポート(2014年1月31日付)では競合企業との競争が激化していることを指摘したが、同社<2588>はその中でかなり積極的に顧客獲得に向けて動いている様子がうかがえる。特にある程度の規模が見込めるOEMの拡大は、生産能力が拡大した工場の稼働率向上にも寄与するため、収益面での貢献も大きい。デモ販売などの直販は引続き注力するものの、激化する競合の中で「規模の追求、スピードの追求」にも経営の目線を置きつつあるように思われる。なお、2014年1月発足の光通信<9435>との合弁会社(アイディール・ライフ)向けはまだ反映されていないが、光通信の関連会社は同社の販売取次店となっており、この貢献も少なからずあったものと推定する。
■大幅増収は顧客件数の増加が牽引役
第3四半期の累計決算で大幅増収となったのは、主としてこれら顧客数の増加に拠るもの。会社側は第3四半期末時点の顧客数を明らかにしていないが、3月末からの9ヶ月で20%を越える顧客数の増加があったことを考えれば、前年比で25%増収となった要因のほとんどがそれに拠るものと考えてよいだろう。顧客数増は依然として同社の売上増の牽引役を担っている。
■売上総利益(粗利益)は拡大も、粗利益率は低下。販管費も急増し、営業利益では前年並みの水準に
これに伴い、売上総利益(粗利益)は49.8億円と前年比9.6億円(23.9%)の増加となった。ただし、粗利率は75.8%と、前年比では0.9ptの低下となっている。これは、富士吉田工場の能力増強工事に伴って一時的な作業効率低下が発生したうえ、OEMの増加よる構成の悪化があった、ため。このうち、作業効率の低下は秋以降既に解消されている模様ながら、3四半期累計ではまだその影響を吸収できていないものと推定される。
しかし、営業利益では前年比ほぼ横ばいまで水準が低下する。これは、販売管理費も大きく増加したことに拠るもの。第3四半期累計の販売管理費は47.4億円と、前年比では9.6億円(25.5%)も増加しており、売上総利益の増加分はこれによって相殺されてしまうこととなった。販売管理費の急増は、(広義の)販促費用や人件費の拡大が主たる要因。人件費に関しては、急激な業容拡大に伴って、従業員数が2013年3月末の103人から12月末で139人に増加したことからもうかがえよう。また、販促費用に置いては、先行費用となるレンタルサーバーを主体とする償却費が1.1億円増加したうえ、日々の(狭義の)販促費用も競争激化もあって大きく拡大したものと推定される。
なお、当期利益は前年比0.6億円(34.2%)減の1.2億円。営業利益、経常利益ではほぼ前年並みの水準を維持したものの、税金負担の増加が影響することとなっている。
(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)
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2013年度第3四半期の累計決算は、売上が前年比13.3億円(25.5%)増の65.7億円。しかし、営業利益はほぼ横ばい(0.3%減)の2.4億円となった。売上高は年率換算で過去最高を更新するペースを継続。一方、営業損益は2011〜2012年度実績を年率で下回るペースのままである。先行投資額の多寡に大きく左右される営業利益を単純な年率換算で一喜一憂すべきでないことは明らかながら、現在の年間想定(5億円)は引続き容易なターゲットとは言い難い水準にある。同社の長期業績トレンドは下図の通り。創業来、継続している増収基調には変化がないことが確認できる。
■顧客数拡大ピッチは加速。早くも会社計画は達成
12月末時点の顧客数は25万件を超えた模様。3月末比では約4.6万件(22%)の増加、9月末比では約1.9万件の増加となっており、増加ピッチはここにきてやや加速している。ちなみに、会社計画における期末顧客数は24万件。したがって、この時点で既に目標数字は達成することとなった。
これはOEM契約が拡大していることが背景。前回のレポート(2014年1月31日付)では競合企業との競争が激化していることを指摘したが、同社<2588>はその中でかなり積極的に顧客獲得に向けて動いている様子がうかがえる。特にある程度の規模が見込めるOEMの拡大は、生産能力が拡大した工場の稼働率向上にも寄与するため、収益面での貢献も大きい。デモ販売などの直販は引続き注力するものの、激化する競合の中で「規模の追求、スピードの追求」にも経営の目線を置きつつあるように思われる。なお、2014年1月発足の光通信<9435>との合弁会社(アイディール・ライフ)向けはまだ反映されていないが、光通信の関連会社は同社の販売取次店となっており、この貢献も少なからずあったものと推定する。
■大幅増収は顧客件数の増加が牽引役
第3四半期の累計決算で大幅増収となったのは、主としてこれら顧客数の増加に拠るもの。会社側は第3四半期末時点の顧客数を明らかにしていないが、3月末からの9ヶ月で20%を越える顧客数の増加があったことを考えれば、前年比で25%増収となった要因のほとんどがそれに拠るものと考えてよいだろう。顧客数増は依然として同社の売上増の牽引役を担っている。
■売上総利益(粗利益)は拡大も、粗利益率は低下。販管費も急増し、営業利益では前年並みの水準に
これに伴い、売上総利益(粗利益)は49.8億円と前年比9.6億円(23.9%)の増加となった。ただし、粗利率は75.8%と、前年比では0.9ptの低下となっている。これは、富士吉田工場の能力増強工事に伴って一時的な作業効率低下が発生したうえ、OEMの増加よる構成の悪化があった、ため。このうち、作業効率の低下は秋以降既に解消されている模様ながら、3四半期累計ではまだその影響を吸収できていないものと推定される。
しかし、営業利益では前年比ほぼ横ばいまで水準が低下する。これは、販売管理費も大きく増加したことに拠るもの。第3四半期累計の販売管理費は47.4億円と、前年比では9.6億円(25.5%)も増加しており、売上総利益の増加分はこれによって相殺されてしまうこととなった。販売管理費の急増は、(広義の)販促費用や人件費の拡大が主たる要因。人件費に関しては、急激な業容拡大に伴って、従業員数が2013年3月末の103人から12月末で139人に増加したことからもうかがえよう。また、販促費用に置いては、先行費用となるレンタルサーバーを主体とする償却費が1.1億円増加したうえ、日々の(狭義の)販促費用も競争激化もあって大きく拡大したものと推定される。
なお、当期利益は前年比0.6億円(34.2%)減の1.2億円。営業利益、経常利益ではほぼ前年並みの水準を維持したものの、税金負担の増加が影響することとなっている。
(執筆:株式会社エヌ・ジー・アイ・コンサルティング リサーチアナリスト 長井 亨)
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