パイプドビッツ Research Memo(5):大幅増収増益も中期経営計画の目標は下回る
[14/05/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1)2014年2月期(実績)
(損益状況)
同社の2014年2月期は売上高2,517百万円(前期比12.6%増)、営業利益564百万円(同72.7%増)、経常利益565百万円(同74.2%増)、当期純利益342百万円(同83.8%増)と前期比では大幅増収増益となったが、中期経営計画の目標よりは下回った。
セグメント別売上高は情報資産プラットフォーム事業が2,174百万円(前期1,849百万円)、広告事業が104百万円(同338百万円)、ソリューション事業が238百万円(同46百万円)となった。営業損益は、情報資産プラットフォーム事業が570百万円(同392百万円)、広告事業が17百万円の損失(同27百万円の損失)、ソリューション事業が12百万円(同38百万円の損失)となった。
主力である情報資産プラットフォーム事業の売上高が増加したのは、下図のように2014年2月期末の有効アカウント数が10,096(前期末比+4,995)と大きく増加したことに加え、多様なサービス提供によってアカウント当たりの金額が増加したからである。
(中期経営計画に対する結果)
パイプドビッツ<3831>は2014年2月期を最終年度とする3年間の中計経営計画を発表しており、最終年度の目標は売上高3,000百万円、営業利益700百万円、有効アカウント数10,000であった。しかし2014年2月期の実績(結果)は上記のようであり、前年比では大幅増収・増益となったが、この中期経営計画の目標値には届かず各々の達成率は売上高で83.9%、営業利益で80.7%となった。ただし、有効アカウント数の達成率は101.0%となり目標を達成した。
目標を達成できなかった最大の要因は「戦力不足」、つまり人員不足であったようだ。同社の主力製品は前述のようにPaaS型で提供されるため、導入当初は手厚い支援(サポート)を求められるケースが多い。前期(2014年2月期)の場合には、十分な引き合い案件があったにもかかわらず、このような導入時のサポートや納期達成のための十分な戦力が整っておらず、結果として多くの案件を取り損なった。その結果、中期経営計画の目標値は達成できなかったが、会社側では「この要因は2014年2月期ではなく、その前年度の2013年2月期にあった。つまり、前年度に十分な戦力強化(採用、社員教育等)を行えなかったことが目標未達の最大の要因である」と分析している。
また、新規サービスとして提供してきた情報資産プラットフォーム「政治山」「美歴」「ジョイプラ」「ArchiSymphony」「ILove下北沢」、広告事業の「スパイラルアフィリエイト」について、サービス競争力強化のための研究開発や営業人員に十分なリソースを投下することができず、収益への貢献が後ろ倒しになった。
中計の目標は達成できなかったが、その要因が明白であり既に次への対策も取られているので問題視する必要はないだろう。案件(引き合い)そのものは多いので、その点は今後の楽しみでもある。
(財政状況及びキャッシュフローの状況)
2014年2月期の財政状況は下表のように資産合計は2,643百万円(前期末比446百万円増)となったが、主な要因は流動資産の増加535百万円、固定資産の減少88百万円であった。負債合計は121百万円増加したが、流動負債の増加121百万円による。純資産は、主に当期純利益の計上により325百万円増加した。
またキャッシュフローの状況は下表のようであり、営業活動によるキャッシュフローは392百万円の収入、投資活動によるキャッシュフローは71百万円の支出、財務活動によるキャッシュフローはゼロとなり、2014年2月期末の現金及び現金同等物残高は1,459百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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