ネットイヤーグループ Research Memo(3):14/3期は4期連続増収と3期連続2ケタ経常増益を達成
[14/06/20]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算概要
(1)2014年3月期の連結業績
2014年5月9日付で発表された2014年3月期の連結業績は、売上高が前期比22.9%増の5,352百万円、営業利益が同32.7%増の188百万円、経常利益が同32.8%増の191百万円、当期純利益が同34.2%減の59百万円となった。スマートフォンやソーシャルメディアの普及拡大に伴い、企業におけるデジタルマーケティング分野への投資が活発化するなかで、ネットイヤーグループ<3622>の業績も好調に推移し、売上高では4期連続増収、経常利益は3期連続で2ケタ増益となるなど拡大基調が続いた。当期純利益に関しては、本社移転費用23百万円を特別損失として計上したことに加えて、本社の繰越欠損金解消に伴う法人税の増加や、復興特別法人税の廃止に伴う繰延税金資産の取り崩しによって減益となっている。
2014年1月時点の会社計画比でも、売上高は352百万円上回っており、足元の状況も好調が続いていることがうかがえる。売上高の上振れ分に対して、営業利益は8百万円の増額にとどまったが、これは特定プロジェクトにおいて不採算案件が発生し、第4四半期に受注損失引当金63百万円を売上原価に計上したことが要因となっている。同社においてはほぼ10年ぶりの不採算案件となる。なお、同案件に関しては2014年5月に完成し売上計上するが、想定される損失は2014年3月期に引き当て済みのため、利益面で2015年3月期に影響が出ることはない。
なお、2013年8月より子会社化した日本技芸分の業績への影響は、売上高で150百万円前後のプラス要因、営業利益ではのれん償却分(34百万円)も含めて数千万円程度のマイナス要因だったとみられる。このため、受注損失引当金の計上や日本技芸の影響を除いた実質ベースの営業利益で見れば、前期比で2倍増と大幅増益だったことになる。
特に、最近の需要傾向としては、デジタルマーケティング分野のなかでも、ソーシャルメディアとの連携や顧客データの分析・活用といったニーズが強くなっている。特に、データ分析・活用を含めた開発案件は、受注規模も大きくなる傾向にあり、開発人員の確保が同社の経営課題となってきている。実際、2014年3月期においても開発能力があれば、さらに売上高を伸ばすことが可能だったとみられる。
このあたりの動きは、売上原価の動きからも見て取れる。2014年3月期の売上原価のなかで、最も伸びたのは外注費で前期比34.4%増となっており、開発案件の増加に対して外注を増やすことで対応していたことがうかがえる。売上原価率を見ると、2014年3月期は79.2%と前期比で悪化したように見えるが、このうち受注損失引当金を除けば78.0%と若干改善していることがわかる。このため、外注費が増加したとはいえ、それが原価率においてマイナスには作用しなかったことがわかる。同社の場合、プロジェクトごとのカスタム案件がほとんどであり、外注費を含めて受注見積もりを行い、一定の利益率を確保していることが要因とみられる。とは言え、外注が増えるということは付加価値の外部流出につながるため、一定水準以上は社内の開発体制を整えておくことが必要となる。
2014年3月末の従業員数はグループで309名、前期比で48名増となっているが、このうち日本技芸の人員が54名上乗せされているため、実質ベースでは減少したことになる。昨今、IT業界でも人材不足が慢性化しており、採用が想定どおり進まなかったのが要因となっている。2014年3月期の採用費が減少しているのも、こうした影響によるものである。
なお、売上高に占める自社開発プロダクトの比率は前期の9.4%から2014年3月期は10.9%と順調に拡大している。主要なプロダクトとしては、コールセンターなどCRM部門におけるサービス品質の向上、コスト低減に寄与する「social voice」のほか、子会社のトライバルメディアハウスのソーシャルメディア管理ツール「EngageManager(エンゲージマネージャ)」、口コミデータの収集・分析を行う「BoomResearch(ブームリサーチ)」、日本技芸のGoogle Apps版グループウェアソフト「rakumo」などがある。2014年3月期は「rakumo」の売上高が100百万円程度の上乗せ要因となっているが、既存プロダクトも順調に拡大している。なかでもエンゲージマネージャはソーシャルメディア分野における企業のマーケティング強化も追い風となり、好調に推移したようだ。同社では、将来的に自社開発プロダクト比率を50%程度まで高めて行きたい考えで、今後も子会社を含めた新製品の開発を強化していく方針。自社開発プロダクトの売上げが拡大していけば、収益基盤の安定性が高まるだけでなく、収益性そのものも向上していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1)2014年3月期の連結業績
2014年5月9日付で発表された2014年3月期の連結業績は、売上高が前期比22.9%増の5,352百万円、営業利益が同32.7%増の188百万円、経常利益が同32.8%増の191百万円、当期純利益が同34.2%減の59百万円となった。スマートフォンやソーシャルメディアの普及拡大に伴い、企業におけるデジタルマーケティング分野への投資が活発化するなかで、ネットイヤーグループ<3622>の業績も好調に推移し、売上高では4期連続増収、経常利益は3期連続で2ケタ増益となるなど拡大基調が続いた。当期純利益に関しては、本社移転費用23百万円を特別損失として計上したことに加えて、本社の繰越欠損金解消に伴う法人税の増加や、復興特別法人税の廃止に伴う繰延税金資産の取り崩しによって減益となっている。
2014年1月時点の会社計画比でも、売上高は352百万円上回っており、足元の状況も好調が続いていることがうかがえる。売上高の上振れ分に対して、営業利益は8百万円の増額にとどまったが、これは特定プロジェクトにおいて不採算案件が発生し、第4四半期に受注損失引当金63百万円を売上原価に計上したことが要因となっている。同社においてはほぼ10年ぶりの不採算案件となる。なお、同案件に関しては2014年5月に完成し売上計上するが、想定される損失は2014年3月期に引き当て済みのため、利益面で2015年3月期に影響が出ることはない。
なお、2013年8月より子会社化した日本技芸分の業績への影響は、売上高で150百万円前後のプラス要因、営業利益ではのれん償却分(34百万円)も含めて数千万円程度のマイナス要因だったとみられる。このため、受注損失引当金の計上や日本技芸の影響を除いた実質ベースの営業利益で見れば、前期比で2倍増と大幅増益だったことになる。
特に、最近の需要傾向としては、デジタルマーケティング分野のなかでも、ソーシャルメディアとの連携や顧客データの分析・活用といったニーズが強くなっている。特に、データ分析・活用を含めた開発案件は、受注規模も大きくなる傾向にあり、開発人員の確保が同社の経営課題となってきている。実際、2014年3月期においても開発能力があれば、さらに売上高を伸ばすことが可能だったとみられる。
このあたりの動きは、売上原価の動きからも見て取れる。2014年3月期の売上原価のなかで、最も伸びたのは外注費で前期比34.4%増となっており、開発案件の増加に対して外注を増やすことで対応していたことがうかがえる。売上原価率を見ると、2014年3月期は79.2%と前期比で悪化したように見えるが、このうち受注損失引当金を除けば78.0%と若干改善していることがわかる。このため、外注費が増加したとはいえ、それが原価率においてマイナスには作用しなかったことがわかる。同社の場合、プロジェクトごとのカスタム案件がほとんどであり、外注費を含めて受注見積もりを行い、一定の利益率を確保していることが要因とみられる。とは言え、外注が増えるということは付加価値の外部流出につながるため、一定水準以上は社内の開発体制を整えておくことが必要となる。
2014年3月末の従業員数はグループで309名、前期比で48名増となっているが、このうち日本技芸の人員が54名上乗せされているため、実質ベースでは減少したことになる。昨今、IT業界でも人材不足が慢性化しており、採用が想定どおり進まなかったのが要因となっている。2014年3月期の採用費が減少しているのも、こうした影響によるものである。
なお、売上高に占める自社開発プロダクトの比率は前期の9.4%から2014年3月期は10.9%と順調に拡大している。主要なプロダクトとしては、コールセンターなどCRM部門におけるサービス品質の向上、コスト低減に寄与する「social voice」のほか、子会社のトライバルメディアハウスのソーシャルメディア管理ツール「EngageManager(エンゲージマネージャ)」、口コミデータの収集・分析を行う「BoomResearch(ブームリサーチ)」、日本技芸のGoogle Apps版グループウェアソフト「rakumo」などがある。2014年3月期は「rakumo」の売上高が100百万円程度の上乗せ要因となっているが、既存プロダクトも順調に拡大している。なかでもエンゲージマネージャはソーシャルメディア分野における企業のマーケティング強化も追い風となり、好調に推移したようだ。同社では、将来的に自社開発プロダクト比率を50%程度まで高めて行きたい考えで、今後も子会社を含めた新製品の開発を強化していく方針。自社開発プロダクトの売上げが拡大していけば、収益基盤の安定性が高まるだけでなく、収益性そのものも向上していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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